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イタリア解説EuroSport版「ミラノ世界選手権~樋口新葉SP+FS」

~ダイヤモンドの原石
僕達は樋口のポテンシャルのまだ何も見ていない~

女子ショートとフリーから
樋口新葉ちゃんの演技の実況解説から印象的な部分を抜粋します(ショートは録画放送、フリーは生中継でした)

Wakaba_2018WC

実況:マッシミリアーノ・アンベージ(M)
解説:アンジェロ・ドルフィーニ(A)

<ショート>

☆エレナさんが動画を上げてくれました!
Grazie Elena!💛

M:樋口新葉は大会前最も期待されていた選手の一人だ。
この大会に向けて調整する時間が多かったから表彰台の有力候補の一人だったが、ショートでは全てが上手く行ったわけではなかった。彼女の戦略はずっと前から僕達と相性が悪い。

なぜなら僕達は3フリップはこの選手のショートプログラムでは場違いのジャンプだと思っているからだ

A:もうこれ以上繰り返さないけどね(笑)

これも僕達が何度も言っていることだけれど、この選手のポテンシャルが規格外だからだ。途方もない才能を持っている。個性とそしてこれから見るスピードにおいて

樋口はスピンにも力を入れるべきだ。現時点ではGOEでライバル達に比べてずいぶん点差を付けられている。だからその分をジャンプの得点で埋め合わせしなければならないわけだけれど、今回はそうは行かなかった。

M:ずいぶんな点差と言っても(スピンのGOEで)1点以上稼ぐ選手に比べて少数点程度だけれど、そういう点差が積み重なって最終的に数点の差が開く。

彼女はダイヤモンドの原石だ。
今後、時間と共にこの少女が勝てる選手になっていけるのか理解しなければならない。

現地点では頂点に立つために必要な何かが欠けている。

戦略もそうだし、試合へのアプローチの仕方という点においても

A:このダイヤモンドの原石が磨かれていくか見ていく必要があるし、外部からの介入が必要だと思う。

<フリー第3グループ前の製氷中>

M:女子フリーのクライマックスが近づいている
もうすぐ6分間練習が始まる第3グループのダイヤモンドは日本の樋口だ

メダルの有力候補だと思っていたが、ショートでやらかして出遅れてしまった。

類稀な水晶のような才能を持つ樋口だが、爆発的に躍進するには環境を変えるべきだ思う。今いる場所にいたら大成するのは難しいと思う

A:そうなったら残念だ
何故ならポテンシャルにおいて彼女は全てを兼ね備えた選手だからだ

M:こんなエピソードを紹介しよう。
メドヴェデワが優勝したジュニア世界選手権で樋口はスケーティングの質とスピードにおいて優勝したメドヴェデワや2位のサハノビッチを遥かに上回るインパクトを観客に与えた。

A:確かに
樋口は3位だったけれど、多くの観点において誰よりも鮮烈なインパクトを見る者に与えた。

M:樋口はメダリスト3人の中で1番若かったのに
でもその後、メドヴェデワは一皮むけて順調にキャリアを積んでいったのに対し、樋口は伸び悩んだ。
問題は13~14歳の少女に海外、例えばオーサーの元などに拠点を移すよう決心させるのは難しいということだ。
その点、ロシアの少女達には例えばエテリ・トゥトベリーゼのスケートクラブのように自分の国に万全な練習環境が整っている。
これがメドヴェデワの大きなアドバンテージだ。

A:ロシアでも地方から遥々遠方のモスクワまでやってくる選手はいる

M:確かにそうだけれど、少なくとも国内だから語学を勉強する必要はないし、ロシア中から選び抜かれてエテリ・トゥトベリーゼのクラブに入ることが出来た少女達は、完全なトレーニングシステムにサポートされ、一流選手にのし上がるチャンスを与えられる。

<フリー>

エレナさんの動画です
Grazie!!

M:次は最も大きな才能の一つ、日本の東京出身、樋口新葉の番だ
ショートでは8位だった。選手のコンディションを考慮すると「惨事」と言わなければならない。

A:最も大きな得点源のコンビネーションで転倒してしまった。

これは今シーズンの最も素晴らしいフリープログラムの一つだ。

アデールのスカイフォール

樋口のクオリティを引き出すとても美しい振付。役にのめり込んだ演技、ハマりプロだ。
彼女が技術的にもいい演技が出来ることを願っている

A:2本目の3ルッツ/3トゥループ
難しいコンビネーションを2本決めた

2A/2T/2Lo

2アクセルはバックカウンターから跳んだ。
羽生がトリプルで使っている入り方だ

M:TES75点
樋口は非常に難しいクリーンなプログラムで最後を締めくくった。
構成には議論の余地があるけれど
何故なら3ルッツ/3トゥループのコンビネーション2本は持ち帰れる得点に対してリスクが大きいからだ(笑)。でも彼女は綺麗に決めてみせた。
樋口が弱いのは何か?スピンのGOE

A:今回はステップシークエンスがレベル3になってしまったからここでも点を取りこぼした。

M:でも技術点75点は高得点だ。
それにスピードという点において、今大会これまで見たことのないクオリティだ
オズモンドが彼女に対抗できるか見てみよう

A:スピードにおいてはこの二人が世界最高だ。
彼女は本当に多大なエネルギーを込めて滑り切った。
これが僕達の見たかった樋口だ

M:そう、僕達はこれが見たかった
これは本物の才能だ
演技構成点70点に値する才能だ
今日のこの演技は70点が彼女のレベルに相応しい

A:それにのびのびと滑っていて素晴らしい演技だった。
最初、少し抑え気味に見えたけれど、1本目の3ルッツ/3トゥループが決まると解き放たれて、非常にハイレベルな滑りを見せた。

M:彼女の涙には意味がある。
この少女はオリンピックに出場出来なかった。

A:サプライズだった
今シーズンの彼女は出場する全ての試合で206~207点を出していたし、一番安定している日本人選手の一人だった。

M:彼女はここで答えを返して見せた
それに多くのジャンプの前に彼女が何を入れているか強調しなければならない。

A:2本のアクセル
1本はバックカウンターから跳んでいる。
もう1本は僕達が見たコストルナヤの3アクセルの入り方と同じだ。
いずれにしても難しい入り方だ
それに彼女の鮮烈な表現力も見て欲しい。
これはおそらく樋口史上最高の演技だ。
彼女の自己ベストは国別対抗戦で出した145点だ

M:この得点を超えるには演技構成点70点が必要だ。
でもこのパフォーマンスなら出ると思う。
ショートプログラムで失った得点は痛かった

A:致命的な失点だった
彼女はショートで75点が出せる選手だ

M:彼女は日本ではシニアの全日本以外の全ての大会で優勝している。
そして全日本のタイトルも手に入れる技術は持っている

僕達は樋口のポテンシャルのまだ何も見ていない。
まだ表面をこすっているに過ぎない。

(得点表示)

M:145.05点
演技構成点で70点を超えた

それなら希望はある!希望はある!!!

A:ハハハ

M:樋口は現時点で大差の1位
テネルを含めこれまで見てきた選手とは別のスポーツだ。

A:高得点だ。素晴らしいパフォーマンス
彼女の涙は共感出来る

リザルト>>

プロトコル>>

英訳も出ました!
イタリアにもジュニア時代から新葉ちゃんに注目して応援しているファンが大勢います!
ミラノのワカバボンドで更にファンを増やしたことでしょう
来年もロンバルディア杯に来てくれたら嬉しいな!

ITA ESP commentary of Wakaba Higuchi’s FP at Worlds 2018

 

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☆新葉ちゃん、銀メダルおめでとう!!!:applause:

フリーは泣きました!:awww:
圧巻のワカバボンド!
今シーズンはあれだけオリンピック出場にかけていたのに、出場が叶わなくてどれだけ悔しかったことでしょう。それでも気持ちを立て直してここ一番の大舞台で新葉史上最高の神演技を見せてくれました!
しかも女子フリーはコントロールパネルが厳しく、どの選手も容赦なく回転不足を取られていたのに(マッシミリアーノさん曰く「天野がようやく仕事を始めた」)、新葉ちゃんはURもエラーも付いてなくてGOEは全てプラスの綺麗なプロトコル!
新葉ちゃんとケイトリンはスピードとジャンプの豪快さが他の選手とは別次元でした!

マッシミリアーノさん「僕達は樋口のポテンシャルのまだ何も見ていない。まだ表面をこすっているに過ぎない」

ってどれだけ期待値が高いんでしょう!

マッシミリアーノさんはメドちゃんやアリーナも勿論称賛しますが、才能とポテンシャルにおいて最も高く評価していて、かつお気に入りなのは新葉ちゃんとロシアのポリーナ・ツルスカヤだと思います。

「ダイヤモンドの原石」なんて言われているのは新葉ちゃんだけです!
昨年12月、マッシミリアーノさん達は12月27日辺り(イタリアはクリスマス休暇で会社とかはお休みの時期)に全日本とロシア選手権を分析する2017年最後のポッドキャストをやろうと張り切っていたのですが、羽生君は欠場、新葉ちゃんもポリーナも五輪代表に選ばれなかったので、やる気を失ったのか、ショックが大き過ぎたのか結局放送されませんでした・・・

ポリーナは世界選手権代表にも選ばれず、しかもメドちゃんの代わりに出場したスタニスラワ・コンスタンチノワがボロボロだったので、ポリーナを選ぶべきだったと実況中にチクチク文句を言っていました。その点、世界選手権の代表選手は五輪と同じメンバーではなく新葉ちゃんを選んでくれた日本スケ連GJと言いたい!

それにしてもこの表彰台メンバーを予想出来た人がいるでしょうか?
私は五輪メンバーはきっとお疲れだから新葉ちゃんがショートとフリーをノーミスで揃えられれば金は無理でも銀メダルは行けるんじゃないかと期待していましたが、まさかここまで壮絶な自爆大会になるとは!
カロリーナは構成を上げてから一度もフリーでノーミスの演技が出来ていなかったので何となく予想出来ましたが、アリーナがここまで崩れるとは思いませんでした。
女子の試合はカロリーナを見に来た地元イタリアのお客さんが圧倒的に多く(少なくとも私の周りはみんなイタリア人で、隣のおじさんはプログラム曲が知っている曲だと一緒に歌うのでうるさかった・・・)、ショートプログラムはカロリーナ神演技だったので凄まじい大歓声で、あの空気の中で演技をするのは相当のプレッシャーだったと思います。
フリーもアリーナが転倒するために大歓声が起こって(激励の拍手というより、明らかに大喜びしている)可哀想でした・・・
イタリアのお客さん・・・気持ちは分からないでもないけれど露骨過ぎ・・・

★私の中のミラノ大会ベスト3★

  • 1位・・・感動と涙の圧巻ワカバボンド
  • 2位・・・氷上の芸術品カロリーナの神ショート
  • 3位・・・黒鳥というより猛禽類に近いケイトリンのド迫力ブラックスワン

Published by Nymphea

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち