マッシミリアーノさんのFBより「エンニオ・モリコーネの命日に捧げる三原舞依のミッション」

現在、マルティーナさんの長文分析記事を翻訳中ですが、マッシミリアーノさんがエンニオ・モリコーネの命日にご自身のFBページに上げていた投稿がとても素敵だったのでご紹介したいと思います。

https://fb.watch/edwsm3s7UR/

今日は2020年7月6日に91歳でこの世を去ったエンニオ・モリコーネの2度目の命日である。

史上最も偉大な作曲家の一人と、スポーツとの絆は時の流れと共に揺るぎないものになった。

様々な時代の、様々なオリンピック競技(新体操、フィギュアスケート、アーティスティックスイミング)の無数のアスリート達が、ローマのマエストロの音楽に触発され、そのメロディーに乗せて演技してきた。そして、これからも多くのアスリートがこのリストに加わることだろう。

中でも、最も多く使われてきたサウンドトラックは、「ミッション」、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」、「ウエスタン」、「アンタッチャブル」、「ニュー・シネマ・パラダイス」、「ラ・カリファ」である。

近年、モリコーネのテーマを選んだ女子スケーターの中で特筆に値するのは、2シーズンに渡って映画「ミッション」のテーマに乗せて演技した日本の三原舞依である。

23歳になろうとしている神戸出身のスケーターは、英語圏では「アウトサイダー」と定義されるカテゴリーの選手である。

同い年の坂本花織と共に育ったホームリンクでナンバーワンと見なされたことは一度もなく、常に大勢いる日本女子の一人と見られていた。ノービスからシニアまで、どのカテゴリーでもナショナルチャンピオンのタイトルを獲得したことは一度もなく、他の女子より才能や価値が劣ると見なされていたため、世界ジュニア選手権に派遣されたことは一度もなかった。それでも、若年性特発性関節炎という難病に苦しめられているにも拘わらず、彼女は自分に相応しい場所を見つけるために、決してあきらめず、運命を変えるために闘い続けた。三原はオリンピックに出場する栄誉を味わったことはなく、一度だけ出場した世界選手権では健闘して5位だった。彼女が最も報われたのは、見事な演技で優勝した2019年ユニバーシアード、そして4回表彰台に乗り、5年もの間をおいて(2017年から2022年)2度優勝した四大陸選手権である。これはフィギュアスケートではごく稀なことである。

正直、三原舞依の競技人生はISUが全力で追求し、推進したい全てを体現している。そこそこ早熟だが、新人ではなく、息の長い選手になろうとしている。

残念なのは、しばしば特別な説明もなく、ジャッジ達によって常に過小評価されていることだが、これら全ては随分前からこのスポーツの矛盾点と見なされていることである。驚異的な追い上げで3位で大会を終えた2019年四大陸選手権で三原舞依が滑ったフリープログラムは、あらゆる点においてエンニオ・モリコーネという芸術と音楽のレジェンドに捧げられた動くオマージュである。

繊細さ、エレガンス、軽やかさ

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☆舞依ちゃんのミッションは彼女の代表作であり、最高傑作だと思います。

昨シーズン前半、抜群の安定感を誇る舞依ちゃんは五輪代表の有力候補だと思っていました。紀平梨花ちゃんの全日本欠場が発表された時、舞依ちゃんの代表入りはほぼ確実だと思っていましたが、フリーで痛恨のミス。掴みかけていた北京のチケットは指の間から滑り落ちてしまいました。これまでの彼女の闘いや努力を思うと、運命とは何と残酷なのだろうとやりきれない気持ちでした。

それでも懸命に笑顔でリンクメイトの坂本花織ちゃんを祝福する姿に心を打たれ、その後の四大陸選手権の演技には本当に感動し、もらい泣きしました。

彼女自身、本当に天使のような子なんだろうなあと思います。だからこのように慈愛に満ちた、見ていて心が洗われるような清らかなミッションを演じられるのでしょう。

個人的にリストの「ラ・カンパネラ」とかドゥビュシーの「亜麻色の髪の乙女」とか繊細なピアノ曲で滑って欲しいと思っていましたので、今シーズンのショートプログラム「戦場のメリークリスマス」はとても楽しみです。

現役を続行してくれてありがとう!
頑張って、舞依ちゃん!

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu