Neveitaliaポッドキャスト「みんな羽生結弦に首ったけ、競技を変革する男(その1)」

マッシミリアーノさんのフィギュアスケート専用ポッドキャスト『Tutti con Ambesi』から
グランプリファイナルについて羽生結弦選手を中心に考察しています。
毎度のことながら凄まじく長いので翻訳は抜粋・一部要約です。

podcast8

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出演
マッシミリアーノ・アンベージ(イタリア・ユロスポ実況/コラムニスト)
アンジェロ・ドルフィーニ(元フィギュアスケート選手で元イタリア・ナショナルチャンピョン、イタリア・ユロスポ解説)

<グランプリファイナルMVP、三連覇の羽生結弦>

司会:今日は我々に多大な感動をプレゼントしてくれた歴史的なバルセロナ・グランプリファイナルについて話そう。

羽生は驚異的なことを成し遂げた。歴史を作り続ける彼は史上最高のフリープログラムを披露した。

女子ではメドベデワが予想を反して圧勝し、ライバル達から頭一つ抜けた。彼女の高得点について幾つかのテレビ番組で物申す者がいたが、後ほど詳しく考察していこう。

ペアのストルボワ/クリモフ組はそのクオリティの高さでライバル達を圧倒した。
アイスダンスのウィーバー/ポジェは先シーズンに引き続き安定した強さを見せつけた。

まずはグランプリファイナルで歴史を作ったセンセーショナルな羽生結弦の話でこの第8回ポッドキャストを開始しよう。

マ:間違いなく歴史に刻まれるファイナルになった。素晴らしい演技の連続で、シニアでは4つのカテゴリーの内3つのカテゴリーでグランプリファイナル歴代最高得点が生まれた。

圧倒的な記録を叩き出した男子シングル、女子シングル、そしてペアだ。

非常にセンセーショナルな大会だった。

羽生については僕達も慣れてきていて、そのことに疑問の余地はない。でも、メドベデワとストルボワ/クリモフ組も一線を超えた。この競技のシニアカテゴリーは爆発的に進化している。

つい最近まで女子では7トリプル+2ダブルアクセルが必須と言われていたけれど、今ではこれらのジャンプをどのように跳ぶかということも重要になった。

ただ跳ぶだけでは表彰台に近づくことすら出来ない。

男子では『新生』期が来たと言わなければならない。

男子のフリープログラムには8つのジャンプ要素を入れることが出来る。これらの8つの要素の中には3連続ジャンプを含むコンビネーションジャンプも含まれている。

通常、競争力のある選手になるには、2アクセル以上の10本のジャンプを跳ぶことが必要とされていた。つまり8本のトリプルと2本の2アクセルを跳ぶ選手から、4本のクワドと6本のトリプル(中国の選手のことだけれど)という、この採点システムが考案された当初は想像も出来なかった構成に挑む選手までいる。

注意して欲しいのはこの採点システムは技術レベルが高かった2002年のオリンピックの後に考案されたということだ。2002年オリンピックの男子フリープログラムは、表彰台に上ったヤグディン、プルシェンコ、ゲーブルだけでなく、他の選手達も皆非常にハイレベルな歴史的な試合だった。

しかしバルセロナのファイナルはこの大会を超えた。

僕達は5つの驚異的なプログラムを見た。

羽生結弦については形容詞が出尽くしてしまった。

彼の偉業はもう何と形容したらいいのか分からない。

でもハビエル・フェルナンデスもこのような状況で自分をコントロール出来る力があることを見せた。

宇野昌磨は未成年だけれど、TES100点を超える素晴らしいフリープログラムを滑った。

ジン・ボーヤンはフリーで4つの4回転ジャンプを降りた。正直、衝撃的だ。

ここ1年半の男子シングルの凄まじい進化は驚異的なものがある。

パトリック・チャンのような選手がほぼ完璧なフリーを滑っても~あえて言うなら2本目の4回転ジャンプがなかったけれど~仮に彼が2本のクワドを着氷したと仮定して8点を加えよう。つまり200点の完璧なフリーを滑ったとしても、フリープログラムで第3位だった。

だって羽生は遥か上にいるし、フェルナンデスも同様だ。

アンジェロ、驚異的だ・・・

ア:僕達は新時代のターニングポイントに立ち会った。

技術レベルは言うまでもないが、それだけではない。

過去15~20年間の偉大なジャンパー達、ゲーブル、本田武史、プルシェンコ、ヤグディンといった選手達が思い浮かぶが、彼らはこれほど複雑な高難度プログラムを滑っていなかった。

4回転ジャンプを3本入れるフリープログラムは彼らだって滑っていた。勿論、成功したのはキャリアで1回だけとかだけれど。

最も高難度だったのがゲーブルで4回転ジャンプ3本、3アクセル2本のプログラムを滑る唯一の選手だった。

他の選手達は状況に応じてクワド2本、3アクセル2本で勝負していた。

ただし、採点システムも今とは違うから単純に比較するのは難しい。

でも今では4回転ジャンプ3本が普通になり、4本という前例のない構成に挑む者も出てきた。

勿論、ジャンプの本数だけではない。

実際にジン・ボーヤンは4本のクワドを跳んだけれど、彼のフリーの得点は5位だった。

マ:今日、ジン・ボーヤンのインタビューを読んだけれど、彼の目標は4回転ジャンプと3アクセルだけのフリープログラムに到達することだそうだ。つまり彼はクワド7本、3アクセル1本のプログラムを思い描いているのだ。まさにサイエンスファンタジーだ。

ア:つまりアクセル以外の5種類のクワド、トゥループ、サルコウ、ループ、フリップ、ルッツを跳ぶということだね。

実際、彼は既にトゥループ、サルコウ、ルッツは試合で入れているし、フリップはルッツに似ている。ループは分からないけれど、既にこのジャンプを跳んでいる誰かがいる。誰かとは羽生のことだけれど。

つまり可能性はあると言うことだ。恐るべきことだ。

彼らが滑るプログラムは驚異的だ。

しかも、先ほど君が強調したように、ジャンプの難度が上がっただけでなく、過去に前例がない非常に複雑で難しいプログラムを滑っている。

ジン・ボーヤンはまだ粗削りで、当然のことながら演技構成点ではまだ遅れをとっているから外そう。

でも今回、高い技術点だけでなく、100点満点の演技構成点で96点を超えた選手が3人もいた。

つまり、僕達が見ているのは技術面と芸術面、両方の観点で傑出している選手達なのだ。

これは本当に驚異的なことだ。

これまでは、この2つの要素を兼ね備えた選手を見つけるのは難しかった。

でも今は羽生、フェルナンデス、チャンという3人の選手、デニス・テンも加えると4人の選手がこれまで前例のなかった芸術性と技術の両立を実現している。

マ:羽生が成し遂げたことを言葉で定義するのは、難しくなる一方だ。

今後、彼が目指すのはフリーとショートで現在の構成で到達可能な最高点、つまり満点を獲得することだ。

これがどういうことかと言うと、各エレメンツで最高レベル+GOE+3を獲得するということだ。勿論、彼なら可能だろう。

ショートプログラムで世界記録を出した後、彼が最初に言ったことは「Step Sequence is not good」だった。何故なら彼はステップで全てのジャッジから+3を獲得したけれど、レベル3だった。つまり1.2点取りこぼしたことになる。

ショートプログラムで彼が獲得した得点は110.95。このプログラムで獲得可能な最高得点は113.65点。全てのGOEが+3、演技構成点が全項目10点満点と仮定した場合の得点だ。フリープログラムでも状況は変わらない。現在の構成で到達可能な最高得点は225.79点。今回の彼の得点はこの目標に6点足りないだけだった・・・

ア:驚異的だ・・・

マ:ちょっと前までは想像すら出来なかった代物だ。

つまり彼はレベルのハードルを押し上げ、ライバル達の最高得点をかき集めても彼には遠く及ばないという状況なのだ。

ア:本当に恐るべきことだ。

実際、結弦は圧倒的な技術力と規格外の芸術性を兼ね備えたほぼ完璧な総合体だ。

彼がリンクに持ち込む技術は圧倒的だ。同時にスケーティングの質、豊富なトランジション、動作の質、表現力において絶対的優越を誇っている。

現在のエレメンツで可能な完成形にほぼ到達した。しかも結弦は4ループという秘密兵器をまだ袖の下に隠し持っている。

実際にプログラムに入れるとすると、それなりの時間と練習が必要だし、このプログラムには挿入するのは難しいかもしれない。
おそらく専用の新しいプログラムを作る必要があるのかもしれない。
でも事実を言えば、このプログラムに4ループを入れるスペースはあるのだ。

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今回のグランプリファイナルは全てのカテゴリーが神大会だったので、ポッドキャストもいつもに増して熱いです。120分中、最初の12分でこの量です

しかもタイトルが・・・

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