イタリア解説EuroSport版「2018ヘルシンキGP~その他の羽生君成分」

久々の羽生君登場に喜びを隠しきれないイタリア解説
とりあえず隙あらば羽生君について語りまくっていましたのでその部分を訳します

 

実況:マッシミリアーノ・アンベージ(M)
解説:アンジェロ・ドルフィーニ(A)

<男子ショート開始前から第1グループの6分間練習>

M:さあいよいよヘルシンキGPの男子ショートが始まる。
世界中の観衆が待ち望んでいたイベントだ。
何故なら2度のオリンピックチャンピオンにして2度の世界王者である羽生結弦が登場するグランプリ大会だからだ

A:非常に待ち望まれていた大会。その理由は君がさっき説明した通り。
この第三戦はターニングポイントとなる大会。
なぜなら選手達のヒエラルキーが決定され、ファイナル進出の展望についても鍵となる大会だからだ。
それにこれまでの大会で獲得された得点と今大会の得点を比較することが出来る
羽生の存在によって、スケートアメリカのネイサン・チェンとスケートカナダでショートでは苦戦したものの、フリーの最初の3分間で圧倒的な技術的安定感を見せつけた宇野昌磨の得点を比較することが出来る。

M:現時点のショートの今季最高得点は宇野昌磨がロンバルディア杯で出した104.15点
一方、グランプリ大会での今季最高ショートは宇野昌磨でもネイサン・チェンでもなく、キーガン・メッシングがスケートカナダで記録した95.05。
グランプリ大会での今季最高PCSは面白いデータが出ている。
ネイサン・チェンがスケートアメリカで出した44.64
まだシーズン序盤だからこれから向上の余地のある得点だ
なぜならビッグ達はショートをミスなく滑れば47-48点に達することが出来るからだ
羽生は朝のランスルーでショートをノーミスで滑った。
僕達は新しいルールで彼に与えられるべきGOEを考慮して計算してみたけれど、おそらく108~109に達する内容だ
今日、彼が披露する構成での満点は116.76だ。

<男子ショート第2グループ6分間練習>

☆6分間、ほとんど羽生君の話しかしないイタリア解説

☆エレナさんの動画です。いつもありがとう!
Grazie Elena!💛

M:このグループでは技術的にあらゆるタイプの選手を見ることが出来る
クワド2本に挑戦する選手
更にその1本を後半に跳ぶ選手、羽生のことだけれど
クワド1本の選手
そしてクワドを跳ばない選択肢を取った選手
今、カメラは羽生結弦を捉えている。
羽生のグランプリについては面白いデータがある。
ファイナルは4勝
これは男子では他にプロシェンコしか達成していない数だ
そしてグランプリ大会第6戦で4勝
つまり第6戦以外のグランプリで勝ったごとがない。
ここヘルシンキで第6戦以外のグランプリで初めて勝利するかもしれない。
ヘルシンキは彼にとって思い入れのある地だ
過去には何度もフィンランディア杯に好んで出場していた
エスポーだけれど、ヘルシンキに近い町だ
そして2017年のヘルシンキ世界選手権で圧巻のフリーで大差から劇的な逆転優勝を飾ったことを忘れてはならない

A:プレオリンピックシーズンの世界選手権だった

M:そして優勝後日のインタビューで「優勝した昨晩は何をして過ごしましたか」という質問に対して「ホテルの部屋に留まり、負けたショートについて、特定の項目で何故このような得点だったのかを理解しようとしていた」と答えた。
このエピソードは羽生結弦という人間の器の大きさを物語っている。

A:想像を遥かに超える完璧主義者で、フィギュアスケートに関するあらゆる事について綿密に分析し、他の選手達も注意深く観察している。しかも非常に謙虚に彼らについて言及し、惜しみなく褒め称えるのを僕達は何度も聞いている。

M:実際、この大会には何らかの方法で羽生をインスパイアした選手が2人いる。
1人目はクラスノジョンだ。

A:4ループについてだね

M:羽生が史上初めて成功させた4ループに試合で始めて挑戦した選手だ。
そしても一人はジン・ボーヤンだ。

A:ジン・ボーヤンは特に羽生結弦を極限まで挑戦させる起爆剤になった。
実際、彼は憑りつかれたように4ルッツの練習を始め、残念ながらこれによって怪我という高い代償を払うことになったことを忘れてはならない。

M:この大怪我は彼の昨シーズンに大きな影響を与えた。
それでも彼はオリンピックで勝ったけれど、自分が思い描いていたエレメントを入れることが出来なかった。羽生比でプログラムの難度を少し下げざるを得なかった。

A:でもそれでも高い得点を獲得できることを証明した

M:しかもルッツは最近、練習を再開したばかりだ

A:トリプルだよね?

M:そう、僕達はヘルシンキの公式練習で彼が3ルッツを跳ぶのを見た
でも別のルッツを試す可能性がないとは言えない。
それにルッツは、トリプルのことだけれど、彼にとっては簡単なジャンプだ
4ルッツを練習するようになってから、3ルッツで苦戦するようになったけれど。

A:それに彼はいつもフリーの最後で3ルッツを跳ぶ。
だから疲れや、足に来ているといったことが原因でミスすることがある。

<田中刑事選手の演技中>

M:曲はゲイリー・ムーア

A:僕達にとっては、別の日本人選手を思い起こさせる音楽だ(笑)
まさに羽生だ

M:抗いようがない

A:その通り(笑)
オリンピックで当時の歴代最高得点を叩き出し、ショートプログラムで首位に立った
史上初の100点越えだった
「パリの散歩道」

<ビシェンコ選手のリプレイとK&C>
☆ビシェンコ選手のリプレイ中になぜか羽生君のPCSの内訳を説明し始めるマッシミリアーノさんw

M:それで・・・羽生はスケーティングのクオリティを評価するSkating Skillsで9.5を持ち帰った
次にTransitionsは9.39
Performansは9.46、Compositionは9.64、Interpretationは9.61
満点からそれほど遠くない得点で、何人かのジャッジは10点を出した
彼はどこまで到達できると思う?
羽生はこれまでに49.14に達したことがある。
でもこの音楽はより彼の個性に合った、まさにドンピシャリのハマりプロだ

(ビシェンコ選手の得点が表示され、やむを得ずようやく話がビシェンコ選手に戻る)

<ペアフリー冒頭>
☆ペアの試合が始まるというのに「ウチのユヅル自慢」が止まらないマッシミリアーノさん

M:先ほど男子ショートが終了し、羽生結弦が大差で首位に立った
羽生結弦は朝のランスルーでは更にいい演技を見せた

A:幾つかのエレメントでね

M:あのランスルーは僕達の計算によればおそらく108~109点に値する演技だったけれど、実際には107点弱に留まった。
ショートの今季最高得点、今季最高PCS・・・つまり全てにおいてベストだった

<フリーダンスのジャッジ紹介中>
☆歴代のアイスダンス選手達の話から

M:シェイリーン・ボーンは皆知っているだろう
今では振付師として超一流選手のプログラムを手掛けている
その中には今日、大差で男子ショートを制した羽生結弦もいる
今日のハイライトだった。
なぜなら彼の演技は並外れていたからだ
今季最高得点を更新した
ルールが変わったから世界最高得点というべきだろう

<フリーダンス終了後>

M:優勝はステパノワ/ブーキンだった
今日のロシアは三戦三勝(ペア、女子、アイスダンス)だった。
フォーカードを揃えるには明日、羽生に勝たなければならないけれど、難しいだろうね。
ヘルシンキ大会2日が終わった
でも試合とエキシのある3日目がある。
男子フリーは明日16時から放送する
羽生結弦に注目だ
前人未到のエレメントに挑戦するつもりだ。
4トゥループと3アクセルのシークエンス

A:練習では困惑させられるほど簡単に跳んでいる。

M:成功率100%
言葉にするだけでも恐ろしいこのエレメントを彼は試合で跳ぼうとしている

**********************************
☆アイスダンスとペアは試合を全部見ていたわけではないので、他にもあるかもしれませんが、とりあえず気付いた範囲で印象的なコメントを抜粋してみました
ちなみに、翻訳しませんでしたが、スケアメとスケカナでもハニューハニューを連呼していました。
エレナさんが動画にまとめてくれています

エレナさんの動画コレクション>>

Otonalはこのままずっと見ていたいとかお二人共かなりお気に入りのようです。
マッシミリアーノさんのOriginのプログラムや選曲に対する感想は分かりませんが、アンジェロさんは「これはMusica nervosa(前回の記事で「荒々しい音楽」と訳しましたが、直訳するとナーバスな、または神経質な音楽という意味)で、しなやかで滑らかで流れるような羽生のスケートにはあまり合わないと思う」と言っていました。
音楽を形容するのにナーバスという単語はあまり使いませんし、そもそもあまりいい意味で使う言葉ではないので、Originの原曲自体があまりアンジェロさんの好みではないのかも。

ちなみにアップテンポでノリノリだったプリンスはハマりプロ、珠玉、マイルストーンと絶賛の嵐だったので、単にしっとり系が好みという訳でもなさそう。
私はどちらも羽生史上最高プロになると確信しています。

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu