OA Sportより「M.アンベージ:羽生の『ノーレベル』判定はルールに準拠していない」

スポーツメディアのOA Sportもノーカン問題を記事にしていました

写真は紫Origin様のレベル4スピン

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ファブリツィオ・テスタ(2021年1月22日)

2020年12月23日から27日まで長野のビッグハットアリーナで開催されたフィギュアスケート全日本選手権の男子ショートプログラムでは議論を巻き起こしたエピソードがあった。最終的に大会を圧勝した羽生結弦にまつわるエピソードである。
実際、2度のオリンピックチャンピオンは彼のプログラムの4つ目の要素、足換えシットスピン(Change Foot Sit Spin)が「ノーレベル」と判定された。

大論争を巻き起こしたテクニカルパネルの選択は説明がつかないため、今も依然として議論の的になっている。
実際、多くの人が過熱したコメントで、またはより冷静なコメントで羽生のスピンは確かに完璧ではなかったが、無効にされるほどではなかったと繰り返し指摘している。

1月21日木曜日の午後、マッシミリアーノ・アンベージもOA Sportのソーシャルチャンネルで毎週配信されるOA Sportディレクター、フェデリコ・ミリテッロ主催のトーク番組「Winter Arena」第3回でこの話題を取り上げた。
ジャーナリスト/ユーロスポーツ解説者はこの件に対する自身の意見を述べ、とりわけルールが正しく適用されていなかったことを強調した。

「私はフィギュアスケートのルールに準拠していなかったと思う。
すなわち、「疑わしい場合には常にスケーターに有利に判定する」というルールだ。
私はあのスピンを少なくとも50回は見返した。

簡単に云うとスピンを有効にするには、右足と左足でそれぞれ少なくとも2周しなければならない。
結弦はツイヅルを実施し、そしてスピンに入る。
彼がシットポジションになった時点でスピンが開始したと見なされる。
シットポジションとは体重を支える足の腿が氷面と平行になった状態のことだ。
つまり膝は直角になっている」

短い前置きの後で、アナリストは問題の核心に切り込んだ。スケーターが右足から左足に足替換えするところだ。
「羽生は右足で、ワンバリエーションで2周、別のバリエーションで2周し、左足に足換えする。左足でもワンバリエーションで2周、別のバリエーションで2周、合計4周する。
テクニカルパネルによれば左足で完全に2周したバリエーションが一つもなかった。
最後のバリエーションは同意する。確かに少し足りなかった。

しかし最初のバリエーションは違う。
私は何度も見直したが、左足のシットポジションで2周していなかったからこのエレメントはノーレベルだと言える回転不足があったか否かを判断するのは不可能だった。

私の評価ではあのスピンはレベル3と獲得すべきだった。
何故なら、左足の最初のバリエーションで2周またはほぼ2周する間、体重を支えていない方の足のポジションが外側に留まっていたからだ(レベルを取るためのフィーチャの一つ)。

ここでも2周か2周未満かを理解しなければならないが、僕の意見では判断するのは不可能だ。
そして疑わしい場合には選手に有利な判定をしなければならない。

左足の「難しいバリエーション」の問題によってレベル2は理解できる。
しかし「ノーレベル」は私の意見ではルールの原則に反している。
従って、危険な前例と言うことが出来る。

そして議論はいつも同じところに戻る。
誰に対してこのように判定するのか、誰に対してもこのように判定しないのか。
しかし「疑わしきは選手に有利に」というルールがあり、左足の最初のバリエーションのシットポジションで2周しているか明確な判断が出来ない以上、レベル3と判定されるべきだったと私は思う。

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イタリアでは黙って耐えることは美徳とは見なされません。
納得が行かないことは徹底的に調査し、議論し、戦います。
実際、イタリア人は訴訟が大好きです。
例えば、職場でのハラスメント、理不尽な待遇や不当解雇、あるいは賃貸者が家主から不当な立ち退きを要求された場合でも、自分が正しいと思ったら泣き寝入りせず、法的手段に訴えて納得が行くまで戦います。

そして大抵の場合、メディアや世論は被害者の味方です。

従って、スピンのノーカン問題も「もう済んだことだし、ユヅルは勝ったんだから」で片づけられないのがイタリア人なのです。

マッシミリアーノさんは正義感の強い方で、しかも法学部出身ですからアナリストであるだけでなく弁護士脳です。
判定に納得が行かなければ、それこそ50回でも100回でも問題のエレメントをスローで見返し、ルールブックの当該項目と照らし合わせて徹底的に検証するのです(そういえば2014年埼玉世界選手権で回転不足判定された羽生君のショートの4Tも何十回も見直したと言っていました)。

ジャッジとテクニカルの皆さんは自分達の評価は絶対だから誰にも文句は言わせない、という驕りを捨てるべきです。
世界中のスケートファンの厳しい目が注がれていることを自覚し、己のプロ意識と良心に誇れる、公正で正確な採点を行うべきです。
それが出来ないのなら、ジャッジ席に座るべきではありません。

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu