イタリア解説EuroSport「2014埼玉WC~羽生結弦SP+負けないで織田君!」

過去の映像から
埼玉ワールド繫がりで未翻訳だった2014年ワールドのSP「パリの散歩道」の実況解説です。

実況:マッシミリアーノ・アンベージ(M)
解説:アンジェロ・ドルフィーニ(A)(国際テクニカルスペシャリスト)

Elena Cさんの動画です。いつもありがとう!
Grazie Elena!

M:ヴェルネルは彼のキャリアを有終の美で飾ろうとしている。
そして羽生結弦は今シーズンを有終の美で飾ることに挑戦する

A:ハハハ

M:彼がまだ持っていない唯一の金メダルでね
いずれにしても日本男子が世界選手権で優勝したのはこれまでに1度だけだ

A:高橋大輔だね

M:オリンピック直後の世界選手権だった

M:羽生がグランプリファイナルの宇宙的レベルと、それよりは少し宇宙度が劣るオリンピックのレベルをここでも証明することが出来るか見てみよう
勿論、オリンピックにおける彼のショートプログラムは「完璧」に到達した。

A:特にこのショートプログラム、ゲイリー・ムーアのこの曲、「パリの散歩道」は羽生に世界最高得点を何度ももたらした。

A:4トゥループ、転倒した!

A:3アクセル、これは見事だった
まだコンビネーションが残っている

A:3ルッツ⋯3トゥループ
これも素晴らしかった

A:冒頭のクワドの転倒は残念だった!
でも、それでも彼が首位に立つだろう

M:そうだね
軸が曲がって救うことが出来なかった。
彼は救おうとして、着氷からそれほど遠くなかったけれど(笑)
つまり現時点でTES50.08、転倒の減点を引いて49点になる
当然、羽生は演技構成点で町田樹に対してアドバンテージがあるけれど、どれだけアドバンテージがあるか見なければならない

A:確かに、転倒してもTES50というのは驚異的だよね(笑)
これはTES55に値するプログラムだから当然だけれど
転倒の減点を含めて何点失ったと思う?
-3に減点、4~5点かな?

M:えええ???(TESが)46.88に下がった!
つまりどういう意味?

A:回転が足りなかったのかな?

M:クワドがUR?
こうなると状況は一転する

A:そうだね・・・

M:僕達は町田の演技が何らかの形で羽生にプレッシャーを与えるかもしれないと話していたけれど、実際にそうなった。
安易な考察かもしれないけれど
つまり彼は大差を挽回しなければならなくなった

A:フリーで挽回しなければならない。
勿論、フリーでも彼には基礎点でアドバンテージがあるけれど、今シーズン、素晴らしい出来のフリーを滑ったのは1回?2回?

M:そうだね。全日本とグランプリファイナル
パリでも冒頭の転倒以外は良かった

A:実際、4サルコウは頻繁に転倒する

M:でも彼にはそれが許される。2本の内1本のクワドの転倒は許容範囲なんだ。
そして2本の3アクセルが後半だ。

A:その通り
だから転倒しても4回転を回り切ることが重要なんだ

(4Tのスロー映像)

A:これを見てみよう。
回転不足と判定されたのはこのジャンプだろうから
・・・僕には回転不足には見えない・・・

M:僕もそう思う

A:僕には完全に回り切っているように見える

M:疑わしい判定だ
でも回転不足判定にされるとすればこのジャンプだよね
アクセルについては考慮したくもない

A:ハハハ

M:あり得ないだろう
頼むよ!

A:(笑)アクセルは考えられない

M:当然、コンビネーションも何の問題もなかった

A:当然だ

M:念のために見てみよう(笑)

A:あり得ない、完全にクリーン
セカンドジャンプも見よう
これも何の問題もない

あのトゥループは超スロー映像で見なければならないけれど、僕には絶対回り切っているように見える。
仮に少し足りなかったとしても余裕で1/4未満か・・・
いや、明らかに回転不足ではなかった(笑)

M:オリンピックで彼が出場した2つの試合、つまり2本のショートプログラムの演技構成点は45.43と46.61だった。
今回は転倒があったから、もしかしたら少し下がるかもしれない
ただし本来なら、転倒に連動して演技構成点が下落すべきではないけれど。
44~45点は持ち帰れる?

いずれにしても町田に大差を開けられることになる。
でも得点を待とう

A:つまり、技術点の差より少し少ない点差が開くことになる。

M:それに転倒の減点があるから技術点は実質45.74になる。
つまり技術点で7点差

A:90点ぐらいだろう
91.24点
大差を挽回しなければならなくなった。

M:勿論。フリーでは町田に比べて3回転ジャンプが1本多い。
町田は4トゥループを2本繰り返すから、7トリプルだ
彼は2種類の4回転ジャンプを跳ぶから8トリプルを跳ぶことが出来る。
(逆転は)難しいことには違いないけれど、不可能ではない
頼んだよ!
フリーの実況中に詳しく説明するけれど

A:その通り

(番組ラストの映像)

M:今日は残念だった羽生結弦
リンクメイトのハビエル・フェルナンデスに敗れ、3位に甘んじることになった。
彼もここに映っている紳士(ブライアン・オーサー)に師事している。
彼はそのキャリアにおいて五輪金メダル以外の全てのタイトルを獲得した。
そして五輪金メダルはコーチとして勝ち取った。
甘酸っぱい役回りだったと言える。
何故ならカナダから金メダルを奪ったからだ
カナダは様々な理由によりまだ男子シングルで五輪金メダルを獲ったことがない。

A:ないね。
本当にカナダの呪いだね。
世界選手権の金メダルはたくさん獲得しているのに、五輪金メダルがゼロというのは驚異的だ。

M:今、そのハビエル・フェルナンデスが映っている。
今日は96.42点までハードルを上げ、ヨーロッパの歴代最高得点を更新した。

A:羽生は町田には勿論、フェルナンデスも大差を付けられたから遠くから追わなければならない。

M:確かにそうだけれど、彼にはフリーでトリプルジャンプが1本余分にあることを忘れてはならない。
トリプル1本の差は大きい

A:確かに
基礎点で4~5点の差がある

M:実際にはもっとだ。
彼が2本の3アクセルを後半に跳ぶことを考慮すると
だから、ポテンシャルという点において、羽生はまだ町田とフェルナンデスを追い抜く得点を握っている。しかし、当然のことながらオリンピックのようなミスは許されない。

A:そこがポイントだ
出来るだけハイレベルなベストな演技をしなければならない。
オリンピックでは僕の記憶に間違いがなければ、フリー178点だった

 

男子SPダイジェストより~羽生結弦

Elena Cさんの動画です

☆宗教的な静けさで(沈黙して)見ようということで演技中は無言

A:何といえばいいのか・・・勿論、ちょっと残念だったけれど
彼はショートプログラムで100点を超えられる選手だから
でも4回転ジャンプで転倒し、しかも回転不足と判定された
これによって、彼は大差で追いかけると言うやっかいなポジションに置かれてしまった。

M:疑惑の判定だよ
僕達は何度も見返したけれど、実質この試合で採用されている基準に反する判定だ。

A:確かに、僕達は困惑させられた
確かにあのトゥループはギリギリだったかもしれないけれど、厳し目に見ても許容範囲の1/4以内だった

M:でも別の意味では僕は満足している。
何故なら、これでどの国でもホームの選手は有利に採点されるという意見を以降聞かずに済むからだ。
これは非常に馬鹿げた、うんざりさせられる議論だ

A:ハハハ
僕はもっと別の観点から議論すべきだと思うけどね
これについては、ホームじゃなくても有利に判定されている別のケースで掘り下げよう(笑)

勿論、多少のホームアドバンテージは理解出来るけれど、
僕達が強調している問題は別のことだ。どんな風に結果が構築されるのか。

つまり僕達がしばしば批判しているのは個々の要素に対する評価だ。
今回のこのケースのように。

これ(4T)を見てみよう
このトゥループ、僕達はこれ以上スローに出来ないけれど、でもエッジは完全に後ろ向きで着氷しているように見える。

でも織田が完璧に着氷した4トゥループを覚えている?しかも日本で
NHK杯のショートだった。
僕が思うに、あれはこれ以上に復讐を叫ぶべき判定だった(笑)

M:ホームの選手に対してだよ
これを忘れてはならない

A:そう、ホームの選手に対して

M:事実を言えば、彼もこの判定に納得していなかった

A:そして、調子を狂わされた。
可哀そうに・・・この判定は彼のキャリアとシーズンに影響を与えた。

M:羽生に関しては、まだ金メダル争いの圏内にいる。
ポテンシャルという点において、彼は他の選手達より多くの得点を握っている
勿論、ミスは許されない

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☆この大会における羽生君の4Tに対するUR判定は、2013年NHK杯の織田君の4T-3Tに対するUR判定と共に不可解判定の例としてしばしば言及されています。

織田君の4T-3Tに対するUR判定はマッシミリアーノさん曰く「今でも時々関係者の間で取り沙汰される、史上最も不可解な疑惑の判定」だそうで、アンジェロさんは別の大会の実況中に「この判定は間接的に織田のキャリアに影響を与えることになった。五輪代表に選出されず、結果的に引退する羽目になった」と言っています。

世界中のファンを激怒させたオータムにおける羽生君のUR判定は、あまり重要でないB級大会での出来事で、最終結果にも影響を与えなかったのが不幸中の幸いでした。

でも織田君の場合、重要な五輪シーズンのグランプリ大会で起こったのです。
このUR判定で失った得点が、日本スケート連盟が定める五輪代表の選考基準であるパーソナルベストと世界ランキングに影響を及ぼしたのは明らかです。

そして今朝、織田君のブログを読み、大きなショックを受けています。
底抜けに明るい笑顔がトレードマークの織田君が、その笑顔の裏で実はこれほど悩み苦しんでいたなんて・・・

家庭があり、今後も日本のスケート界で仕事をしていかなければならない織田君にとって、典型的な「長い物には巻かれよ」「お上に逆らわない」体質の日本の大学に対して声を上げることが、どれほど覚悟のいる決断だったのか

織田君はあらゆる意味において日本のフィギュアスケート界に貢献してきた方であり、日本スケート界の未来にとって、そして選手を目指す若きスケーターや子供達にとってなくてはならない存在だと私は思います。

彼の勇気ある告発が不当にもみ消されたり、うやむやにされたりしないことを、そして関西大学が誠意を持って対応・調査してくれることを心から願っています。

マッシミリアーノさんにお願いしてツイッターで織田君のブログを共有してもらいました。

織田君の叫びが、メッセージが、世界中の一人でも多くのスケート関係者、スケートファンに届きますように・・・

負けないで織田君!!!

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