OA Sportより「スケートアメリカ2020:膨張された得点と馬鹿げた判定」

スケートアメリカの盛り採点について、私は実質ナショナル大会なのでスルーしようと思っていましたが、OA Sportが辛辣な批判記事を書いていました。

ブログやソーシャルなどの個人の意見ではなく、イタリアのれっきとしたスポーツメディアの見解ですので翻訳したいと思います。

 

原文>>

スケートアメリカ2020:膨張された得点と馬鹿げた判定。
このような大会に何の意味があるのか?

 

ファブリツィオ・テスタ(2020年10年26日)

今年はパンデミックが原因で、本来の形式から四カ国による純粋なナショナル大会と化したフィギュアスケート2020-2021グランプリの初戦、スケートアメリカ2020を描写する一つの形容詞が存在する:「非現実的」だ。

各試合が自国ジャッジのみによって採点され、大会全体が非常時の形態ということが非現実的。

そして予想通り、グランプリ開幕戦は、ラスベガスのオーリンズアリーナのリンクで披露された内容から数光年かけ離れているだけでなく、無効で、幾つかのケースでは危険な得点によって汚された

 

開催前から、全ての国内大会でよく起こる得点の過剰なインフレーションが危惧されていたが、現実は(アメリカでよく起こることだが)予想を遥かに超えていた:

回転不足の判定は成り行き、ルッツもどきのフリップ(またはその逆)は何のためらいもなく認定演技構成点は最大限まで膨張された

スケートアメリカは、ISUの主要大会(何度も繰り返すようだが)に分類される大会で「やってはいけない採点」の完璧な見本になった。

誰のためにもならない「手口」だ:
真実と異なるフィードバックを受け取るスケーター達のためにならないし、関係者のためにもならない。
そして何よりも世界中の観衆に対して失礼である。

 

顕著な例は女子シングルで優勝したマライア・ベルのケースだ。
平均以下のクオリティだったエレメントに対してバカ高いGOEが並び、エラーは見逃し(ルッツ)、演技構成点では想像力と気前の良さが遺憾なく発揮された。

しかしこれが唯一のケースだった訳ではない。

ネイサン・チェンのケースについても議論しよう。
彼が技術的能力において並ぶ者が僅かしかいない選手であり、エンターテイナーであることに議論の余地はない。
しかし、世界チャンピオンはいつも同じである。
ルールの欠陥を悪用し、プログラムコンポーネントという観点においてパッとしないパフォーマンスを実施する。

しかしながら、彼のこの欠乏が、国際大会のプロトコルに反映されることはほとんどない。ましてやこのような大会では10.00(「完璧」に与えられる評価のはずだ)の嵐だ。

 

ペアの試合でも、得点は制御不能だった。

アレクサ・シメカ・クニエリム/ブレンダン・フレイザーは並外れたものは何も見せなかったが、母国ではトップ選手がほとんどいないカテゴリーで、準備期間が僅かだったにも拘わらず、大会に間に合わせ、安定感を示した。
期待されていたアシュリー・ケイン/ティモシー・ルデュクとタラ・ケイン/ダニエル・オシェイは5位と6位に終わった。

 

ダンスは両方のプログラムを変えてすんなり優勝したマディソン・ハベル/ザカリー・ダナヒューのような有力選手に対する恒例の得点高騰以外、何も新しいことはなかった。ショートダンスでは昨シーズンよりモダンで効果的なプログラム、フリーは非常に表現豊かで、構成において非常に「アメリカ的」なプログラムだが、より威信あるチャンピオンシップでは得点面において代償を支払うことになるだろう。

何度も繰り返すように、名目上はワールドカップに相当するA級大会だ。
しかしは現実はミニチュア版国内選手権に過ぎなかった。

我々はこのような大会の必要性を感じていなかった。

 

 

******************

☆OA Sportがここまで書くとはびっくりです。

これまでにも、もう少し控え目に採点を批判したことは何度かありましたが、今回はよほど腹に据えかねたのでしょう。

私は男子の試合はまだ見ていませんので、男子については何もコメント出来ませんが、女子に関して言えば、マライア・ベルがPCSでブライディ・テネルを上回ったことにびっくりしました。

私のような素人から見ても、ブライディのプログラムの方が明らかにトランジションが豊かで、ジャンプの入りと出に工夫が凝らされ、スケーティングの質でもマライアより優れていました。

一方、マライアはクロスオーバーで漕いでいる部分が多く、しかもコンビネーションなど複数のジャンプで回転が足りていないように見えました。

全選手に爆盛だったわけでなく、連盟が推したい選手に爆盛して他の選手達と差別化する大会だったのでしょうか?

まだ女子しか見ていませんので何とも言えませんが・・・

 

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu