イタリア解説Rai Sport版「中国杯2011~羽生結弦SP」

羽生君の歴代プロメドレーを見て久々に「悲愴」を見たくなりました!

 

エレナさんの動画です。いつもありがとう!

Grazie Elena!♥

 

実況:アリアンナ・セコンディーニ(A)(実況)

解説:フランカ・ビアンコーニ(F)(解説)

 

 

<6分間練習>

 

A:これから最終グループの6分間練習が始まります。

そしてすぐに第1滑走の羽生結弦を見ることになります。

ネーベルボルン杯で優勝した選手で、フランカ・ビアンコーニが思い出させてくれたように、先シーズンは四大陸選手権銀メダルという重要な成績を収めましたから、彼には期待がかかります。

 

F:最初に言っておくことは、このグループの男子達は技術的に非常にハードなプログラムに挑戦するということです。

今ではほとんどの選手がショートに4回転ジャンプを少なくとも1本は入れています。

ですから、このジャンプ要素が成功するかどうかが重要になります。

そして私達はジャンプ以外の部分も美しいプログラムも堪能できることを願っています。

 

 

A:準備している羽生結弦が見えます

美しいプログラムといえば、私達は既にスケートカナダで見ました。

コーチによって選手がどれほど変わるのかを見ました。

私達はスケートカナダで見たハビエル・フェルナンデスの変化に驚愕しました。

ブライアン・オーサーは素晴らしい仕事をしたと言えます。

 

F:そのね。

このことから各選手はそれぞれのコーチを何らかの形で映す鏡と言えます。

何故ならいずれにしてもコーチのスタイルが選手に刻印されます。

フェルナンデスはコーチ変更が吉と出た例です。

 

A:私達が見慣れてる本当にクラシックなスタイル。

でも同時にエレガントでジャンプが安定しています。

この点においてもブラボーでした

 

<羽生結弦SP>

 

A:そして、フランカが注目しているこの羽生結弦はたった16歳です

この大会は本当に特殊なグランプリと言わなければならないわね、フランカ

 

F:先シーズンまでジュニアだった選手が多く参戦しています。

先シーズン、ジュニアの世界選手権で表彰台に乗った少年達です。

彼らはグランプリファイナルや世界選手権での表彰台によって世界ランキングのポイントを多く獲得しましたから、シニアのグランプリへの参戦権が与えられました。

シニアデビューとは言え、既に実力のある選手達です。

 

A:羽生結弦です

 

F:4トゥループ

 

F:3アクセル

何という素晴らしさ

 

F:3ルッツ/3トゥループ

 

(フィニッシュ)

 

A:まさに私達が彼に期待していた通りの演技だったわね

 

F:私はこの小さな少年に注意してなさいと言ったでしょう(笑)

その才能は火を見るより明らかです

たった16歳で並外れた演技

この少年には本当に多くの資質があると私は思います。

数年で驚異的なほど素晴らしいスケーターになるでしょう。

まだ幾つかの点において洗練させていくべきところはありますし、もっと成熟し、安定させなければならない部分も幾つかありますが・・・

何という膝、何という柔軟性、自信を持って実施されるジャンプ

彼は4トゥループをコンビネーションにする予定でしたが、4Tを着氷した感じから咄嗟に単独にする決断をし、3ルッツに3トゥループを付けてリカバリーする能力を見せました。

つまり既に臨機応変に対応する能力も持ち合わせています。

 

この(スロー)映像を見るとよく分かります。

着氷してフリーレッグをほどき、一瞬セカンドに繋げようとしますが、咄嗟に辞めた方がいいと判断します。

 

このスケーターはスピンも非常に美しく、高い柔軟性があります。

 

リンク中央で何もないところからステップから実施された3アクセル

非常に幅がある傑出したジャンプです。

彼には必要なものが全て、本当に全て揃っています。

 

3ルッツ

右腕と右足を引き、3トゥループ

3トゥループの着氷はもしかしたら少し詰り気味で完全に流れなかったのかもしれません

でも冒頭に4回転ジャンプの入ったクリーンなプログラム

それに見て下さい、既に芸術性もあります。

 

A:そうなのよ。

私もそのことに注目していました。

 

F:既に芸術の魂があります

 

A:彼は全てを一つにして実施しています・・・つまり音楽、技術要素の実施、氷上における演技スタイル、全てを・・・

本当に美しい選手

それに私達にとって彼は特に注目しているスペシャルな選手だから、そうでしょう?(笑)

 

F:その通り

 

A:がっかりさせられることはなかっと言わなければならないわね。

 

F:全くないわね

僅か16歳にして既にこれほど成熟しているのだから、将来をかなり期待させられます。

小塚も彼に注意した方がいいわね。

彼にとっては手強いライバルになるでしょう。

彼よりずっと若く、当然経験も少ないですが、全てを兼ね備えた選手です。

 

何という得点でしょう

 

A:81.36

ここまでの選手達とは全く別の次元です。

大会のレベルは一気に上昇しました

彼に次ぐ現在2位のナンソンは72.72です

81.36はこの選手の総合力に報いる得点です

 

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☆2011-2012年シーズンはロミジュリに注目が集まりましたが、この「悲愴」も選曲も振付も衣装も秀逸な素晴らしいプログラムです。スクリャービンの原曲は元々好きでしたが、このプログラムではピアノコンチェルト版を使用したのがまたいいですね。

このシーズンはショートでミスをして出遅れ、フリーで怒涛の挽回というパターンが多かったので、この中国杯の「悲愴」はジャンプが全て成功した貴重なノーミスバージョンです。

 

この前のシーズン、とりわけ高さと幅のある美しいジャンプと並外れた音楽表現(そして外見の可愛さ)に感嘆させられましたが、この「悲愴」ではスピンにも目を奪われました。

特に足の間に挟まれた手が音に合わせて変化していく最後のコンビネーションスピンは左右の色が異なるグラデーションカラーの袖と手袋によって独特な手の動きが強調され、強烈な視覚的インパクトでした。

この時はこのプログラムが津波や海をイメージして作られたことを知りませんでしたが、初めて見た時、すぐに荒れ狂う海と嵐のイメージが浮かびました。

16歳にしてイメージを具現化出来る選手。

またイタリアのファンの多くが「悲愴」の衣装を羽生君のベストコスチュームと言っています。

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu