OA Sportより「スケートカナダ2019:羽生結弦の献身。GP第2戦の印象」

ポッドキャストの翻訳がまだ終わっていないのですが(そうこうしている間に第3弾118分が放送されました・・・)、OA Sportのスケカナとフランス国際の総評記事があまりにも対照的で面白かったのでこちらを先に訳したいと思います。

まずはスケカナ総評記事から

原文>>

スケートカナダ2019:
羽生結弦の献身、アレクサンドラ・トゥルソワの驚異的な才能。
グランプリ第2戦の印象

ファブリツィオ・テスタ(2019年10月28日)

スケートカナダ2019の舞台となったカナダのスポーツ施設、ケロウナのプロスペラ・パラスで先週末に行われたフィギュアスケートISUグランプリシリーズ第二戦で繰り広げられたスペクタクルは期待を上回るものだった。
そのカテゴリーでも上位選手達が記録を更新し、関心を刺激し、時には唖然とさせながらパフォーマンスのハードルを押し上げた。

大会の絶対的主役は日本の羽生結弦だった。
ブライアン・オーサーに師事する選手がスケートアメリカで299点を獲得したネイサン・チェンに明確なメッセージを送らなければならなかった。
そしてそのメッセージは正真正銘のスポーツバトル宣戦布告としてライバルの元に届けられた。
エイリアンはプログラム構成に4ルッツを導入し、4アクセルに挑戦するという考えを一旦保留し、本質的にクオリティに焦点を当てることにした。
このような理由からオリンピックチャンピオンは2つのプログラムで3アクセル2本、4サルコウ2本、4トゥループ3本を教本通りのクオリティで披露し、ジャッジ達から宇宙レベルの出来映え点を与えられた。

また、この大会で羽生はまたしてもこの競技に対する献身と愛を示し、史上初のコンビネーション、4トゥループ/オイラー/3フリップを観客にプレゼントした。
技術点と演技構成点を合わせてフリーでは212.99 点 (116.59, 96.40)を叩き出し、トータル322.59という高得点に達した。

総括的に日出る国の選手が10月にこれほど良好なコンディショナルを見せたことは未だかつてないことで、より重要な大会における活躍を心底期待させられる。

同国の田中刑事が羽生と共に表彰台に上がった。
2位に入ったのは開催国のナム・ニューエンで、上位に浮上出来なかった数年間に及ぶ苦難の時期を経て、2つの非常に素晴らしいパフォーマンスを実施して表彰台に上がった。

マッテオ・リッツォは痛恨の2つのミス(4トゥループとコンビネーションに出来なかった3ルッツ)で出遅れたショートプログラムが響いた。

羽生結弦が自分自身とライバル達を超えたいという強い意志によって我々を感動させたのに対し、アレクサンドラ・トゥルソワは類稀な身体・技術パワーを披露した。

エテリ・トゥトベリーゼの教え子は女子の領域に4回転ジャンプを持ち込み、文字通りこの競技の歴史を塗り変えた。
この大会では4ルッツと(95%の男子よりクオリティが高い)2本の4トゥループ(しかもその1本はオイラー/3サルコウのコンビネーション)を着氷し、技術点で100 点に達し、トータルで241.02をかき集めた。冒頭の4サルコウの転倒がなければ、2度のジュニア世界女王の得点はもっと高いはずだった。

リャザン出身の比類のない、そして守られるべき才能は、一部のスケートファンとスケート関係者から(幸運なことにそれほど多くはないものの)「ジャンプマシン」という無情な批判を浴び始めている。
しかしながら、精巧に構築された彼女のプログラムからは、成熟した滑りという点においてリンクメイトのアリーナ・ザギトワとアリョーナ・コストルナヤには劣るものの、このような批判を受けるような要素は見当たらない。

紀平梨花はショートの点差をもってしても成す術がなく、2位に甘んじることになったが、2つのプログラムで3本の3アクセル(内1本は2トゥループとのコンビネーション)を含むジャンプ構成によって、まだ勝てるチャンスがあることを示した。
しかしながら、トゥルソワのフリーがノーミスだった場合、ロシアのリーダーシップを脅かすことの出来るライバルを見つけるのは難しい。

いずれにしても彼女を追う選手達の取るべき戦術は一つしかない。
トゥルソワの唯一の死角であるショートプログラム(ルールによって4回転ジャンプを跳ぶことが出来ない)で出来るだけ高い得点を獲得し、フリーに備えて貴重な点差を稼ぐことである。
モスクワに練習拠点を置くこの選手が3アクセルをまだ装備していないことを考慮すると、間違いなくこのジャンプを跳べる選手達がより有利になる。

ただし、いずれにしても現時点でトゥルソワと同じ土俵に上がり、彼女に勝とうと試みることができる選手は、紀平梨花とロシアのアリーナ・ザギトワ、アリョーナ・コストルナヤ、アンナ・シェルバコワだけである。

この意味において、オリンピック銀メダリストのエフゲニア・メドヴェデワはもはや永久的に圏外のように見える。
特に演技構成点における優位が際立ったフリーの演技は良かったものの、ショートプログラムでは彼女のあらゆる限界が露呈した。
ブライアン・オーサーの教え子の旬はもはや過ぎてしまった印象を受ける。
3トゥループの回転不足、不安定な2アクセル、3ルッツの酷い転倒というミスを連発したショートプログラムでの精神的崩壊は、ロシアでは、もはや競争力がないという現実の重さとプレッシャーを彼女が感じていることを示している。
これらの点に加え、常にジェーニャのアキレス腱だった3ルッツ(今回もエラーと判定された)をなぜかショートに入れるという彼女のチームの議論の余地のある戦略も強調したい。

最後に韓国のユヨンの素晴らしい演技に言及したい。
安定した3アクセルを持つスケーターは217.49点を獲得して3位に入った。

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☆記者のファブリツィオさん、先シーズンは羽生君が怪我のためファイナル欠場を発表してから、色々な記事でエイリアンがいなくて寂しい・・・と何度も書いていましたからトリノのファイナルはきっともの凄く楽しみにしているでしょうね。

Devozioneという言葉が使われていますが、献身、無償の愛という意味です。
羽生君の演技からは技術的・芸術的な素晴らしさに加えて、彼が心からこのスポーツを愛していること、滑れることが嬉しくて嬉しくて仕方がないという溢れんばかりの気持ちが伝わってきます。
これも彼の演技にこれほど心を揺さぶられる理由の一つだと思います。

梨花ちゃんはまだ万全な状態ではないようですが、トゥルソワの宇宙的得点を聞いた後で、あの演技はさすがです。
本当にビクともしなくなりましたね。
ルッツ/フリップの跳び分けが完璧で、どのジャンプにも3Tを付けられるのは梨花ちゃんの強みです。
怪我などでやむを得ず構成を変更しなければならない時、彼女のように苦手なジャンプがない選手は強いですね。
早く左足の怪我が治って、ルッツが戻せることを願っています(ショート・フリー合わせて3本入れていた3ルッツを1本も入れないでこの得点は凄いと思います)。

トゥルソワは・・・一層男子カテゴリーで競技させて、来季ワールドのロシア男子3枠を取ってきてもらったら?とかそういうレベル(正直、今のロシア男子では誰が代表になっても3枠取れなさそう・・・)

マッシミリアーノさん達は欧州選手権男子シングルに出場したら金メダルと言っていますが、世界選手権に出場しても普通に銅メダルだと思います(PCSを男子の係数で計算すると、トゥルソワの得点は羽生君、ネイサンに次いで今季第3位)。
彼女を最初に見たのは2年前のジュニアグランプリです。
あれから明らかに身長は伸びているのに、何の問題もなくクワドを跳びまくっています・・・
彼女の場合、身体能力や身体のバネが並外れていて、体型変化とかあまり関係ないのかも

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