素敵な出会い

このブログをやっていなければ、起こらなかった素敵な出会いがあります。

先日、ブログの記事がきっかけで何度かメールをやり取りしたことのあった「ロンドンつれづれ」のポプラさんとお会いする機会がありました。

ブログを拝見して才色兼備の素敵な方であることは分かっていましたが、お会いしてみると、とても気さくな方で、スケート談、羽生談が弾み、お店に入った時はランチタイムで混雑していたのに、気が付いたら周りに誰もいないという(笑)
スケートを実践されているポプラさんの知識や情報は面白く、時間を忘れて話し込んでしまいました。

この記事の中で引き合いに出されているニジンスキーの作品は、「牧神の午後」に限らず、映像が残っていませんから、当時の記録や記述を読み、ポーズを取ったニジンスキーの写真を見て想像することしかありませんが、羽生君の演技はノービス時代のものから2023年現在の「阿修羅ちゃん」に至るまで、全て映像で残っているのはありがたいことですね。

その映像は、きっと時代が変わっても色褪せることなく、未来の人々に受け継がれていくのでしょう。彼の演技の映像は100年後の人々の目にはどう映るのでしょうか?

私達が今からちょうど100年ほど前に演じられたアンナ・パヴロワの「瀕死の白鳥」を見て、この世のものとは思われないほど美しいと感じるように、羽生結弦の演技もまた、100年後も輝きを失わず、見る者を魅了し続けていると私は思います。

アンナ・パヴロワは、カミーユ・サン=サーンスの組曲『動物の謝肉祭』の中の28小節のチェロの独奏曲『白鳥』を、有名なバレエ作品『瀕死の白鳥』に昇華しました。生に執着し、もがき、最後は力尽きて息絶える白鳥を全身の踊りで表現したこの作品は、当時は「革命的」と評されました。同じようにイル・ヴォ―ロによるボーカル付きバージョンを使用した羽生結弦の白鳥、「Notte Stellata」は被災地復興の希望を象徴する作品として後世に受け継がれていくのかもしれません。

アンナ・パヴロワの瀕死の白鳥
羽生結弦の白鳥

そして数日前には、いつも能楽をからめた見事な文章で素晴らしいエッセイを書いて下さる太田龍子さんにお会いしました

龍子さんとは、彼女のエッセイのリンクを拙ブログに貼らせて頂いたのがきっかけで時々メールをやり取りするようになり、今回、東京国立近代美術館で開催中の「重要文化財の秘密」という展覧会に誘って頂いたのです。

同美術館70周年を記念して開催されたこの展覧会のキャッチコピーは

「問題作」が「傑作」になるまで

発表当初はそれまでにない表現を打ち立てた「問題作」であった作品が、どのような評価の変遷を経て重要文化財に指定されるに至ったかという美術の秘密にも迫るというコンセプトは、奇しくも先日の「阿修羅ちゃん」考察とも重なります。

「重要文化財の秘密」 問題作が傑作になるまで 公式ウェブサイト (jubun2023.jp)

展覧会は質量共に期待以上で、全ての作品を鑑賞するのに午前中いっぱいかかりました。
中でも圧巻だったのは、横山大観の「生々流転」です。山奥の一滴の水が渓流になり、やがて大河になって海に注ぎ、嵐と共に龍となって天に登るという水の輪廻を描いた水墨絵巻は、全長40メートルという規格外の長さでした。延々と続く絵巻に見とれながら、てれまさに出演した羽生君が長さが20分ぐらいある表現オタクのようなプログラムを作ってみたいと言っていたのを思い出しました。ショパンのバラード第1番にしても「序奏とロンドカプリツィオーゾ」にしても、フィギュアスケートの試合で楽曲を使用する場合、あちらこちらをカットして所定の長さに編曲しなければなりません。私自身、幼い頃からピアノをやっていたこともあり、特に自分で弾いたことがあったり、思い入れのある曲の場合、スケーターのプログラムを見ながら、「ん?ここで切っちゃうんだ・・・」とか「ここから、いきなりここに飛ぶんだ・・・」と思ったことが何度もあります。しかし、ルールから解放された今、原曲を全部使ったプログラムも可能ですよね?20分ずっと滑っているのは大変ですが。

彼の頭の中ではやりたいことのアイデアが次から次へと湧き出しているようですから、また皆をアッと言わせるような固定概念を打ち破るプログラムを作ってくれそうです。

展覧会鑑賞後はランチをご一緒して、羽生君の話、特に龍子さんが現地でご覧になったGIFTの話題で大いに盛り上がったことは言うまでもありません。

帰国後、ギリギリセーフで満開の桜を見ること出来ましたが、今週は藤が満開でした。


藤も好きな花の一つです。勿論、イタリアにも藤はありますが、日本の藤には独特の風情があります。

菜の花も満開でした
綺麗・・・

そして羽生君が遂に「徹子の部屋」に出演するのですね!

私は昔からテレビはニュースと、たまにドキュメンタリーぐらいしか見ませんので、日本のテレビ番組には全く疎いのですが、「徹子の部屋」は母が好きでしたから、一緒によく見ていました。どんな話が聞けるのか楽しみです!

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu