神話と共に生きられる幸運

2022年が終わろうとしています。
日本はもう2023年の元旦ですね。イタリア時間の年内に投稿出来るか・・・

2022年は激動の一年でした。オミクロン株の猛威と共に年が明け、少し落ち着いたと思ったら戦争が始まりました。ヨーロッパに住む私達にとってロシアのウクライナ侵攻は他人事ではありません。物価の異常な上昇だけでなく、この一年間、戦争の影響は私達の生活の中にはっきり目に見える形となって現れ、コロナウイルス同様、もはや慢性化したウイルスのように世界を脅かしています。

そして北京オリンピックがあり、羽生結弦のプロ転向という歴史的な出来事が起こった年でした。

北京オリンピックやプロ転向について何か書き始めると、とても年内には書き終わりませんから割愛しますが、これまでに彼が見せてくれた、彼にとってはほんの序章に過ぎないプロアスリートとしての活動は、私が以前から感じていたことを改めて、はっきりと確信させるものでした。

私達はリアルタイムで神話を目撃し、神話の時代を生きているのだと。

これまでにも神話となった芸術家やスポーツ選手は存在しました。

カテゴリーを超え、そのスポーツを知らなくても、別の時代の人であっても誰もが名前を知り、その経歴について少なからず把握している伝説の人物。

例えば、私はボクシングに全く興味がありませんが、モハメド・アリは知っています。私が生まれる前に活躍した人だったにも拘わらず、彼のストーリーや映像を機会あるごとに目にしてきたからです。

同じようにオペラはよく分からないけれどマリア・カラスは知っている、洋楽に興味はないけれどマイケル・ジャクソンは知っている、バスケットボールに詳しくないけれどマイケル・ジョーダンは知っている、サッカーファンではないけれどマラドーナは知っている、という人は大勢いるでしょう。

彼らは自分の専門分野でただ卓越していただけでなく、それを改革し、進化させ、枠の中に留まらず、時代やカテゴリーを超えて影響やインスピレーションを与え、圧倒的なカリスマ性と彼らが生み出すドラマによって、その分野に全く興味のなかった人達をも魅了して彼らの世界に引きずり込み、結果的にその分野の普及にも大きく貢献した人達です。

そのスポーツや芸術分野を象徴する存在。

100年後も200年後も色褪せず、神話となって語り継がれていく人物。

羽生結弦もそうなっていくのでしょう。

そのような人物をリアルタイムで見ていられる幸運。

私はグレン・グールドもマリア・カラスもホロヴィッツも生で演奏を聴くこともリアルタイムで追うことも出来なかったけれど、羽生結弦は彼が16歳の時からその進化の過程をリアルタイムで追い、その演技を何度も生で見ることが出来ました。そしてこれからもプロスケーターとして、カテゴリーの枠を超えて何事かを成し遂げていく彼の活躍を見ることが出来るのです。

何という幸運でしょう!

2022年は彼の演技を現地で見ることが出来なかったけれど、2023年は彼を生で見られる運に恵まれますように🙏🙏🙏・・・

皆様も良いお年を
そして2023年もどうぞ宜しくお願い致します。

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu