イタリア解説EuroSport版「2016マルセイユGPF~羽生結弦SP(ダイジェスト版)」

男子ショート上位3選手の演技を紹介したダイジェストより
羽生結弦選手のショートプログラムの演技解説です

2016GPF_SP2

☆Elena Cさんが動画を上げてくれました!いつもありがとう!
Grazie Elena!!

 

実況:マッシミリアーノ・アンベージ
解説:アンジェロ・ドルフィーニ

 

(演技前)

マ:それではこの羽生の演技を見てみよう

NHK杯でもいい演技だったが4ループで明らかなステップアウトがあった。

彼のプログラムの中で最も価値の高いエレメントだ。

ア:今回もベストの出来ではなかったけれど、NHK杯より良かった。

どんな風に決めたか見てみよう

プリンスの弾けた曲。かつてないほどのハマりプロだ

(演技中)

マ:多くの者が彼にこういうリズムには合わないと考えていたけれど、皆がその意見を撤回までにそんなに時間はかからなかった。

ア:それにジャンルは違うけれど、ブルースが彼にオリンピック金メダルをもたらしたことを忘れてはならない

マ:史上初めて100点越えをしたショートプログラムだった

ア:いずれにしてもどこか共通するところがある

4ループだ

軸が外れているけれど、僕達の前にいるのは規格外の選手だ

それで?何をしたと思う?(笑)

マ:笑っている

ア:そう、笑ったんだ

ア:恐るべきコンビネーション

4サルコウ/3トゥループ

この非常に高難度のジャンプをいとも自然に着氷した

他の詳細も見ていくと、例えばフェルナンデスは高い位置でフライングする彼より得点の低いスピンだ。

つまり彼はスピンでもコンプリートな選手だ

取りこぼしがどこにもない(笑)

ここに注目して欲しい

バックカウンターからの3アクセル

今回、彼の3アクセルに+1、チャンの3アクセルに+2を付けたジャッジがいた

マ:これはものすご~く議論の余地のある採点だ。ものすごくね

ア:プログラム後半にこの3アクセルだよ

彼の次元を分かってもらうためにあえて言わせてもらうけれど

マ:後で今朝のランスルーで彼が何をしたのか話すよ

ア:拍手喝さいに値するステップシークエンス

ほとんどのジャッジが満点の+3を付けた。それにフリーでは中々取れないレベル4だった

バックに映っている多くの日本人の観客が確信をもって拍手している

ここにいるのは本物の規格外の選手だ

(演技終了)

マ:それで午前中のランスルーで何が起こったかというと、(フリーの)2本目の4サルコウがパンクしてダブルになった。それで天才は何をしたのか?

プログラム開始からほぼ4分経ったのコレオシークエンスの後、4サルコウでこのコレオシークエンスを締めくくった。

4分後にだよ

ア:3ルッツの代わりにね

マ:それも驚異的なほど完璧に決めた

ア:NHK杯ではスペクタクルに決まったジャンプだ

マ:これが何を意味しているのか

おそらくこれが彼の来シーズンのプランなんだろう

だって彼は健康ならこのエレメンツを何でもないほど簡単に跳ぶことが出来る

だからその前にもっと難しい何かを発案するんだろう

でも彼にそうさせようとする者がどこにいるって言うんだ!!!

ア:それが問題なんだ。

ここでは羽生とオーサーがショートで起こったことについて話しているけれど

いずれにしても今シーズンのこのプログラムでは最も4ループの出来がいいバージョンだった。

非常に難しいプログラムだ

オーサーは幾つかインタビューで言っている

羽生は現在、今シーズンをこの非常に難しいエレメンツを含むプログラムを場数を踏んで足に覚えさせるために当てようとしている。究極の競技構成をね

僕達はさっき話していたんだけれど、現時点では彼は4トゥループと4サルコウのショートプログラムの方が高い得点を持ち帰ることが出来る。疑問の余地はない

マ:勿論だ

ア:勿論、綺麗に着氷すればだけれど。でも彼には出来ることだ

マ:4トゥループはもはや彼がほとんど練習していないジャンプだ

ア:(笑)基礎点がやや低いから気に食わないんだろう(爆笑)

恐ろしい

彼が考慮しなければならないのはジャンプの種類だけではなく、サルコウとトゥループをトップの状態で決めた時のクオリティだ。先シーズンはこれで力の均衡を破って他の選手を圧倒した。

マ:プルシェンコの意見は正しいんだろう。彼はおそらくフィギュアスケートを熟知している。

1年半前、彼はこう言った

「君達は羽生のことを何も分かっていない」

何故ならプルシェンコは彼と一緒にショーツアーを回って交流していたからだ

「彼は次のオリンピックで4種類のクワドを披露するだろう」と言った。

確かにプルシェンコは羽生と長い時間一緒に練習していた、オーサー無しで・・・

つまりどういうことかと言うと、オーサーがいないと羽生はやりたい放題だ

だから彼は羽生がサルコウ、トゥループ、ループ、ルッツをやる気だと確信したんだろう。

ルッツは練習中だけれど

ア:他のジャンプはもう制作中だし

マ:何でもないジャンプだ

ア:途方もないよ

可能性の限界まで見せるプログラム

まあ4種類の4回転ジャンプを彼より前に披露した選手はいるけれど

マ:プルシェンコは当時、控え目にもう1種類のクワドを準備したいと発言をしていた。

なぜならもし現役に復帰するなら競争力のある選手でいるための唯一の方法だからだ

でもそれは不十分だ

ア:もはや不十分になったね

マ:勿論、彼はブラーヴォだけど

プルシェンコの不運はヤグディンとの対決の後、真剣なライバルが存在しなかったことだ。

『真剣』というには適切な表現じゃないね。つまり真のライバルという意味だ

ア:彼を刺激して、技術的に向上させることが出来る選手という意味だね

マ:つまり彼に4回転ジャンプを跳ぶよう掻き立て、限界に挑戦させるライバル

彼は(4回転ジャンプを増やすことに)チャレンジすることも出来たし、それを可能にする技術もあったけれど、当時は必要なかったから彼はその技術を使わなかった。

彼に訊けは今でもこのことに言及する。

ほとんど悲痛な表情でね

彼にとっては今のこの4回転時代で競技して、彼(羽生)のような選手に負ける方が幸せだったのかもしれない。

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マッシミリアーノさんとアンジェロさんの羽生結弦分析、相変わらず熱いですね

確かに昨シーズン、フリーとショート合わせて2種類(TS5本のクワドで獲得した330.43点(SPTES61.81FSTES120.92)という得点は今回フリーで最も基礎点の高いルッツとフリップを含む34本のクワドをクリーンに決めたネイサン選手ですら技術点だけでも近づきさえしません。
だから、昨シーズンの構成を維持して、クオリティと安定性を高めた方が確実に勝てるのかもしれませんが、そうしないのが羽生結弦。

そしてお二人もそのことをよく分かっている。
だからジェットコースター展開の羽生劇場に翻弄され、とんでもない暴れ馬だと半分あきれながらも、そんなヤンチャな羽生君を愛し、応援しているんだと思います。

ハビエルは昨シーズンの構成を維持してクオリティを高める戦略を取りましたが、今回のGPFの結果を見ると、平昌に向けて羽生君の選択は正しかったんだと改めて思いました。

完成したら一体どんなプログラムになるのか
惑星ハニューどころか四次元に行ってしまいそう

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