イタリア解説Euro Sport版「2014バルセロナGPF~羽生結弦SP」

GPFSP2

羽生結弦選手の演技とそれ以外の羽生君成分をご紹介します。

実況:マッシミリアーノ・アンベージ
解説:アンジェロ・ドルフィーニ

<ジャッジの紹介中>
(要約)

男子シングルは予想は難しい。

全員が本来のコンディションなら現五輪チャンピョン、羽生結弦が優勝候補だ。しかしながらグランプリシリーズ中に起こった尋常でない出来事の影響により町田樹と、とりわけ開催国のエース、ハビエル・フェルナンデスにもチャンスが訪れた。

ハビエル・フェルナンデスにはホームアドバンテージがあるが同時に自国開催のプレッシャーもかかる。

グランプリシリーズの全勝のマキシム・コフトゥンはどうか?予期せぬ偶然が重なって幸運にも2勝した。技術的に難しい構成ではあるが、優勝するためには他の選手がミスをしなければならない。皆が本来の実力で滑った場合、羽生、フェルナンデス、町田は勿論、無良に勝つのも難しいだろう。

6分間練習>
 6分間ずっとものすご~く楽しそうに羽生君の話で盛り上がっていました!!

マ:GPシリーズのポイントの低い順に滑るので第1滑走は五輪チャンピョン、羽生結弦だ。

ア:第3者(アボット)の助けを借りてファイナル進出を決めた。ファイナル進出は無理かと思っていたら小数点の点差で最後の切符をつかんだ。
第1滑走は彼にとってプラスなんじゃないかな。大きなプレッシャーなくリラックスして臨めるし、ショートは確認する要素は少ないからフォームアップ時間の問題もない。だからこの滑走順は羽生にとっていいことだと思う。より晴れやかな気持ちで滑れるし。
彼が本来のレベルで滑ることが出来れば皆が興奮させられる素晴らしい大会になるだろう

マ:でも今日はどんな羽生が見れるんだろう。ハニュー1.0?それともハニュー2.0?
昨シーズンと同じ前半に4Tなのか、あるいは後半4Tに挑戦するのか。

ア:この試合では冒頭に4Tを予定している。でもこのプログラムは本来冒頭に3A、後半に4Tの構成で作られている。どちらのオプションで来るか見てみよう。ただ身体が万全でないことを考えて、羽生はほんの少し難度を落とした構成にするかもしれない。あくまでもほんの少しだけど。いずれにしても彼は後半に3Aとコンビネーションを跳ぶんだから。

マ:中国杯で見せたイーグル3Aイーグルはジャッジ全員から栄誉ある加点3点満点を獲得したよね。

ア:当然の評価だよ。傑出したクオリティーのジャンプをごく自然に跳んでいる。スケート史上、こんなジャンプが跳べる選手はごく僅かしかいない。

マ:最近は試合だけではなく練習でも幾つかの要素でミスがあったけど、おそらく中国杯の事故の後遺症だけじゃなく、夏に始まった腰痛の影響もあると思う。

この夏、彼は一瞬たりとも休む暇がなかった。それにアイスショー!このアイスショーではハニュー3.0が登場する。驚異的なコンビネーションジャンプや、それどころか4回転ループとか3Aを何連続で跳ぶなんていう想像に絶することをやっていたからね。

ア:(大笑いしながら)全くだ!

マ:プルシェンコもアイスショー中に連続3Aをやっていたけど、羽生は更にその上を行く。

ア:本当に驚異的なことを披露していたよね。でも五輪シーズンのようなハードなシーズンの後、特に日本男子で初めて金メダルという快挙を成し遂げた後には、もしかしたら少し休養も必要だったのかもしれない。

多くの五輪チャンピョンが身体に問題を抱えているし・・・まあ、彼は試合に出れているだけ一番マシなのかもしれないけど・・・ちょっと一息つくのも良かったのかもしれない。例えばグランプリシリーズはパスするとか。

マ:彼はある意味、既に歴史を作った。翌シーズンのグランプリファイナルに出場した五輪チャンピョンは今まで誰もいなかったからね。

ア:そうだね。新たな歴史を作った。これからも彼が最高の成功を掴んでいくことを願っているよ。
だって彼は比類のない才能を持つ素晴らしい選手なのだから。でももう少し休息するという選択肢があっても良かったと思う。

でも見てみよう。6分間練習中には素晴らしい4回転ジャンプを軽々決めていた。大会がスペクタクルとして面白くなるためにもクオリティーの高い演技を見せてくれることを願っているよ。

言うまでもなく彼がここにいることによってこのファイナルは非常に興味深い大会になった。このことは否定しようがない。

<演技前>

マ:最初に滑るのは昨シーズンのファイナルをほぼ完璧な演技で制した羽生結弦。
2シーズンを経て彼はプログラムを変えた。前プログラムは3桁の得点を獲得した歴史的作品になった。

ア:羽生はショートのスペシャリストと言えるね。世界記録を何度も連発した。

マ:14歳でジュニアGPファイナル優勝、15歳でジュニア選手権優勝。既にシニアのあらゆる主要タイトルを総なめにしている。四大陸選手権がまだかな?でも大して重要ではない。

ア:(四大陸選手権は)国内の若手選手にチャンスを与えるためのいわば登竜門のような大会だからね。重要な選手権ではない。

マ:羽生結弦がショートに選んだ曲はショパン。

<演技中>

ア:素晴らしい4T

マ:ステップからと強調しないとね。

ア:リンクの半分を占めるイーグル>ステップ>4Tだ。

ア:カウンターから3Aすぐにイーグル

ア:コンビネーション・・・転倒。ルッツの軸が既に曲がっていた。リスクを冒して3Tを付けたけどうまく行かなかった。

<演技後>

ア:残念!でも今シーズン最高の羽生だったよ。

マ:クオリティーの高い演技だったけどコンビネーションの3Tの回転は大丈夫だった?
回転に問題がなければ90点を余裕で超えるハイスコアが出るはずだ。

ア:僕には回転不足には見えなかったね。でもルッツの着氷に問題があった。ショートではこの要素にいつも問題があるね。何とかしなきゃいけない。6分間練習中には軽々決めていたのに。プログラム最後のジャンプだから体力的にきついというのもある。

マ:いずれにしても技術点51点は今シーズン誰も出したことのないハイスコアだ。デニス・テンの50.09が今のところ最高だ。

ア:転倒があってこの技術点だよ(笑)

マ:そう転倒があって

ア:このプログラムは最低でも技術点55点に値する。もし4Tを後半に入れれば更にプログラムの得点は更に上がる。

<スロー映像を見ながら>

ア:ファンタスティコ、4T!!

マ:冒頭の3Aに加点3が付けば4回転ジャンプと同じ得点が稼げるからね(笑)

ア:4回転を2本跳ぶのと同じになる(笑)

ア:ルッツで前に傾き過ぎている。でも3Tはちゃんと回り切っている。

マ:つまり技術点51.11は確定したわけだ。非常に説得力のあるプログラム。羽生を倒すのは難しいということだ。90点を大きく超える得点を持ち帰るだろうからね。

ア:彼もミスの後、思わず笑っていたね。シーズン初めの困難な状態を考えると彼は満足していると思うよ。彼はこの場所に来たいと強く願っていた。そして傍観者としてではなく、勝つためにここに来たのだということを見せつけた。

マ:去年はショートの演技構成点は46.61点を獲得した。さすがにこの点数は難しいと思うけど。
でも、もの凄く繋ぎの濃いプログラムだ。最初から最後までまさに繋ぎだらけ。

ア:ジャンプの質だけでなく、この青年のスケーティングは崇高だ。本当に驚異的!滑らかで。フリーより特にショートでスケーティングの素晴らしさが際立つ。ステップシークエンスのスピードと流麗さには息を呑むよ。

マ:94.08点は今シーズンの最高得点だ。さあ、この大会は面白くなりそうだ!

ア:94.08点は高得点。これは100点を超えるように構成されたプログラムだ。

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☆ ハニュー1.0、ハニュー2.0、ハニュー3.0って・・・
アンドロイドかソフトウェアのような扱いですね・・・
フォーラムではホログラムと呼ばれているし・・・人間離れしてるってことですね!

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu