ロシア人エキスパートによる男子上位選手のフリープログラム難度分析(その1)

イタリアフォーラムのブルーさんが紹介してくれたロシアのファンによる詳細で専門的なプログラム分析です。

原文はロシア語でMarina Khevkhさんが英訳して下さっています。
イタリア語じゃないし、イタリア関係ないし、明らかに当ブログの趣旨と違うような気もしますが、あまりも熱くマニアックな分析に・・・何という情熱、何と言う愛情!これだけの資料を作成するのに一体どれだけの時間と労力を要したんだろう!と、いたく感動し、思わず訳し始めたのですが・・・
長いので2回に分けることにしました・・・

(ロシア語の原文ではなく英語版から和訳しています)

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2016世界選手権男子シングルトップ選手のフリープログラムの難度分析

 「理想的なフィギュアスケーティングはジャンプ、スピン、ステップ、そして要素間の繋ぎと音楽との完璧な融合である」~羽生結弦

今日はスケーター達のフリープログラムを難度と各要素間のトランジションの多様性という観点から評価し、演技構成点の基本項目Transition/Linking footwork (トランジション/繋ぎのフットワーク)を比較してみようと思う。
ステップシークエンスとコレオシークエンスは独立したプログラム要素なのでここでは評価しない。

それではフリープログラムのPC- TR(多様性、難度、複雑さ、クオリティ)の基準を解析して行こう。

フリープログラムにおける片足スケーティングのトランジション、クロスオーバー、その他の相対関係

上のステップとフットワークの表を見て欲しい


青がクロスオーバー/両足スケーティング、オレンジが片足スケーティング/難しい動き、
グレーが一覧にないその他の動き

 

この図表から、羽生結弦のフリープログラムのトランジションが最も多彩であること、また片足スケーティングのトランジション(スリーターン)が多く、難しいターン(ロッカー4回とカウンター2回)を駆使していることが分かる。

彼は最小限数のクロスオーバーしか入れず、多様性に富んだ様々な繋ぎ要素(ベスティ2回、スプレッドイーグル2回、イナバウアー2回、ピボット、ループ、ハーフアクセル)を伴うステップをふんだんに盛り込んでいる。
トランジションの多様性は非常に良い(very good)

パトリック・チャンはフリープログラムで片足スケーティングのトランジション(スリーターン)をふんだんに入れている。難しいトランジション(ロッカーとカウンター)は2回だけでクロスオーバーの数は少ない。彼はフィギュアスケーティング・トランジションの全ての技(ベスティ、スプレッドイーグル、ランジ2回、スパイラル、ワルツジャンプ、ホップ3回)を使っている。
トランジションの多様性は非常に良い(very good)

この表を見ると、ハビエル・フェルナンデスの「一覧にない要素の繋ぎ」の数が9で結弦とパトリックと比べて繋ぎの多様性に富んでいる印象を受けるかもしれないが、この9個の内、7個はホップ、ワルツ、ウォーリーに過ぎない。だからハビエルが結弦またはパトリックより多様性に富んでいるという意見は正しくない。
ハビエルのプログラムにおけるクロスオーバーと難度の高い片足スケーティングのトランジションの数はパトリックと同レベルだが、ハビエルはステップに両足のトランジションをより多く使っており、別の繋ぎ要素(スプレッドイーグル2回、ランジ2回、バウアー1回)も入れている。
トランジションの多様性は良い(good)

アダム・リッポンミカエル・コリヤダのフリープログラムにおけるトランジションの多様性はほぼ同レベルである(中位より上。良い(good)に近い)。両足スケーティングのトランジション(ステップ)を伴うクロスオーバーがかなり多く、片足ステーティングのトランジションは稀である。二人共、その他の繋ぎ要素はふんだんに入れている(アダムの方が多い)。コリヤダはスパイラル、スプレッドイーグル、バウアー、ベスティ4回。アダムのフリープログラムにはバウアー、スプレッドイーグル、ウォーリー、ループ、ホップ4回が含まれている。

 ボーヤン昌磨は両足スケーティングのトランジションが多く、大部分で繋ぎ要素としてクラスオーバーを伴うステップを使っている。
2人の繋ぎ要素を比較した場合、どちらがフリープログラムにおいて多様性に優れているか判断するのは非常に難しい。
ボーヤンはクロスオーバーがより多く、昌磨は片足スケーティングのトランジションがボーヤンより僅かに多い(昌磨が12回、ボーヤンが9回)。どちらのプログラムも繋ぎ要素においては十分な多様性がある。ボーヤンはランゲ2回、バウアー2回、ピボット、スプレッドイーグル(短い)、ホップ2回。昌磨はバウアー、スプレッドイーグル、ピボット、ループ、ヒッチキック。
両者共、プログラムの多様性は中位(medium)

 

 To be continued…

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 ☆マッシミリアーノさんとアンジェロさんがポッドキャストで羽生君のプログラムのトランジションの豊かさ、ジャンプの入りの難しさ、ステップの多様性について何度も熱く力説していましたが、これは彼らの議論をまさに裏付けするデータですね。
やっぱり羽生君とパトリックのプログラムがトランジションにおいて傑出しているんですね。
素人目にも二人のプログラムはスケーティングの質が異次元で、無駄に扱いでいるところがほとんどないと思っていしたが、こうやってデータで示されると説得力があります。

しかし、このデータを作成した人は一体何者なんでしょうか!
すごいです・・・

この素晴らしいデータを作成して下さったロシアの作者と英訳して下さった翻訳者に心から感謝します。
ありがとう!

Heartfelt thanks to Russian author and translator!:embrace:
сердечное спасибо!

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