イタリア解説EuroSport版「2017ロステレコム杯~羽生結弦FS」

日曜日に録画放送された男子フリー上位4選手の演技から
羽生結弦選手の演技の解説です。

エレナさんの動画です。Grazie Elena!

実況:マッシミリアーノ・アンベージ(M)
解説:アンジェロ・ドルフィーニ(A)

 

M:羽生結弦はこのロステレコム杯でシニア初のグランプリ大会優勝を飾った

ファイナルは別にして、羽生結弦は第6戦、つまり最終戦以外のグランプリ大会で優勝したことがない(笑)

彼のこのモスクワ大会での目的はGPS初戦優勝のタブーを解くことだった
さて、彼はこの目的を達成したでしょうか?

 

M:まず彼が最初のエレメントで何を発案したか見て行こう
彼が最初から最後まで書き換えているこの競技の歴史にまたしても新たなページを加えることになった技だ。

既に見たことのあるプログラムだ

A:2シーズン前の聴き慣れた音楽

今シーズンのユヅルの最初のエレメントは4ルッツだ

A:4ルッツ!(笑)

着氷して堪えた。
どうやったのかは分からない
彼にしか出来ない芸当だ

それにしても飛行が永遠に続きそうだった
もう降りてこないかと思った

全く、この選手が実施出来ることは驚異的だ

でもこのジャンプで膨大な量のエネルギーを消耗したから、次のジャンプでその代償を払うことになる。

ループは軸が曲がって、これ以上ないくらいまずい踏切になってしまった。

M:トリプルは奇跡?

A:そうだね、こんな離れ業をやってのけるのは彼だけだ
3フリップ、彼のプログラムでは平凡なジャンプになる

M:3フリップの入り方について力説していいかな?

A:確かに、この入り方が3フリップを平凡じゃないジャンプにしている
後半でも幾つか完璧じゃないエレメントがあった

この4サルコウも膝を深く屈曲した離れ技で堪えた。でもこうしたジャンプ救済には当然、膨大なエネルギーを要する。

彼の一番大きなミスは最初のトゥループが4回転ではなくダブルになってしまったことだ。
でも彼は実質プログラムの終盤に4トゥループ/3トゥループでリカバリーした

それからイーグル、3アクセル/2トゥループ

でも彼が既にかなり疲れているのが見て取れる

もうプログラムの最後だ

そして最後のジャンプは?

3アクセル

M:でもこの3アクセルの着氷は完璧じゃなかった。
もしそうじゃなければ、彼は後に何か付けただろう。手持ちのカードを全部使い切るために

A:多分、トリプルをね

M;おそらく、これで優勝を逃した

A:アクセルは最初の方をコンボにしたからREPにはならないけれど、得点源のコンビネーションがなかった

彼は4トゥループ/ループ/3サルコウを跳ぶつもりだったからね

彼は2トゥループを付けたコンボを跳んだけれど、得点的には大きな損失だった

(演技終了)

A:そしていつものように100点を大きく超えるTESを持ち帰り、君がいうようにまたしても歴史を塗り替えた。

試合で4種類目の4回転ジャンプ、4ルッツを成功させてね

M:この偉業を達成した4人目の選手だ

既に5種類決めているネイサン・チェン、4種類を成功させたジュニアのアメリカ選手、ヴィンセント・ゾウ、宇野昌磨に続いてね

 

A:いずれにしてもユヅルの4ルッツは衝撃的だった

超自然的な飛距離

今からリプレイで見るけれど

M:羽生のシーズン序盤のスタンダートに比べると通年よりかなり進んでいる

A:これは技術点100点を超えるミスター・フリープログラムだ

重いミスが幾つもあったにも関わらず
終盤、きつそうだったことでも分かるようにコンディションはまだベストではないけれど

M:今からプログダムのハイライトを見よう

勿論、4ルッツだ

練習ではもっと綺麗に決まっていた

この膝技は織田バネだ

A:日本人以外の選手でこんな着氷が出来る選手を僕は見たことがない

ここでも膝を深く曲げて踏切のまずかった3ループを救った

当然、彼は4ループを跳びたかったわけだけれど
先シーズンからユヅルのプログラムに入っているジャンプだ

M:でもこの大会では4ループに苦戦したね
練習では決まっていたのに

A:しかも綺麗にね

M:試合ではショートでは最小限のダメージで抑えたけれど、フリーではこのエレメントで大量の点を取りこぼした

4ループは12点、3ループは5.1点からだからね

ほとんど7点近い、勝敗を分ける点差だ

A:ここではユヅル比でベストな着地じゃなかった4トゥループに3トゥループを付けることが出来る彼の能力を見ることが出来る

M:羽生のショートプログラムはフリーに比べてトランジションがずっと豊かだと言うけれど、このフリーはスタート時点で既にアドバンテージがある。

現段階で既にかなり複雑に構築されている。

 

A:議論の余地はない
驚異的な数の4回転ジャンプを跳ぶから、あくまでもユヅル比でトランジションがそれほど複雑じゃないけれど、でもこれは彼の戦略だろう。ユヅルは難度を最大限まで引き上げる選択肢を取ったから、当然、トランジションについては、彼のような選手に可能なMaxに比べると、ほんの少しだけお皿に残したかもしれない。

ショートについては・・・僕ならほんの少しだけ難度を下げた戦略を採用する

M:説明してよ

A:もし彼がショートプログラムの構成を後半に4トゥループ/3トゥループのコンビネーションと3アクセル、冒頭に前後をイーグルで挟んだ4サルコウにすれば、トランジションが非常に豊富で、音楽に合わせて完全に構築された並外れた振付のプログラムを滑ることが出来る

出来栄え点で得点が大きく左右するから、4ルッツや4フリップを跳ぶ選手も彼に手が届かない。

M:僕の考えを言っていい?
ショートに4ルッツを入れてくると思う

A:OK、僕の理論との兼ね合いでね(爆笑)

M:彼の気性なんだ

A:明らかだね

M:彼は他の選手よりまず自分自身と闘っている

勿論、他の選手に負けるのも嫌だけれど
でも、彼がこの4回転ジャンプ、4ルッツを入れられると自覚していたら、この道を歩むと思う

M:195.92点、合計は290点以上

この大会以前には290点以上の得点をグランプリ初戦で出した選手はいなかった

A:つまり優勝を持ち帰れる得点だった

 

<その他の印象的な話>

★羽生君の4ルッツの滞空時間について

ネイサンと羽生君の4ルッツの衝撃的な比較映像があるそうなのですが、それを見ると、同時に離氷して、羽生君の方が肉眼で見て分かるほど明らかにネイサン選手より遅れて着氷しているのだそうです!

★ネイサン選手の3A/2Tのザヤックについて

これはうっかり跳び過ぎてしまった訳ではなく、ネイサンの冷静かつ賢明な判断だったと
あそこでコンボにしなければ、3アクセルはREPになって。膨大な基礎点を失ったけれど、2T<を付けたおかげで2T<の損失だけで済んだ。
でも、先々シーズンまでのルールだとコンボ全体が無効になってしまったので、選手に有利に改正された現行ルールだからこそ可能だったリカバリー
(2014/2015年シーズンにこの旧ルールのせいで羽生君とパトリックのショートプログラムのコンボが0点になってしまった衝撃は未だに忘れられない)

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4ルッツには文字通り度肝を抜かれました!
何て美しいジャンプ!
羽生君のジャンプは世界一美しいと色々なところで言われているけれど、4ルッツは彼のジャンプの中でも1番美しいのでは!!!

彼の3ルッツも飛距離のある、ふんわりジャンプで美しかったけれど、4回転になると滞空時間が!!!
でも高跳びタイプのネイサン選手と違って、着地をコントロールするのが難しそうですね

マッシミリアーノさん説によれば、ショートに4ルッツの可能性もあるってことでしょうか・・・
マッシミリアーノさんの的中率は半端ないし・・
でも、羽生君のショートプログラムのソロジャンプはイーグルサンドがデフォルトだから、
あのカッ跳び
4ルッツをイーグルでサンドするとか、ちょっと想像できない・・・

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