イタリア解説EuroSport版「2021年NHK杯:三浦璃来/木原龍一SP」

羽生君を始め、紀平梨花ちゃん、トゥルソワと個人的に見たかった選手が悉く欠場し、ダリア・ウサチュワまでもが6分間練習中に怪我で棄権し、大変残念な大会になってしまったNHK杯ですが、りくりゅうの素晴らしい演技がひと際、印象的でした。イタリアユロスポではペアの生中継はありませんでしたが、上位3選手のダイジェストが放送されました。
マッシミリアーノさんの解説がすごく良かったので翻訳しました。

解説:
マッシミリアーノ・アンべージ(M)冬季競技アナリスト、ジャーナリスト
マリカ・ポーリ(P)元スケーター、コーチ、衣装デザイナー

M:出場ペアは7組です。なぜならこのNHK杯では他のカテゴリー同様、ペアでも欠場者が続出したからだ。
この大会の注目はロシアペア同士の対決、そして進化を続け、何とファイナル進出を争うまでに到った開催国のペアだ。これは日本のペアにとってはほとんど前例のない快挙である。

日本のペアから始めよう。
若い三浦とよりベテランの木原
注意して欲しい。今シーズン、リクとリュウイチは驚異的な勢いで進化している。
ますチャレンジャーシリーズ、そしてスケートアメリカ。
スケートアメリカでは2位だった。
この大会で3位ならファイナルへのチケットが手に入る
彼らの演技を見よう

(演技後)

M:今のところ三浦/木原は今シーズン最大の新星だ。
ペア界にとっては吉報だ。絶対的な注目に値する飛躍的成長を遂げた。
そして、この試合を含め、競技する度に得点を伸ばしている。

P:このことは演技終了後の選手達の嬉しそうな表情からも分かります。
滑り終わった時、前回よりいい演技が出来たことを確信し、自分達の演技にとても満足しているからです。

M:全てのエレメントから彼らの進化が伺える。
冒頭のツイストはまさに競争力のあるエレメントになりつつある。
以前はこの日本のペアにとって大きな問題となっていたエレメントだ。
卵の上の羽毛を見つけるとすれば(敢えて粗探しをするとすれば)、同じ問題。彼女の方が時々SBSジャンプが上手く行かず、回転で時々小さな問題があることだ。
しかし、それ以外に関しては、彼らは矢を弓につがえるペアだ。
「矢を弓につがえる」とは、カナダペアを抜き、イタリアペアを抜き、彼らの前にはもはや中国ペアとロシアペアしかいない、という意味だ。

P:これは凄いことです。

M:アメリカペアも追い抜いた。

P:そうね。

M:ストックホルムの世界選手権では、ショートプログラムは素晴らしい演技だったが、フリーで少し苦戦した。
しかし、今シーズンはフリーでも秀でた演技を見せている。
注意して欲しい。このレベルのペアを得た日本は、北京で団体戦メダルを狙うことが出来る。
これまではいつも同じ国、北米2カ国+ロシアが表彰台を独占していた種目だ。

P:前のオリンピックまでは、日本はペアでもアイスダンスでもハイレベルな選手はいませんでした。ですから、彼らの出現によって勝負するカードが変わりました。

M:日本のペア史上、ファイナルに出場したことがあるのは高橋/トランの一度だ。
2012年にサプライズでニース世界選手権の表彰台に乗ったペアだった。

その後、日本のペアは低迷し、ペアの結成→解体を繰り返し、正しい化学反応を見つけられずにいた。
日本のペアと共にキス&クライにいるブルーノ・マルコットは彼らの前に成功した、ニース世界選手権で表彰台に乗った日本ペア(高橋/トラン)のコーチでもあった。

三浦/木原はずっとカナダで練習している。
73.98はパーソナルベスト。TES、PCS共に得点を伸ばした。
彼らの歓喜は当然のことだろう。

彼らはショートプログラムを3位で終えた。

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☆NHK杯は羽生君が欠場の上、マッシさんのナポリ講演動画の翻訳+字幕付けという気が遠くなるような作業を終えたばかりでちょっと燃え尽きていて、あまり追っていませんでしたが、りくりゅうの演技は個人的に楽しみにしていたので頑張って早起きしてライブで見ました。

昨シーズンから今シーズンにかけての彼らの進化は驚異的です。
蕾だったバラが大輪の花を咲かせていく過程を見ているようです。

9月のオータムクラシックと比べても個々のエレメントのクオリティは確実に向上していますし、まるで川の流れのようにシームレスで流麗なスケーティングを見ていると幸せな気持ちになれます。

今シーズンどこまで進化出来るのか楽しみです!
頑張って、りくりゅう!

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu