ジャパンウィーク中間報告+雑感あれこれ

ジャパンウィークにおけるマッシさんの講演動画はまだ編集が終わらないらしく、こちらに回ってこないので、取り敢えず美術監督のバルバラ・ワシンプスさんによる事後報告をご紹介します。

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皆さん
本当は今朝ご報告したかったのですが、ゲストの方々の出発や緊急に片づけなればならない雑事に追われ今になってしまいました。

多忙の中、今回のイベントに参加してくれたマッシミリアーノ・アンべージに改めて心から感謝します。
昨日の午後到着し、今朝出発するという文字通りの強行スケジュールでしたが、いつものように持てる全ての情熱を注いでくれました。
結弦について語る彼を生で見ることが出来た唯一の機会でした。欲を言えば、このような講演には少なくとも丸1日が必要ですが。

彼のスピーチは途方もなく素晴らしいものでした。
確実に良い映像が撮れるよう、私達はテレビカメラを何台も配置しました。
私がイベントの概要を簡単に説明した後、マッシミリアーノは結弦のキャリアについて延々と語り、私達を喜ばせてくれました。講演中、ビデオも何本か映写しましたが、博物館の閉館時間が迫り、彼に出来るだけ長く話す時間を与えるために、ビデオは数本に留めました。
前もってお断りしておくと、動画の公開には少々時間がかかります。他の展覧会の映像も含めた動画の編集はかなり大変な作業だからです。

将来的に北部でも日本がテーマのイベントを企画しようという空気がありますので、またこのような機会に恵まれ、結弦の歴代プログラムや彼のその後の軌跡について語るマックスのスピーチを再び生で聴ける日がくることを願っています。

打ち上げが行われた日本食レストランにて
(バルバラさんに提供して頂いた写真です)

☆前に書いたように、ナポリはイタリア中どこからでも遠く、特にマッシミリアーノさんが住むフランス国境に近い西リヴィエラからは気が遠くなるほどの距離です。
しかも、近くに空港がなく、ジェノヴァから先は高速特急が走っていないため、例えば距離的には同じぐらいのヴェネツィアから行くよりずっと不便なのです。

イタリア半島を縦断!

せっかくここまで来たのだから、数日滞在して周辺のポンペイとかカプリ島を観光したりするのかな?と思いきや、文字通りのトンボ帰り😭
せめてスパッカナポリと卵城ぐらいは見れたのかしら・・・

ナポリの名所の一つ、卵城

そしてバルバラさんのこの一文に😃

将来的に北部でも日本がテーマのイベントを企画しようという空気がありますので

是非是非お願いしたいですね!
せめてローマより北、出来ればフィレンツェより北で!

<雑感あれこれ>

昨日、ブダペストトロフィーが終了し、羽生君と紀平梨花ちゃん以外の注目している選手達の今シーズンのプログラムが出揃いました。

個人的に最も鮮烈なインパクトを受けたのはカミラ・ワリエワ。
フィンランディア杯ではショート/フリー共に3アクセルでミスがありましたが、シニアデビューでフリーとトータルの世界最高得点を塗り替えました。
マッシミリアーノさんじゃないですが、これがロンバルディア杯ならあと5点ずつ高い点が出たんじゃないでしょうか。特にショートプログラムは最初から最後までシームレスでどこを切り取っても美しく、ジャンプが全部決まったら間違いなくショートの世界最高得点を更新するでしょう。

そして樋口新葉ちゃんが凄く良いですね!彼女はジュニア時代から好きで応援している選手なので嬉しいです。
フリーのライオンキングは彼女にピッタリだし、現時点でこの完成度!
ここから更に滑り込んで行けば、2017-2018シーズンのスカイフォールを超える彼女の代表作になるのではないでしょうか。
そして3アクセルが試合で初めて加点付きで決まりました(何と言う幅と高さでしょう!)。
試合で安定して成功出来るようになるといいですね。

しかし国内大会における彼女の演技構成点は何故いつもこんなに低いのでしょう???
新葉ちゃんのスケーティングスキルとスピードは言うまでもありませんが、表現力という点においても、個性と説得力のある選手だと私は思います。特にライオンキングにはコレオシークエンスを含め、彼女の並外れたスケーティングスキルと身体能力だから可能な独創的で技術的に非常に難しいパッセージが幾つも組み込まれており、ルッツが抜けただけでステップアウトも転倒もなかったほぼクリーンな演技にPCS66点は低過ぎませんか?😡

以前、ポッドキャストで日本の女子選手は何故PCSがあまり出ないのか?という話題になった時、マッシさんは「演技や滑りが、ではなく、氷上における印象や雰囲気がジュニアっぽく見えるからではないか」と推測し、アンジェロさんは「Projection」(プログラム全体が物語るストーリーや、プログラムに込められた意味やコンセプトを、動作のインパクトや、振付に意味を持たせることによって、観客やジャッジや視聴者に伝達する能力、演技中に選手自身が生きている感情や感覚を外側に投射する能力)が足りないからではないかと分析していました。確かに言われてみればそうかもしれません・・・
しかし、新葉ちゃんにはそのProjectionがあると。
実際、彼女の演技は欧米受けすると思いますし、海外の試合の方がPCSの評価が高い傾向にある選手です。
地方大会を含め、日本の国内大会を見ていると、連盟の好みなのか派閥なのか、PCSやGOEの出方が選手によって差が露骨、という印象を受けます。
佐藤駿君に対する異常に低いPCSもそうですが、世界の評価基準から乖離した国内限定の内輪採点になっていませんか?
重要な五輪シーズン、どの選手もこのシーズンを目指して頑張ってきているのですから、西とか東とか派閥とか、そんなことに左右されず、純粋に氷上で披露される内容を、全選手に統一された基準で、公正に評価してあげて欲しいと思います。

ブダペスト杯ではシニアデビューのマイア・フロミフが現世界女王のシェルバコワを破って優勝しました。
ロンバルディア杯など他のチャレンジャー大会に比べて採点が辛目の大会でしたが、シニアデビューでPCSもいきなり70点台に乗せてきました。元々スケーティングの質の高い選手ですし、ダイナミックでスピード感のある演技は個人的にシェルバコワより好みなのでこの得点は納得です。
そして先程の話に戻ると、長身(バイオグラフィーを見ると166センチなんですね。もっと高いと思いました)で15歳には見えない大人びた雰囲気を持つ彼女は、「氷上の印象」という点においても有利です。タンゴという選曲も正解だと思います。

シェルバコワはまだ万全からは遠いコンディションという印象でした(それでも4F以外、全てのジャンプを降りたのはさすがですが)。
ブタペストではフリップに一斉に「!」が付いていました。
まあ妥当な評価だと思います😅
それにしても編曲が酷過ぎて可哀そう・・・
グレイヘンガウス氏の強引な切り貼り編曲のセンスは今に始まったことではありませんが、最も重要な五輪シーズンによりにもよってこの酷い編曲🤦‍♀️・・・
最後がレクイエムのラクリモーサというのも意味が分からない(そして、アンジェロさん曰く、フィギュアスケート史においてモーツァルトのレクイエムはあまり縁起の良くない不吉な曲らしい)。
グレイさんはシェルちゃんに金メダルを獲らせる気がないのでは、と疑うレベルです。
他のリンクメイト達がボレロ、タンゴ、トゥーランドット、ヴィヴァルディの「冬」と如何にもジャッジ受けしそうな王道曲なだけに、選曲で損をしなければ良いのですが

<羽生君から今シーズンに向けてコメントがきました!>

できること、
一つずつ。

選手生命の短いフィギュアスケートで、いわゆるベテランと呼ばれる年齢に入っても、エフォートレスで美しいジャンプを跳び続けられるのは、幼い頃から築かれてきた揺るぎのない基礎、その上に一つずつ着実に積み上げられていった正しい技術があるからですね。
強固な地盤に堅実に少しずつ築かれていった塔はどんなに高くても、どんな嵐が来ても倒れないのです。
逆に砂の上に大急ぎで築かれた城は一瞬だけ美しい姿を留めても、すぐに崩れてしまいます。

この感じだと、このままプログラムなどに関する発表はなく、NHK杯で一挙公開、という展開でしょうか。
昨シーズンは12月のクリスマスまで待った訳ですから、それを思えば11月なんてすぐですよ💪
どうか充実した環境で練習に集中出来ていますように!

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu