Sportlandiaより「アンダーローテーションかアンダースコアか?」

ライターで編集者で本屋さんでもあるマルティーナ・フランマルティーノさんのブログ「Sportlandia」に掲載されたオータムクラシック・インターナショナル2019の記事です。

原文>

2019年9月20日

Underrotated or underscored?

筆者:マルティーナ・フランマルティーノ

オータムクラシック・インターナショナル2019、羽生結弦はシーズン初戦で優勝しました。
出場選手を考慮するとこれ以外の結果は考えられませんでしたから、予想通りの結果でした。問題はどのように勝ったかです。

ショートプログラムの転倒とフリープログラムの2つのステップアウトのことを言っているのではありません。
彼は技術的なミスしましたので、何がまずかったのかを考えて練習しなければなりません。
そして彼は別のことも練習しています・・・

怪我をしないで欲しいと私が誰かのためにこれほど強く祈ったことは未だかつてありませんでした。

私はこれまでに数多くの選手を応援してきましたし、彼らの怪我も見てきました。
ステファン・エドベリによって全豪オープンは悪夢になりました。あのコートで彼は何度背中を痛めたでしょう?
でも彼が背中を手で押さえるまでは、私は彼は元気だと思っていました。つまり現実に起こる前に、怪我を恐れたことは1度もなかったのです。

でも今は違います。
今ではあらゆる瞬間、私は惨事を恐れています。
ユヅルが彼の頭の中にあることを全て出来ること、そして彼が思い描く通りに出来ることを私は願っています。でも私は怖いのです。
そしてブライアン・オーサーが彼の他の教え子に同行して遠征している時、私はますます心配になるのです。オーサー以外でユヅルをちゃんと監視出来る人はいるの?

勿論、トロントにはトレーシー・ウィルソンとジスラン・ブリアンもいることは知っています。でもユヅルの「自己保存」という点に関してはオーサーほど効力がないように思えるのです。

Ok、表彰式は本当に素敵でした。私のキーガン・ミッシングに対する好感度は急上昇しました。国旗を持ってまるで子供のようにはしゃぐ3人は、試合のあるべき姿、すなわち「歓び」を表していました。

でもその前に私は辻褄の合わないことを見ました。
私より技術スキルのある人達がこのことをネット上で証明しています。

断っておくと、私は選手を批判するつもりは全くありません。
例え私が応援していない選手であっても、彼らは自分達のベストを尽くしているです。
ですから、彼らがフェアである限り、私は皆がいい演技をするのを見たいのです。
私は全ての選手の素晴らしいパフォーマンスを見て、試合を楽しみ、満足している彼らを見たいのです。
そして、正しい方法で採点が行われ、最も優れた選手が勝つのを見たいのです。

つまり、ジャッジが無能だと大問題になるのです。
彼らが偏っている場合、問題は更に大きくなります。

もしジャッジ達に誠意があり、でもミスをしたのなら、彼らを大会から一旦外し、正しい採点が出来るようになるまで然るべき育成を行ってから職務に戻すべきです。
もしジャッジ達に明らかに悪意があり、複数の試合における採点、及び複数の選手達に対する扱いを分析した結果、このことが明白である場合には、資格を停止すべきだと思います。

例え最終結果が正しい試合であっても、このように処置すべきです。
何故なら今回の順位は正しくても、今後の試合でも正しい順位になるとは限らないからです。

今回について言えば、私はケヴィン・エイモズとキーガン・メッシングを心からリスペクトしていますが、彼らの握っている得点は羽生結弦からかけ離れていました。でも、もっと僅差の戦いになった時、過去に既に起こったように、審判のミスが最終結果を変えてしまう可能性があるのです。

この競技の信頼性を維持したいのなら、そして観衆を失いたくないのなら、@ISU_Figureは全ての選手と、このスポーツの利益のために、調査するべきです。

羽生のトゥループは回転不足ではありませんでした。
単なる視聴者の私にも見えたのです。審判に見えなかった訳がありません。
私はジャンプの実施を確認するために、これらの検証動画を見る必要はありませんでした。
自分独りで見返すだけで充分でした。
でもこの目安線入りの動画で見るとより明白です。

検証動画が色々貼られていますので、原文のマルティーナさんのブログからご覧下さい

興味深い動画は他にもまだまだありますが、このまま続けると3時間以上没頭してしまいそうなのでこの辺で止めておきます(私はフィギュアスケートの歴史を作ろうとしている何人かの選手のプレローテーションの話題には触れもしませんでした)

私達が望んでいるのは、選手達が行っていることを正確に評価する正しい判定だけです。
そして判定が正しければ、最も優れた選手が勝つのです!

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☆以前、マルティーナさんはおそらく「たま落ち」と書きましたが、彼女のブログをよく読んでみると、史上初めてフリーで200点、トータルで300点を超えた2015年NHK杯のSEIMEIで「堕ちた」そうなのです(何て言うんだろう?シンプルにSEIMEI落ち???)

マルティーナさんは80年代末からフィギュアスケートのファンで、ずっとカート・ブラウニングの熱烈なファンだったそうです。
カート引退後は、ライトなお茶の間ファンで、応援している選手は複数いたものの、特に誰かのファンというのではなかったそうです。
それが2015年NHK杯の羽生君のSEIMEIを見て、ようやく「カート以上に愛せる選手」(カートに対する愛と賞賛の念は少しも薄れていませんが)に出会ったのだそうです。

私は現役時代のカートを知りませんので、カート・ブラウニングと言えば、ずっとスキンヘッドの陽気なおじさんというイメージでした。

現役・イケメン時代のカートを初めて見たのは奇しくもこの動画でした。
ソチ五輪前にカナダCBCがパトリックのために制作したという呪いのビデオ応援ビデオ

暗い・・・重い・・・😱
何度見てもとても応援ビデオには見えない・・・(というかほとんど嫌がらせなんじゃないかと思えるレベル)
一体誰がこんなものを作ろうと思いついたのか・・・
このメンバーにパトリックが加わった新たなビデオが北京五輪前にゴゴレフ君辺りに贈られないことを願うばかりです・・・

この動画(いつの間にか英訳字幕が付いている!)を発見して初めて視聴した時は、まさにこう言う状態:stralol:で(ごめんなさいパトリック・・・)、一度、ブログで触れてみたいと思っていましたので、今回の記事にあまり関係ないのですが、機を逃さず

ユロスポのアンジェロさんが、以前ポッドキャストの中で

「フィギュアスケート史上、芸術性という点において、羽生結弦と比較出来る選手がいるとすればカート・ブラウニング」

と発言し、フィギュアスケートの歴史を塗り替えたいわゆる「マイルストーン」となったプログラムの一つとしてカート・ブラウニングのフリー「カサブランカ」(1993年世界選手権)を挙げていましたので、Youtubeで検索してみました。

1993年世界選手権カート・ブラウニングFS

そしてこちらはカートが史上初めて4トゥループを成功させた演技
1988年世界選手権カート・ブラウニングFS

ルールもエレメンツも現在のフィギュアスケートとは随分違うけれど、美しい滑り、躍動感、スピード、高いジャンプ・・・引き込まれるパフォーマンスです(イーグルが美しい)。
セカンドループとかオイラー/3サルコウのコンビネーションを跳んでいるのには驚きました。

カート・ブラウニングは羽生君がシニアに上がりたての頃から注目し、「僕はユヅルの大ファン」と公言していますが、彼のスケートを見ていると、彼が何故、羽生君が大好きなのか分かるような気がしました。

Published by Nymphea(ニンフェア)

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち @pianetahanyu