Leggendariaより「氷上からもたらされた革新的な新形式」

イタリアの文芸誌Leggendariaで羽生君のアイスストーリーについて詳しく考察されていました

Leggendaria第164号(2024年2-3月版)

氷上からもたらされた革新的な新形式
ビデオゲームのメタシアターに
振付を融合させた日本のスケーター、
羽生結弦の成功

執筆:Ba.Wa.

先日、フィギュアスケートのレジェンド、羽生結弦(29歳)が、単独ツアー「RE_PRAY」の千秋楽を終えた。ICE STORYと呼ばれる革新的な形のショーの第2弾で、彼が創作、プロデュース、出演を務め、母国のエンターテイメント界の常識を覆した。競技に別れを告げてから数か月後の2022年秋から始まったPROLOGUEの短いツアーは、羽生結弦が自身の並外れたキャリアを辿りながら、新たな形式を創造するための基礎を築く架け橋となり、この形式は、野球とポップミュージックの殿堂である東京ドームに史上初めてアイスリンクが設置された2023年2月26日に正式に誕生した。日本だけではない。映画館やテレビでの生中継に加え、世界規模のライブストリーミングによって、全世界がGIFTに立ち会うことが出来た。ウィンタースポーツの専門家であるマッシミリアーノ・アンべージの言葉を借りれば、「一言で言うと、長いフィギュアスケート史上、最も偉大で最も重要なイベント」であり、演出家であり振付師でもあるMIKIKOが演出した、オリンピックのセレモニーに相応しい作品である。

羽生が生み出した形式は、彼のスケートにはめ込まれた複数の表現言語(ナレーション、ビデオアート、音楽、舞台効果、パワフルな振付など)を組み合わせたものだ。彼のフィギュアスケートは、もはやそれ自体がパフォーミングアートの一つの形となっており、完璧な技術が記憶に残る複数のスタイルや解釈を表現する手段になっている。ストーリーは、演技と演技の間の脆い結合組織として機能するのではなく、観る者に感情的・心理的影響を与え、人生経験の深遠なテーマについて考えさせる。しかも、『GIFT』はワンマンショーであったため、羽生は2時間半に渡ってリンク上やスクリーン上に立ち続け、12演目を滑った。これは、これまでスケーターにとっては、体力的に考えられなかったことである。

しかし、GOAT(史上最高)の異名を持つ彼に不可能はないようだ。オリンピック2連覇、19もの世界記録を持ち、スーパースラム(ジュニアとシニアの主要大会を全て制覇)を成し遂げた唯一の男子シングルスケーター、トータルパッケージ(卓越した技術と芸術性の融合)を体現するプロアスリート、羽生結弦は、GIFTの大成功の後、新たな領域を開拓し続けるために再びハードルを引き上げた。

RE_PRAY ツアーでは、羽生の文章はより思索的となり、観る者は強力なメタナラティブのコンテクストとして機能するビデオゲームの世界に没入していく。ビデオゲームの世界は、時に依存症にさえなり得る、一種の逃避と見なされることがあるが、羽生はその構造を借りて、それを人間の状態(「反復」)のメタファーにし、私達の日常生活の根底にある選択、自由、決断という概念に疑問を投げかける。

作者の羽生は、主人公(プレイヤー)の物語を読むレベルを複数に増やすことで、視聴者を意図的に動揺させ、各自の実存する道に従って内省し、苦悩の答え(「祈り」)を見出すために魂の深淵を掘り下げるよう促す。

Yuzuru Hanyu ICE STORYの実験的コンセプトはまだ始まったばかりだが、すでに世界を美と希望で照らしている。

●Yuzuru Hanyu ICE STORY 2023 – GIFTはDisney+でイタリアからも視聴が可能 •羽生結弦について詳しく知るには、彼に関する膨大な量の文献から、坂本清による日本語と英語の写真集『G.O.A.T (Trace of the Greatest of All Time) 2007-2023』、JTBパブリッシング出版(2023年)と羽生の自伝『蒼い炎』4巻、(扶桑社刊)を推奨するイタリアでは、2021年にナポリで、2023年にミラノで開催された2つのカンファレンスの模様がYouTubeで公開され、日本のアスリート・アーティストのキャリアにオマージュが捧げられた。2024年3月から羽生はGUCCIのブランド・アンバサダーを務めている。メゾンは昨年6月、東京旗艦店にギャラリーをオープンし、羽生結弦の写真展を開催した。

***********************
Leggendariaは知識人向けの文芸誌で今回、全編63ページに渡って日本を特集しています。よくありがちな日本の文化や名所、あるいはアニメなどにスポットを当てたステレオタイプの日本特集ではなく、日本の文学、芸術、音楽、映画、コンテンポラリーアート、日本食、アニメや漫画などの文化から、最近入閣した女性議員達、現代の若者の抱く虚無感、16世紀に初めて来日したイタリア人宣教師達の歴史、印象派の画家達の間でブームになったジャポニズム、日本社会におけるジェンダーギャップなど、あらゆる観点、あらゆるテーマから日本という国を掘り下げた非常に濃厚な内容になっています。

近年の極端な円安で、日本は欧米の人達にとって、身近で行きやすい国になったこともあり、ここ数年間、私の知るイタリア人は全員バカンスで行ったんじゃないかというほど、みんな日本を旅行しています。アニメや漫画の影響もあり、イタリア人は日本が好きですが、最近はこれまでのような外国人から見たステレオタイプの日本ではなく、禅や武士道精神など、本当の日本と日本人のもっと内面的な部分に興味を持つ人が多いようです。先週までディズニー+で毎週配信されていたハリウッド制作のテレビドラマ「SHOGUN 将軍」の世界的大ヒットは、それを証明しているのかもしれません。

私はこういうのに疎くて、乗り遅れていたんですが、ディズニー+の再生回数の記録を塗り替えたそうです。私はどうせ典型的なメイド・イン・ハリウッドの「ちょっと違うだろう」日本()だろうと思って、全く見てなかったのですが、イタリアでも将軍ブームが起きていて、イタリア人の友人から(日本人だし当然見ているだろうと思われていて)「昨日の将軍見た?凄かったよね!えっ?見てない???絶対見ないとダメだよ!」「将軍の最終回見た?素晴らしかったよね」と会う人会う人に将軍、将軍、と言われるものだから、お休みだったメーデーに視聴してみました。ところを想像に反して、もの凄く良くてビックリ!
最初の3話ぐらい視聴するつもりが、ぐんぐん引き込まれて一挙に10話全部見てしまいました!😂
主演の真田広之さんがプロデューサーも兼任し、これまでのハリウッド映画のような「変な日本」にしないために、あらゆる細部に気を配ったそうです。そして、さすがハリウッド、金に糸目をつけない、という豪華で迫力のあるセットやシーンの数々、とりわけ俳優陣の演技が素晴らしく、テレビドラマなんて最近全く見ていなかったのですが、久々に見応えの作品に出会いました。

しかし、この作品、セリフの80%が日本語なので(残り20%は英語)、イタリア人の視聴者は全編字幕で見なければなりません。しかも、勧善懲悪の分かりやすいチャンバラ劇ではなく、武将同士の心理戦、戦国武将や武家の女性達の価値観や覚悟など、ただでさえ海外の人には理解が難しい哲学的テーマが根底にあり、ずっと字幕を読みながら物語を追うのは相当大変だったと思うのですが(イタリア人の友人は皆、何度も戻りながら字幕を読み直したそうです)、そんなハンデがあっての世界的大ヒットは凄いですね。

イタリア人の友人が「今はダイバーシティの時代だから」と言っていましたが、そうなのかもしれません。そういう意味で、羽生君の作り上げるアイスストーリー、GFTもRE_RRAYも、むしろ欧米向きなのかもしれません。例え失敗して死んでしまっても、何度でもやり直しが効くゲームの世界の価値観を通して、「命」について問いかけるRE_RRAYもディズニー+などを通して世界中のもっと広いオーディエンスに見て貰いたいです。

Hulu | Disney+ セットプラン

Disney+dアカウント以外の申込<年間プラン>” border=”0″></a></p>
<p><span style=☆本ページはプロモーションが含まれています

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu