大会翌日に上位選手の演技を詳しく分析するダイジェストより
羽生結弦選手のフリーの演技です。
☆エレナさんの動画です!いつもありがとう!
Grazie Elena!
実況:マッシミリアーノ・アンベージ(M)
解説:アンジェロ・ドルフィーニ(A)
M:次は羽生の番だった。
フリーを欠場するという選択肢もあったのだろうが
最終的にプルシェンコとロシアに捧げる自分のフリープログラムを「ホーム」の観客に披露したいという彼の思いが強かった。
「ホーム」、そう表現していいだろう。
だってここにいる全員が、彼のこの闘いを見守り、応援するためにこの場所にいるのだから。
A:そうだね。まさにこの日本の選手のためのアリーナだった。
特にこの怪我の後、ますますそうなった。
それに彼はいつでもとても愛されているスケーターだ
そしてこのプルシェンコとの絆をロシアの観客達も感じ取ったのだろう
M: 羽生はフリープログラムの構成を下げる決断をした。
断腸の思いで決断したのだろう
A:輝かしいスタートだった
美しい4サルコウ
ジャンプまでの準備が羽生のいつものスタンダードに比べるとトランジションが少なくシンプルになっていた。
だからジャンプの難度を下げただけではなく、この観点においても少し難度を下げた
M: つまりエレメントの難度とトランジションの難度においてと言う意味だ
A:この4トゥループの前についても同じことが言える
そして戦意を喪失させられるほどナチュラルに跳んで見せた
つまり・・・このパフォーマンスのために彼は本当に戦い抜いた
そして彼は悔しかっただろう・・・ベストの演技が出来なくて・・・そして何より・・・最高の力を発揮できないことが分かって。なぜならベストのコンディションではなかったからだ。
M: 右足の負傷はパフォーマンスに大きなハンデを与える。
A:それに古傷と同じ個所だ。
このことは彼を余計に心配させたに違いない。
オリンピックシーズンを脅かした右足首の怪我に苦しんだばかりだから
M: でもプログラム前半は一糸の乱れもなかった
A:冒頭からすぐに構成を下げたことが分かった
4ループではなく4サルコウを跳んだからだ
この選択は・・・当然・・・正しかった。
ループで転倒した同じ脚で、見て欲しい3ループ
M: 全く何の準備もなくね
無から跳んで見せた
A: でも当然、怪我をした足首により負荷のかかるジャンプだ
A: 同じことが多くのステップから実施されたこの3フリップについても言える
勿論、全体を見れば羽生のベストの演技ではなかった。
そして、2本目の4トゥループを実施したことも忘れてはならない。
プログラムのかなり後半で
しかもオイラー/3サルコウを付けて(笑)
だからここまでは
M: ここまではよかった
A: 通常、彼の得意なジャンプで苦戦した
M: なぜならプログラム開始から3分が経過していて、ここまでにかかった負担で足首がもう限界だったのだろう。
彼の得意技で転倒した。
A: しかも回転が少し足りず、公正に回転不足と判定された
M: 踏切時に高く跳び上がることに苦労していた
A: 後半は繋ぎが更に増えてよりむしろ前より豊かになっていたぐらいだけれど、もはや疲れ、おそらく痛みもあるのだろう。
ショートの結果を見れば、このフリーで試合に余裕で勝てるのは明らかだった。
問題は出場するべきだったのか否か。この出場が・・・足首を悪化させる可能性があるかどうかだった。
これについては間もなく分かるだろう・・・検査結果に関する詳しいニュースを発表されるのを待とう。回復にどれほど時間がかかるのか
M: いずれにしてもここモスクワのアリーナで優勝を飾った。
この同じリンクで彼はグランプリ初優勝を飾った。2011年、彼がまだ17歳にもなっていなかった時だ。
あの時、グランプリファイナルに進出するには優勝するしかなかった
そしてまだ16歳の羽生は優勝することが出来た。
そして、ここでファイナルを含むグランプリ大会10勝目を挙げた。
この数字を上回るのはパトリック・チャン、エフゲニー・プルシェンコ、アレクセイ・ヤグディンだけだ
怪我が残念だ
公式練習やショートで絶好調だった彼を見て、僕達は200点を大幅に超えるフリーを夢見ていた。つまり新しい世界最高得点だ
A: 残念ながら・・・羽生はこのような快挙に挑戦できるコンディションではなかった。
プログラムの難度を下げると言う正しい判断をした
それに2つの大きなミスで大量の得点を失った
でもこのような状況において・・・僕達に言えることはただ一つ・・・このフリーを滑るという彼の選択が・・・怪我を悪化させて・・・必要以上に長い休養を強いられるようなことがないことを願っている・・・
(この辺りからアンジェロさん涙声・・・😭)
M: 試合の後、何が起こったか
プレスカンファレンスに杖を使って現れ、松葉杖姿でアリーナを後にした。
翌日、エキシに出演出来ないので、表彰式に出席したけれど、表彰台まで松葉杖を使って到達しなければならなかった。
今後のシナリオがどうなるのか見守ろう
昨シーズンの怪我ほど重症ではないように思われる。
でも問題はこの大会でかなり患部に負担をかけたことだ。それに頻繁に再発するタイプの怪我だ。
それはともかく、完全に片足が不自由な状態で4サルコウ、4トゥループ、最初3分間は一糸の乱れもないフリーを滑った。
これは偉業だ。
モスクワで彼が成し遂げたことは2度のオリンピック金メダル、2度の世界タイトル、グランプリファイナル4連覇と同等の価値がある偉業だ
A: 真の本物の偉業だ
彼が不安定なコンディションで競技を強行するのはこれが初めてではない。
中国杯を覚えているだろう?ハンヤンとの衝突事故の後で
M: 僕達はよくふざけて「惑星ハニュー」と言っているけれど、これはもう超能力の領域だ
A: (笑)本当に真の規格外の選手だ
M: それに彼はもうこれ以上何も示す必要がないのに
彼が競技を続けてくれるというだけで、フィギュアスケートファンとフィギュアスケート界全体に対する更なるプレゼントだ
A: そうだね。彼は本当に規格外だから
そしていつも呆気にとられるようなクオリティを氷上で披露してくれる。
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☆羽生君、エイリアンの次はエスパー認定
マッシミリアーノさんもアンジェロさんも本当に心配してくれているのが声から伝わってきます。
私は朝の公式練習は見ていませんでしたが、ネットのニュースで怪我のことを知りました。昨シーズンと同じ右足首なので欠場も覚悟していました。
6分間練習の彼の様子から怪我がかなり深刻なことはすぐに分かりました。
最初のアクセルがパンクした後、3Lo、4T/eu/3S、1本目のサルコウはパンク、2度目で4サルコウが綺麗に決まると、その後はジャンプをほとんど跳ばずに確認しながらずっとリンクを周回していましたから。
急遽、4ループ無しの構成に変更し、平昌の時と同じように足首に負担を掛けないよう必要最低限のジャンプだけを跳び、あとはイメージトレーニングをしているのだと思いました。
フリーの演技が始まって、最初の4Sと4Tが信じられないほど美しく決まり、激しいステップシークエンス、助走レスの3Lo、その後は、普通に考えて、当然、4トゥループからのコンボだと思っていたら、何と単独の3フリップ。
4T/eu/3Sで涙腺が崩壊しました!
信じられない・・・
こんな状況でも4Tと3アクセルからのコンボを全部ボーナスエリアに固め打ちとか・・・
あり得ないでしょう???
この状態でクワドを3本入れるだけでもおかしいのに!
五体満足の他の選手達は多くてクワド2本で、ショートの点差と面子を考えたらトリプルだけのプログラムでも余裕で勝てたというのに😭
マッシミリアーノさん達も実況中はクワドを3本も跳ぶぐらいだからそこまで重症とは思っていなかったようで、プレカンでの松葉杖姿に仰天し、マッシミリアーノさんに至ってはリミッターの最後の糸が切れたようで、FBに狂ったように連投していました。
イタリアのファンの皆さんから寄せられた応援メッセージも含め、感動的な内容なのでその内に翻訳していきたいと思います。