OA Sportより「世界選手権2021:女子プレビュー+ロシアを巡る批判」

こちらは女子シングルのプレビューです

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ファブリツィオ・テスタ
2021年3月16日

3月22日からストックホルム(スウェーデン)のエリクソングローブアリーナで開幕するフィギュアスケート世界選手権2021の女子シングルは、最後まで結果が分からない不確かで、多くの選手に可能性が開かれた大会になるだろう。実際、昨シーズンまではロシアの表彰台独占以外は考えられなかったが、今シーズンは本質的に(そして例外的に)状況が変わった。

 

何故なら2019-2020年シーズン、世界の半分を魅了し、昨季のあらゆるタイトルを総なめにしたアリョーナ・コストルナヤが今大会には出場しないからだ。しかしながら、彼女の不在は怪我やその他の体調の問題によるものではない。今シーズンは出場した国内大会で一度も輝いたことがなく、むしろ数カ月しか続かなかったエフゲニー・プルシェンコ率いる指導チーム下で大幅に退化したことが原因だ。コストルナヤはエテリ・トゥトベリーゼの元に戻るためにプルシェンコとは既に決別している。

 

一方、プルシェンコの元を離れなかったアレクサンドラ・トゥルソワは、今シーズンは演技に波があるものの、スウェーデンへの切符を掴み取ることが出来た。しかしながら、非常に微妙な立場にあり、コーチ変更が性急な決断ではなかったことを皆に証明しなければならない。クワドクイーンは大会の大本命で最大のライバル、アンナ・シェルバコワと激突する。

元「魔法のトリオ」の中でただ一人サンボ70を離れなかったシェルバコワは、12月に非常にハイレベルでクリーンな2つの演技によって観客と関係者を感動させてロシア選手権三連覇を達成した。

 

ロシアのお家騒動によってチャンスなのが日本の紀平梨花である。半年ほど前からスイスのステファン・ランビエールの元に移籍し、長野の全日本選手権では絶好調に見えた。特に3アクセルと組み合わせれば非常に重要な武器になる4サルコウを初めて着氷させた。

代表争いの決戦で前述のコストルナヤに勝ったロシアの3番手、エリザベータ・トゥクタミシェワもこの3アクセルが頼りである。

 

また、日本の坂本花織と宮原知子、アメリカのブライディ・テネル、韓国のキム・イェリムも上位争いに加わろうと試みる。一方、2019年埼玉の銀メダリスト、エリザベート・トゥルシンバエワは出場しない。

とりわけ来シーズンには五輪金メダル候補の一人であるカミラ・ワリエワがシニアに上がってくることを考慮すると、今大会はある意味で非常にユニークな大会になりそうだ。

 


そして昨日の記事ではルール無視のロシアチームに苦言しています

世界選手権2021:
イタリアチームがいち早くストックホルムに到着
ロシアを巡る批判

 

ファブリツィオ・テスタ
2021年3月21日

(ロシアに言及した部分だけ抜粋します)

早くも、ロシアチームの数人(幸い全員ではない)が機内などにおいてディスタンスやマスク着用(信じ難いことだが、この保護具が全く存在していないことさえある)などの安全のための基本ルールを守っていないことに対して(撮影された数々の動画や写真がこの事実を証明している)、ファンと関係者の間で批判が巻き起こっている。当然のことだが、この事実は多くの憤慨と、とりわけ懸念を招いている。

 

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☆ロシアチームはストックホルムの空港で全員ノーマスクで堂々と写真撮影をしていました。イタリアの空港で同じことをやったら間違いなく罰金です(イタリアではもはや自宅以外ではマスク着用という生活がすっかり定着しています)。

空港職員が誰も注意しない、というのも信じられないですし、同じヨーロッパでもスウェーデンのコロナ対策が如何に緩いのかを改めて実感しました。

そして、何とバブル内に入ってもルールを全く守っていないとか・・・
あまりの意識の低さ、身勝手さに呆れるばかりです。

運営側が厳しく取り締まり、守らない人はバブルから即追放ぐらいの厳格な態度で望まなければ、彼らはこのままやりたい放題です。

 

女子プレビュー

梨花ちゃんはショートをクリーンに滑って如何に点差を稼いでおくかがネックになりますね。彼女の今シーズンのショートプログラムは斬新で凄くカッコいいですから、ノーミスならインパクトは絶大です。演技構成点でも高得点が期待出来ると思います。
ショートとフリーをノーミスで揃えられたら優勝の可能性も十分あると私は思います。
鍵になるのは4サルコウですね。

今シーズンの国内大会におけるシェルバコワの安定感は圧倒的ですが、最後に見たロシア団体戦ではまだコロナから完全に回復していなかったのか、プログラム後半が体力的にかなりキツそうでした。万全な体調に戻せているといいですね。
あとは、国際大会のテクニカルが彼女のジャンプをどう判定するか興味があります。
国内大会を見る限り、qや!が付きそうなジャンプが幾つもありました。

ロシアではこのメンバーだと個人的にトゥルソワに一番興味があります。
彼女は羽生君とはまた別の意味で宇宙人だと思うので(どちらかというとプル様の星に近いような)。
昨シーズンはコストルナヤが文字通り光り輝いていて、トゥルソワはその陰に隠れていましたが、今大会では彼女独特の個性と人間離れした身体能力を見せて欲しいです。

 

でも

 

今シーズンの女子シングルのプログラムで私が最も引き込まれたのはさっとんの「トスカ」なんですよね。
現在現役の女子選手で、こんなプログラムが演じられるのは彼女だけだと思います。
残念ながら、現在のルールでは彼女の演技が芸術的にどんなに素晴らしくても、得点的にロシアの十代の少女達を上回ることは出来ませんが、私が何度でも見たいと思う演技はカミラ・ワリエワの「ボレロ」でもトゥルソワの「ロミオとジュリエット」でもなく、さっとんの「トスカ」なのです。

Published by Nymphea

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち