Get a site

ポッドキャスト「Kiss&Cry」第1回(その2)

前回の続きです

視聴>>

出演
司会:アレッサンドロ・ジュヌッツィオ
解説:マッシミリアーノ・アンベージ(M)(イタリア・ユロスポ実況/コラムニスト)

M:羽生は練習では2種類のショートプログラムを試している
ループのプログラムとルッツのプログラムだ
更なる高得点を得るために

こんな質問が湧いてくる

彼にこれ以上の高得点が必要なのか?

答えはおそらくノーだろう

でも彼は限界に挑戦することに慣れているアスリートなのだ
他の選手への挑戦というよりも、自分自身への挑戦

そして彼が4回転ジャンプをどのように実施するか、これらのジャンプがどんな風にプログラムに組み込まれているかを評価しなければならない

あまりにも見事にプログラムに溶け込んでいてまるで3回転ジャンプのように見える
そして難しいトランジションから実施されている

僕はロンバルディア杯で宇野昌磨が実施した4回転ジャンプを何度も見返している。
各ジャンプに入るまでにかかる時間とクロスオーバーの数を計って欲しい
フリップ、サルコウ、トゥループ

その後で羽生結弦のジャンプを見て欲しい

その差は巨大だ
巨大なんだ

つまり僕達の前にいるのはフィギュアスケートの、おそらく全ての要素において最高の選手なのだ。
当然、例えばスピンでは彼より優れた選手がいるかもしれない。

ジェーソン・ブラウンだ。

ジェーソン・ブラウンは間違いなくスピンでは最高の選手だし、彼のプログラムにはトランジションが隙間なく詰め込まれている。残念ながら彼には4回転ジャンプを回り切る能力がないから他の選手達のような競争力はないけれど

でも現在、羽生は完璧な総合体だ。議論の余地はない。

彼は7つの要素で+3を獲得するフリープログラムを滑るつもりだ
+3というのはGOE+3という意味ではなく、実質+3点加点という意味だ。要するにGOE+3で実質加点+3が付く要素ということだ。
(GOE+3で実際に加点3点が付くのは4回転ジャンプと3アクセルだけ。3回転ジャンプのGOE+3は実質2.1点の加点。つまり8要素中7つの要素が4回転ジャンプと3アクセルのプログラム)

これは何か驚異的なことだ

勿論、このような構成に挑戦するのは羽生だけではなく、宇野昌磨も同様だし、ネイサン・チェンはGOE満点+3のジャンプ要素を8つ入れるかもしれない。

ただし、羽生が彼らとは別物のクオリティでこの構成を滑るのは明らかだ
彼が思い描くオリンピックでのフリープログラムの構成は

冒頭に4ルッツ、2本目が4ループ、理論的には3フリップは別の3回転ジャンプになるかもしれない。3ルッツとか

まあどうなるか見てみたいが、とりあえずは3フリップ

後半は4S-3Tのコンビネーション
先シーズンは苦戦していたジャンプだけれど、今シーズンは歌いながら(簡単に)跳んでいる。

それから4T/1lo/3S
膨大な得点をもたらすこのエレメントを彼はいとも簡単に実施している

単独で4T

3A-2T

最後に3A

途方もない構成だ。

僕の記憶に間違いなければ基礎点110点のプログラムだ
全ての要素でGOE+3を獲得すれば技術点は140点を超える
つまり僕達が話していることはサイエンスファンタジーなんだ。

勿論、この構成は完成させなければならないし、こんな構成を滑りこなすことは平凡なことではない。

ユヅルは体調があまり良くないと、予定の構成で滑り切ることが困難なことがある。
先週、カナダで行われた初戦ではコンディションがあまり良くなかった。
彼の公式練習を見れば明らかだった。
羽生は通常、練習で多くのジャンプを跳ぶことを躊躇しないし、出来るだけ多くのジャンプを跳ぶ。それが彼の体質なんだ。

でも今回、ランスルーで、曲かけ練習のことだけれど、彼は幾つかのジャンプを回避していた。これは彼にしてはかなり異例なことだ。

なぜなら彼のコンディションが万全ではなかった、と言うより体調に小さな問題があって、だからこそポテンシャルの100%を発揮することが出来なかったのだ。

でも彼はポテンシャル100%ではない状態で、ショートプログラムで約113点が出せる選手だ。

僕にとっては、我々が目の当たりにしているのは全く別次元の選手なのだ。

彼は300年に一人の逸材で、フィギュアスケートを変えた選手だ。議論の余地はない。
彼はまだまだ歴史に重要なページを何ページも書き足すことが出来ると僕は思う。
勿論、ハイレベルなライバル達から刺激を受けて

宇野昌磨は日本の名古屋拠点の選手だけれど、資質のある選手だ。現時点では質より量の選手だけれど。このことについては次の回で詳しく考察するつもりだ。
でも量で差をつけることも出来る。

僕は親愛なる友人、シルヴィア・フォンターナ(元アイスダンス選手、ソチ五輪の解説陣の一人)の素晴らしいフレーズを思い出す。

シルヴィア・フォンターナはソチ五輪の解説中に「フィギュアスケートはジャガイモの数勘定ではない」と発言した。

ジャガイモの数勘定とはどういう意味か?

つまりクオリティを考慮せずに単純に3回転ジャンプ、または4回転ジャンプの数をだけを数えるということだ。

この選手は別の選手が跳ばなかった7トリプルを跳んだから優勝とか
まあ、ソトニコワの場合、クオリティもあったから議論は変わるけれど

つまり、羽生と、宇野昌磨、ネイサン・チェンの違いは何か?

クオリティだ

4回転ジャンプの実施のクオリティ
同じことがパトリック・チャンにも言える
チャンの4回転ジャンプも綺麗に決まった時のクオリティは傑出している。
だから羽生と同じタイプだ。
他の選手達は質において彼らより劣っている。

こうなるとGOEの判定の問題が浮き彫りになってくる。

羽生が綺麗に着氷した4ループは+3だ。議論の余地はない。
ジャンプの前後に彼がしていることを考慮しても

でも他の選手は彼とは比較ならないクオリティのジャンプで+3近い加点を獲得する。
GOEの判定に問題があることが分かる。
現採点システムに関する問題については後ほど詳しく掘り下げる。

羽生の初戦は衝撃だった。
途方もないショートと困難だったフリー。でも彼はショートプログラムで試合をしたし、色々なことを試して反応を見る調整試合だったから、羽生のグランプリがどうなるか見て行こう。
彼は第一戦のロステレコム杯に出場する。

彼の目標はシーズンを完勝で締めくくることだ。

グランプリファイナル優勝

オリンピック二連覇は非常に稀な偉業で、過去にこの偉業を達成したのは一時代前の選手だ。
羽生は彼をよく知っていて、しばしば好んで名前を出している。
この話題についてもいずれ触れて行こう。

そして世界選手権にも出場するか見てみよう。
彼が出場してくれることを願っているけれど
だって世界選手権の開催地はイタリアのミラノなのだから
羽生がいるかいないかで世界選手権は全く格の違う大会になるから、彼の出場を切望するのは当然だろう。

To be continue…

☆本ブログに掲載されている翻訳のあらゆる形式での複製(読み上げによる音声での再現、テキスト動画、印刷物などが含まれますがこれに限定されません)、全文の無断転載、Youtube等の他のメディアでの使用は固くお断り致します。

*************************************

☆ここまでのポイント

  • マッシミリアーノさんは羽生君が生まれた時から既にファンだった(預言者か・・・)
  • シーズン初戦でショートプログラム完璧達成率97.90%(デーヴィス/ホワイト組の記録はソチ五輪ですよね、確か)
  • 羽生君はフリップ以外の5種類のクワドが跳べる(アクセルも数回まぐれで降りたとかではなく、この感じだと結構何回も降りてるってこと???)
  • 羽生結弦は300年に一人の逸材
  • さりげなく、しかし熱烈に「ユヅル、ミラノワールドに来て来て」アピール

Published by Nymphea

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち