イタリア解説EuroSport版「平昌2018女子FS~上位3選手」

女子フリーから
アリーナ・ザギトワ、ケイトリン・オズモンド、エフゲニア・メドヴェデワの実況解説から印象的な部分を抜粋します

 

実況:マッシミリアーノ・アンベージ(M)
解説:アンジェロ・ドルフィーニ(A)

<アリーナ・ザギトワ>

ZagiFS

M:大会の鍵となる瞬間がやってきた。
ショート首位のアリーナ・ザギトワだ
彼女はリンクメイトが出した世界記録を直後に塗り替えた

ザギトワとメドヴェデワの対決はこの試合のメインディッシュだ

A:他の選手達には手の届かない凄まじい高得点での対決になるだろう

M:今シーズン、ザギトワは150点以上、いやほぼ160点近い点をフリーで出せることを見せつけてきた。

A:実際、僕達は大会前からフリーでは彼女が首位だろうと予想してきた。
だからショートで首位発進した今、彼女が金メダル候補ナンバーワンだ。

問題はプレッシャーに勝てるかどうか

(演技後)

M:称賛に値する演技だ
最初の3ルッツのちょっとしたミスを巧くカムフラージュした後、演技の途中でコンビネーションをリカバリーした。しかも間髪入れずに続く全てのジャンプを音ハメして跳び、音楽に置いて行かれることがなかった。僅か15歳の少女が恐るべき技術を見せつけた。

A:勿論、彼女のベストの演技ではない。
少し硬かったし、当然だろう。15歳の若さで金メダルを賭けて戦っているのだから
いずれにしても非常に高い技術点

究極難度のプログラムだ。全てのジャンプ要素をプログラム後半に入れているから全ての要素で10%のボーナスを稼げる

M:でも彼女のベストフリープログラムではないだろうね。
欧州選手権ではもっと技術点が高かった

A:今回はGOEで少し取りこぼした
確かに最初の3ルッツはそれほど綺麗ではなかった。

M:団体戦では158点を大幅に超えた。
今回は多くのエレメントでGOEがいつもほど高くなかったから技術点が団体戦より少し低い

ジャンプだけでなくスピンでも最後のコンビネーションスピン以外で団体戦より加点が少なかった
だから+3より+2の方が多かったから全部で1点ほど取りこぼした
僅かな点差だけれど
いずれにしても並外れた演技だった

A:いずれにしても技術点は80点を超えた。ごく僅かな選手にしか到達出来ない大台だ

M:メドヴェデワに扉が僅かに開かれた
ただし僅かな隙間だ
160点近い得点を出せるスーパーデラックス・バージョンのメドヴェデワが必要だ。
なぜならいずれにしてもこれは157点を獲得する演技だからだ

A:156-157点だろうね。
金メダルに王手をかけた。
銀メダル以上は確実だ
金メダルはメドヴェデワの演技を待たなければならない

彼女は力の限りを尽くして戦った。
メドヴェデワが残された一縷の望みを掴むことが出来るか見よう
決して簡単ではない

M:239.57は彼女のパーソナルベスト
メドヴェデワは昨シーズンの国別対抗戦で241.39を出している

金メダル争いはまだ終わってない
メドヴェデワが人生最高の演技で逆転出来るか見てみよう

 

<ケイトリン・オズモンド>

2018OG_Osmond

M:もしノーミスの演技が出来ればオズモンドが銅メダルだ

でも僕達は彼女が7トリプル+2ダブルアクセルが全て入ったフリープログラムを滑り切るのを最近まだ見たことがない。

A:今日、ここ一番の大舞台で必要だ

(演技後)

A:これはオズモンド史上最高の演技だ

M:これはオズモンドのスーパープログラム
おそらく150点を超えるだろう

僕達は7トリプル+2ダブルアクセルと言っていたけれど、ケイトリンは一番必要な時に僕達にこれをプレゼントしてくれた

メダル確定だろう
カナダがメダル
現時点では銀メダル。まだメドヴェデワが滑っていないから最終的に銅メダルになるだろう
これ以上は不可能だった
確かにルッツでミスがあったけれど、例えルッツが完璧でも順位は変わらなかった

この演技は演技構成点でザギトワより高い得点を獲得すべきだ
なぜならスケーティングの質は彼女より優れているし、滑りの滑らかさは別次元だった

多くの人がこのブラックスワンを批判したけれど、僕は彼女のハマりプロだと思う

A:最終的にオズモンドは見事に演じてみせたし、彼女は氷上でカリスマ性のある選手だ
現在の女子シングルで並ぶ者がごく僅かしかいないスピード

M:現在、女子で彼女のスピードに対抗できるのは日本の樋口だけだろう。
他の選手は遠くから彼女達を眺めている

A:彼女は爆発力のあるとても華やかな選手で、スペクタクルとして見ごたえがある

M:あのルッツについては長々と議論しなければならない

A:!が付いたけれど、ほとんど寛大な判定だったと言える

M:リプレイで見直したけれど、着氷は完璧じゃないけれど回転に問題ない。でもエッジは明らかに議論の余地がある。なぜならアウトエッジで入って、離氷する直前にインに変わり、明らかにインエッジで踏みきっているからだ

ほとんど慈悲深い判定だった
このことは別にしても、彼女は一番肝心な時に人生最高のフリープログラムを滑り切った

フリーで150点を超えたことがあるのは、メドヴェデワ、ザギトワ、そしてバンクーバーにおけるキムヨナだけだ

 

<エフゲニア・メドヴェデワ>

2018OG_med

M:エフゲニア・メドヴェデワは絶対的な金メダル候補だった

ただし欧州選手権の前、グランプリファイナルの前、そしてリンクメイトであるザギトワが出現する前のことだ

しかし、エフゲニアの競技人生は常にあらゆる種類の障害に満ちていた
そして彼女は常にそれらの障害を全て乗り越えてきた
間違いなく、今回の壁はこれまでの中で最も乗り越えるのが困難なものだろう

A:命運を分ける戦い、命運を分ける試合だ

M:彼女は類まれな戦士だ。
首位に立つ得点を握っているかもしれない
試合に勝つには158点が必要だ
彼女が既に超えたことのある得点だ

(演技後)

M:傑出した演技だった
彼女はザギトワから1.31の点差を挽回しなければならない

おそらく演技構成点でこの点差は埋まるだろう。
演技構成点ではザギトワを上回る。なぜなら僕はこれがPCSで高得点に値する演技だと思うからだ。でも技術点で水を開けられている
メドヴェデワにとって幸運だったのはルッツが正しいエッジから跳んでいると判定されたことだ。
正直、僕達には疑わしく見えた

でもスピンのGOE、そして3Tを付けることでより高い係数のGOEを稼ぐザギトワに対し、単独または2Tを付けている2アクセルのGOEの差が痛かった。つまり翻訳するとメドヴェデワはリンクメイトを上回ることが出来ない。
僅かだがリンクメイトに及ばないだろう
ひょっとするとフリープログラムでもザギトワに及ばないかもしれない
なぜならTES78.73は弱い技術点だからだ

今回、勝敗を分けたのはGOEより基礎点の差だった
ザギトワは全てのジャンプ要素を後半に跳んでいる
そして何よりルッツ2本だ

A:ザギトワが差を付けるのはそこなんだ
僕達は最初からフリーでザギトワを上回るのは困難だと言っていた

問題のルッツを見よう
ええ・・・・

M:皆さん、これはフリップだ

A:そうだね・・・

M:通常の速度でも分かるほどだった
でもコントロールパネルはこのジャンプはOKだと判断した

A:オズモンドは!だった。それならここでも!であるべきだ
そうでないと不公平だ
オズモンドに対してだけでなく、正しいエッジで跳んでいるザギトワに対しても

M:正直に言おうじゃないか。黙っていかたらって何かもらえるわけじゃないし

A:(笑)

M:オズモンドはエッジエラー、メドヴェデワもエッジエラー
そうでないと正しいエッジで跳んでいる選手達が不利になる
今回、一番被害を受けたのは(ザギトワ以外で最終グループの中でエッジに問題がない)コストナーということになるけれど、あまりにも点差が開いているから議論は巻き起こらない。

A:いやそういう問題ではない。いずれにしてもジャンプには正しい判定を下すべきだし、ザギトワに対して不公平だ
いずれにしてもザギトワが勝つだろうけれど、技術点は79.18点に上がっている

M:おそらくフリーはほぼ同点かもしれない
でもショートの点差が勝敗を分けることになる
だから男子も女子もショートの勝者が最終的な勝者になる
まあ男子の場合、フリー1位だったネイサン・チェンは大差で引き離されていたから、ケースは異なるけれど、女子の場合はショートの差1.31が最終的な点差になると思う

A:156.65は高得点だ

M:フリーは同点?

A:そうだね。だからフリー1位は(演技構成点が高かった)メドヴェデワだけれど、銀メダルに甘んじることになる
金メダルはアリーナ・ザギトワだ

M:つまり正統な表彰台
金メダルは15歳のアリーナ・ザギトワ
エフゲニア・メドヴェデワは涙の銀メダル
銅メダルは幸せいっぱいのケイトリン・オズモンドだ
この試合では金メダリストは現世界チャンピオンではなかった

オリンピックにおけるフィギュアスケートの大会はこれで25回目だけれど、その内17回で現世界チャンピオンが金メダリストになっている。

A:今回は現世界ジュニアチャンピオンが金メダリストになった(笑)

 

<フラワーセレモニー>

2018OG_Ladies

M:女子シングルはロシアのワンツーフィニッシュ
金メダルはメドヴェデワを上回ったザギトワ

女子で過去に同国選手が金銀メダルだったのは1998年長野大会以来だ。
この時はアメリカのワンツーフィニッシュで、同じく15歳のタラ・リピンスキーが優勝候補だったミシェル・クワンを破って金メダルを獲得した。

最終的にザギトワの超絶技術の勝利だった

表彰台に上がるメンバーは予想通りだったと言っていいだろう
金銀の順番は違ったかもしれないけれど
なぜならメドヴェデワは演技構成点でザギトワに対してアドバンテージがあったからだ

でもグランプリシーズンから僕達の番組を見てくれていた視聴者なら僕達がこの展開を読んでいたことを知っているはずだ。

僕達はこう言っていた
「注意して欲しい、シーズンが進むにつれてザギトワとメドヴェデワの演技構成点の差はどんどん縮まっていくだろう」と。そうなったら基礎点の差が勝敗を分けることになり、基礎点において究極難度のプログラムを滑るザギトワにライバルはいない。シニアでの話だけれど。
なぜなら全てのジャンプを後半に跳び、ルッツ2本フリップ2本の構成だからだ。

A:つまりアクセル以外の最も高難度なトリプルジャンプだ

M:究極難度と言えば、アレクサンドラ・トゥルソワは数日前、4トゥループを決め、4サルコウにも挑戦し

A:転倒したけどね

M:後半に7トリプルを着氷するプログラムを滑った。
こんなプログラムに比べたらザギトワのは全く究極難度じゃないかもしれないけれど

A:ハハハ、そうだね

M:でもシニアではザギトワのプログラムは議論の余地なく最高難度のプログラムだ
彼女はショート、フリーを通してプログラム前半に一度もジャンプを跳ばなかった

ジャンプがバランス良く配置されていないから、演技構成点でペナルティを与えるべきだと言う人がいるかもしれない。
大変興味深い意見だけれど、現行ルールの内容はエテリ・トゥトベリーゼ門下の選手達がやっていることが高得点を稼げるようになっている。

A:ザギトワだけでなく、彼女より若い多くの選手達についてもね。彼女達は他の選手達、現世界チャンピオン、今映っているエフゲニア・メドヴェデワに対してもアドバンテージを稼ぐことが出来る

メドヴェデワは間違いなく失望しているだろう。演技ではなく結果に
ショートでは歴代最高得点を更新したが、数分後にリンクメイトが塗り替えた。
フリーは僅かな乱れもない演技だった。
だから大会への調整に影響を与えた怪我にも拘わらず、卓越したメドヴェデワだった。
ただ彼女の前に現時点では無敵のザギトワが立ちはだかったのだ。

ザギトワは素晴らしい快挙だった。
彼女はメドヴェデワの前に滑って彼女にプレッシャーをかけた。
そしてメドヴェデワは偉大なチャンピオンに相応しい答えを返した。
冒頭でちょっと苦戦し、最初の3ルッツ/3ループがコンビネーションにならなかった。練習では彼女は遊びながら簡単に跳んでいるコンビネーションだ

M:しかもその後に更にジャンプを付けてね
でも称賛に値する演技だった。

A:確かに、そのことは強調しなければならない

M:僅か15歳の少女がその45秒後に極上のクオリティでこのエレメントをリカバリーした

リザルト>>

プロトコル>>

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☆今シーズンのメドザギはソチシーズンのパトリックと羽生君を見ているようでワクワクさせられました。
ルッツが苦手なメドちゃんはショートとフリーで合わせて1本しか3ルッツを入れていませんので、実はルッツ3本の選手より基礎点的には弱いんですよね。でも繋ぎが隙間なく詰め込まれたプロ、入りと出に工夫を凝らし、手を上げて跳ぶジャンプ、そして何よりいつでもどこでも絶対にミスをしない驚異的な安定感で圧倒的に高いPCSとGOEを稼ぎ、2年間、彼女より基礎点の高い選手達も全く寄せ付けませんでした。
でも自分と同じ武器を持った選手が現れた時、ルッツ苦手が致命的になったのではないかと思います。
この辺りもアクセル苦手が致命傷になったソチのパトリックと被る

生存競争が激しいロシアでは世代交代が目まぐるしく(ファブリツィオさん曰く、ロシアは選手をファーストフードのように使い捨てにする傾向がある)、ジュニア世代には4Sと4Tを試合で成功させたトゥルソワ、マッシミリアーノさん絶賛のコルトルナヤ、4Lz+3T+3Loを跳んでいるらしいアンナ・シェルバコワといったモンスター達が控えており、4年後の勢力図がどうなっているのか全く読めませんが、アリーナはとても好きな選手なので生き延びて欲しい
メドちゃんはデヴィッド・ウィルソンと組んでどんな風に化けるか楽しみです。

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