イタリア解説EuroSport版「2016NHK杯ダイジェストより~羽生結弦」

今朝ユロスポチャンネルで放送されたNHK杯ダイジェストから
羽生結弦選手の演技解説です

2016NHK_FS2

Elena Cさんが動画を上げてくれました!
ありがとう!Grazie Elena!

実況:マッシミリアーノ・アンベージ
解説:アンジェロ・ドルフィーニ

 

<ショートプログラム上位選手のハイライトを見ながら>

(抜粋)

マ:男子シングルにとってはファイナル出場者の大部分が決まる重要な大会だった

羽生結弦のファイナル進出は確実だったが、アメリカ選手の立場は違っていた。

今大会に出場する2人と自宅で試合を見ている1人、合わせて3人の選手の内、2人に枠が用意されていた。

ショートプログラムではすぐにサプライズが起こった。

最もファイナルに近かったジェーソン・ブラウンが脱落したからだ。

ア:ショートは完全な失敗だった。

(回転不足について)非常に寛大だった採点で74点の8位。

他のアメリカ人は上昇した。同じくファイナル候補のネイサン・チャンは最初の4ルッツで転倒するものの、すぐに立て直して4F/4Tを着氷し、2位につけた。

マ:歴史だ。これは史上初のコンビネーションだった

でもショートプログラムは羽生結弦の圧勝だった。

最も難しいエレメンツ、ステップからの4ループで小さなミスがあったけれど・・・本物のステップからのね

ア:(笑)

マ:でもあとは完璧だった。

そして今シーズン初めて100点の壁を超えた選手になった

ここ数か月間における技術点、演技構成点の最高得点を獲得した

おかえり!

ア:そうだね。羽生は103.89点で2位のネイサン・チェンを大きく引き離し、すぐに優勝に王手をかけた

完全に別次元。もう優勝したも同然だった

<羽生結弦選手のフリー>

(演技前)

マ:試合は羽生結弦が大差で圧勝した

彼の最低目標はトータルスコアで300点を越えること。

今シーズンは今まで誰にとってもタブーとなっている境界だ

出来ればフリーでも200点越え

全ての目標が達成出来たわけではなかった

(演技中)

ア:この目標達成の鍵を握っていたのが最初のエレメンツだった。

ショートプログラムではステップアウトだった4ループ

フリーでは結弦はこんな風に実施した
4ループ!完璧!

マ:まだ知らない人にお知らせするけれど、彼は練習ではこのジャンプを3トゥループとのコンビネーションで跳んでいる
他に付け加えることは何もない

ア:でも僕的にはハイライトはこれだ、注目して欲しい

4サルコウ!本当に驚異的な美しさ!
余りにも簡単に決めた。この競技において無比のクオリティだ

でも羽生は今から見るステップシークエンスに手こずっている。
またステップ3だった
ツイヅルでは少しバランスを崩した。ほとんど分からないけれど、ミスには違いない

この大会ではレベル3でも全く影響なかったけれど、ファイナルでは小さな点差が結果を左右するかもしれない

完璧な3フリップ
準備無しで跳んでいるから、振付の中に見事なまでに溶け込んでいる。

でも全てが予定通りに行ったわけではなかった
ここで大きなミスがある

2本目の4サルコウで転倒
得点的に非常に痛いミスだった。

マ:このエレメンツで10点は失った

ア:驚異的だ(笑)
転倒による減点、GOEのマイナス、REPによる減点等々

でもすぐにチャンピオンのリアクションを見せつけた
プログラム後半に見事な4トゥループ

そして当然、彼の必殺技のアクセル
これだ!何て代物!

3アクセル/3トゥループ

ここでもほとんど助走無しで3アクセル
ループを挟んだコンビネーション、サルコウはダブルになってしまった

これがもう一つのミス
大きなミスではないけれど、羽生はトリプルを予定していたが試合では入らなかった

(このスピンでは)レベル4に届かなかった

おそらく足を換えてから8回転していなかったのかもしれない

これらの細かい部分で改善の余地があるものの、今大会におけるもう一つの大きな収穫は・・・1つ目は勿論、スペクタクルなクオリティだった4ループだけれど・・・この最後のジャンプだ

注目して欲しい
イナバウアーからステップ、そしてプログラムのほとんど最後に完璧な3ルッツ
彼はしばしばこのジャンプに手こずっていたけれど、今回は違った

ミスがあったにも関わらず100点を大幅に超える技術点

マ:高シーズン最高の技術点だ

ア:技術点は間違いない

マ:演技構成点が少し低かったけれど、これについては全試合を放送する予定のグランプリファイナル中に掘り下げたい

プログラムにおける秒単位の構成についてはショートの方が進んでいる
羽生はプログラムの最初の1秒から最後の1秒まで一瞬のスキもなく完璧に構築するスケーターだ。
どんな動作や仕草にもこだわり、細部まで趣向が凝らされている

このフリープログラムが、彼が思い描く通りに仕上がったら・・・
325点は軽く超えるだろう

ア:確かに(笑)

恐ろしい選手
先シーズンのNHK杯ではそういう得点を既に叩き出したことを忘れてはならない

ア:325点はトータルスコアだ

フリーだけなら220点以上

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マッシミリアーノさんがもう4Lo/3T情報を掴んでいてびっくり!
しかも解説中に言っちゃうところが!
ていうか今日公開された映像ですよね???

ダイジェストが放送されたのがイタリアの午前10時から(日本時間の18時)で、マッシミリアーノさんはこの時既に日本時間の1739分にEveryで公開された4Lo/3Tの映像を捕獲していましたので、ほとんどリアルタイムで情報を入手しているってことですね・・・
もはや末期症状のファンなのでは

演技構成点についてはマッシミリアーノさんがツイッターで「非常に低い。あり得ない。アメリカとカナダのジャッジが低い点を付けた」とコメントしていましたけれど、中国杯のパトリックのPCSも思ったより低かったので、今シーズンは全体的にシーズン序盤から高得点を出し過ぎないようにするISUの方針なのかなと思いました

TESと違ってPCSには上限(100点)があるので、今からあまり高得点を出し過ぎると、プログラムが磨き上げられて最も完成度が高まる世界選手権の頃には採点不可能になってしまいそう。

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu