~羽生の3Aに+3を与えないなら、GOE+3はコンピュータから削除して誰にも与えるべきではない~ by アンジェロ・ドルフィーニ
世の中は祝賀パレードの話題で持ち切りで、平昌関係の記事もまだ全部訳し終わっていないのですが、CwWの羽生君と佐野先生の超スパルタ技術解説コーナー「カウンターからの3アクセル」を見ていたら、無性にこれを訳したくなりました!
エレナさんの動画です。いつもありがとう!
Grazie Elena💛!
(長いので印象的な部分を抜粋します)
実況:マッシミリアーノ・アンベージ(M)
解説:アンジェロ・ドルフィーニ(A)
M:パトリック・チャンは3度目のファイナル優勝を手に入れるためのカードをテーブルに並べた。
これまでのファイナル最多勝はプルシェンコの4勝だ
でも羽生には圧巻のショートで稼いだ12点差を持ってリンクに降りることも忘れてはならない
A:優勝するには180.20点が必要だ
つまり、自己ベストが必要だ
でも羽生にとって手の届く得点だ
A:3Lz-lo-3S
スピードがない所でも後続のジャンプに持っていける能力は驚異的だ
2本目の3ルッツも素晴らしい
A:最後のスピンは危なかった
でもあらゆる点において限界に近いプログラム
M:体力の限界だけれど・・・圧巻だった
A:羽生は立ち上がれないようだね(爆笑)
でも圧巻だった
100点を大幅に超える技術点だ
M:立ち上がれないようだね
TES102.89だ
こんな代物は未だかつて見たことがない
A:転倒が1つあってだよ
M:これほどハイレベルなプログラムを連続で見たことは未だかつてなかった。
A:恐ろしい
ユヅルは持っているものを全て出し尽くした。
これ以上のことをするには、4サルコウを着氷するしかない
でも注意して欲しい
いくらPCSでアドバンテージがあるとは言え、パトリックにとってこのようなタイプの少年の猛進をかわすのは簡単なことではない
M:このレベルの試合を見るには2002年のオリンピックまで遡らなければならない。ケーブル、プルシェンコ、ヤグディンが4回転や3回転のそれまで見たことのないようなコンボを乱発し、壮絶な戦いを繰り広げた大会だ。
A:ほとんど狂気と紙一重だったね。
プルシェンコは驚異的な難度の3A/Lo/3Fのコンボを跳んだ。
4T/3T/3Tにも挑戦し、もう少しで成功させるところだった
M:日本はグランプリファイナル初優勝を飾る18大会待ち、昨シーズン高橋がようやく優勝した。そして僕が思うにタイトルは
A:日本に留まると思う
M:羽生はこれまで演技構成点でパトリック・チャンに10点近く差を付けられてきたけれど、その差は劇的に縮まる気がする
技術点では彼が上回っているから問題はないと思う。羽生はショートで12点差を稼いでいるし
A:何てプログラムだ
本当に途方もなかった
2人共ミスがあったけれど
パトリックも余裕で・・・いや余裕ではないけれどコンビネーションのセカンドトリプルが入ればTES100点を超えることが出来る
これ(4サルコウ)は回転し切ったけれど軸が曲がって着氷出来なかった
でもその後のリアクションも素晴らしかった
この4トゥループを見て欲しい
羽生がショートとフリーで決めた2本の4トゥループは途方もなかった
M:今週の4トゥループを操る彼の能力には驚愕させられた
昨日の4Tは本当に素晴らしかったけれど、今日のもそれに劣らない出来だった
A:同感だ。今日の4Tも素晴らしかった
それに2本の3アクセル(笑)
彼が3アクセルを跳び始めたらTESの数値が恐るべき勢いで上昇していった(笑)
当然の評価だ
つまり、羽生の3Aに+3を与えないなら、GOE+3はコンピュータから削除して誰にも与えるべきではない
M:勿論だ
特に2本目の3アクセルは独特だ
言語道断なほど難しい一連の要素から跳んでいる
A:ハハハ
しかも両手を挙げた2Tを付けてね
あの3アクセルは何か特殊な唯一のジャンプだ
M:ブライアン・オーサーはコウロギのように飛び跳ねているね
当然だ、羽生はファイナル優勝を手に入れ、日本とアジアの歴代最高得点、そしてチェンに次ぐ歴代第2位の得点を獲得するはずだ
でも注意いて欲しい
もし演技構成点で高い得点が出れば、パトリック・チャンの記録を塗り替えるかもしれない
A:羽生は演技構成点で90点を超えたことがないから、チャンの記録を上回るのは難しいけれど、このプログラムはシーズンが始まってからどんどん進化しているし、今日は演技構成という点においても飛躍的に上達した最高の演技だった。
M:トータル293.23
A:恐ろしい
M:つまり世界記録から2点足りないだけだ
グランプリを見る限りオリンピックは
A:2人の争いだね
M:金メダル争いは羽生とチャンの一騎打ちになるだろう
他の選手達はずっと遠いところにいる
このギャップを埋めることの出来る選手が他にいるかどうか
それにしても何て大会だ!
A:途方もない大会だった
本当に途方もなかった
驚異的なレベル
並外れたクオリティ
羽生は世界最高得点を更新する得点を握っている
パトリックはほぼ上限に達していて、今日の得点から伸びしろは数点しかない
羽生は4回転ジャンプの1本で転倒したことを忘れてはならない
もし4サルコウが綺麗に決まれば300点の大台も幻ではない
M:それに重要な議論をしなければならない
羽生は基礎点においてチャンを大幅に上回っている。
確かにチャンは演技構成点を稼ぐけれど、もはやそれほど大きな点差ではなくなった
だからもしかしたら、天秤の針は永久的に羽生側に大きく傾いたのかもしれない。
彼は非常に若い選手だけれど。
勿論、パトリック・チャンもまだ若いけれど
A:誰が羽生とチャンの戦いに割って入れると思う?
名前を挙げるのは難しい
町田?でもこの2人からはかなり遠いように思われる
M:厳しいよ。誰にとっても厳しい
ベストの高橋なら可能かもしれない
でも彼も技術点で2人に差を付けられているから、些細なミスも許されない
これが最終順位
2人が280点を超えた。事実を言えば1人は290点も超えた
さあ、羽生をオリンピックに派遣しようか
この際、もう内定を出してもいいんじゃない?
A:僕はそうするべきだと思う
勝負を賭けるに値する勝ちカードだと思う(爆笑)
M:いずれにしても日本代表選考基準によればファイナル優勝者はほぼ間違いなく代表に選ばれる。つまり残る2枠を町田、織田、高橋、そして小塚で争うことになる
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☆お2人共すごく楽しそう
パトリック無敵の構図が崩れた瞬間でした
ロミジュリ2の2本目の3アクセル
スプレッドイーグルからその足でカウンターをしてそのまま跳んでいます・・・
しかも両手を挙げた2Tを付けて
こんな入り方を思いつくだけでもおかしい・・・
CwWの鬼のような技術解説コーナーのおかげでカウンターからの3アクセルが如何に難しいかが証明されましたが(無良君、本当にお疲れ様!!!)、マッシミリアーノさんとアンジェロさんは何年も前から信じられないほど難しい、イーグルからの3アクセルより絶対に難しいと言い続けています。
終盤の2本の3ルッツも凝った入り方から跳んでいますね。
このシーズンのこのロミジュリをフィンランディア杯、スケカナ、エリック杯、ファイナルと順々に見ていくと、シーズンが進むにつれて特に後半の繋ぎがどんどん豊かになっていって、最終的に全く別のプログラムに進化しているのが分かって面白いです。