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イタリア解説EuroSport版「2019欧州選手権男子FS~サマリン+ハビ+コリヤダ」

サマリン、ハビ、コリヤダのフリーの実況解説から
印象的なコメントを抜粋します。

実況:マッシミリアーノ・アンベージ(M)
解説:アンジェロ・ドルフィーニ(A)(テクニカルスペシャリスト)

<アレクサンドル・サマリン>
M:練習では彼は絶好調だった。
ただ僕の意見ではショートでは、おそらく最終順位を左右する致命的な戦略ミスを犯した。
彼が最も安定しているクワドジャンパーだが、ジャンプ以外の部分に限界がある

(演技終了)

A:サマリンはガッツポーズをしているけれど、実際にはそんなにクリーンな演技ではなかった。

M:現時点のTESはダニエル・グラッセルの演技終了直後のTESより2点ほど高い。
でもダニエルのTESはそこから下がっていった。
冒頭のルッツの回転は大丈夫だと思う。
今この瞬間、国際大会における4ルッツの成功率が最も高い選手だ。だからこの点において、サマリンは安定感を習得した。
フリーはショートに比べて賢明な戦略だった。つまり2本目のクワドをトゥループにした。

A:ショートでもそうするべきだった。
でも彼は4フリップに挑戦し、回転が抜けて3回転になり両足着氷だったからGOEで減点された。
もし彼が最初から3フリップにしていたら、もっと高い得点を持ち帰ることが出来たはずだ。

M:サマリンが質の高い3アクセルを安定して跳べるようになったのは大きい。
これが彼のターニングポイントになった。
サマリンのPCSはこれよりやや出来の悪いフリーで83点に達したことがある。
つまり各項目で平均8点だ
ルッツは回りきっていると思う

A:勿論だ。
でも多くのジャンプの着氷はクリーンじゃなかったし、流れもなかった。
それに僕は3フリップのエッジも見直したい。

M:振付においては長々と議論しなければならない。
良くなった点から話そう。
以前に比べると、スピンが改善され、レベルの取りこぼしが少なくなった。
これは上位に食い込むためにとても重要なことだ。

A:ステップシークエンスもそこそこ改善され、レベル3が取れるようになった。
でも、弱点もある。
プログラムを通して、ほとんどずっと両足滑走だし、僕の見方では表現力も乏しい。

M:君の意見は正しいけれど、ここ2年間というもの、ずっと両足滑走なのに91~93点のPCSをもらっているスケーターを僕達は見ている。
勿論、サマリンに比べると姿勢もスケーティングの質も別レベルのスケーターだけれど。
でも現在の傾向では、ジャッジはサマリンがやっていることを評価しているみたいだから。
僕達がこの傾向に賛成か反対かと訊かれたら、勿論反対だけれど、ジャッジと戦うわけにもいかないし。
だから、これまでにPCSで83点に達したサマリンは、今日は85点を持ち帰るだろう。

A:・・・・ノーコメントだ(笑)
僕は10点低い得点が妥当だと思う。

M:88.24点だ。ほとんどの項目で9点台

A:・・・僕の中では辻褄が合わない得点だ。

<ハビエル・フェルナンデス>

M:ハビエル・フェルナンデスは当然のことながら、ショートの後、かなり批判的だった。彼はロシアの選手達を逆転するつもりだ。
なぜ批判的だったのか?
それは4サルコウで議論の余地のある回転不足判定を受けたからだ。
彼の4サルコウが回転不足なら、他の選手達は全員ショートプログラムの2つのジャンプを回転不足にされなければならない。

いずれにしても彼は7つ目のタイトルを狙いに行く。
彼にとって今シーズン最初の、そして最後の試合だ。

A:2本目の3アクセル
非常にナチュラルに決めて見せた。
何というクオリティだ
3ループもクリーン
しかもほとんど準備のない、完璧に振付の一部になっているジャンプだ。

M:現時点で技術点は88点
サマリンとほぼ同点だ。
サマリンの爆盛された演技構成点によって、フェルナンデスのPCSも引き上げられるだろう。
つまりサマリンが88点なら、フェルナンデスは95点だ。これは動かしがたい
彼はコンプリートパッケージだ

A:(88点と95点でも)正直少なすぎる点差だ。

M:そうだけれど、女子でも同じことが起こった。
ブレジノワに与えられたPCS55 点はその後に滑った選手達の得点を引き上げた。
なぜならこの得点が基準になるからだ。

A:いずれにしても僕の意見ではサマリンは過大評価だった。
技術点が下がった。
2回転になったフリップは明らかにDGだったから、そこで点を失ったのだろう。

M:現時点でフェルナンデスのTESはサマリンより3点低いから、彼を上回るにはPCS91 点が必要だが、彼がこの得点を獲得出来ないということはあり得ない。
ただし、TESがこれ以上大幅に下がったらだめだ。
フェルナンデスのジャンプでレビューが必要なものはあった?
でもショートの4サルコウの例があるから

A:僕にはショートの4サルコウも非常にクリーンなジャンプに見えたけれど(笑)
今日の冒頭の2本のクワドは素晴らしい出来だった。
4T-3Tのコンビネーションで少しマイナスが付いたけれど、4Tのクオリティは素晴らしかった。

M:素晴らしいクオリティで、回転も完璧
議論の余地はない
でもコリヤダに扉は開かれた。
ただし、ショートの時のようなベストのコリヤダが必要だ。

A:技術点がこれ以上下がらなければ、サマリンは確実に上回る
サマリンのPCSが88点ならフェルナンデスは最低でも95点だ。

<ミハエル・コリヤダ>

M:ショートは極上の演技で首位に立った。
おそらくコリヤダ史上最高の演技だった。
安定感は彼の強みではないが、優勝出来る得点は握っている。

A:ショートの点差を考えると、少し難度を下げて手堅くまとめるという選択肢も可能だ。

(演技後)

A:ほとんど困惑させられるような壊滅的な演技だった。
ただし、このようなシナリオを見るのは残念ながら初めてではない。
それに手を負傷したように見える。

M:イタリアにとっては重要な瞬間だ
確かにショートの後、マッテオ・リッツォとコリヤダは20点差だったけれど

A:その点差は(フリーの)TESの差で完全に無くなった。

M:フリーのTESの点差からショートの点差を引くと7点、そこに転倒の減点を足して10点

A:今のルールだと転倒の減点は合計4点だ

M:コリヤダはPCS90点を獲得したことがあるけれど、もし今日90点が出たら、僕達は番組を閉鎖して、フィギュアスケートの解説はやめよう。
なぜならスキャンダルだからだ。

つまり・・・マッテオ・リッツォのメダルが濃厚だ。
10位から3位に追い上げた。

一つ確実なことはフェルナンデスが7つ目の欧州タイトルを持ち帰り、有終の美を飾るということだ。
これを上回る記録を探すにはカール・シェーファーが8連覇を成し遂げた30年代まで遡らなければならない。
サマリンが2位だ。
コリヤダがこの技術点でマッテオ・リッツォを上回れるとは思えない。

A:フェルナンデスはもう喜んでいいだろう。
もう一人の伝説の選手、プルシェンコに並ぶ7つ目のタイトルを獲得し、彼も伝説になった。

M:こうなると2位のサマリンにはショートの戦略ミスが悔やまれるだろうね。
ショートで4フリップに挑戦したのは自殺行為だった。
4トゥループにしていたら優勝だった。

A:3フリップを綺麗に決めていても優勝だった。

M:いずれにしてもロシアの選手はカルメンと相性が良くないようだね

A:不幸をもたらす曲だ(笑)
ザギトワも大惨事だったけれど、コリヤダはもっと酷かった。

M:コリヤダに比べたらザギトワの演技は傑作と言えるだろう
これは困惑させられる演技だった。
演技構成点が何点出るか分からないけれど、もうマッテオ・リッツォがメダルと発表してもいいだろう。
ここはミンスクで、ほとんどロシアだから何が起こるか分からないけれど(笑)

A:でも本当に悲惨な演技だったから・・・他に適切な形容詞が思い浮かばない

M:マッテオ・リッツォより下だ!
しかもかなりの点差で
つまりマッテオ・リッツォが欧州選手権のメダルを持ち帰る!
信じられないよ!
10位から3位だ

プロトコル>>

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フリーの滑走順がハビ→コリヤダ(最終滑走)だった時点で(コリヤダが最終滑走でノーミスの演技が出来るとは思えなかったので)、ハビの優勝は堅いと思っていましたが、サマリンのPCSが88点も出たのでちょっと心配になりました。

でもサマリン→ハビと続けて見ると、ジャンプとスケーティングのクオリティも所作の美しさもプログラムの密度と完成度もあまりにも違い過ぎてほとんど別のスポーツ。
ハビの「ラ・マンチャの男」にはストーリーがあり、1本のショートフィルムを見ているようで感動しました。

マッシミリアーノさんがサマリンのPCSが88点ならフェルナンデスは最低でも95点と言っていましたが、ライブで試合を見ていたイタリアのスケートファン(全員ハビとコリヤダを応援していました)は、サマリンが88点ならユヅルのフリープログラムは最初の2分だけで150点に値するとコメントしていましたw
確かにサマリンのフリーのトランジションを全部かき集めても、Originの最初の1分間のトランジションより少ないかも

イタリアンボーイズが大躍進!
まさかマッテオ君が銅メダルとは!
16歳のダニエル・グラッスル君も初出場で6位と大健闘。
今後が楽しみな選手です。

ちなみにダニエル君のコーチのロレンツォ・マグリ氏は2012年全日本の羽生君の演技を見て「羽生結弦はやがて国際スケート連盟に男子シングルのルール改正を余儀なくさせるだろう。何故ならこの少年には限界がない。一体どこまで到達出来るのか、僕には全く想像も出来ない」と平昌後のルール改正を予言した方です。
その後、羽生君があまりにも異次元なので「Junior」「Senior」の上に「Hanyu」という別のカテゴリーを作るべきとも言っていましたw

ハビが優勝して本当によかった!
おめでとうハビ!
そして本当にお疲れ様でした!

また羽生君とアイスショーで一緒に滑る姿を楽しみにしています。

Published by Nymphea

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち