イタリア解説Rai Sport版「2012ニース世界選手権~羽生結弦FS」

過去の映像から
今でも鮮烈に記憶に残っている「ニースの奇跡」
ニコ動で既に翻訳されていたと思いますが、自分用に

Elena Cさんの動画です。いつも貴重な映像をありがとう!
Grazie Elena!♥

実況:アリアンナ・セコンディーニ(A)
解説:フランカ・ビアンコ―ニ(F)(国際ジャッジ、コーチ)
ゲスト:アンドレア・ブオンジョバンニ(B)ガゼッタ・デッロ・スポルト記者

A:画家の方がここ、ニースのエキスポジション・パラスで男子の試合の感動をずっと絵に描いています。
エキスポジション・パラスのリンクが羽生結弦を迎えます。

先ほど、フランカがこの日本人選手について巧いことを言っていました。
男子シングルの勢力図にどう猛に切り込もうとしていると。

そして彼女は正しいです。

男子シングルには今日、ここに出場する高橋大輔や小塚崇彦といった素晴らしい表現者達が既にいますが、この羽生結弦は若干16歳だというのに個性があります。

B:彼は今シーズンの真のニュースですね。

A:その通りです。そうでしょう?
彼はロミオとジュリエットを選びました。

F:完璧な4回転ジャンプ

F:イーグルからの巨大な3アクセル

F:3フリップ

F:3ルッツ、堪えましたが2トゥループを付けました

F:ノー!!!ステップで転ぶなんて・・・あり得ないわ!

A:観客の凄まじい声援を聞いて
彼を励ましています

F:問題はここから2本目の3アクセルの助走に入るということよ
おそらく

A:そうね

F:思った通りだわ
でも彼は3アクセルを入れて3トゥループまで付けたわ!(笑)
これは本物の才能です!

F:3ルッツ、2トゥループ、さらにもう1本2トゥループ

F:3ループ

F:さあ、最後のステップシークエンスで暴れまわる力が残っているでしょうか?

F:まだ1本ジャンプが残っています
F:サルコウ、やったわ!!!

A:実質、プログラムの最後で

A:途方もないわ!

F/A:ファンタスティコ!

A:見て、何という眼光で演技を締めくくったか見て下さい!
フリーの演技の最後でまるで「オレはここにいるぞ」と言っているような眼差し
これだけ素晴らしいジャンプを全て決めたことを考えると、ステップの転倒が
惜しかったのはこれだけですね。そうでしょう?

F:いえ・・・ああ・・・

A:途方もないわ・・・

F:私は衝撃を受けています・・・
これは常軌を逸した才能です・・・
本当に信じられないことです
彼は全てを出し切りました。最後の一滴まで全て出し切ったと思います。
もはや何も残っていません

A:彼は全てを出して攻めると言っていました

F:もう何も残っていない。本当に全てを出し尽くしました

A:泣いているのかしら?

F:多分そうね。

A:ええ、泣いているのよ
感動的です・・・私達も全員感動しています。
このような形で世界選手権デビューを果たして
フィギュアスケートが国民的なスポーツである国で
見て下さい

F:大勢の日本人がいます

A:並外れています・・・羽生結弦の涙は私達全員にとって感動的です
何故なら彼が何を成し遂げたのかという感覚を私達に与えてくれるからです。
彼は一体何を成し遂げたのか!
アンドレア、彼は本当に新星だったわね

B:本当に途方もなかった。
センセーショナルだった。
全て考慮すると・・・まだ経験も浅く年齢も若いというのにプログラムを最初から最後まで演じ切る能力・・・

A:コーチも感動しているわ

F:コーチも感動しているわね(笑)

A:ごめんなさいアンドレア
続けて頂戴

B:いや、僕が付け加えることは何もないよ
だって正直、彼がやり遂げたことは驚異的だし、とりわけどのようにやり遂げたかが驚異的だ

(リプレイ)

A:フランカ、私達に再び見せて下さい

F:見て下さい。まずこの少年の膝と柔軟性は本当に素晴らしいです。
このイーグルからの3アクセルの飛距離を見て下さい!
途轍もない・・・本当に途轍もない

非常に高速なスピン
それに、どんな状況でもコントロールを取り戻す能力
そう、ここ(転倒)はコントロールを失った唯一の瞬間だったけれど、彼はすぐに挽回しました。

A:残念だったわ・・・

F:それに見て下さい。
彼独自の特徴として、時として完全にリラックスしているように見えます。まるで全身の筋肉が完全に緩んでいるように・・・
それからバン!まるで猫のように全ての力と反応を発揮するのです

A:それに柔軟性も見て下さい!本当に

こうしている間にサミュエル・コンテスティ(イタリア)がリンクに出ていきましたが、サミュエルにとって羽生結弦のこのように並外れた演技の後に滑ることは簡単なことではないでしょう。

でも私達は得点を待ちましょう
羽生結弦のシーズンベストは166.49ですが、間違いなくずっと高い得点が出るでしょう。


ここでは彼の幸せと歓喜の涙が全て見られます。
ようやく緊張から解き放たれたようです。まるで「僕は冷静でいようと努めていた」と言っているように

(得点発表)
A:驚異的な得点です!

F:驚異的です

A:173.99点
見て下さい!本当に凄い得点です
技術点は91.99点です

F:彼は信じられないようです

A:コンポーネンツは83点
トータル251.06点
本当に素晴らしい結果です
断トツで首位に立ちました

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☆私が羽生君の演技の中で最も多く視聴したのは断トツでこのニースのロミオだと思います。
しかも、日本語、英語、イタリア語は勿論、中国語からベルギー版フランス語、オランダ語、スウェーデン語に至るまで存在するありとあらゆる海外解説を網羅しました(翻訳して字幕を付けて下さる方には本当に大感謝です!)。

中でもRai Sportチャンネルのこのマンマ版は永久保存版の名解説!
前年の四大陸選手権でジャッジをしていたフランカさんは当時、羽生君の類稀な才能に驚愕し、アリアンナさんに「このユヅル・ハニューという子に注目していて!必ず凄いことになるから」と言ったそうです。
そして、その1年後、予想の遥か右斜め上を行く羽生君の覚醒に立ち会ったフランカさんの純粋な感動と驚愕が解説から伝わってきます。

この頃の彼は粗削りで、トランジションはそれほど豊かではなく、動作も今ほど洗練されていませんが、彼の演技の特徴である、まるでこれが人生最後の演技のように命を削って滑っているような刹那的な激しさ、剥き出しの魂の叫びに心を揺さぶられます。
そして何年も経った今もこの演技を見るたびにあの時と変わらない体が震えるほどの感動を覚えるのです。

私は全シーズンに羽生君を知り、将来必ずオリンピックチャンピオンになると確信していましたが、当時はパトリック無双で、羽生君はシニアに上がりたてでまだとても若かったので、さすがに次の五輪(ソチ)には間に合わないと思っていました。でもこのロミオの演技を見て、ひょっとしたらひょっとするかも思ったのです。

そして翌シーズン、グランプリ初戦でいきなり当時のショートプログラム歴代最高得点を叩き出した「パリの散歩道」を見た時、この期待は確信に変わりました。

このロミオから2年後、羽生結弦はオリンピックチャンピオンになり、それ以降、限界知らずの革新者としてこの競技を進化させ続けています。

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