Neveitaliaより「羽生結弦作曲、第3作目の交響曲」

バルセロナGPF男子ショートの記事
執筆しているのはイタリア・ユロスポ解説者のマッシミリアーノ・アンベージさんです。

GPF2015_SP

(2015年12月10日)

原文>>

羽生結弦は可能なあらゆる記録を破り、想像を絶するレベルにハードルを押し上げ、10日間あまりでフィギュアスケート史を塗り替えた。

NHK杯でハイレベルな2つのプログラムを滑った後、五輪王者はグランプリファイナルのショートプログラムでほぼ完璧に達する演技で自らの記録を更新した。

ここでいう『完璧』の概念とは、もはやライバルとの比較ではなく、彼自身と比較した基準である。

バルセロナCCIB (Centre de Convencions Internacional de Barcelona)の半信半疑の観衆の歓喜の中で、羽生は演技構成点の各項目の平均が非現実的な9.83、合計49.14というセンセーショナルな得点を獲得し、パトリック・チャンから歴代最高PCSを奪った。

今大会、skating skills、coreografy, interpretation、performanceの各項目で合計22個の10点評価を獲得し、中でもPerformanceではジャッジ全員が10点を付けた。

圧倒的パワーを持つ技術について理解してもらうには、冒頭の2つのエレメンツ、前後をイーグルで挟んだ4サルコウと複雑なステップシークエンスから跳ぶ4トゥループ/3トゥループが満点(13.50+17.60)を獲得したと言えば十分だろう。

プログラム全体で出来ばえ点だけで史上前例のない24.36点もの高得点を持ち帰った。

唯一の『悔しい』理由は、ステップシークエンスがレベル3止まりだったことだが、次の大会で更に『向上するための』重要なモチベーションになるだろう。

総合すると、ショパンのバラード第1番の旋律に乗せたジェフリー・バトル振付けのショートプログラムは110点の壁を超えた史上初のプログラムとなった。技術点で史上初の60点越えを果たしたことも忘れてはならない。

要約すると現在の採点システムの砦は完全に崩壊し、将来、この仙台の天才選手をベースにルールが改正されることになるだろう。

羽生は到達可能な最高得点が113.65のプログラムで110.95点を獲得した。

冷たい数字は別にしても、技術と芸術の融合、音楽と同調する能力、まるで人生最後のプログラムのように役に没頭し、曲と一体化出来る天性の才能が、既にスポーツ史の天上界入りしているこの人物の唯一性を証明するパフォーマンスを更に驚異的なものにした。
いずれにしても羽生はもはや歴史ではなく伝説に不朽のページを更に書き加えるつもりのようだ。

ブライアン・オーサーの教え子は、プルシェンコやヤグディンと言った過去のレジェンド達すら成し遂げたことのないグランプリファイナル三連覇に王手をかけた。

2位には地元ファンの熱狂的な応援に後押しされたハビエル・フェルナンデスが入った。
不運にもリンクメイトの直後に滑らなければならなかった現世界王者は、当然のことながら羽生の途方もない演技の影響を受け、冒頭の4サルコウがステップアウト、コンビネーションが3ルッツ/2トゥループになるミスを犯した。

しかしながら2つ目のミスで目が覚めたマドリッド出身の24歳は、残りのエレメンツを完璧にこなし、『Malaguena』の旋律に乗せてデヴィッド・ウィルソンが振付けしたプログラムに輝きを与えた。

特筆に値するのは彼のキャリアにおいて飛躍的に向上した3アクセルと、フィギュアスケート史上、羽生結弦とパトリック・チャンに次ぐ演技構成点を獲得したことである。

上位2人の間には20点近い大差が開いた。

3位には着氷が乱れたものの4ルッツ/3トゥループのコンビネーションジャンプを何とか降りた中国のジン・ボーヤンが入り、同い年で永遠のライバル、宇野昌磨を上回った。7つのエレメンツの内、6つのエレメンツを傑出したクオリティでこなした日本人選手は、回転不足と判定された4トゥループの転倒で大量の点を失った。

3人目の日本人選手、村上大介もプログラム後半に予定されていたコンビネーションジャンプ、3ルッツ/3ループのセカンドジャンプがダブルになってしまったものの、パーソナルベストを更新する満足のいく演技を披露した。

今日はパトリック・チャンが惨敗者になる番だった。今シーズン、羽生に勝った唯一のスケーターであるカナダの選手は、冒頭の4トゥループが3トゥループになってしまった後、3ルッツの後に2度目の3トゥループを付けてコンビネーションにする無防備なミスを犯し、同じ種類の3回転ジャンプを繰り返してはならないというルールによってエレメンツ全体がゼロになってしまった。

五輪銀メダリストは足替えキャメルスピンもカウントされず、ショートプログラムでは村上から約13点、首位からは40点以上も引き離される結果に終わった。

待望のフリープログラムは土曜日の晩に行われる。

ショートプログラム順位

1) JPN – Yuzuru HANYU

110.95 (61.81|49.14) WR

2) ESP – Javier FERNANDEZ

91.52 (44.56|46.96)

3) CHN – Boyang JIN

86.95 (47.99|38.96)

4) JPN – Shoma UNO

86.47 (44.95|42.52) -1.00

5) JPN – Daisuke MURAKAMI

83.47 (42.39|41.08) PB

6) CAN . Patrick CHAN

70.61 (25.72|44.89)

プロトコル>>

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ショートプログラム直後、Neveitalia FBグループに演技動画を投稿したマッシミリアーノのコメント

Yuzuru HANYU (JPN) 110,95 (61.81|49.14)
ただただ非合法
別の試合、別の世界、全てが異次元
ほぼ満点(50点)に近い歴代最高PCS

私は幸運にも現地でこの演技を見ることが出来ました!
最初のイーグル4Sイーグルは溜息が出るほど美しかった!
4T/3Tのコンビネーションは私の目の前だったのですが、あまりにも軽やかに簡単に跳んでいて一瞬トリプルかと思ったほどでした。
スピンもステップも全てが音楽と同調していて本当に素晴らしかった。

超高難度のジャンプばかりなのに、まるで羽が生えているかのように軽やかで、全く力が入っていないように見えて、本当にこの世のものとは思われなかった。
余りにも凄すぎて鳥肌が立ちっぱなし!演技が終わった後もずっと震えが止まりませんでした。
まさにFenomeno(超常現象)

しかし5日間不在の間にNeveitalia記事、ポッドキャスト、演技動画、イタリアフォーラムと、マテリアルが山のように貯まっていて、一体どこから手を付けたらいいのか分からず途方に暮れている状態

もう眩暈が・・・gvbVh

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu