在外公館として発信する重みと責任

アワードの前、在ボストン日本総領事館公式アカウントの不適切なツイートが大問題になっていたようですね。

私はこの日、来客などで1日中忙しく、ネットはほとんどチェックしていませんでしたから、エレナさんに教えてもらってこの件を知ったのはアワードの翌日、既に問題ツイートが削除された後のことでした。

問題のツイートを私は実際には見ていませんが、エレナさんのブログに掲載された記事、及びスクショによると、普段フィギュアスケートや日本のアスリートについてほとんどツイートしない領事館の公式アカウントが、「何故か」アワード前のこのタイミングで羽生君の今シーズンの戦績を低く下げるようなツイートをしたそうなのです。

問題のツイートはこのような内容でした:

フィギュア羽生結弦選手の主な戦績 : 2019年GPファイナル、全日本とも2位

— JapanConsulateBoston (@JPNCons_boston) July 11, 2020

羽生選手の今シーズンの主な戦歴と言えば、四大陸選手権優勝、男子シングル史上初のスーパースラム達成ではないですか?

国内大会の全日本2位を入れて、チャンピオンシップである四大陸選手権優勝を入れ忘れるとは考えられません。

100歩譲って、ツイートした方にフィギュアスケートや羽生選手に関する知識がなかったとして、ウィキペディアなどで調べれば簡単に分かることです。

そして公式ツイッターで発信する以上、正確な情報を調べ、責任を持って発信すべきです。

在ボストン日本総領事館は外務省直属の「在外公館」と呼ばれる機関です。

外務省の在外公館の職員が、国民栄誉賞を受賞したアスリートの戦績を下げるツイートを公式アカウントで発信する

これは削除して謝りましたで済まされる問題ではないと私は思います。

広報担当の方が独断でやったのか、上司からの指示だったのかは分かりませんが、この件に関わった領事館の職員は、自分の行為の重さ、解雇のリスクさえある「やらかし行為」であることを自覚していたのでしょうか?

領事館の職員は大きく2つに分けられます。

日本から派遣された外務省所属の職員または外交官(難しい公務員試験をパスしなければならない)
そして現地採用の職員です(警備員や清掃などの雑務以外では高度な語学力などある程度のスキルを求められるのでハードルは高い)

通常、受付や事務などの業務は現地採用の職員が担当しています。

在ミラノ日本総領事館の場合、広報担当は現地採用のイタリア人女性です(外務省派遣の日本人上司の下で働いているようです)。

問題のツイートを実際に発信したのが誰なのかは分かりませんが、難関試験をパスして外務省に入るような優秀な方がこのような軽率で愚かなツイートをするとは信じられませんし、信じたくありません。

現地採用の職員だとすると、この方は苦労して手に入れた職を失うかもしれない愚行だとは思わなかったのでしょうか?

在ボストン日本総領事館は問題のツイートを削除してなかったことにするのでなく、職員による軽率な行為の責任、外務省在外公館として公式ツイッターで発信される発言の重みを今一度問うべきではないでしょうか。

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu