2014年のバルセロナGPF男子フリーの羽生選手の演技の実況解説です。
大分前に投稿した記事ですが、エレナさんが動画を上げてくれましたので
再アップします(もうすぐファイナルだし!)
☆Elena Cさんの動画です
いつも貴重な動画をありがとう!Grazie Elena!
Youtube版動画>>
実況:マッシミリアーノ・アンベージ
解説:アンジェロ・ドルフィーニ
<演技前>
マ:羽生結弦。日本に3年連続金メダルを持ち帰れるか。
昨年のファイナルでは驚異的な高得点で優勝したけど、あんな点をまた出すのは難しいだろうね。
でも羽生の場合、予測不可能だから。
ア:苦難の連続だった今シーズンだけど昨日はコンディションがかなり良くなっていることを見せてくれた。でも今日は全く違う音楽の別のプログラムだからね。この高難度のプログラムを最後まで滑り切るベストな体調であることを願っているよ。
マ:でもここまでの(他の選手の)流れなら難度を少し下げても十分勝てるよね。オーサーも羽生もフェルナンデスの結果をよく知ってるわけだし、そういうことは考えないのかな?
<演技中>
ア:4S(笑)!!
彼がこんなサルコウを跳ぶのは初めて見た
ア:4T
ア:3F
ア:3Lz-3T
ア:3A-3T
ア:3A-1Lo-3S
ア:3Lo
ア:最後のジャンプ3Lz、ああ、転倒
我々はこの競技の歴史が塗り替えられる瞬間に立ち会うところだった・・・
いや、実際には今も立ち会っているのだろう。
<演技終了>
ア:恐るべし!!
マ:惑星ハニュ-にようこそ!!住人は一人、彼だ!
(アンジェロさん爆笑)
ア:つまりだね、氷上にスケーター達がいて、別に羽生が存在する
マ:そう全く別次元と言わなければならない。
技術点105.77!!これまでの最高技術点は彼自身が去年のファイナルで出した102.3点だ。
4分前、そうたった4分前、僕たちは、いや僕は昨シーズンのようなパフォーマンスを見るのは難しいと言ったよね。役に立つ情報だったね。
ア:(去年の演技の)更にその上に行ってしまったからね。でもこういう風に予想を裏切られるのは嬉しいね。
僕達はおそらく記録が塗り替えられる瞬間に立ち会っている。それに羽生史上最高の演技を見ているんじゃないかな?
彼がこんな質の高い4Sを跳ぶのは僕が知る限り初めてだと思う。
マ:同感だね。
ライバル達を全員を完全に食ってしまった。
昨日のショートの後、点が高過ぎるだの、フィギュアスケートは見せかけだけになっただの、信頼性がないだの、ヴォロノフがショート1位に相応しかっただのという批判があった。
これが羽生だ。
ア:彼はライベル達を完膚なきまで打ちのめし、文句のつけようのない驚異的な答えを返して見せた。
(スロー映像を見ながら)
ア:途方もない前半の数分、そして後半に恐るべき3Aをコンビネーションで2本決めた。
この4Sを見て、本当にファンタスティコ!
オーサーも大喜びだ。練習では勿論何度も決めているだろうけど、試合でこんなに綺麗に決まったのは初めて見た。
非常に高難度の全てのスピン。彼だけのスケーティング。
彼が氷上に持ち込むクオリティ、このトリプルアクセル、ジャンプの質、滑らかさとナチュラルな表現は何か比類のない彼だけのものだ。
マ:それに羽生ほど繋ぎの濃いプログラムを滑る選手は男子シングルでは誰もいない。
最初から議論の対象にもならないんだよ。
ア:フェルナンデスも繋ぎは濃いけれど、彼のようなクオリティではない・・・。4回転ジャンプはもしかしたらいい勝負かもしれないけれど、トリプルアクセルでは全く勝負にならない。トゥジャンプも
(TESカウンターを見ながら)
ア:技術点がちょっと下がったね。最後のルッツが回転不足と判定されたのかな?でも本質的には変わらない。
マ:ルッツの回転はぎりぎりだったかもしれないけれど、技術点103.30は史上最高記録だ。これまでに技術点で100点を超えたスケーターは2人だけ。パトリック・チャン、そして羽生だ。
(得点が表示される)
ア:TES103.30点が認定された。あと少しで200点!
マ:そうだね。でも歴代最高得点保持者はパトリック・チャンのままだね。
いずれにしてもこれで羽生はライバル達を蹴散らして、世界ナンバーワンであることを改めて証明した。疑問に思っていた人がいればの話だけれど
同年のグランプリファイナルに進出した五輪チャンピョンは今までいなかった。彼は史上初めて現五輪チャンピョンとしてこのファイナルに出場したばかりか、圧倒的大差で優勝した。
他の選手達をどれだけ引き離している?君が確認してみてよ
ア:フェルナンデスが253点で、羽生は288だっけ?
マ:つまり30点以上
ア:実質、ほとんど35点差だ。
ミスが1つあってこの大差を築いた。このスケーターはいずれパトリック・チャンが夢見た300点越えを実現するだろう。
<羽生君の英語インタ>
☆ここから男性実況・解説のお2人は完全に授業参観の父兄状態に・・・
マ:羽生結弦が何を言うか聞いてみよう
ア:彼が何て言うかもの凄く興味がある(笑)
マ:彼、スペイン語を話せるのかな?
ア:いや、ないだろう。でもフェルナンデスの傍でちょっと学習したかもしれない
サラ:ユヅル・ハニュー、事故の後、もうコンディションは100%回復したと言っていいですね?
結弦:えええ~今日はパーフェクトじゃないです・・・まだ 。でも僕はほとんど完璧にやり遂げました。だから嬉しいです。
マ:羽生結弦は答えるのに苦戦しているようだね。
ア:体調が完璧に回復したかという質問だったんだよね。
サラ:日本はフィギュアスケートが盛んですけれど、スペインの観客にフィギュアスケートの世界を楽しむためのアドバイスをお願いします。
ア:興味深い質問だね。スペインの観客に何て答えればいいんだろう
結弦:いや、スペインの観客は日本よりもクレージーです。ハビと僕への声援は凄かった。ハビは喜んでいると思うし、僕も嬉しいです。
マ:これは素敵な答えだね
ア:フェルナンデスへの心遣いもある答えだね
ブライアン・オーサーにとっては1位2位ダブル受賞の大会だったことを忘れてはならない
スペインの観客の温かい声援に感謝することで、スペインの観客のほろ苦い思いも和らげたね
(以下省略)
<その後、今後の放送予定の紹介、そして番組の終わりに>
マ:明日はエキシビションを放送する。一番の見所は言うまでもなく今日の演技で主役になった羽生結弦だ。
それにしても最後のルッツは残念だった!あの転倒がなければいわゆる陰謀論者達を完全に黙らせたのに!!
いや、もう黙らせているか。
(アンジェロさん爆笑)
マ:陰謀だなんだという連中は他の楽しみを見つけて欲しいね。
競馬とかボーリングとかビリヤードとか・・・楽しいことは他に幾らでもあるだろう。
でもフィギュアスケートはお断りだ。
羽生を批判する者はこのスポーツのことを何も分かっていない。
ア:彼はこの2日間で断固たる答えを返したよ。だって昨日も素晴らしい演技だった。質の高い4Tと3Aを決めた。今日は素晴らしいルッツのコンビネーションを決めた。
マ:現五輪チャンピョンがそのタイトルに相応しい圧巻の演技で優勝した素晴らしい大会だった。彼は今日も存在した。でも他のスケーター達は存在しなかった。
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☆痛快な実況と記事で言いたいことをバシバシ言ってくれる(書いてくれる)マッシミリアーノさんとアンジェロさんにはもうファンレターというか、ゆづファンを代表して感謝状を書きたい心境です。
RAI SPORT放送のマンマ達が羽生君のオカン化しているのは何年も前から知っていましたが、イタリア・ユーロスポーツの男性解説陣も大概です(笑)。
大っぴらにユヅル愛全開モードのマンマ達と違って立場上、一応中立的かつ客観的態度を装っていますが、隙あらば羽生君の話をしますし、溢れんばかりの「オレ達のユヅル・ハニュー」感が伝わってきます!
中国杯の涙の出そうなほど感動的で奥の深い解説、NHK杯の羽生君フリー演技後からアボット選手の点数が出るまでの間、私達日本のファンと同じ心境だったのではないでしょうか。
GPFではショートの6分間練習ではこの大会で羽生を観れるは嬉しいけど彼の体調を考えたらもう少し休養してもよかったんじゃないかと心配し、フリー演技前には他の選手の出来がいまいちで点が伸びなかったので難度を落とした無難なプログラムでも余裕で勝てるのではないか(余計なお世話)と完全にオトン化。そしたら歴史的神演技!!これでは誰だって落ちますよね!
フリー後の英語インタではアンジェロさんが「おおー彼が何て言うかすごく興味がある」とワクワク。羽生君の微笑ましいコメントにいちいち大受けしていて、もう完全に「授業参観の父兄」状態でした(笑)
かなりマニアックなフィギュアファンである彼ら(アンジェロさんは元選手です)は羽生君が日本のみならず世界のフィギュアスケート界の尊い宝だということを知っています。だからこそルールに関する知識もないのに感情論だけで得点に文句をつける人達が許せないでしょうね。
実況中に何度も言及し、記事にまで書いているところを見るとマッシミリアーノさんは相当頭にきているみたいです。
羽生君フリー神演技の後「見たか!!これが羽生結弦だ!」というマッシミリアーノさんの心の叫びが聞こえてきそうでした。