Neveitaliaポッドキャスト「羽生結弦? What else!(その2)」

マッシミリアーノさんのフィギュアスケート専用ポッドキャスト『Tutti con Ambesi』から
前回の続きです。

翻訳は抜粋・一部要約です。

podcast5

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出演
マッシミリアーノ・アンベージ(イタリア・ユロスポ実況/コラムニスト)
アンジェロ・ドルフィーニ(元フィギュアスケート選手で元イタリア・ナショナルチャンピョン、イタリア・ユロスポ解説)

マ:例えば今シーズンのハビエル・フェルナンデスはとても安定していてシーズン初戦から270点台を出してきた。勿論、幾つかミスがあったから275点には達するだろう。でも僕の記憶では280点を超えたことはない。
つまり羽生結弦より40点も低い。

だから僕は彼のフリーもショートもフィギュアスケート史のターニングポイントとなるプログラムだと言った。

他の選手達は頭を悩ませるだろう。
彼の後を追いかけるか。
この場合、ショートでクワド2本がスタンダードになる。

あるいは、彼は別カテゴリーで試合をしていると割り切り、最初から2位狙いで別の道を行くか?

OK、羽生結弦だってスケートカナダでパトリック・チャンに敗れた。
でも彼が負けたのはショートにおける無邪気なミスのせいで、あそこで然るべきコンボを跳んでいたら彼が勝っていた。

そして日本では技術的には究極レベルの選手に圧勝した。
ジン・ボーヤンは史上初のクワド5本のフリープログラムを滑る選手になるだろうと僕は思っている。

彼の現在のプログラム構成を見ると、4ルッツをもう1本増やすのは何の問題もないように思われる。そうなると基礎点は110とか109に達し、全てのジャンプが決まればGOEを含めてTES116とか117点を獲得出来るだろう。
でも全てを合計しても25~30点は(羽生を)下回る。

勿論、羽生がこれほど驚異的な演技を繰り返せるとは限らない。でもライバルの失敗を当てにする訳にはいかない。

もし羽生の後を追う気なら、彼らは自分達のスケートをひっくり返さなければならない。

例えばフェルナンデスは2つ観点から検討しなければならない。まずショートをクワド2本にして1本をステップから、もう1本をコンビネーションにする、そしてフリーに2本目の3アクセルを入れる。

でも別の惑星からやってきた羽生結弦というスケーター以外の選手達に勝つことを目指すなら今のままで十分だ。

これは簡単な問題ではない。
何故なら全ての選手が同じことを検討しなければならなくなるからだ。

僕達はいつも可哀想なジェーソン・ブラウンを例に挙げるけれど、彼がショートプログラムでトリプル4本の構成で90点を目指すには、全てのジャンプをGOE+3が付くクオリティで決め、スピンとステップでもレベル4+GOE+3を揃えなければならない。
それでも羽生との間には16点もの差があり、ジン・ボーヤンを始めとする4回転ジャンパーとは7点差が付く。
フリーでは基礎点のギャップを埋めるのは更に困難になる。

グランプリファイナルでフェルナンデスが構成を上げてくるか見てみよう。

勿論、羽生がミスすることをひたすら祈ることも出来るけれど、彼が身体的に健康で、精神的に晴れやかな時、長野で見たような選手になる・・・つまり無敵だ。

大問題なのは、他の選手達の最も高い得点をかき集めて合計しても、羽生の得点には到底及ばないということだ。

羽生以外の選手の各項目の最高得点、例えばパトリック・チャンの演技構成点とジン・ボーヤンの技術点を足しても羽生が長野で出した得点を遥かに下回る。いや、近づきもしない。

ア:本当に驚異的だ。羽生が長野で実現したことの次元の凄まじさを説明するのは難しい。

フィギュアスケートはファンや観戦者や観客にそれぞれの好みや見解やお気に入りの選手があって、評価が主観によって大きく左右されるスポーツだ。だからジャッジの採点について時には賛否両論が巻き起こったりするけれど、これはこのスポーツの一部であり、長所であり、魅力でもある。

でも彼のような選手を目の当たりにしたら・・・言葉で説明するのは難しいけれど、羽生は完全に前代未聞の、そして全く唯一無比の偉業を実現している。

この競技をよく知らない人に彼が成し遂げたことがどれほど凄いことなのか説明する適切な比較を見つけるのは難しいけれど、これほどの大差をつけて、圧倒的な歴代新記録をこれほど簡単に叩き出した彼の快挙は、フィギュアスケートという競技の枠を超越するものだ。彼はフィギュアスケート界だけでなく、例えば陸上100メートルのボルトと並ぶ、スポーツ界全体における最も偉大な選手の一人だ。

僕達が見ているのはそういう選手なのだ。
この選手が如何に偉大か、そのスケールを伝えることは簡単なことではない。

そして羽生は知っている。まだまだ進化の余地があることを。

これほどの得点にも関わらず彼自身、「もっと進化出来る、1つ1つのエレメンツを一生懸命こなす、もっと改善出来る」と話している。

そして彼の言うことは正しいのだろう。

得点に関係なく、僕はこのプログラムを3回目、4回目と見るたびにこの選手が伝える技術と芸術の融合に感動して鳥肌がたつ。
冷たい数字を超えて感動を伝えることが出来るこのスポーツ独自の特徴でもあるのだろう。
とにかく衝撃的だった。

マ:それにキャラクターが独特だ。

今シーズンのフリーはまさにハマりプロ。カナダのバリーで開催された今シーズン最初の試合から既にそれが分かった。

でも実を言うと、僕は彼がこのプログラムの短縮版をショーで披露した時から、彼がこれを完璧に滑った時、この競技の歴史をも変えるプログラムになるだろうと確信していた。

でも羽生のプログラムについて僕達がこういう話をするのは、これが初めてではない。

羽生結弦がまだ前途有望な少年だった2010/2011年シーズン、クレイグ・アームストロングの名曲『ロミオ+ジュリエット』で滑ったあのプログラムは、無数のフィギュアスケートファン、視聴者、そして他の選手のファンすらも虜にした。

音楽と完璧に同調し、まるでロミオが乗り移ったような彼の演技は見る者の心を鷲掴みにした。

シェイ=リーン・ボーン振付けのこの新しいフリープログラムを見る時、まさにこの時と全く同じ感動を覚える。
おそらくアジアの人々にとっては特別な意味がある日本映画をモチーフとしたこのプログラムで、彼は最初から最後まで驚異的な鮮烈さで音楽を生きている。
オリンピックシーズンのフリープログラムは素晴らしい演技をした時でも、このような感動は与えなかった。

つまり彼が自分のプログラムと感じているプログラムを完璧に滑った今回、その快挙は更にスケールの大きなものになった。

全てのライバルがそれを認めた。
試合直後から絶賛と賛美のコメントで溢れ、中には「アーメン」で締めくくる者もいた。

ア:僕はライバル達の気持ちにもなってみるよ。
7位のブレジナは得点で100点も下回っている。

ドーンブッシュはショートとフリーのトータルスコアで、羽生のフリーだけの得点をかろうじて上回っている。
(笑)つまり僕が言いたいのは、このような瞬間においてはただ帽子を取って、この天才の前に跪くことしか出来ないと言うことだ。

マ:フィギュアスケート界の大物達も同じ反応だった。

タラソワは「私を今日まで生かしてくれたこと、そしてこの演技を見ることが出来たことを神に感謝する」と述べた。
断っておくけれど、タラソワは、以前は特に羽生結弦ファンという訳ではなかった。
ミーシン一派が昔から羽生結弦を溺愛していて、タラソワはどちらかというとそれに対抗する傾向があった。

でも今では彼女すら落ちた(笑)。彼という人物の偉大さを100%認めたからね。というか認めずにはいられないだろう。

そして、この選手が他の選手に対して見せる称賛の念にも感動させられる。

彼はジン・ボーヤンを重要な言葉で称賛した。シニアに上がりたての前途有望な18歳の少年に過ぎないジン・ボーヤンについて、羽生結弦は「僕は彼を研究している。僕は、ルッツは1度まぐれで降りただけだし、ループもまだ安定していないし(僕は既にかなりの確率で着氷出来ていると確信しているけれど、まあ今は彼の言葉を信じてあげよう~笑)、彼のように簡単に跳ぶことは出来ない。だから勝つための他の方法を見つけなければならない」と述べた(笑)。

彼は近い将来フリープログラムで史上初のクワド5本に挑戦するであろう選手を研究しているのだ。
このことは彼の人間性が如何に偉大かを物語っている。

To be continued…

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相変わらず熱いですね!!!

ポッドキャストの別の回では他の選手のことも勿論話していますが、熱の入り方(というかマニアックさ)が全然違う。
フィギュアスケート専用ポッドキャストを開設したのは、心おきなく羽生結弦を語れる場を設けたかったからで、他の試合や選手の考察はカムフラージュに過ぎないのでは?と思えるほどテンションに差があります。
やっぱり「Tutti pazzi per HANYU」(みんなハニューに首ったけ)に改名して欲しい。

それにしても日本では「しゃべり過ぎて3問で終了した」ことだけがやたらにクローズアップされたプレカンの羽生君のスピーチ、世界中の専門家やジャーナリストに深い感銘を与えたんですね。

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