イタリア解説EuroSport版「平昌2018男子SP~製氷タイム/ボーヤンSP他」

最終グループ前の製氷タイム中のディスカッションから試合後の総評まで、羽生君の話題を中心に印象的な部分を抜粋します(一部、既に投稿した内容と重なる部分もあります)

 

実況:マッシミリアーノ・アンベージ(M)
解説:アンジェロ・ドルフィーニ(A)

 

<最終グループ前の製氷タイム>

M:今日は4ルッツ成功者のリストにドミトリー・アリエフが新たに加わったからデータベースを更新しなければならない。

(4ルッツを決めた選手は)ロシアには何人いる?
4人かな?

サマリン、アリエフ、コリヤダ、セズガノフ

A:アリエフはルカヴィツィン門下の最初の成功者だ

M:だから現時点では4人のロシアが一番多いね
次がアメリカで、史上初めて4ルッツを成功させたムロズ、ネイサン・チェン、ヴィンセント・ジョウ
リッポンも何度も挑戦したけれど一度も成功したことはない
そして当然ことながら、このジャンプをおそらく最も賢く活用しているジン・ボーヤンと、羽生結弦

A:羽生結弦
そしてイタリアのダニエル・グラッシ
既に10人だね
全員の名前を挙げたと思う

M:4ルッツの成功者はルッツより難度が低いとされているループとフリップの成功者の倍だ
でも皆リスクを冒すならより高い得点を持ち帰れるジャンプに挑戦しようとするんだろう

A:4ループが本当に4ルッツより難度が低いかどうかは議論の余地がある。
フィギュアスケート関係者の中には4ループの難度が4ルッツより低いという見解に同意していない人がいるからね
ミーシンだ。つまりフィギュアスケートや4回転ジャンプについての知識がない人間ではない(笑)

M:キャリアの中で4ルッツと4ループを両方成功させたことがある選手は2人だけだ
ネイサン・チェンと羽生結弦

A:この二人だけだね

M:「成功させる」とは試合で着氷し、これは僕達が勝手に付け加えていることだけれど、GOEでプラス評価を獲得したということだ

視聴者からの質問だ
ショートプログラムで首位に立つのは誰だと思いますか?
予想は難しい

でも練習で目を引いたのは羽生だった
なぜなら4トゥループと4サルコウを高い成功率で決めていたからだ。
アンジェロが正しかったように、彼はルッツとループを封印し、この2つのジャンプをショートプログラムに入れるつもりだ。
シーズン序盤のアイデアは違っていた。
最初は4ループのつもりだったけれど、このジャンプがあまり入らないので4ルッツの投入を考え始めた

でも強調しておかなければならないのは、秋に世界最高得点を更新した際、彼が跳んだのはトゥループとサルコウだった。

A:その通り
プログラムのクリーンさ、そして羽生結弦が跳ぶ4トゥループと4サルコウの質の高さによって並外れて高い得点を獲得することが出来る。
他の選手達は例えノーミスでもこの得点に到達するのは困難だ
もしこんな風に滑れたなら、僕の意見では羽生がショート首位候補のナンバーワンだ

勿論、ネイサン・チャンは危険な刺客だし、宇野昌磨もそうだ。ハビエル・フェルナンデスも忘れてはならない
僕はこの4人が他の選手達をリードしていると思う

M:ニュースなのは、基礎点という点では羽生とフェルナンデスのプログラムが最終グループで一番低いということだ。数点の差だけれど、彼らの4サルコウに比べて、宇野、ジン・ボーヤン、ネイサン・チェンの4ルッツまたは4フリップの方が基礎点が高い

A:その通り
何が起こるか見てみよう
でも4トゥループと4サルコウが綺麗に決まったプログラムは非常に高い得点を獲得出来ることを歴史が証明している。
演技構成点や4回転ジャンプの前のステップを考慮すると
こうした要因が然るべく評価されたなら、ベストの羽生をショートで上回るのは困難だ

2018OG_SP6min

<ジン・ボーヤンの演技後>

M:4ルッツの高さは衝撃的だった
僕はこんなに高さのある4ルッツは見たことがない
怪我の後、コンディションを戻してきたね

A:彼も怪我をしていた。羽生ほど重症ではなかったけれど、練習を制限された

M:これまでにTES60点に達したことがあるのは史上2人しかいない。
一人目が誰かはご存じだろう、今日もこの大台を超えた
2人目はフェルナンデスだ

男子もとんでもない試合になってきた

A:途方もない試合だ
4ルッツのリプレイを見よう

M:ここにはプレローテーションは全くない

A:ないね、ここにはない

M:これは本物の4ルッツだ

A:(ルッツ)着氷後のスピードがなかったにもかかわらず3トゥループを付けて回転し切った
これは4トゥループの踏切だ

M:彼は4トゥループの前に何をしている?

A:何もしていない(笑)
ゼロだ

スリーターンとちょっとしたチェンジエッジ
でもこれらはステップではない

M:スリーターンとチェンジエッジは「振付要素」になると思う?

A:僕はならないと思う

M:だってもしそうなら、ほとんどのフリップは前にスリーターンが入っている

A:僕は振付要素ではないと思う
僕の意見ではこのジャンプはステップから跳んでいない

ジャンプの前にささやかに何かはしているけれど・・・これは宇野昌磨より酷い
宇野昌磨の場合は(ステップが)ごく僅かでジャンプからも遠かった

M:彼はモホークをスリーターンの3秒前に入れている。
測っていたけれどスリーターンから2秒以上は離れていた。

A:その前に何かはしているけれど
でもジン・ボーヤンの場合は簡単に言うとゼロだった

M:こうしたことは羽生とフェルナンデスを不利にしている

A:そうだね。4サルコウの前にフェルナンデスがやっていることも僅かだけれど

M:でも彼らよりは多い

A:彼らより少し多く、何よりもジャンプにより近い
つまり彼らと同じようなことをよりジャンプの直前にやっている
間違いなく最も複雑なことをやっているのは羽生だ
疑う余地はない

だから本来ならGOEでもっと差が開くべきだ

僕がショートでは羽生が無敵だと見なしている理由はそこなんだ。
特にこうした要因が厳格にジャッジングされた場合にはね
しかしながら4回転ジャンプでは(ソロジャンプ前のステップについて)多かれ少なかれ酷いケースに対して適切な評価が下されていない。

M:(ジン・ボーヤンは)中国の国内記録を粉砕した
103.32点

4人の選手が金メダル争いをする
日本人2人、中国人1人、スペイン人1人

A:ジンと宇野は接戦だね

M:彼らはジュニア時代からの宿命のライバルだ
彼らのライバル物語の最後の章はジン・ボーヤンが勝利した先日の四大陸選手権だった

 

<試合後>

M:視聴者からの質問だ
「羽生のフリーはどうなるのでしょう?リスクを冒して4ループを跳ぶと思いますか?」

A:ノーだ

M:つまり君はクワド3本、4S2本、4T2本、そして3A2本だと予想するんだね
これはフェルナンデスの構成と同じだ

A:そしてジャンプの質と演技構成点とショートで築いた点差で勝負する
僕はこれが正しい戦略だと思う

M:でも君は羽生の気性を考えて、彼が4ループを断念すると思う?
でもきっと誰かが彼を説得するだろう

A:僕達は彼が公式練習で4ループを決めているのを見た
そしてランスル―で4S2本、4T2本の構成も見た

M:これも議論の余地のある構成だ

A:ものすごく議論の余地があるね
3アクセルのクオリティを考えても、4サルコウと4トゥループと比較した3アクセルの成功率を考慮しても

今日は(4サルコウと4トゥループを)神々しく決めたけれど

M:最終的に羽生はフェルナンデスに対して4点差を付けた

A:大きな点差ではない

M:宇野昌磨とは7点半差

A:7点になると点差は重くなり始める
でもフリーでは宇野昌磨の方がフェルナンデスより危険になる可能性があるから注意した方がいい

M:羽生にとってショート首位に立つことはこの大会で非常に重要な鍵だった

A:彼は試合の主導権を握り、後に続く選手達に大きなプレッシャーをかけた。
特にネイサン・チェンはこのプレッシャーに上手く対処することが出来なかった
コリヤダも苦戦した
羽生の直後に滑った2人は彼に圧倒されてしまった
111点の後に滑るのは簡単なことではない
いやほぼ112点だ

2018OG_MsnSP

M:明日のフリーは打ち上げ花火のような試合になるだろう
注意して欲しい
羽生はオリンピック二連覇を果たし、更なる伝説を作るかもしれない

A:本当に途方もないことだ
歴史に不急のページをもう1ページ書き足すことになる
今でも既に史上最も偉大な選手の一人、いやおそらくあらゆる時代を超えて最も偉大な選手だろう

M:その戦歴によってではなく、勿論、戦歴も輝かしいものだけれど、彼が氷上で何を実現出来るかによって

A:どんな風に実施するか

M:量ではなく、勿論、彼は量でも傑出しているけれど、彼が特別なのはとりわけその「質」なのだ
今日、そのことがはっきり証明された

A:GOEで差を付けた
彼はショートで4T-3 Tのコンボも難しい入り方から跳び、セカンド3Tを手まで上げて跳ぶ選手だ

バックカウンターからの3アクセルはサイエンスファンタジーのようなジャンプだ

M:それでは明日
羽生結弦が再びオリンピックチャンピオンになるか見よう!

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☆ポッドキャストもそうなのですが、マッシミリアーノさんとアンジェロさん、何だか羽生君の参謀みたい

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