“RE_RRAY”TOUR~羽生結弦とファンの物語

9日火曜日、Beyond Liveの世界配信のRE_RRAY宮城楽日公演を見ることが出来ました!
私はギリギリ族で、しかも結構マグロ体質なので、いつも配信開始直前まで別のことをしていて、開演1分前にPC画面の前に座っていたのですが、今回はHDMIケーブルでテレビに繋ぎましたので、リビングのソファーに座って配信画面開場と同時に見ていました。

今更ですがチャット機能があるんですね!
凄まじい速度でコメントが書き込まれ、その殆どが「フランスからで~す!」「ポーランドからで~す!」「ニューヨークからで~す!」というもので、数分見ただけで、国籍のバラエティにビックリ!
アメリカ、カナダ、南米勢も多かったですが、アメリカ大陸は2~3時のド深夜だったはず!
しかし、私達世界配信組はアーカイブが視聴可能になるのが4月22日からなので、ライブを見逃すと、22日までお預けになってしまいます。だから、夜中でも早朝でも頑張ってライブで見なければなりません。

イタリアは朝9時と時間帯は良かったですが、平日だったので、私は随分前から午前中の予定を空けておきました。そしてライブで見られてよかった!

7日の土曜日は、横浜を超える完璧の更にその上だった、神懸っていた、アンコールまで一糸の乱れもなかった、と見に行った方が口々にレポを上げていましたから、コンディションがいい事は想像出来ましたし、最終日でしたから一体何を見せてくれるのか?とワクワクしていましたが、案の定、彼の場合、いつもの事ですが、想像の斜め右上を行くスペクタクルでした!

11月から6か月間に渡って上演されたRE_RRAY、競技時代はチャレンジャーシリーズから始まって、世界選手権まで2つのプログラムが磨き上げられ、完成していく過程を見ていましたが、今回、私達はアイスストーリーというスケールでその進化を見ました。
埼玉公演初日から生中継され、どの公演もディレイビューイングまでありました。これはロードショー中の映画をテレビでも放送するようなものですよね?
つまり壮大にネタバレした訳ですが、どの公演も、1カ月前に追加公演が発表され、年度初めの平日、アクセスし難い利府で開催された宮城公演さえも、チケットは全て完売しました。しかも落選者を量産しながら・・・

競技時代もそうでしたが、彼のプログラムは何度でも見に行く価値があります。このプログラムは一度見たから、と言うのがないんですよね。勿論、他のスケーター達のプログラムもシーズンが進むにつれて、滑りこまれ、進化していきますが、羽生君の場合、私達はプログラムの進化だけでなく、一つ一つの試合でドラマを目撃しました。彼のドラマであると同時に、私達のドラマでした。心臓が飛び出しそうな緊張感、ジャンプが決まっていく度に高揚する臨場感、歓喜、感動、涙。いわゆる「羽生劇場」です。演技の素晴らしさだけでなく、この羽生劇場もまた、見る者を沼に引きずり込む魔法の一つだと私は思います。

勝敗や得点のないプロアスリートになっても、羽生劇場は無くなるどころか更にパワーアップしました。
昨年、帰国中にスターズ・オン・アイスをやっていて、「オペラ座の怪人」がどうしても見たくて、横浜公演のチケットを急遽取ったのですが、そこで久々に「羽生劇場」を目撃しました。
4トゥループからのコンビネーション、咄嗟にセカンドをダブルにしましたが、その数秒後、3アクセルに3トゥループを付けてリカバリー!
競技時代、私達が何度も見てきた羽生結弦の鬼リカバリー
まさか、アイスショーでも見られるなんて!
そもそも、アイスショーで4T-3Tを跳ぶこと自体、尋常ではないのに、セカンドがダブルになったら3アクセルでリカバリーって
アイスショーでこんなことをするのは彼だけですよ。
このリカバリーに競技時代と少しも変らぬ彼の戦士の本能を見て、鳥肌が立ち、身体が震えました。
スターズ・オン・アイスは、上手いスケーターが揃っていて、パフォーマンスレベルは高く、見応えがありましたが、やはりアイスショーなのでどこかリラックスした雰囲気がありました。
しかし羽生君は違いました。リンクに出てきた瞬間から凄まじい気迫。そして、文字通り全身全霊の演技に会場全体が彼の生み出すブラックホールに飲み込まれました。

「ああ私はずっとこれが見たかった・・・」

トリノGPF以来の生ユヅ様の演技に私は圧倒され、来年は絶対に単独公演を見に行かなければ、と強く決意したのでした(そして、幸運にも横浜の2公演を現地で見ることが叶いました)。

彼の演技は、同じプログラム、同じ構成であってもそれぞれに異なるドラマがあります。
埼玉から宮城まで合わせて8公演、私は宮城初日以外(いつかテレビ放送されることを願っています)全ての公演を現地、または配信で見ましたが、公演ごとに異なる表情、空気、発見、感動があり、まるで別のストーリーを見ているようでした。映像もプログラムもシーズンが進むにつれて明らかにブラッシュアップされ、振付も毎回少しずつ異なりました。

宮城2日の「破滅への使者」。2日前に一糸の乱れもないノーミス完璧公演をやり遂げたばかりで、これほど高難度のプログラムを2度続けてノーミスで滑るのがメンタル的にも体力的にもどのぐらい難しいことなのか私達は知っています。
千秋楽で彼は何をしたのか?
最後の3Aに3トゥループを付けるという離れ業をやってのけました。
最後の3Aを完璧に着氷して「決まったー!」と歓喜した瞬間、3T!!!
目が点になりましたよ!
彼的には「破滅への使者」は横浜楽日と宮城初日で2回ノーミスしたので、次の段階、レベルアップしなくては!ということだったんでしょうか?
これだから羽生君の演技は出来れば現地、少なくとも絶対にライブで見なければ!という強迫観念に駆られるんですよね(笑)

常に全身全霊で命懸け。
何が起こるか分からないこその興奮と感動。奇跡を起こす男。
横浜で生Megalovaniaのあまりのカッコ良さ、凄まじい迫力に驚愕しましたが、宮城2日目は更に凄かったですね。あの目をカッと見開き、悪魔的な笑いを浮かべながら首を掻っ切るところ!ゾッとして全身に戦慄が走りました。同じ人が、後半では「あの夏へ」で見る者の魂を浄化し、「春よ来い」で慈愛と優しさに満ちた春を届けてくれるのです。昔から憑依型のスケーターと言われていますが、もはや演技云々のレベルではありません。

「天と地のレクイエム」はいつでも心を打たれる感動的なプログラムですが、今回はずっと鳥肌が立ちっぱなしでした。今まで経験したことのない感覚で、この感覚は一つだけ灯ったランタンの下で彼が舞うところで最高潮に達しました。私は特に霊感が強い訳ではないですし、心霊現象を信じている訳ではないけれど(でもある時、イタリアの有名な心霊スポットで、電磁波測定器で測定していた人が、私が現れた途端にそれまで反応のなかった測定器が最高レベルの周波を感知したそうで、その人曰く、私は霊に好かれる「気」を持っているそうです)、あの瞬間、間違いなく、科学では説明出来ない現象がリンクで起こっていると感じました。利府のあのリンクは東日本大震災の後、遺体安置所となっていた場所です。日本のニュースは悲惨な映像を視聴者に見せないようにしますから、日本の皆さんは見ていないかもしれませんが、当時、イタリアのニュースでは被災地の目を覆いたくなるような映像や写真が公開されました。それに私は被災した仙台の友人から、メディアが報道しなかった現実、彼女の友人で、悲惨な亡くなり方をした人達や、津波に飲み込まれながら奇跡的に生還したものの、泥を含んだ水の中で想像を絶する地獄絵を目の当たりにして精神を病み、その後、自殺してしまった人の話を聞きました。あのグランディ21にはそのような亡くなり方をした人達の魂が彷徨っていたのかもしれません。私は、羽生君が暗闇の中を彷徨う魂を光のある場所に導いているように感じました。レクイエム(鎮魂歌)の演技を終えた後の彼の消耗し切った表情は、彼が自分の体を媒体にして迷える魂を成仏させたからではないか、私にはそんな風に思えました。

そして末っ子モード全開のMC。私は弟が2人いる長女なので、こういうのに弱いんですよね~(笑)
ご機嫌で嬉しそうな彼を見ていると、こちらまで幸せな気持ちになります。演技だけでなくMCでまで感情移入させられるのが羽生結弦なのです。

RE_RRAYは一つ一つの公演が、見る人の感性で様々に解釈出来るストーリーでしたが、同時に11月の埼玉公演で始まり、4月9日の宮城公演で終わった5か月間に渡る羽生結弦の物語でした。ジャンルの異なる様々なプログラムを繋げてゲームの世界観と倫理観を表現するという画期的な試み、一部の最後でクワド3本、3アクセル2本の競技フリー仕様の超高難度プログラムを滑るという常軌を逸した挑戦、そして彼を精神的に追い詰め、潰そうとする卑劣な下衆週刊誌とそのバックにいる勢力との闘い。

そして今、羽生結弦も私達ファンもこの戦いに勝ったと高らかに宣言することが出来ます。
私達は勝った!
週刊誌の執拗なメンタル攻撃に負けず、自分を貫き、RE_RRAYを横浜で完成させ、宮城では更にその先に行ってしまった彼の神々しい演技と、交通の便の悪い陸の孤島、利府で、平日に行われた宮城公演の客席を機材開放席まで満席にした観客が私達の勝利を証明しています。

羽生君は常に波乱万丈の人生を送る宿命にあるのかもしれません。神様はこの不世出の天才に過酷な試練を与え続けますが、同時に天性の才能に加え、見る者の心を鷲掴みにして離さないカリスマ性と、これほど愛され、大勢の人を味方に付けることの出来る資質を与えました。
これからも彼には様々な試練が降りかかると思いますが、何事にも屈しない彼の意志の強さと、彼を愛するファンの力で乗り越えていけると私は信じています。

ファンタジー・オン・アイスのBツアーに羽生君の名前はありませんから、6月にはきっと何か重要な予定があるのでしょう。イタリアに来てくれたら最高ですが、もしかしたら日本で別の企画があるのかもしれません。いずれにしても6月に何かがあるのは確かなので、ワクワクドキドキしながら待ちたいと思います。

羽生君は救いようのないマグロ体質ですから、既に次に向けて始動していると思いますが、どうか身体を大切に!少しは休んで下さいね。

P.S.
今まで私はノートパソコンの小さな画面にかじり付くようにして見ていたのですが、今回初めてHDMIケーブルでテレビの大画面に繋いで視聴しました。
大画面で見ると、迫力と没入感が全然違いました!
何故もっと早くやらなかったのか・・・己の怠慢を呪っています(涙)
週末はGIFTも大画面で見なければ!

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu