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天に守られた至宝・・・

先日、久々にロマン・ポランスキーの映画「戦場のピアニスト」を見ました。

第二次世界大戦中のドイツ占領下のワルシャワで、ホロコーストから生き延びた実在のピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの体験記を映像化したこの作品は、イタリア語吹替版、原語+日本語字幕版、日本語吹替版と既に何度も観ましたが、その度に心を締め付けられ、同時に深い感動を覚えます。

羽生君のプログラムになる前、ショパンのバラード第1番と言うと、この映画のイメージが強かったです。

監督のポランスキー自身も家族と共にナチス・ドイツによる迫害を体験しており、主人公をヒーロー化したり、過度に悲劇性を強調したりせず、物語が淡々と進んでいきますが、派手な演出がないことで却ってリアリティがあり、ホロコーストを描いた数ある映画の中でも最も心に響く作品です。

映画のクライマックスは主人公がドイツ将校の前でピアノを演奏するシーンでしょう。

ワルシャワ蜂起を何とか生き延び、空き家に潜んでいたシュピルマンはある晩、ドイツ将校に見つかってしまいます。

まさに絶体絶命の状況で「職業は?」を問われ、「私は・・・ピアニストでした」と答えるシュピルマン(最初「Ich bin…」と現在形で答えかけて「Ich war…」と過去形に言い直すのが印象的です)。

将校はその家の居間に置かれたグランドピアノの前に彼を連れて行き、何か弾くように促します。

この演奏シーンが圧巻なのです。

ポーランド国営放送で演奏するほどのピアニストでありながら、ピアノを奪われ、家を奪われ、家族を奪われ、過酷な潜伏生活を強いられ、何年もの間、鍵盤に触れることすら出来なかったシュピルマンの怒りや悲しみと言った感情がピアノに触れたことで一気に解き放たれていくような、そんな演奏でした。

そして演奏に感動した将校は終戦が訪れるまで彼をかくまうのです。

そのシーン

この時、演奏された曲がショパンのバラード第1番でした(史実ではノクターン第20番だったそうです)。

この映画に私が心を打たれたのは、多少の脚色はあるにせよ、これが正真正銘の実話であること、そして、家族や周囲の人間がことごとく殺されていく中で、シュピルマンだけが彼の音楽を愛し、守りたいと願う人々の善意によって助けられ、何度も窮地に陥りながら、偶然と運の重なりによって生き延び、終戦後、天職であるピアニストに戻ることが出来たことです。

その尊い才能故に天に守られ、助かるべくして助かったのだと思いました。

一方、彼を救ったドイツ将校ヴィルム・ホーゼンフェルト大尉はソ連軍の捕虜となり、捕虜収容所で非業の死を遂げるのです。

 

私は並外れた天才や芸術家と言った「人類の宝」は天(あるいは神、創造主、森羅万象など、人によって解釈は違うと思いますが、全てを超越したユニバーサルな力または意志)に守られていると思っています。

神様に愛された至宝というのでしょうか。

同じように神様に守られているに違いないと思うのがレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」です(この場合、人ではなく壁画ですが)。

ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ教会に隣接するドメニコ修道院の食堂に壁に描かれたダ・ヴィンチの名画については今更詳しく説明するまでもないでしょう。

数々の修羅場を潜り抜け、現在も失われずに存在していることから奇跡の絵画と呼ばれています。

1498年に完成した壁画は、劣悪な環境と度重なる不適切な修復によって画面が破損・剥離し、ナポレオン時代は食堂ではなく馬小屋として使用されていたため、汚物が発するガスや湿気によって浸食は更に進行しました。

最大の危機は第二次世界大戦中に訪れました。

1943年8月、アメリカ空軍によるミラノ空襲が始まった時、避難せざるを得なくなった修道士達は壁画の前に足場を組み、土嚢を積んで名画を守るための精一杯の措置を施し、祈る気持ちでその場を立ち去ったそうです。

そしてそのおかげで、教会と修道院は爆撃で破壊されますが、「最後の晩餐」が描かれた壁だけは奇跡的に倒壊を免れたのです。

土豪を積んで保護された壁画(掲載元)

 

空襲で破壊された教会と修道院 (掲載元)

 

奇跡的に倒壊を免れた壁(掲載元)

その後、1977年から1999年までおよそ20年の年月をかけて行われた大規模な修復作業によってレオナルドの筆によるオリジナルの線と色彩が蘇り、現在に至っています。

「最後の晩餐」は親や親戚や友人が旅行でイタリアに来ると、必ず皆見たいと言いますので、彼らに付き合って何度も見ましたが、その度にこの名画が乗り越えてきた数々の災難を思い、5世紀以上前の絵画とは思えない鮮やかな色彩と作品の放つ輝きに圧倒され、ここにこの絵が存在する奇跡に感動するのです。

そして羽生君もまた、シュピルマンやレオナルドの「最後の晩餐」と同じように天に守られた人だと私は思います。

勿論、神様はファンが「いい加減にして~!!!😱😭」と叫びたくなるような過酷な試練を次から次へと彼に与えますが、ここぞという場面で彼を守り、彼に微笑みかけると思うのです。

Fantasy on Ice公式ツイッターで羽生君のコメントが公開されましたね!

相変わらず心のこもった聡明で思いやりに溢れるメッセージ😭


今何処にいるのか分からないけれど、どうか元気で!

来季の試合がどうなるのかまだ不明ですが、彼の思い描くスケートが出来ていますように・・・

そしていつか新しいプログラムが見られますように🙏・・・

Published by Nymphea

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち