SalottoBiancoより「羽生はフィギュアスケートより偉大な存在だ」


その週に行われたスポーツ競技についてより踏み込んだ視点で考察するポッドキャスト「SalottoBianco」より。一昨日の番組では、もうすぐ世界世界選手権が始まるけれど、エンリコさんに振られたマッシさんが、現在のフィギュアスケート競技における問題について苦言し、羽生君に助けを求めています。


エレナさんが該当部分を切り取ってくれました。もう英語の字幕が付いています😲

こちらはポッドキャスト全編

マッシミリアーノ・アンベージ(M)冬季競技アナリスト/ジャーナリスト、ジャーナリスト

フランチェスコ・パオーネ(F)ユロスポ所属ジャーナリスト

エンリコ・スパーダ(E)OA Sport編集者

E: マックス、君は地球の裏側で行われる世界フィギュア選手権の冒険に立ち向かう準備は出来ているようだね。何といっても真夜中だからね。スターがいないから、完全に恒例と大会とはいかないけれど、世界の主役スケーター達を見れるのは素敵だよね?

M:君のいう理由で、少し低調な大会になるのは間違いないだろう。
イタリアにとっては、アピールするチャンスだ。どんなタイプのスペクタクルになる得るのか考えつかないけれど、間違いなくこのフィギュアスケートは僕には属さない、僕があまり好きではないものだ。まあこれは別の話になるけれど。
どうなるか見てみよう。
最初の質問は、客観的に僕には答えるのが難しい。ミラノ・コルティナ五輪はまだずっと先だ。
僕にはこの先、フィギュアスケートが未来がどうなるのか分からない。最近僕達が見ているように、横道に逸れたまま進んでいくのか、何らかの転機が訪れるのか。ロシアは当分、競技会から締め出されたままのようだ。来シーズンのグランプリのスケジュールを見たけれど(グランプリはフィギュアスケートのワールド杯のようなものだけれど)、ロシア大会は予定されていない。このことは数カ月がどうなっているのかを明白に物語っているけれど、僕が決めることではないから、今後何が起こるのか待とう。
一人の名前の挙げるのは難しい。
イリヤ・マリニンは怪我でボロボロにならない限り、いずれ試合で6種類全ての4回転ジャンプを成功させるだろう。どうやらこれが今後のシナリオのようだ。6種類の4回転を跳べる選手を負かすのはライバル達にとって困難だ。現在のルールでは。
2026年も今と同じルールかどうか僕には分からないし、僕が知り得ることではないけれど、間違いなく、フィギュアスケートは何か変えなければならない。
何故か?
羽生結弦が日本で公演を企画したら、チケットは完売する。4万人がチケットを購入して観客席を埋め、同じく4万人が映画館に押し寄せる。配信を見るために会員登録した人の数は計り知れない。
一方、グランプリは試合会場のアリーナをどんな手段を使っても埋めることが出来ない。
この事実は明らかに問題が存在することを示している。
おそらく問題の原因が何なのか理解すべきだろう。
羽生の偉大さは全く議論の余地がない。それを認めない者はその人の器の問題だろう。世の中には未だに地球平面説を信じている人もいるぐらいだから、羽生の偉大さを認められない人もいるのだろう。
しかし、彼はあるタイプのフィギュアスケート道を広めようとしたアスリートだ。選手時代も、今も。今も彼はアスリートだけれど、プロでパフォーマーだ。何故なら彼が主役の公演を作っているからだ。人々が試合より、彼の公演に関心があることはこれまでの傾向に反する異例の事態だ。これまでずっと競技を見てきた人が、羽生のショーの方に魅了されるというのは、非常に特異なことだが、省察すべきことだ。
ISUが推し進めているフィギュアスケートの概念では勝ち目がないということだ。羽生のフィギュアスケートの概念の方が、バランスが取れていて、人々を夢中にさせる。注意してもらいたいが、羽生は4回転ジャンプで記録を樹立したスケーターだ。それも一つではない。史上初めて4ループを成功させただけでなく、後半における4回転ジャンプについても最初に記録を作ったのは彼だ。後半の4回移転ジャンプの数やその他色々なことについて。彼がそのキャリアにおいて、4回転ジャンプをアドバンテージとして活用したのは明らかだ。しかし、常に物語や振付の中に組み込まれたジャンプだった。ジャンプが自動的にプログラムで唯一目を引くエレメントになる訳ではない。何故なら、ジャンプは物語全体の一部だからだ。これが今はもう見られないことなのだ。
現在、僕達は長い助走と4回転ジャンプを見る。そして、その4回転ジャンプはしばしば技術的に正しくない方法で実施されている。しかし、ジャッジの意見では+3や+4や+5に値するというのだ。
つまり羽生が思い描くフィギュアスケートの概念は、(長いフィギュアスケートの中では)歴史の短いものだ。そして別のフィギュアスケートがある。
観客や視聴者が、現在のフィギュアスケートではなく、羽生のフィギュアスケートに惹かれるのなら、関係者はこの状況について自問自答すべきだろう。
僕は羽生は様々な理由からもう競技に戻ってくることはないと思う。彼の判断は正しい。
彼ももうすぐ30になるし、獲るべき全てのタイトルを獲り、このスポーツの歴史を塗り替えた。そして今この瞬間、羽生はフィギュアスケート競技より強い。この点において疑う余地はない。羽生の追求するフィギュアスケートの概念は、フィギュアスケート競技のそれではない。
もし僕がISU会長なら、この状況を省察するだろう。長年居座っている幹部も一掃するだろう。
そして羽生のところへ行く。
そして彼にこう言う。
「我々は問題に直面しています。僕は新入りだけれど、問題があることに気が付きました。一緒に解決してくれませんか?
つまり、再び魅力的な競技に戻すために、このスポーツが進むべき道を見つけるために、我々を助けてくれませんか?どうか我々があなたに対してこれまでやったことは忘れて下さい!」
ISUはここ数年間、彼に対してありとあらゆることをしでかした。もしルールが尊重されていたなら、幾つかの大会の順位は変わっていた。羽生の順位も変わっていた。
「でも結弦、全てを水に流して我々を助けてください」
これがISU会長のやるべきことだ。しかし、決してそうはしないだろう。何故なら、彼を取り巻く人物達が別のことを吹き込むからだ。
確かに、日本では少なくとも男子と女子の試合は会場がある程度埋まるかもしれない。
実際、観客が行き易い時間帯に試合のスケジュールが組まれている。
だが、ペアとアイスダンスのチケットは完売していないだろう。しかし、日本ではフィギュアスケートは人気のあるスポーツだから、何らかの方法でチケットを完売させる解決策を見つけるかもしれない。しかし、世界の他の場所はどうか?
イタリアはパラヴェーラでグランプリファイナルを開催したけれど、空席の方が多かった。
北米のグランプリ大会は?
カナダとアメリカの連盟、特にアメリカの連盟は、出来るだけ規模の小さな会場を見つけようとした。最大3000-3500人規模の会場だ。にも拘わらず満席には出来なかった。
フランスについては言及もしない。僕は未だに何故、フランスがグランプリを開催するのか理解出来ない。今現在、フランスがグランプリ開催国に相応しい理由は一つもない。運営は悲惨、会場はもっと酷い
今現在、イタリアはフランスよりグランプリ開催国に相応しいはずだ。
フィンランドには文句はない。
フィンランドには会場に相応しい施設がある。
彼らは製氷のマエストロだから、氷の扱いにも優れている。観客は状況によって多かったり、少なかったり・・・しかしこれは別の問題だ。つまりフィンランドはこれからもグランプリを開催出来る。
しかし、事実はフィギュアスケートを見に来る人々を連れてくるのが困難なのだ。かつてはそうではなかった。
トリノのグランプリファイナルに立ち会った人は・・・昨年のファイナルじゃない、その前のトリノファイナルだ。パラヴェーラに入るために並ぶ人々の数キロに及ぶ行列を覚えているはずだ。町中の至る所に羽生を応援するためにやって来たファンがいた。今はもうそうではなくなった。
大会を開催するメリットも重要だ。イベントには資金がかかるから、大会を開催するには経済的持続性が必要だ。もし僕がどこかの国の連盟で、グランプリの開催会場を提供するなら、利益がなければならない。黒字になる可能性、少なくとも赤字にならないこと。しかし、観客が来なければ、どうすればいい?
確かに、会場を埋めるために学校にタダ券を配ることは出来る。しかし、それでも満員に出来ない。
僕は問題があることを理解してもらうために幾つかの理由を提示した。おそらくこの番組は様々な言語に翻訳されるから、僕の考えは拡散されるだろう。
僕は誰かを批判している訳ではないし、批判するのが目的ではない。僕はもはや別の次元にいる。闘いの時代は終わり、もうその価値もない。しかし、責任ある立場の者が視界を広げ、何らかの措置と講じるべきだという結論に至る時が来ている。
このフィギュアスケートを救い、信頼性を取り戻すためにやるべきことはただ一つ。
結弦という名の日本の青年の元に赴き、玩具の鍵を彼に渡すべきだ(フィギュアスケートの未来を彼に委ねるべきだ)。
「我々には無理だった。貴方がやって下さい。我々はあなたの指示に従います」と
「もしフィギュアスケートが左に進むべきなら、我々は貴方と共に左に進みます。しかし、貴方が決めて下さい」
これが現在、実現可能な唯一の道だと思う。
これは選手に対する批判ではない。選手達は朝5時に起床し、血の滲むような努力をしている。
これは無数の問題から生まれた客観的な考察に発する議論だ。
ルール、その適用方法、そして多くのジャッジの能力、このスポーツにおけるテクノロジーの欠乏。
人間の目で4回転ジャンプが完全に回り切っているか判断すべきではない。
アンべージの目には回り切っているように見えても、パオーリの目には1/4回転足りていないかもしれない。この場合、どちらの判断を採用する?多数決?
これはオリンピック競技を審査する方法ではない。
ジャンプの回転やレベルの獲得に必要不可欠なスピンの回転数は特別に開発されたソフトウェアによって計算されるべきだ。
全てのスポーツでこのシステムが採用されているのに、フィギュアスケートでは2023年現在、回転数やエッジの傾斜を判断出来るソフトウェアが何故存在しないのか理解出来ない。
完全に回り切ったら基礎点が入る、1/4足りなければマイナスX、半回転足りなければDG、つまり4回転は3回転にダウングレードされる。
このように判定すべきだ。
人間の目で判断すべきではない。
人間の目はエレメントのクオリティや演技構成点を判断しなければならない。
人間の目でスピンが8回転したか判断すべきではない。
例えば、オリンピックチャンピオンのシットスピンが、僕の目には正しいポジションで実施されているように見えたとする。シットスピンでは軸足の腿が氷と平行になっていなければならない。人間の目にはそう見えても、実際は間違ったポジションかもしれないし、もしそうなら、基礎点が丸々貰えるのはおかしい。この場合、機械がこのシットスピンがルール通りに正しく実施されているか判断すべきだ。僕が求めているのは公正さと正確さだ。
羽生はこのテーマについて卒業論文を書いた。彼の論文を活用しようじゃないか。
だから彼を呼び、彼に参加してもらって解決策を模索すべきだ。
繰り返すけれど、埼玉ではシングルの試合はほぼ完売かもしれない。
しかし、もし別の場所、例えばニューヨークで世界選手権を開催したら、会場を埋めることは出来ない。満席からは程遠い状況になるだろう。
だから現状に危機感を抱くべきだ。世界選手権でもし素晴らしい演技があれば、ここで取り上げるし、選手達にはなんの罪もない。しかし、現在、フィギュアスケート競技が非常に険しい道を歩んでいるのは明らかだし、(ISU幹部の)誰もそれに気付かないのだとしたら大きな問題がある。誰かに助けを仰ぐか、そうでなければ、今いる地位を退くべきだ。

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☆そう言えば世界フィギュアが始まるんですね・・・と思ったらもう昨日から始まっていたんですね!!!😱
実は今週の土曜日に急遽日本に帰国しなければならなくなり、その前に片づけなければならない仕事諸々+入院中に溜まっていた仕事諸々の処理に奔走していてそれどころではないというか、世界選手権のことは完全に忘れていました。
確かに、暇ならともかく、忙しい中、無理に時間を割いて見ようとは思いませんね。
それよりも帰国したら、ギリギリでディズニープラスの配信がまだ視聴出来る!とか、31日放送の日テレプレスの「羽生結弦notte stellata」が見られる、とかそんなことを考えています!

桜🌸・・・間に合うかな・・・
どうか私が帰るまで散らないで~!!!🙏

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu