イタリア解説RaiSport版「2018ロステレコム杯~羽生結弦SP」

~彼は氷上の純粋な芸術~

マンマ解説でお馴染みのRai Sportチャンネルの実況解説です
最近、マテオ・リッツォ君のキスクラでよく見かけるフランカさんが久々に解説

☆Elena Cさんの動画です。いつもありがとう!
Grazie Elena!💛

実況:アリアンナ・セコンディーニ(A)
解説:フランカ・ビアンコ―ニ(F)

☆ファンとかプーの話など、演技にあまり関係ない分は要約または省略しています

A:さあ、準備はいいですか?
羽生結弦の登場です。
アリーナ中が彼を待っていました。既にグランプリ大会で一勝目を挙げています。
今シーズンは彼のアイドルである2人の偉大なスケーター、ジョニー・ウィアーとジェーニャ・プルシェンコに捧げる2つのプログラムを選びました。
これから見るショートプログラム「Otonal」はジョニー・ウィアーが2006年トリノ五輪で演じた曲です。

F: 4サルコウ!素晴らしい

F: バックカウンターからの3アクセル
彼の必殺技。何て美しい!

F: 4トゥループ/3トゥループ
どんな風にこのジャンプを救ったか!!!
驚異的な能力!
しかもアウトエッジイーグルを付けて、何か特別なもののように装飾した。

(演技終了)

A/F: マンマ・ミーア・・・・

A: 圧巻だったわ

A/F: マンマ・ミーア・・・・

A: 皆さん、このプログラムはファンタスティコです
本当に信じられない・・・
目から涙が流れてきます
なぜならこれは「芸術」だからです
技術的なことを超えて、彼はもはや氷上の純粋な芸術なのです。

F:彼がこんな風に滑る時、
無数のウィニー・ザ・プーが飛び交っていますが(笑)
・・・彼がこんな風に滑る時、まさに氷上を飛翔しているようです。
全てを何の苦労もなく行っているように見える。まるで全てが簡単なことのように
彼は全てをそんな風に見せてしまうのです。
彼が行っているエレメントは簡単どころか、全くその逆なのですが

彼は2本の4回転ジャンプを跳んでいます。どちらも素晴らしく美しかった

A:何てプログラム
メ・ラ・ヴィ・リ・オー・ゾ(素晴らしい)

A: 見て下さい
彼は試合の時はいつもラッキーアイテムとしてプーを持ち歩いていますから、彼の試合がある時はカート何杯分ものプーがアリーナから運び出されます。
それどころかプーに仮装して会場にやってくるファン達もいるのです。
町でもプーの恰好をした人を見かけますから、彼がやってきたことが分かるのです

F:本当に超越していると言わなければなりません
彼がこんな風に滑ったら・・・本当に恐ろしいです。

A:いつものように彼はリンクから出る前に礼をして氷に感謝しています。
このようなプログラムを見たら、何故彼がオリンピックチャンピオンなのか分かるでしょう
正確には2度のオリンピックチャンピオンです。

F:その通りです
フィンランドでも既にもの凄くブラボーで、97.74点でしたが

☆↑オータムの間違い後で訂正しています

A:当然、世界最高得点でした

F: ここでは本当に・・・
この4サルコウは本当に超常現象のようです。
一糸の乱れもありません。氷の飛沫すらたっていないようです
そしてバックカウンターからこの3アクセルに入ります
何と言う素晴らしさ!
すぐにツイヅルに繋げています。
全く何の力も必要としていないように見えます。

一方、次のコンビネーションは見事でした。
見て下さい、最初の4Tで肩の位置が外側にずれているように見えます。
でも彼は回転しながら空中で軸を立て直し、3トゥループを付けます。セカンドジャンプは最初のジャンプより更に軸がずれていますが、イーグルを付けて着氷を救うのです(笑)
本当に凄い能力です

A:本当に見事でした

F:これは氷上において究極の属性を持つ本当に偉大な選手だけが持ち合わせている能力です。
彼の身体は氷上で彼がやりたいあらゆることを思い通りに実施することが出来るのです。

A:ヘルシンキでの勝利も驚異的でした
まさにあなたがさっき説明した通り軸の回転があまりにも高速で、4回転だと気が付かないほどです。何もない所から唐突に4回転ジャンプが出てきます。
これが彼の驚異的な技巧なのです。
ヘルシンキでは106.69点でした

(得点発表)

A:110.53点!

F:ごめんなさい、私がさっき言ったのはカナダの得点だったわね

A:ファンタスティコな得点

F:マンマ・ミーア!

A:技術点62.44
演技構成点は48.08
演技構成点で彼にライバルはいません。
当然のことながら、本当に当然のことですが、何人かのジャッジは10点を出しました

F:当然です

A:音楽の解釈9.71、パフォーマンス9.71
当然のことながらファン達が泣いています
素晴らしいことです

F:本当に心を持っていかれるプログラムです。

A:私達も演技を見ながら彼女達の同じ状態でした
本当に途方もない感動です。
つまり羽生結弦は何の問題もなくショートプログラムで首位に立ちました

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☆ロステレコム杯の「Otonal」
まさに氷上の芸術でした。

私が現地で試合を観戦するのはこれで4度目です。
バルセロナで驚異の330.43点に立ち会い、マルセイユで殺人兵器並みの破壊力を持つLet’s Go Crazyに心臓を射抜かれ、ヘルシンキで奇跡のような「Hope & Legacy」を目撃しました。
そして、その度にこれ以上の演技を生で見られることはもうないだろう、私は何て幸運なんだろうと幸せと感動を噛み締め、その度にいい意味で予想を裏切られ、更に異次元の演技を見せられるのです。

モスクワのOtonalはフィギュアスケートとかスポーツの域を超えていました。
まさに氷上の総合芸術。
「芸術」という観念を具現化したら「羽生結弦」になるのでしょう。

ジャンプはフランカさんがいうように何の力も入れずに自然に浮き上がっているようでした。
魔法のように美しいスピン
まるで氷上を飛翔しているようなステップシークエンスでは全身に鳥肌が立ち、身体が震えました。
もう形容詞が出尽くしてしまって何と表現したらいいのか分かりません。
まさに「羽生結弦」でした。

素晴らしい演技を、唯一無比の感動をありがとう!
一刻も早く怪我が回復し、リハビリが順調に進みますように
2018年はSP、FS、トータルスコアの世界最高得点を羽生君が保持したままもうすぐ終わります。
2019年に再び素晴らしい演技を、新たな記録を待っています。
今は傷をいやすことだけを考えて下さいね!

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu