凄かった・・・

なんだか毎回これ以外言葉しか出てきませんね(語彙力😅)

ソチの後だったか、イタリアフォーラムのブルーさんがこう言っていました。

ユヅのスケートを(テレビなどで)一度見ると、一生に一度でいいから生で見たいと切望するようになる。そして一度でも生で見たら、満足する?

いいえ、それどころかもっともっとも見たくなってしまって、ヨーロッパで試合がある度にチケット争奪戦に参戦し、何度でも彼を見に行くことになる。

そう、私が最初に彼のスケートを生で見たのは2015年のバルセロナファイナルです。
最初の公式練習で初めて生の羽生結弦を見た時の衝撃は忘れられません(そして私は今も昔も断然黒い子派)。
すぐに彼は特別、だと実感します。黒い練習着を着た彼は、リンクをただ周回しているだけで既に特別でした。まるでクロヒョウにように鋭く敏捷で、同時に白鳥のように軽やかで優雅。
他の誰とも違う、彼だけの滑り、彼だけのジャンプ、彼だけの動き、そして彼だけのカリスマ性・・・見る者の目を釘付けにして離さない、圧倒的な吸引力
そしてあのショパンを見て、あのSEIMEIを見て、驚異的な世界最高得点を更新する瞬間に立ち会ったのです。

ブルーさんの言うように、私もこの一度では満足せず、もっともっと、何度でも彼のスケートを生で見たくなり、マルセイユ、ヘルシンキ、モスクワ、そしてトリノに足を運びました。
でも、コロナ禍が始まって以降、競技者・羽生結弦のスケートを生で見ることは叶わなくなりました。そして彼がプロに転向してからは、世界ツアーでも企画してくれない限り、見に行くのは無理だと思っていました。日本国内の公演では、熾烈な抽選を勝ち抜かねばならず、ギリギリまで行けるかどうか分からない公演のために日本行の飛行機を確保するのはかなりリスクが高いからです。しかし昨年、たまたま帰国した時期にスターズ・オン・アイスをやっていて、幸運にもチケットを得て見に行くことが出来ました。そして、久々に彼の滑りを生で見て、「ああこれがずっと見たかった」と改めて生で見る羽生結弦のスケートの魅力を再認識したのでした。

昨夏に単独公演ツアー「Yuzuru Hanyu ICE STORY 2nd “RE_PRAY” TOUR」のお知らせが発表された時、私は2月の横浜なら(日程的に)行けると思って、すぐに2月の飛行機の便を予約しました(その時点ではまだ2月の日程は決まっていませんでしたから、狙いをつけて2週間半の帰国予定で飛行機を取りました)。しかも年末にノートパソコンが壊れ、保証期間中に早急に日本に帰国して修理しなければならない、という帰国の大義名分も出来ました😂

しかし、大箱で6公演もあるのだから、抽選の当選率はそこまで低くないだろうと考えた私は甘かった。

先行からリセールまで全て落選!一般販売では席種のハードルを下げ、後方立見席や注釈付きを選んだにも拘わらすダメでした・・・
毎回、両日第2希望まで申し込んでいましたから、抽選結果のお知らせメールは4通来ます。毎回毎回4通共「ご用意する事ができませんでした」だとメンタルに来ますよね・・・
イタリアから遠路はるばるやって来たのに、まさか現地で見られないの???😭
でも最後の最後に奇跡が起きて、最終的に両公演見に行けることになりました。

今日の席はスタンドSS、ロングサイド中央の最前列という素晴らしい席でした。

彼がリンクに現れた瞬間から鳥肌が立っていました。
ああ私はここにいて、こんなに近くで彼を見ている・・・
「いつか終わる夢」のスケーティングの美しさ。配信はプロジェクションマッピングを見せるために、上方からのハイアングルが多く、PC画面だと羽生君が小さ過ぎて、ディテールがよく見えないところがありましたが、今回、私の席からは指先、爪先まで本当によく見えました。

鶏と蛇と豚は、前半のあの独特の振付部分がまさに私の座席の真正面でしたから、これまでカメラアングルによって、よく見えなかった振付の隅々まで見ることが出来ました。何というプログラムでしょう!「魔性」の生き物が妖しく美しく舞うプログラム

そしてホープ&レガシー

私がヘルシンキで見たプログラムです。プロジェクションマッピングと融合されたこのホープ&レガシーをどうしても現地で見たいと思っていました。雄大な自然と融合した振付、スケーティング、ジャンプ・・・全てが完璧でした。

メガロヴァニアは、映像で見るよりもっとずっとカッコ良かったです。勿論、配信でもカッコいいプロだと思っていましたが、生で見るともう本当にカッコ良くて(語彙力がなくてもどかしい)息が止まりそうでした。作曲者のトビー・フォックスが埼玉公演を見に来ていたそうで、ニュースレターに「生涯忘れられない体験になりました」と書いていましたが、自分の楽曲が、これほど見事に表現されているのを見たら、作曲家は感激するでしょう。前公演より更に進化しており、今までで最もキレがあり、凄まじいスピードでした。

そして、埼玉公演で最初に見た瞬間から私を虜にした「破滅への使者」は本当に凄まじかったです。
6分間練習からジャンプに余裕があり、コンディションは佐賀より断然良さそうでした。パイプオルガンの重厚な和音と共に着氷された美しい4サルコウ。クワドは全て完璧でした。振付も明らかにブラッシュアップされており、キャラクターが憑依した凄まじい気迫の演技に圧倒されました。私自身、これまでにゲーマーさんの色々な考察を読み、このゲームのキャラクターであるクジャやこのゲームの背景やストーリーに関する知識は、埼玉公演で最初に見た時に比べてかなり付いていました。しかし、彼の「破滅への使者」はそんな知識とか解釈を全て飛び越えて、ダイレクトに私の魂の中に飛び込んできました。そして私の魂は、今も彼に持っていかれたままで戻ってきません。
そしてこれほど異なるプログラムを、アイスストーリーという一つの流れの中で何の違和感なく繋げてしまうのも凄いことだと思います。
彼は昔から憑依型のスケーターと言われています。2時間ほどの時間の中で、全く異なるキャラクターを次々に演じるということは、その度に別のキャラクターが彼に憑依する訳ですから、その意味においても各プログラムで消耗される体力的・感情的エネルギーは想像を絶するものであり、本当に驚異的です。

後半、ピアノバージョンの「いつか終わる夢」
1回の公演でこのプログラムを2度見られる意味
涙が出そうになるほど、切なく、激しく、そして美しいレクイエム。灯篭の演出も配信で見たよりずっと美しく、本当に幻想的でした。
「春よ来い」は、2018-2019年シーズンにエキシビションナンバーとして使用していましたが、私が現地観戦に行ったモスクワのロステレコム杯では、フリー直前の怪我ために生で見ることが叶いませんでした。あれから5年の歳月を経て、更に進化したバージョンを見ることが出来ました。
アンコールのLet me entertain youの盛り上がり!
会場を文字通り一つにする。生まれながらのスーパースターにしか出来ないことです。
そして6年前、平昌でSEIMEIを滑って金メダルを獲った同じ日に、再びSEIMEIを見られる感激。この日の羽生君は最後のロンカプまでエネルギーが漲っていて、これまでに比べて体力に余裕があったような気がします。プログラムのブラッシュアップだけでなく、体力配分も埼玉と佐賀に比べて改善されていたのではないでしょうか? 最後の周回でも「私は最強」に合わせて、元気いっぱい踊っていました。
まだ感想と言えるものを書ける状態ではありませんが、一言で言うと、最初から最後まで圧倒されっぱなしでした、
公演を終わった瞬間、感動に打ち震えながら真っ先に思ったのが、「明後日もう一度見られる!」ということでした。何という幸運でしょう!
非現実的な夢のような世界に没入したあの時間から24時間以上経ちましたが、私の魂はまだ戻ってきません・・・きっとまだ横浜を彷徨っているのでしょう・・・
明日取りに行かなくては・・・

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu