Ginnasticomaniaより「世界フィギュアについてM.アンベージに聞く(後編)」

前回の続き
器械体操専門チャンネルGinnasticomaniaで放送されたマッシミリアーノさんの最新インタビュー後半
女子シングルの話題ですが羽生君の名前もチラッと出てきます。

マッシミリアーノさんが番組制作者から転載許可を取って下さり、エレナさんが日本用にDailymotionに動画を上げて下さいました!Grazie mille!💛
*他のメディアへの転載はご遠慮下さい。

出演者
キアーラ・サーニ(C)-女優/アナウンサー
マッシミリアーノ・アンベージ(M)-ユーロスポーツ解説者/ウィンタースポーツ専門アナリスト/ジャーナリスト

M:女子について話そうか

C:私が聞きたかったことです。

M:ザギトワの優勝は妥当だし、彼女が勝利に相応しかったと僕は思う。
彼女は絶対的な規格外の選手で、たった3シーズンでジュニアとシニアのあらゆるタイトルを総なめにした。
彼女の前にこの偉業を成し遂げた女子選手は一人、キムヨナだけだ。
だからザギトワは彼女に相応しい評価、ロシア史上最高の女子選手と評されるようになった。
多くの人が彼女はもう終わったと見なしていたけれど、僕は公式練習の彼女を見てこれは注意が必要だと言った。
何故なら非常に痩せていて特に腰回りが細くなっていたからだ。
彼女のようなタイプの選手がこんな風に身体を絞っていると、通常ジャンプを回り切って着氷することが出来る。
実際、彼女は全てのジャンプを着氷した。
彼女は精神的に困難な状態でこの世界選手権に臨んだ。

C:疲労困憊していましたし、彼女にとっては過酷なシーズンでした。

M:ロシア選手権では年下のリンクメイト達に30点差で惨敗した。
圧勝確実と思われていた欧州選手権では格下の選手に敗れ、優勝出来なかった。

C:ワールドカップでも ←☆おそらくファイナルの間違い

M:その通り。
つまり彼方此方でベストではないザギトワを見かけた。
素晴らしい演技をしたオーベルストドルフの大会とか、おそらくシーズン序盤の幾つかの試合はよかった。

C:そして劇的に復活しました

M:まさに劇的な復活。でもこれを出来るのがチャンピオンなのだ。
勿論、日本の紀平梨花がノーミスなら彼女が勝っていただろう。
でも得点源のジャンプ2本でミスをした
ショートで3アクセル1本、フリーで3アクセル1本だ。
現在、紀平は演技構成点の幾つかの項目ではザギトワより優れているかもしれない。全ての項目ではないけれど

でもエテリ・トゥベリーゼ組のザギトワのプログラムは非常に賢く構築されている。
何故ならその選手の長所を生かせるように作られているからだ。
だから幾つかの観点において足りない部分があったとしても・・・
例えばザギトワに紀平のスケーティングの質はない。
そうだろう?
これは一目瞭然だ。
でも最終的にザギトワのパッケージには説得力があった。
これが僕がザギトワが優勝に相応しかったと見なしている理由だ。
紀平は勝利のチャンスをフイにしてしまった。

坂本花織は2位に入ることが出来た。
おそらく坂本はザギトワに勝てる得点は握っていなかった。
この採点システムでは
でも今大会、目を引いた選手だった。
4位に終わり、表彰台に上がれなかったけれど、彼女ならもっと出来たはずだ。

いずれにしても、ミスをしなかった選手、そしてあの時点で最も完成されたパッケージを持っていた選手が勝った。
だが、来シーズンもこうなるかと言うと、大きな疑問がある。

C:実際、来シーズンは状況が大きく覆される可能性がありますね?
とりわけいわゆる「ネオシニア」の選手達を考慮すると

M:今年は女子シングルにとってゼロ年、または元年(どちらでも好きな方を選んでよ)だ。

C:ヨハネの黙示録ですね

M:ゼロ年または元年なのはカザフスタンの選手が4サルコウを決めて銀メダルを持ち帰ったからだ。
勿論、これまでもある程度の成績を収めていたし、才能のある興味深い経歴を持つ選手だ。
でも来シーズン、僕達はより多く女子選手が4回転ジャンプに挑むのを見るだろうし、おそらく成功させるのを見ることになるだろう。
トゥルソワはこれまでにルッツ、トゥループ、サルコウを試合で着氷している。
練習では3アクセルに挑戦し、4フリップは着氷している。
彼女は実質ほぼ全種類の4回転ジャンプを跳んでいる

C:全種類ですね

M:そして彼女達のジャンプ技術について議論すると、ほとんどの4回転ジャンプが大幅にプレローテーションしているという話になる。

でも注意して欲しい
僕は男子と女子で区別したい。

男子ではプレロテのないクリーンな4回転ジャンプを跳ぶ選手が存在する。
羽生結弦は4ルッツを試合で成功させたことがあるけれど、見事なルッツだった。
中国のジン・ボーヤンも同じだ。

その一方で、プレローテーションしながら4回転を跳ぶ選手達がいる。
宇野昌磨の4フリップは明らかに大幅なプレロテだ。

C:勿論です

M:許容範囲を大きく超えるレベルだ。

女子シングルではプレロテ無しで4回転ジャンプを跳ぶ選手を僕はまだ見たことがない。
だから、もしプレロテ無しの女子選手が現れたら、その時はトゥルソワとシェルバコワの技術を糾弾しよう。
でも現時点では彼女達はプレローテーションしながらとは言え、ルッツで4回転を回り切って着氷することが出来る唯一の女子達だ。

C:パイオニアという訳ですね

M:そう、パイオニアだ。
だから僕は彼女達を批判する気にはなれない。
何故ならナンセンスだからだ。

究極難度に挑戦する女子選手達と言いたいし、ロシアの国内システムでは4回転ジャンプに挑戦せざるを得ない現状なのだと言いたい。
何故ならロシアでは3ルッツまでの3回転ジャンプを跳ぶ13歳の少女が50人はいるからだ。
だから勝つためにはそれ以上の何かを加えなければならない。

C:その他大勢から抜け出すためにですね?

M:だから彼女達がクワド無しでも国際大会で優勝出来るのは当然のように思われる。

コスタルナヤのような選手がいることも付け加えよう。
彼女にはクワドはない。
練習では3アクセルを着氷しているけれど、試合で成功出来るかどうかは分からない。
彼女はコンプリートパッケージだ

C:並外れてエレガントです

M:並外れたエレガンスと比類のないスケーティングの質を持っている
この世界選手権に出場した女子選手達と比べても比類がないと言う意味だ。
でも問題は何か?

現行の採点システムではコストルナヤは不利になる

C:優勝争いに入れないですね

M:では女子シングルで演技構成点の係数を引き上げたと仮定して、コストルナヤがトゥルソワに勝てるか考えてみよう。
トゥルソワが思い描く構成、つまり3本のクワドを成功させたら、同じように彼女が勝つ。

C:脱帽ですね

M:トゥルソワがやっていることを考えたら、彼女が勝つのは正しい。
しかし、トゥルソワが幾つかの小さなミスを犯したら、ノーミスのコストルナヤが勝つだろう。

C:体操界ではこのような改正が行われました。
もしかしたらフィギュアスケートでも同じことが起こる望みはあるかもしれません。

M:僕は一スケートファンとして、4歳の時からアイスリンクに通い、スピードスケート以外の全ての氷の競技をやっていた者として、そうなることを願っている。
だから僕の願いはこの競技の未来のためにこのような改正が行われることだ。
その上で、今後何が起こるかは分からない。
でも現時点では(TESとPCSの)均衡は存在しない。

そして君の質問に答えると、ロシアの3人の少女達は、怪我をせず、体調に問題が起こらず、制御不能な体形の変化に見舞われなければ、トップに君臨することになるだろう。
何故なら時として過小評価されがちなトゥルソワのスケーティングも実は傑出したクオリティだからだ。
よく見て欲しい。
幾つかの項目ではシェルバコワの方が優れているかもしれないし、その他の項目ではトゥルソワの方が優れている。

つまり僕達が見ているのは多くの資質を兼ね備えた選手達だ。
男子シングルの4回転ジャンプだけで見ていても何も伝わってこないローラースケーターのような選手とは訳が違う。
勿論、好き嫌いの分かれる選手だろうけれど。

C:それぞれスタイルが違いますね。

M:多くのことを氷上に持ち込むことが出来る選手達だ。
だから彼女達が健康で、ジャンプを全部降りたら、誰が彼女達に勝てるのか僕には分からない。
紀平梨花以外は

C:彼女達を止めるんですね

M:紀平梨花なら3アクセルと練習では着氷している4サルコウで彼女達を阻止出来るかもしれない

☆最後のメドちゃんに関する話題は省略

 

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☆女子シングルにとって今シーズンは3アクセルを持つ梨花ちゃんが飛躍し、トゥルシンバエワ選手が4サルコウを成功させて締めくくったまさに「新時代の幕開け」と定義出来るシーズンでした。

来シーズンからは複数クワドを持つ選手達がシニアに上がってきます😱
いよいよ時代が動く革命期に本格的に突入します。
一体どんな戦いが繰り広げられるのか

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