イタリア解説EuroSport版「世界国別対抗戦2021~羽生結弦FS」

フリーの実況解説です

 

解説
マッシミリアーノ・アンべージ(M)伊ユロスポ解説者、ジャーナリスト
ラファエラ・カッツァニーガ(R)振付師

 

M:羽生結弦の番だ

今シーズンはアスリートというよりアーティストとして折衷主義を披露する。

昨日のショートはロック・ポップ魂、だから国際的な側面

一方、今日のフリーはアンティミスムの世界(内面的な世界)

僕達に東洋文化に繋がる何かを語ってくれる。

東洋文化と密接な繋がりのある典雅な何かを

 

もはや紹介の必要がないアスリート

この間の世界選手権では3位

オリンピック金メダルを2度、世界タイトルを2度獲得した。

グランプリファイナルで無数の勝利

 

M:4ループ

サルコウはシングルになった、今朝の曲かけ練習と同じ状況だ

3アクセル/2トゥループ、何もないところから3ループ

 

M:4トゥループ/2トゥループ

 

M:4トゥループ/オイラー/3サルコウ

 

M:3アクセル

R:美しい!

 

M:間違いなくここまで見た中で最も美しいフリーだ

日本時間の朝行われたランスルーと同じミスをした

4サルコウは朝の練習ではダブル、今日は完全に開いてシングルになった。

そして4トゥループ/3トゥループのところでセカンドジャンプが2回転になった。

それ以外はかなり良かった。

ポテンシャルの80%の羽生というところだろう。

それでも技術点はほぼ100点だ

 

R:ミスがあってもこの技術点(笑)

そして最後のスピン、何と洗練されていたか

強拍に合わせてポジションをチェンジする、これは途方もないことよ

自分のやっていることを掌握している人にした出来ない。

普通は音に合わそうとしても、上手く拍に合わせられなくてズレてしまうものだけれど

彼は違うわ。

何と言う代物なの

 

M:これは彼がとても感情移入しているプログラムで、ショート同様、ほとんど彼が振付をしている。

何故なら、実質一人で振付の作業を行ったからだ。

勿論、シェイリーン・ボーンとリモートでやり取りはしていたけれど、多く動きは彼のアイデアの賜物だ。

来シーズンも持ち越すのかは分からない、どうなるか見てみよう

今日は実質、エレメントが1個半少なかった。

サルコウがシングルになり、後半の3トゥループがダブルになったから、15点は失った。

 

R:そうね。
でも非常に美しいプログラム・・・何というプログラム

この曲で滑るのは誰にでも出来ることではないわよ。

独特の曲だもの

 

M:今日の彼は凄く集中しているように見えた。特にどちらの3アクセルの前でも緊張しているように見えた。

今回、練習では3アクセルで時々問題があり、昨日のショートプログラムのアクセルもそうだった。

何故、このような問題が起こっているのか。

彼は今

 

R:4アクセルね

 

M:4アクセルの練習をしている。だから特定のダイナミクスは変化する

 

R:確かにそうね

 

M:そのために筋肉も付けた。

腿を注意深く観察すると分かる。
一刻も早く前人未到のこのジャンプを成功させることに彼は専念している。

そして僕達が見慣れている羽生、要するに全てにおいてエクセレントな羽生だ。

今日はいい演技だったけれど、シングルサルコウと4トゥループ/2トゥループで15点かあるいはそれ以上の点を失った。

でも見とれてしまうプログラム、そうだろう?

最初の一秒から最後の一秒まで見入ってしまう世界観がある。

 

R:目を釘付けにされるプログラム

来シーズンもこのプログラムを見られることを心から願っているわ。

更に磨かれていくに違いないと確信しているから。

ステップシークエンスは圧巻だったわ。

エネルギッシュで美しかった。

表現面でもかなり進化したと思ったわ。

特にこの点において私はもの凄く気に入ったわ。

これまでは、もしユヅルの唯一の弱点を見つけるとしたら、少し表情が乏しいところだったけれど、昨日のショートと今日のフリーを見たら・・・この点においても非の打ちどころがなかった。

もの凄く向上したと思うわ。

 

M:両方のプログラムを合わせて300点というところだろう

彼にとっては10回目の300点越えだ。

このプログラムはもし演技構成点で然るべき評価を受けたなら195から196点だが、実際は194点ではないかと僕は恐れている。

193.76点だった。

リザルト

プロトコル

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☆美しい「天と地と」に鳥肌が立ちました。

この世界観をこれほど深く、鮮烈にフィギュアスケートで表現出来る人はいないでしょう。

この異常なシーズン、練習拠点のトロントに戻れず、コーチ無し、練習時間は限られ、振付もリモートで実質セルフコレオ、喘息という基礎疾患があるために、感染には人一倍気を付かなければならず、世界選手権前には2度の大きな地震、ストックホルムからの帰国後、自主隔離開けで競技という圧倒的に不利な条件が揃いながら、出場した全ての試合でこれほどクオリティの高いプログラムを揃えられるのは、これまでに震災や手術や五輪シーズンの大怪我といった数々の修羅場を潜り抜けてきた羽生結弦にしか出来ないことだと思います。

最後の美しい3アクセル、4Aを入れた「天と地と」に繋がる道が見えました。

羽生君としては今シーズン中に4アクセルを決めてしまいたかったのではないかと思うのですが、コロナ禍でトロントに戻れず、チャレンジャーシリーズやGPシリーズの多くの大会が中止になり、色々と予定が狂って彼の壮大な夢は来シーズンに持ち越されることになりました。

スケートの神様が羽生結弦を辞めさせないために采配を振るってるとしか思えない😅・・・

そして昨シーズンに比べてジャンプのクオリティが羽生君比で断然向上したと思ったのは私だけでしょうか。

怪我前のよりエフォートレスで軽やかなジャンプが戻って来て、体幹がしっかりしたせいか、安定感が増し、更に高くなりました。一人だけ時間と逆行しています。

ジャンプのクオリティもそうですが、このフィニッシュとか26歳男子に見えますか?
可憐な少女のようです・・・

いや、重力にも挑戦しているから時空に逆らっているのか・・・色々異次元過ぎてもうよく分からないです・・・

コロナ禍の中であなたの演技、あなたの存在は光でした。
来シーズンも引き続き試合で演技が見られるなんて夢のようです。
どうかゆっくり休んで英気を養って下さい。

素晴らしい演技をありがとう!
どうか健康で、思う存分4アクセルに向かって爆進して下さい

Published by Nymphea

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち