イタリア解説EuroSport版「平昌2018男子SP~6分間練習」

最終グループ直前の6分間練習から 2018OG_SP6min2

 

実況:マッシミリアーノ・アンベージ(M)
解説:アンジェロ・ドルフィーニ(A)

 

M:(このグループでは)僕達は恐るべき高難度構成に挑戦するスケーター達を見ることになるだろう。
全員がクワド2本を跳ぶつもりでリンクに降りる。ショートでこれ以上のクワドを入れることは出来ない

A:現時点では不可能だね

M:この6人の中ではコリヤダが最も安定感に欠けている。つまりクワドを安定して決めることが出来ていない

羽生やフェルナンデスといった人々に紹介は不要だろう。
この4年間、世界タイトルはこの2人が分け合ってきた。フェルナンデスが2回、羽生が2回。いずれの場合も勝敗を決めたのはフリープログラムで、ショートで大きく出遅れた方がフリーで大逆転するパターンだった

A:確かにそうだね
後を追う方の選手がフリーで途方もないプログラムを引き出して、大差からの逆転優勝を決めた
様々なドラマがあったね
何より羽生とフェルナンデスは互いにとてもリスペクトし合っていて友人でもある

 

M:視聴者からコリヤダに関する非常に興味深い質問が入った

「これほど優秀なコーチ陣が付いていながら、(団体戦で)こんな戦略ミスを犯すことが考えられますか?」

団体戦のショートではパトリックのミスでチャンスだったのだから、コリヤダが4ルッツを回避して4Tと3Lzの構成でまとめていれば、団体金メダルが可能だったのに、4ルッツに挑んで自爆し、金メダルのチャンスをドブに捨てたと、ロシアではバッシングの嵐だったらしいです

A:試合の戦略については・・・僕達が今しているように、テレビを見ながら卓上で議論するのはたやすい。

でも試合中にリアルタイムで戦略を決定するのは非常に困難だ。特にフィギュアスケートのようなスポーツでは

今回の団体戦についてだけれど、自分の選手に6分間練習から本番までの間に、あのジャンプじゃなくてこっちをやれと指示するのは難しい

普通は事前に戦略を立て、本番ではその構成で行く
確かに、少し難度を下げることは出来るかもしれないけれど、僕なら正直、一度試合のプランを立てたら、予定通りの構成で行かせると思う。

確かに団体戦は個人戦とは違うし、敢えて言わせてもらうと新しい試みだ。
だから今後、状況に合わせて戦略を変えられるよう、コーチ達は複数の戦略を用意するようになるかもしれない。

しかし、コリヤダのコーチ陣がいくら優秀でも、まだ団体戦というものに慣れていない。
それにこの団体戦はオリンピックにしかないから4年に1度の行事だ

M:国別対抗戦は別物だからね

A:だから僕が思うに彼のコーチ陣の読みが甘かったのは、団体戦への経験不足が原因だと思う。

フィギュアスケートは試合中に戦略を変更するという競技ではない。
大会前に構成を決めて、本番はその構成で行く。これが事実だ。でも特殊なケースでは戦略を試合中に見直す必要があるかもしれないと言うのも確かだ

M:僕達はコリヤダには安定感が欠けていると言った。彼はノーミスの演技が出来れば105点に達する選手だ。

一方、今シーズン、確固たる安定感を見せているのが宇野昌磨だ。
ここまで安定してショートで100点を超えている。彼にもまだノーミスの演技はないけれど、ショートで最もミスが少ない選手だろう

フリーはまだ別の話になる

A:確かに最も安定している選手だね。
今から滑る選手達は全員、ショートのパーソナルベストで100点を超えている。
1番低いのがジン・ボーヤンだ(笑)

M:ここにいる全員が今シーズン中、100点を超えている

羽生は世界最高得点を更新し、113点近い得点に達した。

フェルナンデスは107点、宇野昌磨はほぼ105点、チェンは104点以上、コリヤダは103点以上、ジン・ボーヤンは最近の四大陸選手権で100.17点を出した

僕達の前にいるのは男子シングルの最高レベルのエクセレンス達だ

そして彼らの一人は・・・おそらくフィギュアスケート史上最高の選手と見なされている。

羽生結弦のことだ

彼はオリンピックタイトルを勝ち取り、世界タイトルを勝ち取り、グランプリファイナルで数多くの優勝を飾った。
ジュニア時代から獲得可能なありとあらゆるタイトルを総なめにしている。

当然のことながら、2つ目のオリンピック金メダルは彼を冬季競技のオリュンポス(天界)に入場させるだろう。もし、まだ入場していなかったらの話だけれど

A:その通り
彼に欠けているのは四大陸選手権のタイトルだけだ。彼はこの大会とあまり相性が良くないね(笑)。そもそもそんなに何度も出場していない。

欧州選手権に比べるとあまり重要視されていない大会だ。
欧州選手権はずっと歴史が長いし、コンチネンタル選手権としては、四大陸選手権より選手にとってずっと魅力のある、よりアピール力のあるタイトルだ。
四大陸選手権はビッグの多くが回避するし、多くの国であまり重要ではない大会と見なされている。

M:僕達はさっき基礎点について長々と話したけれど、GOEについても話そうじゃないか。
なぜなら実際に勝敗を分けるのはこのGOEだからだ
PCSよりGOEの方が点差の鍵になる

A:GOEについては明らかに頭一つ抜けている選手がいる
歴代最高得点を更新した男、羽生だ。

彼がベストの演技をした時、彼が氷上で披露するクオリティは他の選手達を超越している

勿論、他の選手達の中にも特定のエレメントで高いGOEを獲得出来る選手はいる。
例えばジン・ボーヤンの4ルッツがそうだ。
国際大会で綺麗に決めたことはたった1度しかないけれど、コリヤダの4ルッツもそうだろう。

でも全体的に見た時に、羽生結弦が氷上に持ち込むクオリティは他を超越している。
だからこそ、僕はショートでは依然、彼が一番強いと思っている。
勿論、試合全体では議論が変わるから、何が起こるか見ていこう。
いずれにしても、ショートプログラムは非常に重要だ。

M:思い出して欲しいけれど、前回のオリンピックではショートの勝者が最終的な勝者になった。

A:今シーズンはネイサン・チェンが多くの試合でそうだったね

 

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☆6分間練習が終わりに近づくにつれて、お2人の声から明らかに緊張がMaxに達していくのが伝わってきて、私もただでさえ緊張していたのに、ショート直前はもう心臓が飛び出しそうでした!
でもこの表情を見て大丈夫なんじゃないかと思いました。

明らかにゾーンに入っている

2018OG_6minYH

ネイサン選手は予定を変更して4ルッツを跳び、自爆してアンジェロさんに手厳しくダメ出しされていましたが、他の選手達がはっきり言って羽生君のミス待ちだったのに対し、ネイサン選手だけはおそらく本気で金メダルを獲りに行ったのではないかと思います(おそらく自国メディアからの金メダル期待値も羽生君の次に高かったのでしょう)。
日本のメディアが大好きな「タラレバ」をすると(羽生君を含む選手全員がショートもフリーもノーミスだったと想定した場合)、金メダルは羽生君で変わらないとして(ただしトータルスコアの歴代最高得点も更新)、羽生君の得点に一番近づくことが出来たのはネイサン選手だったわけで、今回は挑戦の結果が凶と出たけれど、彼はとても賢い選手で、将来のビジョンも明確に持っていそうなので、今後が楽しみではあります(もしかしたらスパッとやめてお医者さんになっちゃうかもしれないけれど)

平昌男子の記事がひと段落したので、次はメドザギを訳したいと思います。

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