L’ALTRO GIAPPONE主催「ジャパンウィーク」を終えて

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一週間に渡るL’ALTRO GIAPPONE主催の文化フェスティバル「ジャパンウィーク~抵抗と再生」は、マッシミリアーノさんのトーク&ビデオ「トータルパッケージ~羽生結弦に捧ぐ」をもって日曜日に幕を閉じました。

マッシさんが動画担当者が真っ青になるほど喋りまくったため😅、編集に時間がかかり、公開用の動画が出来上がるまでにはまだかなりの時間を要するそうで、その後、翻訳して字幕を挿入する時間を考慮すると、動画が公開されるのはまだまだ先になりそうです(翻訳、気軽に引き受けたもののメッチャ大変そう😨・・・)。

マッシさん激熱トークは和訳字幕付き動画をお待ち頂くとして、この文化フェスティバルについてもう少し詳しくご紹介します。

前記事でも書いたように、昨年の「ジャパンウィーク」はコロナ禍のため縮小され、会場で開催されるはずだったレクチャーや展覧会の多くは中止になりました。今年は東日本大震災10周年ということもあり、昨年中止になった演目も加え、規模を拡大して大々的に開催されました。

フェスティバルには在ローマ日本文化会館館長の西林万寿夫氏、在東京イタリア文化会館館長シルヴァーナ・デ・マイオ氏、数々の小説(川端康成、村上春樹、よしもとばなな、井上靖などの作品)を翻訳した日本文学者で過去に東京文化会館館長も務めたことのあるジョルジョ・アミトラーノ氏といった日本-イタリア文化界の公人が出席し、コロナでなければNHKも取材に来るはずだったそうです(残念!)

写真:左から西林氏、アミトラーノ氏、デ・マイオ氏

美術監督を担当されたバルバラさんはトリノGPFを現地観戦されたそうで、東日本大震災10周年の「ジャパンウィーク」の日程が決定した時点で絶対に羽生結弦を取り上げたい、スピーカーは是非マッシミリアーノさんで、と切望したそうです。

しかし、この時点ではユーロスポーツのレギュラーコメンテーターを務め、多忙を極めるマッシさんの予定は不明で、リモートではなく会場出演して頂けることが決まったのはイベント開催の1か月ほど前のことでした。
この夢のような企画を実現してくれたマッシさん、主催者の皆さん、ナポリ国立考古学博物館に感謝します。

さて、このジャパンウィークですが、私自身イタリア国内で開催される日本文化イベントにゲストとして参加する機会が結構あるのですが、このフェスティバルはちょっと別格という印象を受けました。

通常、イタリアで行われる日本文化イベントというとマンガ、アニメに始まり、茶道、生け花、浮世絵、着物、書道、折り紙、武道、お寿司など、非常にポピュラーで分かりやすい、いわゆる『外国人がイメージする日本』が紹介されるのですが、L’Altro Giappone主催「ジャパンウィーク」は非常にインテレクチュアルでアカデミック、内面的で観客を選ぶ内容でした。

日本国内でも日本と言う国をこのような角度からアプローチし、取り上げた文化イベントは中々ないと思います。非常に濃厚な内容で、主催者と集まった観客の皆さんの日本に対する理解と知識の深さが伺えました。

フェスティバル初日29日の最初の演目は台風、火山といった過酷な自然と共存しながら青ヶ島で生活する人々を描いたハミッシュ・キャンベルのドキュメンタリー「AOGASHIMA」でした。

このドキュメンタリーのレクチャーを行った「L’Altro Giappone」会長ロベルト・デ・ペスカーレ氏の「パンデミックに苦しむ今こそ、地震、台風、水害など様々な天災に襲われても、自然の課す過酷な試練を忍耐強く乗り越え続ける日本人の精神を我々は学ぶべきだ」という言葉に心を打たれました。

同日夜のいわゆるオープニングイベントでは、前述のジョルジョ・アミトラーノ氏のプレゼンテーションで、歌舞伎史上最も偉大な女形、五代目玉三郎の世界を描いたダニエル・シュミット監督の映画「書かれた顔」(1995年)が上映されました。

フェスティバルのオープニングイベントが玉三郎、クロージングイベントが羽生結弦だったのは、日本を代表する2つの美、坂東玉三郎で開幕し、羽生結弦で締めくくりたい、という主催者の意向によるものでした。

「書かれた顔」は玉三郎さんの舞台とインタビュー、玉三郎さんと所縁の深い往年女優の演技とインタビューを交えながら淡々と進んでいくオムニバス映画のような形式です。
私は歌舞伎はほどんと見たことがないド素人ですが、玉三郎さんの演技には鳥肌が立ちました。歌舞伎についての知識が何も無い者も、一瞬で引き込み、感動させる凄み、性別を超越した超人間的・超自然的存在感と言う点において羽生結弦に通じるところがあると思いましたが、インタビューで語られた彼の言葉からも幾つかの共通点を見出しました。

印象的だった部分を書き起こします:

僕は言いたいことがない
言いたいことがないから踊ったり芝居したりしている
そこで見てくれることが僕の一番言いたいこと

ということは、言葉にならずにフッと振り返って衣装を着た時が一番言いたいことだったかもしれない
ただこうやって聞かれると、自分の気持ちに起こった感情だとか魂だとか宇宙的だとか霊感的だとかというものをとにかく伝えたい時に、言葉を選びながら順番にモンタージュして言うと、何となく伝わるためにその言葉があるだけで、本当は言葉は二次的なもの

(中略)

「ごっこ」の出来る人達
例えばちょっとした空間を与えられたことによって、そこが違うスペースだということをパッと作れる、あるいは一つの空間をパッと区切られた時、その限られた空間の中にパッと宇宙観を表現出来る人達、それが演劇的な人達だと思う。

映画「書かれた顔」より

言葉ではなくフィギュアスケートでこそ真の自分を表現出来ると言い、リンクに降りた瞬間、会場をパッと彼の世界観で染めてしまう羽生君と重なりませんか?

芸を極め、完璧を追求し続ける天才が厳しい鍛錬によって到達するフロンティアは、フィギュアスケート、歌舞伎という分野を超えた次元にあるのだと思いました。

その他にも水俣病を描いたジョニー・デップ製作・主演の映画「MINAMATA-ミナマタ」、桜庭一樹の直木賞受賞作品を映画化した衝撃作「私の男」、過去に無差別殺人を犯したカルト教団実行犯の遺族を描いた是枝裕和監督の映画「DISTANCE」、東日本大震災後の2人の男性、津波に流された妻の遺品を求めて海に潜り続ける男性、そして震災がきっかけで故郷に戻りボランティア活動に身を投じる元ヤンキーの姿をロレンツォ・スクワルチャ監督率いるイタリアのクルーが追った感動的なドキュメンタリー「鯉/KOI」など、一週間で合わせて15作品のドキュメンタリーと映画が上映されました。

桜庭一樹さんの作品は「赤朽葉家の伝説」が非常に良かったので、直木賞を受賞した本作も読みましたが、かなり衝撃的な内容でした。映画化されていたとは知りませんでした。

スクワルチャ監督の「鯉/KOI」は震災9年目である2020年3月11日に全国紙「ラ・レプブリカ」で特集されていたため、興味を引かれて視聴しました。とても感動的な内容です。
以下のリンクから視聴出来ますのでよろしければご覧下さい。

https://www.primevideo.com/region/eu/detail/0L49RH23HP00DPR8O1TTIJ1MHZ/ https://vimeo.com/ondemand/koi
https://play.google.com/store/movies/details/Koi?id=Rz0cbbBL-yI.P

そしてこちらは主催者からおすそ分けして頂いたマッシさんの写真です。

ナポリ国立考古学博物館に到着し、主催者メンバーに迎えられるマッシさん
長旅本当にお疲れ様でした!

講演「トータルパッケージ:羽生結弦に捧ぐ」の様子

美術監督バルバラ・ワシンプスさんによるイントロダクション
笑顔のマッシさん
第2部

全編の動画が楽しみです!♥

*記事内の写真は主催者「L”ALTRO GIAPPONE」が所有する画像を許可を得て掲載させて頂いています。転載はご遠慮ください

Published by Nymphea

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち