イタリア・ユロスポの男子ショートから
羽生結弦選手の演技の実況解説です
☆Elena Cさんが動画を上げてくれました!いつもありがとう!
Grazie Elena!!
実況:マッシミリアーノ・アンベージ
解説:アンジェロ・ドルフィーニ
(演技前)
マ:さあ次は現オリンピックチャンピオン、グランプリファイナル三連覇中で4連覇を狙う今シーズン唯一100点の壁を破った選手
興味があるなら教えるけれど、今日のランスルー、つまり曲かけ練習では予定している3つのジャンプエレメンツ全てを綺麗に決めた。
彼のプログラムも非常にスペクタクルなショーだ。非常に適した音楽で観客を引き込む
プリンスのLet’s Go Crazy
彼は・・・まだ言ってなかったかな?
羽生結弦だ
(演技中)
ア:4ループ(笑)
驚異的な方法でこらえた!
マ:笑いながらイーグルを付けたよ
ア:4サルコウ/3トゥループ
恐ろしい・・・
マ;音ハメでね
ア:次は3アクセルだ
君がさっき話していた
バックカウンターからの3アクセル
マ:禁止されている技だ
ア:(笑)
ア:バックカウンターはフィギュアスケートで最も難しいと見なされているステップだ。
現在、いずれにしても最も高難度なジャンプの一つと見なされている
3アクセルをここから跳ぶには超人的なコントロール能力を必要とする
彼のショートの中でも最も簡単なエレメンツだけれど(笑)これはまた別の問題だ
(演技後)
マ:惑星ハニューにお帰りなさい!
住人は1人、彼だけだ
真似しようと試みる者がいるけれど、オリジナルにはかなわない
僕はあの4ループをどうやってこらえたかもう一度見たいよ
ア:(笑)驚異的だよ
マ:彼は笑い出しながら両手を広げてイーグルを付けた
ア:(爆笑)ジャンプの始まりは全く良くなかったのにこの青年は何でも着氷してしまう
どうやって踏みとどまったのか全く理解出来ないよ。
しかも現在の彼のスケートで最も難しいエレメントだ
マ:問題は何か?
彼はこれでは全く満足出来ないということだ
どういう意味かというと、今日は彼より基礎点の高いプログラムを滑る選手が2人いた。
彼はこのことを把握している
羽生はフィギュアスケートを研究するタイプだから、2002年オリンピック以降のフィギュアスケートにおける変遷を覚えていた。
だから見ているがいい、きっと何かを変えてくるだろう。
彼が執着しているのは4ルッツ
誰かが彼を思いとどまらせなければ今日から2018年オリンピックまでの間に入れてくるだろう。
ア:彼は自分よりも難しいプログラムを滑る選手がいるとモヤモヤするんだろう
笑っているよ
全体的に素晴らしいパフォーマンスだった。
フィジカルコンディションもいいんだろう。
最初から最後まで非常にエネルギッシュに滑り切った。
マ:昨日はマルセイユの氷に適応するのに苦労していた。
非常に柔らかい氷だ
注意して欲しい、これは次のオリンピックにおける問題の一つになるかもしれない。
何故なら韓国ではショートトラックとフィギュアスケートの試合が同じリンクで行われる。
韓国にとっては自国の女子ショートトラックのことを考えると非常に柔らかい氷の方が好ましい。でもフィギュアスケートの選手にとってはベストなコンディションではない。
(4ループのスロー映像)
ア:見てよ。こんなに前傾しているのに4回転回り切った!(笑)
マ:それで笑っているんだよ!
(映像は)正面からじゃないないから見えないけれど、彼は笑って両肩と腕を開いた
ア:そしてハイスピードからの自信に満ちたこの4サルコウ
完璧!3トゥループとのコンビネーション
そして全てをナチュラルに実施する能力は驚異的だ
彼がやることは全て・・・何といったらいいのか
マ:戦意を喪失するほどの簡単さ
ア:その通り、適切なボキャブラリーが出てこなかったよ
他の者が戦意を喪失するほど簡単にやってしまう
これがバックカウンターだ
バックアウト、フォアアウト
非常に難しい技だ。
極めて高い身体制御能力を必要とする
フィギュアスケートにおいて片足でターンする最も難しい方法だ
マ:イーグルから跳んで後にイーグルを付ける方が難しいじゃないかと思う人がいるかもしれないけれど、絶対そんなことはない
ア:違うね
マ:全く違う
ア:こっちの方が難しい(笑)
勿論、イーグルから跳ぶのも難しいけれど
例えば宇野がやっているけれど、2番目に難しいファンタスティコな入り方だ
でも最も難しいのはこれ(バックカウンターから)だ
全く圧巻だ
いずれにしてもパトリック・チャンがまだ土俵にいることに満足しなければならない
羽生は100点を超えるだろう。
103.89を上回るか見てみよう
マ:僕は上回ると思う。
演技構成点ではどちらが勝つだろうか?
この羽生かパトリック・チャンか?
ア:羽生はNHK杯で演技構成点56.54を獲得した
今回は47.35!彼の勝ちだね
マ:106.53
試合で100点を超えたのは史上7回、その内の6回が羽生結弦だ
彼はもっと出来ることを知っている
きっとどこをどう改善できるか考えているんだろう
でも106.53は誰も出したことのない得点だ
他の選手達は102.54に達した、フェルナンデスのことだけど
ア:他の選手達って一人だけだけれど(笑)
彼は依然として一段上にいる。驚異的だ
しかも継続的にだ
マ:数字が全てを物語っている
(順位の要約は省略)
マ:羽生結弦の宇宙的な演技で大会初日から衝撃的だった
今朝のランスルーを見て期待はしていたけれど、試合は試合だから、このレベルを本番でも発揮できる能力が必要だ。
でもオリンピックチャンピオンにこの能力がないわけがない
ア:今、非常に難しかった4ループの着氷を見ているけれど、残りのエレメンツはスピンを含め全てが素晴らしかった。
結弦は4連覇に王手をかけたと言っていいだろう。
でもフリーには多くの要素があるから、まだ勝負の行方は分からない。
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☆私は幸運にもこの演技を現地で見ることが出来ました!(今日の夕方にイタリアに帰ってきました!毎日朝から観光、午後試合で1日中歩き回っていたので、さすがに疲れた・・・)
私の席はジャッジ側のセンター寄りだったので、顔の表情までよく見えました。
最初の4ループをこらえて着氷した時、これは凄い演技になるんじゃないかという予感がしたのですが、その通りになりました。
4S/3Tは私の目の前だったんですけれど、全く危なげなく、自信に満ちていてサルコウの飛距離が凄かった!
最後のステップシークエンスは表情や仕草でジャッジを挑発していて、圧巻というか鳥肌というか、途方もないものを見た!という感じでした。
衣装もテレビで見るよりずっと素敵でした!
マッシミリアーノさんとアンジェロさんは他の選手の実況では純粋に演技について技術的なことを解説していますが、羽生君になると彼の気性とかキャラについて嬉々として熱弁を始めます。
選手というより、羽生結弦という人間(果たして本当に人間かどうかは疑問ですが)に夢中なんですね。