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Neveitaliaより「チャン大本命で開始したシーズン、最後は羽生が制す」

Neveitaliaに掲載された2013-2014シーズン男子シングル総括記事です。
記事を書いているのはイタリアユーロスポーツ実況のマッシミリアーノ・アンベージさんです。

stagioe_2013

(2014年4月10日)

原文>>

あらゆる観点において、男子シングルにおける五輪シーズンの主役はパトリック・チャンと羽生結弦だった。カナダの選手は歴代最高得点を更新し、グランプリファイナル以降無敗の日本の選手は全ての主要大会を制した。

両選手共にミスがあってもライバル達に大差を付ける得点を叩き出し、ショート、フリーの合計で300点を越えるポテンシャルがあることを見せつけた。

得点全項目で新記録が乱立された期間、称賛に値するチャン/ハニュー商会は、得点を構成する全ての項目のレベルを引き上げ、過去の記録と決別した。

ショートプログラム

オリンピック開催期間中、羽生結弦は歴代最高技術点(54.84)を獲得し、100の壁(101.45)を越えた史上初の男子スケーターになった。演技構成点でもパトリック・チャンに次ぐ歴代2位の得点を獲得した。

シーズンの動向を詳しく分析すると、シーズンを通して7人のスケーターがTES(技術点)50点の野心的な壁を破り、90点以上の得点を出していることから分かるように、男子シングル全体がレベルアップしていることは明白である。

現在、表彰台に上がりたければ、最低でも4回転ジャンプを1本は入れる必要があるが、4回転を2本入れた更に高難度のプログラムに挑戦する選手も出始めている。

ただし、羽生の現在の強みはトリプルアクセルを含む3本のトリプルジャンプを後半に余裕で跳ぶことが出来ることだ。

この戦略を実行するには、ステップから4回転ジャンプを跳べる、そしてトリプルアクセルが鉄板、という現オリンピックチャンピョンの武器であり、彼を無双にしている能力が要求される。

演技構成点ではソチで「performance/execution」(羽生の9.50が歴代最高)以外の全項目で歴代最高点を獲得したパトリック・チャンが歴代最高得点を保持している。

< チャンの演技構成点>

SKATING SKILLS – 9.43

TRANSITIONS/LINKING FOOTWORK and MOVEMENT – 9.32

CHOREOGRAFY/COMPOSITION – 9.54

INTERPRETATION – 9.57

チャン (47.19) と羽生 (46.61) 以外でPCS(演技構成点)43点を越える偉業を達成したのは、日本の町田(45.39) と高橋 (45.14)、スペインのフェルナンデス (44.99)、スイスのランビエール (43.15)だけである。

フリープログラム

パトリック・チャンが11月のエリック・ボンパール杯で新たな歴代最高得点を叩き出した。

この大会でトロント出身の23歳は史上初のTES100点越え(100.25)を達成し、その数週間後の福岡GPFでは羽生結弦もまた100点を越えるTES(102.03)を獲得した。

議論の余地なくこの競技の最高峰である2人を技術的に比較するには、詳細まで細かく考察しなければならない。
現時点で予想が難しい対抗措置を除けば、2種類の4回転ジャンプを『使いこなし』、これによってプログラム後半に入れた2本のアクセルを含む8本のトリプルジャンプを跳ぶことが出来る羽生が、やがて圧倒的優位を誇るようになるだろう。

4トゥループ2本のチャンは、ルールによって7本以上のトリプルジャンプを跳ぶことが出来ず、ダブルアクセルを入れている。また、今シーズンのプログラムでは、苦手なジャンプであるトリプルアクセルを1本しか入れていなかったことも忘れてはならない。

ここまでの話を数字で表すと、全てのステップ及びスピンがレベル4と仮定した場合の羽生の基礎点が90.62に対し、チャンは83.67に達するのがやっとである。

一方、カナダの選手は演技構成点で頭一つ抜けており、シーズン中、各項目の歴代記録を更新し、96.50点に達した。

事実、演技構成点におけるチャンの優勢は明らかであり、彼のPCSに最も近い得点は、遥か昔2012年の東京国別対抗戦で高橋大輔が獲得した93.58である。

その他の選手でこれまでに90点を越えるPCSを獲得したのは羽生(92.38)、フェルナンデス(91.18)、町田(90.20)だけである。

各項目を比較すると、男子の最高点が女子の最高点を遥かに上回っていることが分かる。

 SKATING SKILLS

9,57 (Chan, Trophèe Eric Bompard)

9,21 (Kostner, Mondiali di Saitama)

TRANSITIONS/LINKING FOOTWORK and MOVEMENT

9,39 (Chan, Trophèe Eric Bompard)

9,07 (Kostner, Mondiali di Saitama)

PERFORMANCE/EXECUTION

9,86 (Chan, Trophèe Eric Bompard)

9,43 (Kostner, Sotnikova, Kim, Olimpiadi di Sochi)

CHOREOGRAFY/COMPOSITION

9,75 (Chan, Grand Prix Final Fukuoka)

9,50 (Sotnikova, Olimpiadi di Sochi)

 INTERPRETATION

9,79 (Chan, Trophèe Eric Bompard)

9,61 (Kostner, Olimpiadi di Sochi)

チャン(2013年エリック・ボンパール杯の196.75)と羽生(2013年GPFの193.41)以外で、これまでにフリープログラムで180点を越えスケーターは、ハビエル・フェルナンデス(2013年ザガブリア欧州選手権の186,07)、町田樹(さいたま世界選手権の184,05 )、高橋大輔(2012年国別対抗戦の182,72)、小塚崇彦(2011年モスクワ世界選手権の180.79)の4人だけである。

 <2013-2014シーズンで更新された歴代最高得点>

(ショート、フリーの総合得点で240点を越えた選手)

歴代最高得点は史上初めて290点越えを果たしたパトリック・チャンが保持している。

今シーズン中、8人の選手(町田樹、ハン・ヤン、ジェーソン・ブラウン、アダム・リッポン、無良崇人、セルゲイ・ヴォロノフ、ジェレミー・アボット、マキシム・コフトゥン)が240点越えを果たした選手のリストに新たに加わった。

上位9選手の内、5人が日本の選手で、日本男子の強さを物語っている。

1) CHAN Patrick (CAN)

295,27 (Trophèe Eric Bompard 2013, Parigi)

2) HANYU Yuzuru (JPN)

293,25 (GP.Final 2013, Fukuoka)

3) MACHIDA Tatsuki (JPN)

282,26 (W.Ch.2014, Saitama)

4) TAKAHASHI Daisuke (JPN)

276,72 (W.T.T.2012, Tokyo)

5) FERNANDEZ Javier (SPA)

275,93 (W.Ch.2014, Saitama)

6) TEN Denis (KAZ)

266,48 (W.Ch.2013, London)

7) ODA Nobunari (JPN)

262,98 (Q.O.W.G.2013, Oberstdorf)

8) PLUSHENKO Evgeni (RUS)

261,23 (E.Ch.2012, Sheffield)

9) KOZUKA Takahiko (JPN)

258,41 (W.Ch.2011, Mosca)

10) LYSACEK Evan (USA)

257,67 (O.W.G.2010, Vancouver)

11) VORONOV Sergei (RUS)

252,55 (E.Ch.2014, Budapest)

12) REYNDOLS Kevin (CAN)

250,55 (F.C.Ch.2013, Osaka)

13) AMODIO Florent (FRA)

250,53 (E.Ch.2013, Zagabria)

14) KOVTUN Maxim (RUS)

247,37 (W.Ch.2014, Saitama)

15) LAMBIEL Stephane (SUI)

246,72 (O.W.G.2010, Vancouver)

16) ABBOTT Jeremy (USA)

246,35 (W.Ch.2014, Saitama)

17) GACHINSKI Artur (RUS)

246,27 (E.Ch.2012, Sheffield)

18) YAN Han (CHN)

246,20 (O.W.G.2014, Sochi)

19) BUTTLE Jeffrey (CAN)

245,17 (W.Ch.2008, Goteborg)

20) JOUBERT Brian (FRA)

244,58 (W.Ch.2012, Nizza)

21) BREZINA Michal (CZE)

243,52 (E.Ch.2013, Zagabria)

22) BROWN Jason (USA)

243,09 (Trophèe Eric Bompard 2013, Parigi)

23) MURA Takahito (JPN)

242,56 (F.C.Ch.2014, Taipei City)

24) RIPPON Adam (USA)

241,24 (Skate America 2013, Detroit)

(そして過去に240点、250点、260点、270点、280点、290点を越えた選手の一覧)

<240点以上>

20 (試合数34) – CHAN Patrick (CAN)

15 (試合数43) – TAKAHASHI Daisuke (JPN)

12 (試合数17) – HANYU Yuzuru (JPN)

10 (試合数29) – FERNANDEZ Javier (SPA)

8 (試合数16) – PLUSHENKO Evgeni (RUS)

7 (試合数30) – ODA Nobunari (JPN)

4 (試合数13) – MACHIDA Tatsuki (JPN)

4 (試合数32) – KOZUKA Takahiko (JPN)

3 (試合数25) – LYSACEK Evan (USA)

3 (試合数46) – JOUBERT Brian (FRA)

2 (試合数7) – YAN Han (CHN)

2 (試合数9) – KOVTUN Maxin (RUS)

2 (試合数12) – GACHINSKI Artur (RUS)

2 (試合数21) – TEN Denis (KAZ)

2 (試合数23) – AMODIO Florent (FRA)

1 (試合数4) – BROWN Jason (USA)

1 (試合数12) – MURA Takahito (JPN)

1 (試合数17) – BUTTLE Jeffrey (CAN)

1 (試合数18) – LAMBIEL Stephane (SUI)

1 (試合数19 ) – RIPPON Adam (USA)

1 (試合数21) – BREZINA Michal (CZE)

1 (試合数22) – REYNOLDS Kevin (CAN)

1 (試合数24) – VORONOV Sergei (RUS)

1 (試合数31) – ABBOTT Jeremy (USA)

 <250点以上>

14 – CHAN Patrick (CAN)

9 – TAKAHASHI Daisuke (JPN)

7 – HANYU Yuzuru (JPN)

7 – FERNANDEZ Javier (SPA)

5 – PLUSHENKO Evgeni (RUS)

4 – MACHIDA Tatsuki (JPN)

3 – KOZUKA Takahiko (JPN)

3 – ODA Nobunari (JPN)

2 – TEN Denis (KAZ)

1 – AMODIO Florent (FRA)

1 – LYSACEK Evan (USA)

1 – REYNOLDS Kevin (CAN)

1 – VORONOV Sergei

<260点以上>

11 – CHAN Patrick (CAN)

6 – HANYU Yuzuru (JPN)

4 – TAKAHASHI Daisuke (JPN)

3 – FERNANDEZ Javier (SPA)

2 – MACHIDA Tatsuki (JPN)

1 – ODA Nobunari (JPN)

1 – PLUSHENKO Evgeni (RUS)

1 – TEN Denis (KAZ)

<270点以上>

5 – CHAN Patrick (CAN)

3 – HANYU Yuzuru (JPN)

2 – FERNANDEZ Javier (SPA)

1 – MACHIDA Tatuski (JPN)

1 – TAKAHASHI Daisuke (JPN)

<280点以上>

これまでに280点の壁を越えた試合は8度だけである。280点越えを最初に達成したのはパトリック・チャンだ。モスクワで当時の歴代最高得点(280.98点)をマークし、彼にとって最初の世界タイトルを手にした。

カナダの選手は昨シーズン、パリのエリック・ボンパール杯で現在の世界最高得点295.27点、福岡のグランプリファイナルで280.08点を獲得した。280点を超えた2人目の選手は羽生結弦で、これまでに4回280点越えを達成している(2013年グランプリファイナル、オリンピック、2014年世界選手権、2014年グランプリファイナル)。280点に達した最後の選手は羽生のチームメイトである町田樹(2014年世界選手権)だが、チャンと羽生の視線は既に290点越えに向けられていた。

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 ☆ 表彰台の今にも泣き出しそうなパトリックの表情が切ないですね・・・
シーズン初めには金メダル確実って言われていたんですものね。
それが後ろから驚異的なスピードで追い上げてきた可愛い顔をして闘争本能の塊のような阿修羅に最後の最後で美味しいところを全部持って行かれて・・・怖かっただろうな~ショックだっただろうな~と
パトリックが味わった恐怖と失望を思うと心が痛みますが、
どうやら憎まれ口は健在なようですし、来季はまた羽生君とハイレベルな戦いを繰り広げて欲しいです。

Published by Nymphea

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち