OA Sportより「途方もない羽生結弦が全日本で圧勝。2位は宇野昌磨」

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ファブリツィオ・テスタ(2020年12月26日)

 

羽生結弦陛下。
史上最高のスケーターが、長野のビッグハットアリーナ今週開催されているフィギュアスケート全日本選手権において、純粋な詩、まさに真の頂点を極める、あらゆる観点においてクリーンな演技を完成させ、大差で5度目の優勝を飾った。ジャッジの評価は215.83 (118.61, 97.22)、合計319.36だった。

日出る国と密接な繋がりを持つ音楽に乗せて演じられた新しいプログラムを初披露したブライアン・オーサーの教え子は、予定されていた全てのジャンプ要素を最高のクオリティで成功させた。

詳しく説明すると、エイリアンはまず壮大な4ループ、たたただ途方もなかった4サルコウでパフォーマンスを開始すると、続けて3アクセル/2トゥループ(両手を上げて)、単独の3ループを実施した。

最初のスピン、フライングキャメルスピンの後、仙台の青年はステップシークエンス(レベル3)を見せびらかした。ショート同様、複雑な音楽パターンに乗せたこのステップシークエンスも創造性と独創性に溢れる振付だった。そこから2本の4トゥループ(1本目は3トゥループ、2本目はオイラー/3サルコウとのコンビネーション)を決め、不意に実施された幅のある単独3アクセル、そして2本のスピン、フライングキャメル(レベル4)と足替えスピンで締めくくった。二度のオリンピックチャンピオンのプログラムはただただ見事であり、既に演者と音楽との同化が素晴らしく、この競技の歴史に残る不朽の名作になる運命を約束されている。

 

また2本の3アクセル(2本目はオイラー/3フリップとのコンビネーション)に加え、サルコウ、フリップ、トゥループ2本の4本の4回転ジャンプ(最後のトゥループはシングルトゥループを付けることでREPから救った)を回りきった宇野昌磨の演技も素晴らしかった。

完璧な実施ではなかった最後のスピンと後、ステファン・ランビエールの教え子は歓びを抑えることが出来なかった。190.59 (98.23, 92.36)、合計284.81を獲得して2位。キス&クライは歓びに包まれた。

 

絶妙な出来の軽やかな4サルコウと質の良い4トゥループ/3トゥループのコンビネーションで観客の注意を引いた鍵山優真も重要な演技を見せた。

単独の4トゥループで空中の軸がずれて着氷が乱れ、3アクセルと3サルコウを繋ぐオイラーが上手く実施出来ず、回転不足(DG)と判定された昨季四大陸選手権銅メダリストは、180.19 (93.97, 86.22) 合計278.79で表彰台の一番低い台に上ることになった。

 

第89回全日本フィギュアスケート選手権大会 (jsfresults.com)

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☆昨日から今日にかけて、試合後のインタビュー、プレカン動画、その他のインタビュー書き起こしを通して、彼の口から赤裸々に語られた、この全日本に至るまでの心の葛藤が明らかになりました。

そして、羽生君が、私達が想像していたよりずっとずっと苦しい時期を過ごしたこと、練習拠点に戻れず、コーチや振付師に会えず、スポーツ競技がこれからどうなっていくのか先の見通しが立たない状態が、競技に全てを注いでいるアスリートにとってどれほど辛いことなのかを改めて痛感しました・・・

ショートの後のインタビューの「ジェフに質問を送ったけど、返事が全然こないから試行錯誤しながら自分で振付した」というような内容を読んで思わず笑ってしまいましたが、笑いごとではなかった・・・ジェフ、返事してあげて!!!😭

そういえば、マッシミリアーノさんが「少し前までホプレガの曲を聴くと結弦が辞めたがっているんじゃないか、もう滑らないんじゃないかという気がして悲しくなったと言っていたのが10月末でした。時期的に羽生君がどん底まで落ちていたと言う時期とちょうどシンクロしています😱・・・
マッシさんには結弦アンテナが付いているのか・・・

しかしそんな想像を絶するような苦しみの中から不死鳥のような蘇り、何事もなかったように圧倒的に強い羽生結弦の姿で私達の現れるのが、彼なのです。

そして経験した苦しみや悲しみが全て演技に昇華されている。
彼の演技にこれほど心を揺さぶられるのは、彼がただ強いだけのチャンピオンではなく、感受性が強く、誰よりも苦しみ、悩み、それでも決して立ち止まろうとしないチャンピオンだから。

今大会の彼は何と言うか「静」のエネルギーに包まれていて、自信に溢れているというより、悟りの境地に達しているように見えました。

以前、インタビューで内面に燃える炎が真っ赤から青に変わったと言っていましたが、確かに蒼い炎が見えました。

ジャンプ要素を全て終えた後、試合で滑れる嬉しさを爆発させているような宇野君のステップシークエンスも印象的でした。

羽生君と宇野君はいい関係ですね。

羽生君は宇野君のことを彼の実力や長所を認めつつ、可愛くて仕方がないだろうなと思いますし、宇野君は羽生結弦という追いかける背中があることがモチベーションとエネルギーの源になっているのではないでしょうか。

 

コロナ禍の中、開催を巡って様々な批判と懸念のあった今大会ですが、男子だけでなく、今日の女子の試合を見ても、選手達の試合中のモチベーションの高さ、試合後の達成感に満ちた表情やコメントを見ると、開催出来てよかった、と心から思います。

 

本当に素晴らしい大会でした!

羽生君の2つのプログラムは最高のクリスマスプレゼントになりました!

 

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu