Ginnasticomaniaより「新型コロナによる冬季競技の現状~激熱トーク羽生結弦」

女優のキアーラ・サーニのトーク番組「Ginnasticomania」にマッシミリアーノさんがゲストとして出演しました。

新型コロナウイルスがフィギュアスケート界に与えたダメージに関する考察、先週行われたイタリア選手権、ロシア女子、そして羽生結弦について語られています。

最初の新型コロナの話題と熱い結弦語りを抄訳します。

出演者

キアーラ・サーニ(C)-女優/アナウンサー
マッシミリアーノ・アンベージ(M)-ユーロスポーツ解説者/ウィンタースポーツ専門アナリスト/ジャーナリスト

 

番組紹介:

破壊的なキアーラ・サーニがGinnasticomaniaの新エピソードでマッシミリアーノ・アンベージをゲストに迎え、フィギュアスケートに関する無数の考察をお届けします。
国際大会のスケジュール、イタリア選手権、ロシア事件、不可欠の羽生結弦など興味深い話題が満載です。
監督:エンリコ・スパーダ

 

C:マッシミリアーノ、今年は特殊で恐ろしい年になりました。
フィギュアスケートに限らず全てのウィンタースポーツにとって。
選手達は特に練習と競技機会という点において、大きな打撃を被りました。

あなたはジャーナリストとしてこの時期をどう考えていますか?

 

M:落胆させられ、勇気をくじかれる時期だと思う。

ISU以外の連盟は現実的なスケジュールを調整し、重要な大会を救った。

しかし、ISUは僕の知らない、しかし推測可能な、同時に共感できない理由によりイベントを開催することが出来なかった。

欧州選手権、四大陸選手権、GPFはキャンセルされ、グランプリ大会は国内大会と化したため、意味のない試合になってしまった。

 

当然のことながら、この状況の一番の犠牲者は選手達だ

僕は今の状況が誰にとっても困難であることは勿論、理解している。

でも、他の全ての冬季競技が非公開、つまり無観客で開催している一方で、何故フィギュアスケートではこのメソッドが適用できないのか僕には理解出来ない。

ISUの別の競技、スピードスケートではこの競技に莫大な投資をしているオランダの資金によって世界選手権を含む大会がオランダ国内で開催される。

3月末のフィギュアスケート世界選手権が開催されるか見てみよう。

しかしながら、今シーズンは多くの選手にとって棒に振ったも同然だ。

選手達の犠牲、彼らが練習に費やすエネルギー、投資する資金と時間を考えると彼らが本当に気の毒だ。

 

C:試合で競技出来ることは選手達にとってトレーニングプロセスと成長の一環になりますよね。

ですから、試合に行けないことは、彼らにとって不利になる要因となります。

オリンピックが近づいてきていますが、彼らが練習のリズムを失うと思いますか?

 

M:2022年のオリンピックについては別の議論をしなければならない。開催の可能性について幾つもの疑問符が付いているからだ。

事実を言えば、イタリアを含む多くの国が可能な範囲で競技する機会を確保している。

ロシアは内部競争が非常にハイレベル、日本もそうだ。
僕は見ていないけれど、アメリカも何らかの方法で幾つかの競技機会を確保した。
こうした国内大会は選手達の試合勘を保たせ、ジャッジの評価を得るという点で役に立つ。

自国ジャッジの評価に「客観性」は全くないから、受け取る得点を鵜呑みにしていいか、と言われると疑問があるけれど、何もやらないよりはましだと思う。

非常事態において選手達に投げられた救命具のようなものだ。いずれにしても、選手達は競技機会を得て、国内のライバル達と競い合うことが出来る。

ただし、あくまでも非常事態の苦肉の策で、最適な方法で開催された訳ではない。

僕は誰も怒らせるつもりはないが、事実は誰の目にも明らかだ。

アルペンスキーは競技している

スキージャンプも競技している、

バイアスロンは60人以上が同じフィールドで競技している。

クロスカントリーも同様だ。

これらは試合が行われている幾つかの競技に過ぎない。

何故、氷の世界では競技出来ないのか?

アイスホッケー連盟は世界選手権を開催する能力がある。

何故可能なのか?

アイスホッケーもインドアスポーツで、多くの選手が一度に同じリンクで競技し、接触し、衝突する。

彼らは良くて、なぜフィギュアスケートはダメなのか?

どこに違いがあるのか?

僕が知りたいのはそこだ。
内部関係者としてではなく、素人として聞きたい。
何故アイスホッケーのU19世界選手権は見られるのに、フィギュアスケートの試合は見られないのか???

つまり僕が言いたいのは、アイスホッケー連盟は多くの国が参加する、これほど重要な大会を開催することが出来る。

何故ISUは何もオーガナイズすることが出来ないのか?

僕は新型コロナウイルス感染という点において、フィギュアスケート欧州選手権よりアイスホッケーの世界選手権の方が開催するのは難しいと思う。

しかし、ホッケーは大会をオーガナイズすることが出来て、フィギュアスケートは出来ない。

ISUは世界で一番正しいのかもしれない。
しかし、明確に理由を説明すべきだ。そうでないと信頼性が失われる。

(イタリア選手権の話題は省略)

 

M:状況は毎日変わる。
イタリア国内でもレッドゾーンからオレンジになり、あるいはイエローがレッドになり、誰にも明日のことが分からない状況だ。

またロックダウンになるかもしれないし、3月末のことは誰にも予測出来ない。

 

C:しかし、欧州選手権もキャンセルされたとなると、2021年も不透明ということになります。つまり選手達は1年ではなく、もしかしたら2年失うリスクがあります。

これについてどう思いますか?

 

M:どう思うかって?悲劇的な状況だ。

欧州選手権が中止になったのはザグレブのアリーナが現在、隔離病院になっているからだ。

しかし、この件に関しても直前に分かったことではなく、大分前から把握されていた状況だった。
だから、Bプランを想定することも出来たはずだ。
もしかしたら、他の国で3月の初めに代替開催されるかもしれない。複数の国が代替開催国として名乗りを上げている。

可能かどうかは分からない。今日、中止を確定したISUのコミュニケーションを読んだ。

でもイタリアを含む多くの国が試合の開催に対して前向きだ。

一番やる気があるのがロシアで次がイタリアだ。
しかし、実現可能性を査定し、開催の共有を図らなければならない。

可能かどうかは分からないが、選手にとって1年半または2年を失うことは大きな打撃だ。

 

C:それに選手とコーチが練習スケジュールを組む上でも問題ですよね。

例えば、欧州選手権の代替開催が直前に決まった場合、選手達のピーキングや調整は難しくなります。

 

M:通常、選手達は最初のピークをナショナル選手権に持ってくる。

フィギュア大国のロシアと日本は年末、アメリカは1月、カナダは既に世界選手権に自国スケーターを派遣しないと発表している。

1月から3月にかけて幾つかの試合が予定されている。

ロシアのように国内競争が激しく、頻繁に国内大会を開催出来る国は有利だ。

ロシアの選手達が、もし巧く管理されていれば、試合勘を磨くことが出来る。

「巧く管理されていれば」と言ったのは試合が多いのは諸刃の剣で、試合をやり過ぎると却って逆効果だからだ。だからその辺のバランスを巧く調整しなければならない。

 

(ここからロシア女子と移籍騒動の話題。気が向いたら時間のある時に訳すかもしれません)

 

C:それではスターの中のスター、結弦の話題で番組を締めくくりましょう。
彼の状況はどうですか?

あなたは結弦の情報を知り尽くしていると私は確信しています。

 

M:確かに彼についてある程度詳しいけれど・・・僕は取り乱したくない

 

C:少しぐらい取り乱してもいいでしょう?

さあ、話して

 

M:ここでは多くの理由によって普通の人間を超越したレベルの人間について話している。

だから彼の決断や考えは、他の人間には理解に至るのが難しい。

間違いなく、結弦はまだ競技を続ける気があって、彼が完成したい4アクセルだけでなく、まだ見せたいことが幾つかあると思う。

結弦は喘息にまつわる身体的問題を抱えている青年で、現在の状況では他の選手よりリスクが高いかもしれない。

だから今シーズンは全ての試合を辞退するという決断をした。

きっと客観的で冷静で聡明な考察をしたのだと僕は思う。

当然、カナダに残ったコーチ達と一緒に練習していない。

しかし、僕が思うに彼が必要とする唯一の人物はブリアンだけだ。羽生結弦はフィギュアスケートの百科事典だからオーサーにフィギュアスケートを説明してもらう必要はない。むしろ羽生がオーサーに説明する方だ。

 

 

C:メンタル面、心理面のサポートは必要ですか?

 

M:彼はフィギュアスケートについて膨大な知識を持っている青年で、何一つ見逃さず、全てを知っている。
例えばロシアの11歳の少女がどんなジャンプを跳べるか彼は知っている。

つまり、全てを観察し、日本以外のスケート界からも学習しようとする。

 

C:常に進化したいというモチベーションに溢れているのですね。

 

M:だから僕は彼が他の選手達よりずっと進んでいると見なしているのだ。
「今」ではなく、ずっと以前から。

そして今、彼は全日本に出場するかどうか判断している。
全日本はクリスマスの時期に開催される。万事問題がなければ、出場する意向だと思うから、もうすぐ彼の決断を知ることになるだろう。
今、世界を困難な状態にしているコロナウイルスに対する感染対策といった安全措置などの外的要因も彼は考慮するだろう。

現在、日本の感染状況は厳しく、同じくスケート連盟の管理下にあるスピードスケートのナショナルチーム内でクラスタが発生した。

というも、ほぼ同じメンバーがいつも同じ国内大会で競技するからだ。
このことは日本のスケート界にショックを与えた。

結弦の考えは北京に到達することだと僕は思う。
だから彼にそれが可能で、連盟がそれを認めれば、彼は3つ目のタイトルを勝ち取るという目的を抱いて北京まで続けるだろう。

 

 

C:当然です。

 

M:しかし、当然のことながら、彼は然るべきルールで、ルールを把握し、ルールに則って採点する然るべきジャッジで競技したいと思っている。

ここ最近の大会で見られるような、ルールではなく別の何かを基準に採点するジャッジではなく

 

C:当然でしょう。

 

M:演技構成点だけではなく、個々のジャンプに対する得点に対してもそうだ。

今や4回転ジャンプを見ると自動的に+3や+4や+5を与えるという悪習が蔓延している。

何故だ?

各ジャンプは難度に応じて基礎点が設定されている。
しかし、出来栄え点(GOE)は各ブレット(項目)に準拠して評価されなければならない。

何故、評価基準が正確に決められているのに、ジャッジはそれを無視して好き勝手に+3、+4、+5を与えるのか?

おそらくこれが結弦のジレンマなのだと僕は思う。

彼は自分の全てのエレメントについて、全ての要件を満たせるよう研究している。

つまり、彼は+5ではなく+6に達するジャンプを実施する練習をしているのだ。

 

C:計算しているのですね?

 

M:ところが、他の選手が大目に見ても+1にしか値しないジャンプで+4や+5を貰っているのを見たら、彼は困難に陥る。

彼は紳士だからそんなことは絶対に言わないだろう。
でも僕は言わせてもらう。何故ならそうだからだ。これは事実だ。

可哀そうに、彼は幾つかの記者会見で自分の考えをさりげなく仄めかした。

彼はフィギュアスケートを愛しているからだ。

しかし彼の気持ちは明らかだ。

ルールが機能するか否かはどう適用されるかにかかっている。

ガイドラインに書かれた内容に則って適用された場合にのみ、このルールは機能する。

しかし、彼の主なライバルはどう見ても+1のジャンプで+4を貰っている。
何故か?
何故このようなことが起こるのか?

 

C:彼は抗議したり、クレームを出したりは出来ないのですか?

 

M:彼がそんなことをする訳がない。

今ではこのような採点が容認されている。
僕はジャッジ資格を持つ人間と話したことがあるが、彼は具体的なプラス要件を一つも挙げられないのに、+4は正しいと言う。

このようなシステムがもはや容認され、後戻り出来ない状態になっている。

だからこそ、結弦の存在は神話なのだ。

彼は教本通りの正しい技術を用い、ガイドラインに記載されたルールを尊重し、「スケーターの理想像」を体現している。

しかし、彼のやっていることは得点で評価されていない。

他の選手達との違いは、彼らは彼の半分しかやっていないのに、倍の評価を貰っていることだ。

これについて異存がある者もいるだろう。

受けて立とうじゃないか。僕と対決したい人はここに来ればいい。
しかし注意して欲しい。

一人では来ないで欲しい。

一対一では面白くないし、笑止千万だ。

僕はここで10人を相手に論破する準備がある。
でも僕は自分の意見を1ミリも変えないし、一歩も引く気はない。

 

C:何よりも採点に使用されている評価基準を理解しなければなりません。

 

M:僕はルールを良く知っている。
そして幾つかのケースではルールと全く異なる評価基準でGOEが与えられている。
そして、技術的に正しくない跳び方で実施されている特定のジャンプの問題。
これも大分以前から続いている問題だ。

僕と実況のパートナーであるアンジェロ・ドルフィーニは15年前に既にこの問題について議論している。

そしてこの跳び方を真似する選手が次々に生まれ、今では多くの選手が大量のジャンプで離氷前に半回転またはそれ以上を稼いでいる。

テクニカルパネルでも判別するのは困難なのだから、ジャッジに出来る訳がない。
こうして全てのジャンプが認定され、女子シングルではこの技術によって4回転ジャンプの実施が可能になった。

でも僕は4回転ジャンプを解禁した女子選手には敬意を表したい。

一方、男子では正しい技術で跳んでいる選手達が存在する。
だから、メチャクチャな技術で、べったり寝かせたブレードで半回転稼いでフリップやルッツを跳んでいる男子選手を見るのは不愉快だ。

何故ならこれは「ループ」もどきの別のジャンプだからだ。

しかし、この問題については後戻り出来なくなっている。

本来なら15年前に何とかすべきだった。

そしてコーチは何をするのか?

テクニカルパネルの判断をベースに選手達にジャンプの跳び方をインプットしている。

 

C:重要なのは結果ですからね?

 

M:もしこの技術的に正しくないジャンプに何のペナルティも課せられず、それどころかある程度の加点が貰えるなら、コーチ達はより簡単な方法で跳ばせようとするだろう。
実際、ロシアの小さな少女達は皆この跳び方をインプットされている。

つまり、これは深刻な問題で、僕にはどうしたら解決出来るのか分からない。
おそらくもう後戻り出来ないのかもしれない。

トゥジャンプのフリップとルッツの技術だ。

しかし、GOEについては別問題だ。

これらのジャンプの技術に関連するブレットはあるが、正しく評価されていない。
僕が馬鹿正直なだけかもしれないし、もしそうなら・・・アーメン、仕方がない。

僕は風車と闘うドン・キホーテを続けるしかない。

しかし、競技の信頼性を取り戻すために何らかの措置は必要だと思う。

現時点でISUを牛耳っている石頭の幾つかを変えるとかね。

 

C:最後に、結弦は本当に4アクセルを練習しているのですか?

仕上がり具合は?

 

M:これについては何も言えない

 

C:でもあなたは知っているのでしょう?

 

M:僕は以前、彼が練習で成功させたことがあることは知っている。

彼は跳べたことはないと言って隠しているけれど。

しかし、練習で何本かに1本成功させることと、試合で跳ぶことは全く別のことだ。

例えば練習での成功率が70%に満たないジャンプを試合で入れるのは意味がない。

何故なら博打になるからだ。

試合では他の無数のコンポーネントを追加しなければならない。
そしてプログラムの中に信頼性のある方法で挿入されなければならない。

20メートルの助走から1本のジャンプを跳ぶのではなく、ジャンプの前にプログラムの世界観に繋がる何かを入れ、音ハメして跳ばなければならない。

だから並大抵のことではない。

練習で跳ぶのと試合で跳ぶのとでは全然違う。

それに羽生結弦は妥協を許さない気性の選手だから、このジャンプを試合で入れる、ということは、然るべき方法でパッケージングされていなければならない。
彼の頭にあるフィギュアスケートの概念では、各エレメントの前後には何かが散りばめられていなければならない。

結弦の生き方では、ジャンプは神聖化されていなければならない。
長い助走の後、踏み切って回転して降りる、ではない。
前に何か、後に何かを入れなければならない。

 

C:調和の一部になっていなければならないのですね?

 

M:しかし、4アクセルに関係なく、僕達全員の願いは彼を氷上で再び見られることだ。

願わくは新プログラムで。

数々の成功に彩られた10年以上に渡るこれまでの競技人生の中でこれまで何度も見せてくれたように、僕達を再び唖然とさせる気でリンクに戻ってきてくれることだ。

それだけで十分だ。

何故なら彼が健康でさえあれば、彼が氷上で披露するクオリティは・・・

 

C:アーティストですね。

ただのチャンピオンではない。
彼はスポーツを超えています。

何か途方もない・・・魔法

彼は魔法を生み出すことが出来ます。

 

M:勿論だ。

それに彼は戦歴と言う点でも並外れている

オリンピック二連覇は男子シングルでは驚異的なことだ。

同じ偉業を成し遂げた選手を探すには、別の時代まで遡らなければならない。

だからそれだけでも羽生という人物は綿密な研究に値する。

そして、それ以外の全てがある。

世界選手権やファイナルでの数々の勝利。

今年はようやく残された最後のタイトル、四大陸選手権で優勝した。

ジュニアでも全ての大会で勝った。実質まだ子供の内に全ての主要大会を制し、翌年シニアデビューを果たすとすぐに四大陸選手権で表彰台に上がった。

当時はまだほとんど無名の選手だった。

既に彼に注目していた者以外。

そしてイタリアのメラーノだ。
彼はイタリアのメラーノでジュニアグランプリ大会デビューを果たした。

だから、結弦と僕達の国の間には何らかの繋がりがある。

それだけじゃない。
彼が使っているスケート靴はイタリア製で、イタリアのメーカーが製造している。

結弦について話し始めたら時間が幾らあっても足りない

 

C:止まらなくなってしまいますね。

それではマッシミリアーノ。

今日は素敵なおしゃべりをありがとう。
あなたの話はいつも魅力的ですから、もし代替開催されれば欧州選手権、あるいは世界選手権の機会に再びあなたをゲストに迎えられることを願っています。

 

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☆マッシミリアーノさんは埼玉世界選手権の後にもGinnasticomaniaに出演しています。

Ginnasticomaniaより「世界フィギュアについてM.アンベージに聞く(前編)」

この時も熱かったですが、最近はあまりにも長い間、彼のスケートを見ることが出来なくて思いがますます募っているのか、羽生君の話を振られると、好きな女の子のことを聞かれて挙動不審になる中学生のような状態に😭・・・

最近の採点傾向について、私が思っていたことを全部言ってくれました。
日本のメディアや解説者や関係者の間にはISUとジャッジは批判すべからず、という暗黙の了解があるのでしょうか?

イタリアと結弦の間には繋がりがあるというマッシさん、ノッテステッラータ・プロジェクトは凄く嬉しかったでしょうね。

新型コロナウイルスが選手達に与えた打撃は図り知れません。
特にピークの短い女子選手の中には人生を狂わされた選手もいるかもしれません。
練習拠点を海外に置いている選手達は更に厳しい状況だと思いますし、今夏はアイスショーが軒並み中止になってしまいましたから、アイスショーで練習や遠征に掛る費用を稼いでいる選手にとっては現役生活の続行に関わる死活問題です。

また日々厳しい練習を積む選手達にとって、試合という目先の目的を奪われるとモチベーションを維持するのがより困難になります。

グランプリ大会への出場資格のあるイタリア選手は全員フランス国際にアサインしていましたが大会が中止になり、国際試合で競技する唯一の機会を失いました。

伊スケート連盟は大切な五輪プレシーズンに自国選手達に競技機会を提供するためにイタリア・グランプリという新シリーズを発足しました(当然無観客です)。テクニカルパネルの判定基準やジャッジの評価は激甘でこの得点を鵜呑みするのはどうなのか?というのはありますが、イタリアの選手達は競技する貴重な機会を得ることが出来ました。

先週は無観客でイタリア選手権が行われました。
イタリアの場合、有観客でも客席は閑古鳥状態ですので、会場の様子は視覚的に例年とあまり変わりませんでしたが(実際、イタリアのスケートファンは羽生君やロシア女子の情報は追っても、イタリアの国内大会はあまり見ていません)。

ロシア杯は最初有観客でしたが、スケーターの間でクラスタが発生しその後、無観客に変わりました。ライストを見ながら、リンクサイドやキスクラのディスタンスやマスク着用の余りのいい加減さに、これではクラスタが発生しても仕方がないと思っていたら、その通りになりました。

日本ではマスク着用義務はしっかり守られ、元々手洗いや消毒の習慣が定着していますからロシアよりは安全だと思いますが、国内の現在の感染状態とスピードスケートの大会でクラスタが発生したことを考慮すると、頑なに全日本有観客開催の方針を変えようとしないスケ連の感覚が正直私には理解出来ません。

安全が保証出来るなら、何らかの形で試合を開催することには私は賛成です。
基本的に選手達はウイルスを恐れる気持ちより競技したい気持ちの方がずっと強いと思うからです。

しかし、出場選手と関係者だけでなく、開催都市の医療従事者と住民の安全のためにも、可能限り最大限の安全対策を講じるべきだと思います。

全日本では少なくとも選手と関係者に対するPCR検査は実施されることが発表され、少し安堵しました。

でもまさかプレカンや抽選会が例年通りってことはないですよね?
全出場選手が一つの部屋に集合し、選手が一人ずつ箱の中に手を入れて滑走順のクジを引くなんて、今の状況ではあり得ません。

スケアメのようなバブル方式は難しくても、些細な工夫を凝らすことでリスクはかなり下げられるはずです。

欧州選手権はロシアが代替開催を模索しているという記事は読みましたが、イタリアや他の国も立候補する気があると知って驚きました。

ヨーロッパでは現在、欧州国同士の国際試合を含め、サッカーの試合は無観客で普通に行われていますので、無観客でバブルに近い方式で開催すれば可能という感覚なのかもしれません。

試合に出たい選手達はむしろ喜んで出場しそうですが、ロシアやイタリアに他国からジャッジが来てくれるかどうか。

 

全日本まで一週間。

羽生君は誰よりも経験豊かで、自身の状態を把握し、そして聡明な人です。
出場でも欠場でも彼の判断が一番正しいと信じていますので、心配はしていません。

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu