プロローグ~総合芸術「羽生結弦」

今日は朝5時半に目覚ましをかけて、プロローグ横浜公演をライブで視聴することが出来ました。

アイスショー開催が発表された瞬間から、今か今かと待ち焦がれ、期待に膨らませていましたが、その期待を遥かに超える素晴らしさでした。

羽生結弦の魔法に掛けられ、彼の世界にいざなわれ、あっという間に90分が過ぎてしまいました。ああ、もっともっとずっと彼の演技を見ていたい・・・

彼のプロ転向発表会見を見た時、これからも進化することを止めないと宣言した彼の力強い言葉が頼もしく、嬉しかったものの、それでも「ああ・・・試合独特の緊張感や興奮、試合の時の阿修羅モードの彼はもう見られなくなるのか」という、何とも言えない寂しい気持ちが少なからずありました。しかし今日、この公演を見て、私のそんな考えが完全に間違っていたことをはっきりと思い知りました。

公式の組織によって予め用意された試合という舞台で、2分半または4分間のプログラムをミスなく滑れるか、得点はどうか?という緊張感とはスケールが違います。

彼はプロ転向初のアイスショーを発案・企画から総合演出まで全てを自ら手掛け、90分のパフォーマンスをたった一人で演じ切るという途方もない離れ業に挑戦し、私達は彼のこの全く常軌を逸した挑戦をリアルタイムでハラハラドキドキしながら見守る歴史の証人だったのですから。

彼の企画力、プロデュース力、発想の豊かさは平昌オリンピック後のコンティニュー・ウィズ・ウィングで既に目の当たりにしていましたが、競技から引退し、晴れてプロスケーターとなった彼が本格的に手掛けたこのプロローグは、その遥か上を行っていました。

これは単なるアイスショーではなく、総合芸術「羽生結弦」なのです。

私は試合の公式練習が大好きでした。アップからクールダウンまで40分間、ひたすら羽生君のスケートを見ていられるからです(しかも練習着!💕)。演技をしていなくても、ただ滑走しているだけでも彼のスケートは目の至福になるのです。

それがこの「プロローグ」では90分間も羽生結弦だけを堪能出来るのです。これほどファンの需要に応える贅沢なエンターテイメントが他にあるでしょうか?

試合さながらの6分間練習のアナウンス、時計の針、アンケートのために観客に配布されたバングル、過去映像の途中から彼が演技を繋ぐロミジュリの演出・・・至るところに彼らしいユニークで気の利いたアイデアが散りばめられ、細部まで行き届いた演出やスムーズな運営から、優秀な人材で結成されたチームが、一丸となって彼とこのショーを舞台裏で支えていることが伝わってきました。

ファイナルファンタジーXの壮大な音楽に乗せたセルフコレオの新プログラムは「クールダウンをずっと見ていたい」というファンの声からヒントを得たそうですが、そこにMIKIKOさんのプロジェクションマッピングを組み合わせるというアイデアが素晴らしい。まさに天才的な閃き!

流麗な滑りと指先まで美しいポージングがプロジェクションマッピングの映像芸術と融合し、独創的で幻想的な夢のような作品を作り上げていました。

そもそもプロ第一歩のアイスショーをいきなりワンマンショーにしようという発想になるところからして既に普通ではないのです。

そしてそれを実現してしまう能力。公演時間が1時間半と発表された時、私はさすがにもっとトークや映像の時間が多いのではないかと思っていました。まさか2日で17プロも滑ってくれるなんて!
このショーをやり遂げるためにどれほど努力し、どれほどのハードなトレーニングを積んだのか(しかも雑誌やテレビの仕事もこなしながら)、きっと想像を絶する数カ月間だったに違いありません。

そして僅か数カ月の準備期間で従来のアイスショーの概念を打ち砕く、革新的で新しい総合芸術を私達に披露してみせたのです。強靭な意志を持ち、努力を惜しまない万能の天才、羽生結弦だから出来たことです。

しかし、このショーは彼にとってまだプロローグ~序章に過ぎないというのです。
それでは、これ先彼は私達に一体何を見せてくれるのでしょうか?

トークの中で羽生君は「自分のスケートはそんなに需要があるのか、とドキドキしている」と謙遜していました。

羽生君、需要があるどころではありませんよ!
横浜のアリーナの立見席まで埋めた観客はあなたのファンのほんの一握りに過ぎません。
抽選に落選してチケットを買えなかったファン、そして私のようにその抽選に参加することすら出来なかったファンが世界中に数えきれないほどいるのです。

どうか健康で、あなたの信じるスケートをいつまでも私達に見せて下さい。
素晴らしいプロローグをありがとう!

Published by Nymphea

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち