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イタリア解説EuroSport版「2018バンクーバーGPF~紀平梨花FS+」

女子フリーより
6
分間練習、アリーナと梨花ちゃんのフリーの実況解説から印象的な部分を抜粋します。

 

実況:マッシミリアーノ・アンベージ(M
解説:アンジェロ・ドルフィーニ(A

 

<試合前+6分間練習より>

M:ジュニアもシニアもこのグランプリファイナルで最も興味深い注目すべき試合は多くの理由により女子シングルだ。
シニアでは日本の紀平梨花とロシアの五輪女王アリーナ・ザギトワの宇宙レベルの一騎打ちが見られる。
ショートプログラムで前菜を味わったが、フリーはもっとすごい戦いになるだろう

 A:その通り
得点を見て欲しい
紀平は80点を大きく超えている
ザギトワも80点からそれほど遠くない得点

M: 女子選手全員が多かれ少なかれ予定通りにエレメントを実施することが出来た。
宮原知子だけが3ルッツの着氷が乱れてセカンドジャンプがつけられず、3ループに2Tを付けてリカバリーしたが、このミスで大きく出遅れ、現在6位だ。

トゥクタミシェワは3アクセルでミスがあった。回転は足りているように見えたが、コントロールパネルは回転不足と判定した。少し厳しい判定だが許容範囲だ。

紀平梨花はついにショートプログラムでも3アクセルを成功させた。
この選手が3アクセルを成功させたら、ほぼ太刀打ち不可能になる。

先シーズンのザギトワがそうだった。
彼女は基礎点でライバル達を上回り、彼女が全てを成功させたら、他の選手達は彼女の後を追うしかなかった。
でも今、3アクセルを持つ選手を前に、彼女の方が追う立場になった。
3アクセルは女子シングルの勢力図を完全に覆すことが出来るエレメントだ。

A: ショートでは(3アクセルのない選手には)2アクセルが義務付けられているから大きな点差になる。
フリーでは紀平は3アクセルを2本跳ぶ。こうなると基礎点の差は更に大きくなる
確かに3アクセル2本のプログラムは非常にリスクが高い
でも今シーズンのここまでの大会を見ると、紀平は3アクセル以外のエレメントでも進化している。
だからこの部分で非常にリスクの高い2つのエレメントをカバーすることが出来る。

彼女の3アクセルは非常に成功率が高いけれど、それに加えて他のエレメントでも確実に得点を持ち帰ることが出来る。
だから対抗するのは非常に困難な相手だ。
確かにこれまでザギトワは演技構成点で皆をリードしてきた。
でも注意して欲しい、ショートではこの点においても興味深いことが起こった

 M:(演技構成点は)ほぼ同点だった
ザギトワの方が少し高かったけれど、
でもロシアの選手が有利になるほどの点差ではなかった

 

<アリーナ・ザギトワ演技後>

A:間違いなく幾つもハイライトがあるプログラムだったが、君の言う通り、多くのパッセージで硬さが見られた。

M:詳しく分析してみよう。
先シーズンは彼女の強みであったスピンについて
勿論、悪い出来ではなかったけれど、スピードとクオリティが少し足りなかった

A:特に後者だ

M:つまり柔軟性が少し低下したという印象を受ける
いずれにしても全てレベル4を持ち帰れるスピンだ。
でもベストだった時に比べて多くのジャンプでGOEが下がっている
最初の2アクセルを始め、多くのジャンプの着氷が危うかった
そして3トゥループが1本ないのは痛い失点だ。

つまり、ザギトワにとってベストな演技ではなかった。
だから全ては紀平の手に委ねられる。
でもこうなると、紀平にはプログラム難度を少し下げるという選択肢もある。

A:僕ならそうする。正直に言うけれど
難度を下げたプログラムとはどういう意味か
3アクセル、そして2A/3トゥループだ

M:フランス大会の時のようにね

A:彼女にはショートの点差もある
4~5点リードしている
勿論、最初の3A-3Tが上手く着氷出来たら、2本目の3Aに挑戦することも出来る
それに絶好調なら回避する理由はない
でも、僕ならBプランも考慮に入れる

M:それに幾つかの点においてザギトワは演技構成点でもナンバーワンだ
でも演技構成点の全ての項目ではない、注意して欲しい。
例えばスケーティングスキルでは客観的に見て、彼女より優れている選手は何人もいる
でもトランジションについては、正直シニアで彼女を上回れる選手はいない
でもシニアに限定するけれど

A:ジュニアでもトランジションで彼女に並べる選手を探すのは難しい

M:ベストのコスタルナヤは彼女を上回っている

A:そうかもしれない。
いずれにしても総括的に見て、ザギトワのフィギュアスケートは女子シングルでトップレベルだ。
非常に複雑で巧みに構築された振付、彼女は既によく演じている。エレメント間の手や身体の動きも非常に豊かだ。

 

 

<紀平梨花FS

M:今大会の最も重要な瞬間がやってきた。
今シーズンがシニアデビュー
グランプリ大会で二勝し、ファイナル優勝も持ち帰れるかもしれない

 

A:ノー~~~!!!!!!スタートは最悪だ
この3アクセルはきっとダウングレードだろう

A3アクセル-2トゥループ
何と言う勇気だ!!

A3ルッツ/3トゥループ
猛スピードから実施した

A3サルコウ!
プログラムの1番最後に

M:だから技術点は80点。
そこから(3アクセルDGの)3.5点を引くから技術点はトゥクタミシェワとほぼ同点
ザギトワを上回っている
演技構成点ではザギトワが少し上回るかもしれないけれど、ショートの点差を埋めることは出来ない。

彼女が非常に緊張しているのが分かった。
失敗した3アクセルではなく、3ループで彼女の緊張が分かった。

A:その通り、3本目のジャンプだった。
彼女は2本目の3アクセルを執念で引き出した
これは多大な敬意に値する

M:技術点が78.50点に下がったけれど、これは想定内だ

A:おそらくこれが最終的な技術点になるだろう。
他に疑わしいエレメントはなかった

3ルッツ/3トゥループが2本目の3アクセルと共に、今日の彼女のプログラムのハイライトだろう

M:一見綺麗に着氷したけれど、注意して見たらいつもほどのクオリティではないことが分かるあの3ループの後、彼女は緊張から解き放たれ、そこからは全てが簡単になった。

A:(1本目の3アクセルは)これは足に来るタイプのミスだ
彼女の得意技で踏み切りに失敗した

これは2本目のアクセル
ここでは本当にチャンピオンの心臓でこのジャンプを引き出した
1本目のミスの後、これほど自信を持って2本目のアクセルに挑むことは簡単なことではない

この3ルッツは素晴らしかった
この猛スピードから3トゥループとのコンビネーションで完璧に実施した。

いずれにしても彼女は一流だ
平均を遥かに上回るクオリティを持つスケーターだ

M:こういう特性を持つスケーターに進化していったんだ

ノービス時代は、スケーティングのクオリティと言う点においてそれほど優れていた訳ではなかったが、その後、スケーティングの滑らかさが飛躍的に向上していった。

そして今シーズ、何が加わったのか?

メンタルだ

A:重要なことだ
メンタルはスポーツにおいてオプショナルではない、必要不可欠な要素だ。

 

M:つまり、おそらく紀平が日本に優勝をもたらすだろう
日本にとっては2013年以来だ

A:技術点78点、転倒と判断されても77
演技構成点で678点が必要だが、僕は70点前後の点が出ると思う。

A:坂本は68点だった。紀平が何点を獲得するか見てみよう

72点だ!

M:つまり、演技構成点でもザギトワを捉えた

A72.40点、フリーは150点だ

M:ショート、フリー共に1位の完全優勝だ

4シーズン続いていたロシアの天下がストップし、表彰台の1番高い場所が日本に戻ってきた。
日本の最後の優勝者は2013年福岡大会の浅田真央だった

今大会、ベストなザギトワなら勝利のチャンスはあったが、ベストのザギトワではなかった

A:傑出した紀平梨花の前に屈した。
いずれにしても2つのプログラムで2本の3アクセルを成功させ、その他のジャンプでも際立ったクオリティを見せた

確かに最初の3アクセルで大きなミスがあったけれど、ザギトワの3ルッツ/シングルトゥループのミスと重度においてほぼ同等のミスだった

M:つまり233点を超える得点
これまでにザギトワとメドヴェデワ以外しか到達したことのない大台だ

 

<試合の総括部分>

M:得点の詳細を見ていこう
ザギトワは演技構成点の合計では一位だったけれど、全ての項目においてではない。
当然のことながら紀平はSkating Skillsでザギトワを上回っている
正しい評価だ

A:僕はむしろ点差が少な過ぎるんじゃないかと思う(爆笑)

M:確かに。僕も同感だ

Transitionsではザギトワが上だ。この評価にも僕達は賛成だ
Performanceは君に任せる

APerformanceを評価するのは難しい
実際、全く同じ得点を獲得した

M:振付(Composition)ではザギトワが紀平を上回ったけれど、僕の意見ではもっといい選手がいた。この項目においては宮原が圧倒的に優れている

Interpretationでは紀平の方が少し優れていると思う
だからジャッジの評価は納得だ

技術的なミスに関係なく、今大会の演技構成点における宮原への過小評価ぶりはスキャンダルだった。

A:彼女の技術的問題についてはいつも僕達が言っていることだけれど、演技構成点に関しては

M:おそらく紀平とザギトワより優れているだろう

A:幾つかの項目では確かにそうだ。全ての項目ではない
だから彼女も紀平やザギトワ同様72点に相応しかったが、そうはいかなかった。

 

M: 最終的に紀平が優勝を手にした。
(僅差で優勝を争う相手が先に滑ってミスをするという)状況的に宇野昌磨と似たような立場だったが、彼女はミスの後、すぐに立て直す能力を見せた。残りのエレメントを全て成功させて非常に価値のあるこの優勝を日本に持ち帰った

 

リザルト>>

プロトコル>>

 

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☆梨花ちゃん、ファイナル優勝おめでとう!!!

梨花ちゃんは2年前のジュニア1年目から注目していますが、生来の驚異的な才能と身体能力に加え、今シーズンはメンタル面の成長が素晴らしい。
シニアデビューのファイナル初出場で、マスコミに優勝優勝と騒がれ、しかも最終滑走であの演技が出来るなんて、昨シーズンまでの梨花ちゃんからは考えられませんでした。

フランス大会でもそうでしたが、ミスの後、演技をしながら咄嗟に最善のリカバリーを判断して冷静に実施する能力には驚愕させられます。

羽生君がこの点についてあまりにも優れているというか異次元なので、鬼リカバリーに慣れてしまっていますが、地球の選手にとっては非常にハードルの高い難しいことです。

例えば、坂本花織ちゃんは後半の2A-3Tで着氷を堪えた後、無理に2Tを付けずに次の3Fを三連にしていれば転倒せずに済んだとアンジェロさん達が何度も指摘していました。
でも滑りながら咄嗟に正しい判断して構成を変更するのは想像以上に難しいことなのでしょう。

ミスの原因を仔細に分析して改善策を見出し、次の大会で確実にそれを実行する自己分析能力と適応能力の高さにも驚かされます。まだ16歳なのに!

次は全日本、連戦になりますが、是非3アクセルを3本決めて欲しいです!

 

今大会は梨花ちゃんを全力で応援していましたが、アリーナもとても好きな選手です。
五輪女王として注目され、凄まじいプレッシャーの中で、どの大会でもハイレベルな演技を続けているのは凄いことです。

五輪金メダルの後、後半ジャンプ固め打ちの戦略に議論が巻き起こり、ISUが嫌がらせのように後半ジャンプのルールを変更しても、メドちゃんの移籍騒動で外野が騒がしかった時も、余計な発言を一切せず、黙って自分のフィギュアスケートで誰がナンバーワンかを証明しようとする姿勢は素晴らしいと思いますし、インタビュー等から伺える彼女の聡明で謙虚な人柄も好きです。この若さにしてオリンピックチャンピオンの品格が備わった選手だと私は思います。

Rai Sportのショートプログラムの実況でファブリツィオさんがこのように言っていました。

「僕は彼女をここで、このようなコンディションで見ることが出来ることにスーパー満足している。オリンピック金メダルの後、ミラノ世界選手権でボロボロだった彼女を見て、残念だけれど、誰もがこれまでそうであったとように非常に若くしてオリンピック金メダルを手に入れたこの少女もまた競技を去っていくのだろうと予想した。でも彼女はここにいて、金メダルが偶然ではなかったことを証明するために戦っている」

全くその通りだと思います。
埼玉でも是非、梨花ちゃんと宇宙レベルの頂点争いを繰り広げて欲しいです。

 

そして女帝リーザ
試合の度に構成を上げ、毎回ほぼノーミスの演技!
アクセルは惜しかったけれど、3Lz-3Tは試合の度にどんどん安定してクオリティが高くなっています!そして3Fも戻ってきてついに8トリプル+2A2本の構成に!
是非、この勢いのままロシアナショナルで世界選手権代表の座を勝ち取ってもらいたい
でも今の調子を維持すれば大丈夫そう
メドちゃんの調子が未知数なのでロシアの3枠目は分からなくなってきました。

 

ジュニア女子の戦いも凄かったです。
個人的によりコンプリートなアリョーナ・コストルナヤが優勝して嬉しい(マッシミリアーノさんは断然コストルナヤ推し)

来シーズンはこのメンバーがシニアに上がって来ます😱😱😱

Published by Nymphea

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち