ファブリツィオ・テスタさんのフランス国際の総評記事です。
フランス国際2019:
ザギトワからコストルナヤへ、バトンが受け継がれる
ギニャール/ファッブリ組の勇気
グランプリ第3戦の印象
ファブリツィオ・テスタ(2019年11月4日)
グレノーブル(フランス)のペティノワール・ポレサッドで先週開催されたフィギュアスケートISUグランプリシリーズ第3戦、フランス国際は予想するのが困難な大会だった。
フランスの会場は問題だらけのリンクだった。
柔らかい氷面と彼方此方に散在する水溜まりによって4カテゴリー全てで犠牲者が続出した。
このように非現実的で異様な空気の中、ネイサン・チェンはトリノのファイナルへのチケットをもぎ取った。
2つのプログラムはスケートアメリカを下回る出来だったが、得点という点において、この違いは評価に反映されなかった。
構成を少し変更し、冒頭に4トゥループ/3トゥループのコンビネーション、ボーナスエリアに4フリップを入れ、3アクセルで両手を付いたアメリカの選手のショートプログラムにジャッジ達はスケートアメリカと同じ得点を与えた。
フリーの構成も少し変更され、4ルッツ(前のめりに着氷)とあまり出来の良くない3本の4回転ジャンプが入ったプログラムだった:2本の4トゥループの内1本は3フリップとのコンビネーション(羽生結弦がスケートカナダで初めて成功させた要素だが、チェンもジャパンオープンとスケートアメリカで挑戦していた)、4サルコウ、2本の3アクセル(1本は2トゥループとのコンビネーション)。
エイリアンはカナダでクオリティの際立つ奇跡のように素晴らしい2つのプログラムを披露したが、世界チャンピオンは質より量を重視し、直接のライバル、羽生結弦とは正反対の道を進んでいる印象を受ける(ファイナルでは5クワドを見ることになるだろう)。
しかし、このような戦略は出来栄え点を稼げず、演技構成点を犠牲にする可能性がある。
実際、演技構成点は下がったが、まだ貰い過ぎである。
(2位以下は省略)
女子シングルでは若いアリョーナ・コストルナヤの圧勝に立ち会った。
リンクメイトのアンナ・シェルバコワ、アレクサンドラ・トゥルソワに続き、彼女もシニアデビューのグランプリ初戦で優勝を飾った。
ショートは異常に厳しく(3アクセルが回転不足と判定された)、フリーでは信じられないほど寛大だった(回転の疑わしいコンビネーションの3アクセルが認定された)コントロールパネルの判定のバラツキにもかかわらず、エテリ・トゥトベリーゼの教え子は大きなミスのない2つのプログラムでペティノワールの観客を魅了した。
しかしこの演技は、然るべき演技構成点で評価されなかった。この選手がリンクで披露したプログラムの美しさ、トランジションの複雑さ、リンクカバー率とスピードに対してPCSは低過ぎた。
しかし大きなニュースは、アリーナ・ザギトワがリンクメイトから20点差で2位だったことだ。
五輪女王はフィジカルコンディションは良かったが、少しナーバスになっているように見受けられ、特にフリーではクリーンでないジャンプが多く見られた。
この規格外の選手を未だに競技に駆り立てる動機は明らかではないが、文字通り獲得可能な全ての金メダルを勝ち取ったにもかかわらず、対抗するのが困難な真の超常現象達と競い続ける意志の強さは、彼女をチャンピオン以上の存在にしている。
結果を潔く受け入れ、後輩に実質的にバトンを引き継ぐ姿は、スポーツマンシップがなんたるかを皆(元リンクメイト達も含む)に教示している。
(アイスダンスとペアは省略)
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☆フランス大会はリンクの氷が限界に近い状態だったようで、アンジェロさんも国際大会にあるまじき環境と苦言していました。
氷が柔らかすぎて、スピードが出しにくく、特にトゥジャンプが跳びにくい氷だったようで、男子は実質自爆大会、女子は異常なほど回転不足が多い大会でした。
昨晩のマッシミリアーノさんのポッドキャストによれば、コストルナヤにあまり影響がなかったのは、最も体重が軽く、スピードのある選手だからだそうです。
一方、身長が高く、女性らしい体型に成長したアリーナへの影響が最も大きく、おそらくそのせいで多くのジャンプが回転不足になったと指摘していました。
イタリアではコストルナヤのPCSが低過ぎたと批判が殺到していますが、ショートのPCSを男子と同じ係数で計算した結果がこれ↓(Me&Meさんが作成したデータをお借りします)
TRANSITIONS pic.twitter.com/FTSPXkVtrE
— Me & Me (@LazyLys) November 1, 2019
これは・・・😨
マッシミリアーノさんじゃなくてもツッコミたくなります・・・
宇野君の8位は衝撃的でした・・・
私は羽生君、ネイサン、宇野君の3人はファイナル確実と微塵も疑っていませんでしたから・・・
気持ちを立て直してロステレコム杯では納得のいく演技が出来るといいですね。
もうすぐ第三戦の中国杯が始まります。
男子は田中君、キーガン、カムデンにファイナル進出の可能性がありますが、ボーヤン、ジュンファン、マッテオなどの一戦目で失敗し、ファイナル進出の可能性は低いもののポテンシャルの高い選手が揃っていますので、全く予想できません。
イタリアのスケートファンはダークホースだらけの大会だとw
一方の女子はクワドルッツ女子のシェルバコワがまた圧勝しそう。
知子ちゃん、リーザ、ユヨンで表彰台争いでしょうか。
個人的にさっとんの演技が楽しみです!
「シンドラーのリスト」とラフマニノフの「鐘」がミックスされたフリーは今シーズンの女子で一番好きなプログラムです。
何よりもこの難曲を美しく、切なく、鮮烈に演じるさっとんの表現力とスケーティングが素晴らしい。
ジャパンオープンの演技には心が震えました。
さっとんの演技に相応しい演技構成点がちゃんと出ますように🙏・・・