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Neveitaliaより「羽生結弦とその使徒が現代フィギュアスケート史を塗り替える」

フィギュアスケート史上最高の神大会、2015年バルセロナGPF男子フリーの記事
執筆者はイタリア・ユロスポ実況のマッシミリアーノ・アンベージさんです。

GPF2015_FS

(2015年11月13日)

原文>>

自身が抱く『完璧』の概念を追及することに熱中している羽生結弦は、最近滑った4つのプログラムで4つの歴代最高得点を叩き出し、自らの全能に限界を作らないことを決意した。

記録を連発したオリンピックチャンピオンは、過去のレジェンド、ヤグディンとプルシェンコにさえタブーだったグランプリファイナル三連覇を達成した史上初の男子となった。

日本の天才の宇宙レベルの演技は、副作用としてライバル達のモチベーションを刺激した。バルセロナGPファイナルのフリープログラムでは他の選手達も史上最強のスケーターに協力し、史上前例のない空前のスペクタクルを生み出してCCIB (Centre de Convencions Internacional de Barcelona)の半信半疑の観客を歓喜させた。

アレーナに結集したほぼ6000人の観衆は、「私はこの場にいた」と誇らしげに自慢することが出来るだろう。

羽生結弦と蜜月のリンクメイト、ハビエル・フェルナンデス、宇野昌磨、パトリック・チャン、ジン・ボーヤンはこの競技の記録をほぼ完全に更新し、フィギュアスケート史に不朽の1ページを書き加えた。

今大会では数字が真実を語っている。

  • 4人もの選手(羽生、フェルナンデス、チャン、宇野)が過去において2人の選手(羽生とチャン)が9回しか達成していない190点越えを果たし、2人の選手が200点越えを果たした。
  • 4人の選手(羽生、フェルナンデス、ジン、宇野)が過去において5回しか実現されていない技術点100点越えを果たした。
  • 4人の選手(羽生、フェルナンデス、チャン、宇野)が演技構成点で1個以上の10点を獲得した。
  • 世界歴代最高点、アジア歴代最高点、欧州歴代最高点が更新された。またジン・ボーヤンが、史上初めてフリープログラムで4本の4回転ジャンプ、フリーとショート合わせて6本の4回転ジャンプを着氷したことも忘れてはならない。

羽生の武勲を言い表す形容詞はもはや大分以前から出尽くしてしまった。カタルーニア(バルセロナのある州)で、またしても『SEIMEI』の旋律に乗せてシェイ=リーン・ボーンが振付けしたフリープログラムの心臓発作レベルの演技が披露された。

もはや神話の人物となっているブライアン・オーサーの弟子は、3本の4回転ジャンプとプログラム後半の2本のアクセルを含む7本の4回転ジャンプを成功させ、圧倒的な完璧性に到達した。

類稀な洗練性を追求して構築された各エレメンツが非の打ちどころのないクオリティで実施され、その全てが超高難度の複雑なステップの中に完全に組み込まれていた。そして何よりも、全てのエレメンツをまるで初歩的なことのようにいとも易々とこなしていた。

文字通り言葉を失ったジャッジ達は、45個中24個もの10点満点を与え、百科事典のようなこの完璧な演技を讃えた。

この競技の救いようのないロマンチスト達は、この演技に相応しい演技構成点全項目での10点満点を切望していた。いずれにしても現実の結果もほぼ全項目10点満点に近い評価だった。

仙台出身の21歳は母国開催のNHK杯から僅か2週間で更新不可能と思われていた歴代最高得点を8点以上更新し、記録を塗り替えた。

ライバル達が誰一人300点越えを果たしていない中、330点を叩き出し、2位以下に40点近い大差をつけて圧勝したと言えば、羽生が現時点で如何に異次元かを理解してもらえるだろう。
唯一悔しい点は、ステップシークエンスがまたしてもレベル3止まりだったことだろう。

開催国のエース、ハビエル・フェルナンデスは、史上2人目の200点越えを果たし、技術点と演技構成点の両方で歴代第2位の高得点を獲得して年下のリンクメイトから優勝を奪うことを全力で試みたことを示した。

フランク・シナトラの『Guys and Dolls』を華やかに演じた現世界王者も、3本の4回転ジャンプと7本の3回転ジャンプを着氷するが、羽生と違って着氷が完璧でないものがあった。

表彰台の一番低い段を獲得したのは、出場選手中最年少の日本の18歳、宇野昌磨だった。
プッチーニ作曲『トゥーランドット』に取り組んだ現世界ジュニア王者は、最強のライバル達に劣らない表現力とトップクラス難度の技術を惜しみなく披露した。
2本の4トゥループと、2本のアクセルと1本のルッツを含む7本の3回転ジャンプを着氷し、この競技のエリートの仲間入りを果たした。ただしルッツは久々にエッジエラー判定を受けた。当然のことながらスピンのクオリティも際立っていた。

出場選手の中ではベテラン選手になるパトリック・チャンは、木曜日のショートプログラムで起きた災難を早々と忘れ、史上稀に見るスケーティングのクオリティで彩られた過去の偉人達の輝かしい演技に匹敵するパフォーマンスを解き放った。

6位から4位に浮上したカナダ人は、1本の4トゥループと8本の3回転ジャンプを着氷し、途方もない価値のあるステップシークエンスを披露した。また足替えキャメルスピンではほとんどあり得ないレベル4の評価を受けた。

中国の18歳、ジン・ボーヤンは、チャンと同点だったにも関わらず、フリーの結果が優先されるというルールによって5位に甘んじることになった。

史上最も超高難度の選手は、着氷に問題があり過ぎたものの冒頭で4ルッツと4サルコウを着氷し、プログラム後半では2本の4トゥループを付け加えた。
予定されていた最初の3アクセルで転倒し、クリーンな演技ではなかったものの、ジャンプにおいては議論の余地のない悪魔、ジンは、開始から3分以上経過したプログラム終盤で、前半に実施出来なかった3アクセル/1ループ/3サルコウのコンビネーションジャンプを着氷してミスをリカバリーした。
統括すると、4本の4回転ジャンプと6本の3回転ジャンプを回り切り、数か月前までは想像すら出来なかった基礎点100点超のプログラムを滑り切った。

今大会、必須要素である4サルコウで苦戦し、ベストな演技が出来なかった日本の村上大介は最下位だった。
彼もまた今日、この場所にいたことをいつか弟子達に語り聞かせることが出来るだろう。

羽生結弦は日本人によるグランプリファイナル4勝目を母国に贈った。
4シーズン連続で日出づる国の選手が優勝を飾り、オリンピックチャンピオンは獅子の役を演じた。

 

最終結果

1) JPN – Yuzuru HANYU

330.43 (1|1) WR

2) ESP – Javier FERNANDEZ

292.95 (2|2) ER

3) JPN – Shoma UNO

276.79 (4|4)

4) CAN – Patrick CHAN

263.45 (6|3)

5) CHN – Boyang JIN

263.45 (3|5)

6) JPN – Daisuke MURAKAMI

235.49 (5|6)

プロトコル>>

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この記事をNeveitalia FBグループに投稿した際のマッシミリアーノさんのコメント

羽生結弦は歴史を塗り替えた後、甘いリンクメイトのハビエル・フェルナンデス、宇野昌磨、パトリック・チャン、ジン・ボーヤンを自らの宇宙人アドベンチャーに巻き込み、レジェンドとなった。

当然のことながら今日以降、永遠に記憶される空前のスペクタクルが生まれた。

 パトリックのショパンで幕開けした神大会(私は不遜な発言を含め、パトリックのキャラも演技も好きなので彼の素晴らしいフリーを見られて嬉しかったです!滑らかでスピードのあるスケーティングが圧巻で、ブレードが氷に吸いているようにエッジを自在に操っていました!)。

昌磨君の情熱的なトゥーラドット、高さのある美しい4ルッツを決めたボーヤン選手(プログラム最後に前半で失敗した3A/Lo/Sをリカバリーした時には、平昌で一番怖いライバルになるのは彼じゃないかと思いました)。

ハビエルの演技の後の盛り上がりは凄まじく、スペイン人の観客がハビコールをしながら足踏みを始めたのでアレーナ全体が揺れていました。

さすがの羽生君もこのシチュエーションで滑るのは厳しいのでは・・・と思ったのも束の間、私の目の前で4サルコウを鮮やかに着氷!

サルコウを降りた時の羽生君の表情は、一瞬で会場全員を皆殺し出来そうなほど気迫、というか殺気が凄まじく、これはやってくれるかも、と思いました。

公式練習でも6分間練習でもパンクしていて、私的に一番ドキドキした1本目の4Tが簡単に、軽々と決まった時、もう大丈夫かも、と少し安堵し、後半の4T-3Tが成功した瞬間、記録更新を確信しました!

ステップシークエンスとコレオシークエンスの迫力!
最初から最後まで完全に空気と氷を支配して、何かが降臨している感じでした。
NHK杯と違って、演技が終わった後もしばらく清明のままだった。

 私の席の横2列をスペイン人のハビファンのオバサマ達が陣取っていたのですが、羽生君の演技の後、全員スタンディングオーベーション!スペイン語で何か叫びながら惜しみない拍手を送っていました。

 他の選手もみんな圧巻の演技だったけれど、その中においても尚、羽生君は異次元だった。
『感動』という言葉では言い表せない、魂を揺すぶられる演技
歴史に立ち会った瞬間でした。

羽生君、本当にありがとう!!

Published by Nymphea

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち