Sportlandiaより「堀内律子(&フレンド)」

作家のマルティーナ・フランマルティーノさんによるジャッジ分析シリーズ
今回は日本のジャッジに焦点を当てています。

原文>>

マルティーナ・フランマルティーノ著 
(2021年10月26日)

堀内律子は私のナショナルバイアス調査の中で、特に目立つジャッジの一人ではありません。今シーズンの数値を加えて表を更新しなければなりませんが、ジャッジの名前が好評されるようになってから、昨シーズンまでの間に彼女は国際大会では3度しか自国選手を審査していません。ジュニアグランプリ大会である2018年アンバーカップの男子の試合における彼女のバイアス値は5.95で、決して低くはありませんが、疑念を抱くほど高くもありません。翌年、彼女はジュニアグランプリのエーニャ大会で再び男子のショートプログラムのジャッジを務め、この時のバイアスは-0.91でした。すなわち他のジャッジ達より自国の選手に対して厳しかったことを意味しています。同年、2019年NHK杯ではペアのジャッジを務めますが、この時も自国の選手に対して-5.85のマイナスのバイアス値でした。

私はこのような数値のジャッジは通常取り上げません。何故なら他のジャッジ達の方が明らかに党派心がより強い(バイアス値が高い)からです。現時点では、日本の地方大会を見ていませんが、ここに彼女がジャッジを務めた試合一覧のリンクを貼ります。何故なら、堀内氏は注意に値するジャッジであり、その理由は彼女が最近、国際ジャッジからISUジャッジに昇進しかたらではありません。

彼女の審査傾向を判断するための国際大会はほとんどありませんので、彼女が常に参加している全日本選手権のデータが有益になります。

堀内は2016-2017年シーズンに男子とアイスダンスを審査していますが、私は2018年12月の男子の試合から始めることにしました。オリンピックチャンピオンの羽生結弦は怪我で欠場、過去2大会の全日本で銅メダルだった無良崇人は引退しましたので、優勝候補は2016年と2017年の世界選手権およびオリンピックの銀メダリストである宇野昌磨、過去2大会の全日本銀メダリストである田中刑事、全日本前大会4位で前シーズンの世界選手権で5位だった友野一希でした。また、4年間の休止期間の後、競技に復帰した高橋大輔にも注目が集まりました。

最も目を引かれるのは高橋大輔のフリースケーティングの得点です。

他のジャッジ達がこのジャンプを良い出来と評価していないのは明らかですが、堀内にとっては良いジャンプだったようです。

このジャンプです。

この+2は気が付かずにいるのは不可能なほど目立っていますが、より正確なチェックには時間を要しますので、今回はSkating Scoresに頼りました。

この+2、そして9人のジャッジの中で最高の技術点を与えたにも拘わらず、技術点はともかく、順位においては堀内が高橋を助けたようには思えません。彼女は他のジャッジ達より寛大なだけでした。しかし、演技構成点を見ると、ここでも彼女は最も高い得点を与えています。非常に高い得点です。堀内の意見では、(演技構成点では)高橋がベストであり、この芸術的能力によって、宇野昌磨に次ぐ全選手中2位のフリープログラムを滑ることが出来たということになります。

他の2人のジャッジも高橋に最も高い演技構成点を出しましたが、彼らの採点では高橋のフリー最終結果は3位でした。当然、私はこの2人のジャッジの名前もチェックしました。ジャッジ5は東悦子、ジャッジ8は下出彩子です。

何と!
下出彩子についてはこの記事で既に書いています。    

東については少なくとも1度、非常な特殊な採点に目を引かれたことがありましたが、彼女についてはまだ書いていないので、今回は東の得点には触れず、下出の得点だけに注目しました。堀内と下出は少なくとも1つの試合では、共に高橋を高評価していることが分かりました。そこで私は他の試合でも彼らの意見が一致しているか調べてみることにしました。堀内の得点は赤枠、下出のオレンジ枠で囲みました。2019-2020年シーズンでは2人共男子の試合にはいませんが、 2020-2021年全日本選手権で共にアイスダンスのジャッジを務めています。

そして興味深い事実に気が付きました、過去5シーズン中4シーズンにおいて、彼らは同じ試合でジャッジを務めているのです。このような共演が起こらなかった唯一のシーズンでは、堀内はペアを審査し、下出はどの試合でもジャッジを務めませんでした。勿論、偶然でしょう。しかし幾つかの偶然に興味をそそらせましたので、私は調査を進めることにしました。私の表には含まれていませんが、2010-2011年シーズンまで遡ってみました。この年のジャッジパネルには2人共含まれていまでんでした。私が見た限り、下出は2012-2013年シーズンから、堀内は2013-2014年シーズン(ただし、その翌年の大会にはいませんでした)から全日本で審査を始めています。両者共に全日本に参加した5シーズンで、2人はまるでいつでも全てを一緒に行う、離れがたい親友のように、常に同じ試合のジャッジを務めています。

昨シーズンのリズムダンスで堀内はジャッジ1(赤)、下出はジャッジ5(オレンジ)でした。

堀内は小松原/コレトに実際の得点より2.83点低い得点、村元/高橋には2.03点低い得点で、総合では6人のジャッジ中5人と一致していました。小松原/コレトが1位、村元/高橋が2位です。この試合で目立っていたのは村元/高橋が1位だと信じていた唯一のジャッジ、下出でした。フリーダンスでは疑問の余地なく小松原/コレトがベストでしたので、私は2位、3位、4位のペアを見ることにしました。私は村元/高橋が何故、既定の10エレメントではなく、9エレメントしか実施しなかったのかは分かりませんが、公式プロトコルはこちらです:

【追記】最初にコメントした読者が理由を説明してくれました:

何故なら彼らはコンビネーションリフト(2つ目のエレメント)を実施したからです。他の2ペアはコンビネーションリフトではなく、2つのリフトを別々に実施しました

私はアイスダンスのルールを勉強したことはありませんが、ルールについて解説するコメンテーターの言葉は聞いているはずです。ルールは聞いたことがありますが、私の脳は記憶しなかったようです。

3組のペアはどのように滑ったでしょうか?

村元/高橋が2位に相応しいと判断したのは堀内と下出だけでした。3人のジャッジ( 関根章、加賀山翔、松村ゆみ子)は、村元/高橋を深瀬理香子/    張睿中オリバーに次ぐ4位にしています。堀内と下出は高橋に対して同じ思いやりを示していませんか?この疑問を抱きながら、私は2020年NHK杯を見ました。

ISUによれば一応グランプリ大会でしたが、女子シングルにおける韓国のユ・ヨン以外、出場選手は全員日本人スケーター、ジャッジも全員日本人でしたから、実質国内大会でした(ただし他の「なんちゃって」グランプリ大会がマシだった訳ではありません)。それでは、この「何ちゃって」日本選手権を見てみましょう。公式リザルトと、SkatingScoresが作成したジャッジ別プロトコルです。

3組のペアしか出場していませんでした。全ジャッジが小松原/コレトを1位にしました。技術点では疑問の余地はありませんでしたが、演技構成点ではジャッジ6人中ジャッジ5だけが村元/高橋に一番高い得点を出していました。ジャッジ5は誰だと思いますか?堀内律子です。彼女の高橋に対する援助が偶然ではなく、通常運転だという疑念を抱かせる採点傾向です。またGOEでも彼女が非常に高い得点を与えていることに気が付きました。確かに彼女は他のペアに対しても寛大でした。小松原/コレトには+2.89、深瀬/張に対して+3.21平均より高い得点を与えています。そして村元/高橋に対しては平均より+5.58点高い得点でした。

下出もこの試合のジャッジを務めており、TES、PCS共に小松原/コレトを1位にしていました。旧採点システムと違って各ジャッジが選手達の順位を決める訳ではありませんが、堀内と下出を含む4人のジャッジが村元/高橋に2位の得点を与えていたことに注意を引かれます。突飛な得点を出したジャッジが2人いる場合、少なくともその内の1つは得点に反映されます(ツイヅルに対する下出の+2のように)。

フリーダンスでも村元/高橋が実施した要素は9個でした(読者から教えてもらったその理由は先ほどご紹介しました)。いずれにしても、この大会では下出(ジャッジ2)は、他の3人のジャッジと同じく、深瀬/張に2位、村元/高橋に3位を評価を与えました。村元/高橋をTESで2位にした唯一のジャッジはジャッジ6の小林明子だけです。  堀内は他の5人のジャッジと共に村元/高橋をTESで3位、PCSで小松原/コレトに次ぐ2位にしました。総合では、2人のジャッジ(小林と関根章)が村元/高橋を3位ではなく、2位にしていました。

堀内は高橋のファンです。それは何も悪いことではありません・・・・ジャッジでなければ。しかし、もしあなたがジャッジである場合には、個人的な好みは脇に置き、自分が審査する試合で各スケーターが実施する内容に応じて得点を与えなければなりません。難しいことですが、それがジャッジの義務です。

数年間の間、高橋は間違いなく日本史上最も強い男子スケーターでした。2012-2013年シーズンまでの結果、彼がシングルで獲得したオリンピックと世界選手権のメダルが物語っています。

その後・・・日本の誰もが羽生の勝利を心底から称賛した訳ではないという印象を受けます。その後の3年間、羽生は身体的問題のために全日本に出場出来ませんでした。

2019年、堀内は女子シングルとアイスダンスの試合で審査しました。高橋はまだシングルの選手でした。残念なことにスケート界では政治が重要な役割を果たしていますが、女子シングルにおける日本国内の政治は私はまだ理解出来ていません。分かっていることは、この試合の基準と比較して、堀内と下田は共に紀平梨花と山下真湖に厳しく、永井優香、宮原知子、川畑和愛、磯邉ひな乃、そしてギリギリでフリーに進出出来なかった井上千尋に寛大だったことだけです。   井上千尋がフリー進出に相応しいと判断したのは堀内、下出、そして安藤陽子の3人だけでした。偶然に過ぎない可能性もありますが、私は注意を引かれ、前に進みます。

2020年、堀内はアイスダンスに加え、男子シングルでもジャッジを務めました。下出も男子シングルのジャッジでした。12月の時点で、私は下出はショートでは羽生に対してそれほど厳格ではなかったのに、何故フリーでこれほど厳しい採点をしたのか不思議に思っていました。私の勘違いかもしれませんが、試合全体を見ると、気が付かれないように堀内と下出が厳格なジャッジの役割を分担したように思われます。ショートプログラムでは堀内、フリーでは下出という役割分担です。羽生が並外れたショートプログラムと圧巻のフリープログラムを滑ることは誰にも予測出来ませんでした。

下出については既に書きましたので、ここでは再び触れません。堀内についてはショートプログラムだけを見ました。

私は堀内が各スケーターに対して、どのくらい厳格、または寛大であったか計算しました。彼女の平均得点は全体的に平均値によりやや髙く、TESは平均+0.77、PCSは平均+0.67、合計は平均+1.43でした。しかし、個々の選手に対してはどのように採点していたでしょうか?

下の表の一番左の列はスケーター名をショートプログラムの順位の通りにリストアップしています。選手名のすぐ横の3列は各選手の基礎点、TES、彼らが獲得したGOE合計です、薄い黄色で強調された次の2列は堀内が出したTESとGOE合計。黄色の3列目は実際のTESと堀内が与えたTESの点差です。次の3列ではPCSで同じ計算をしました。最初は実際のPCS、次が堀内が与えたPCS、そして実際の得点と彼女の得点の点差です。最後の列はGOEとPCSの実際の得点と堀内の得点の点差の合計です。減点はジャッジが決める訳ではなく、GOEとPCSに関係なく得点に反映されるので、ここでは考慮しませんでした。

右の表は、堀内が最も寛大だった順に選手を並べ直しました。表の最後が彼女が最も厳しく採点した選手です。特定の選手に対して最終得点より1.50点高い、または低い得点を出した場合、彼のライバルの得点も同じように上げ下げすることを考慮すると、その点差は3点になります。そしてこの数値は平昌オリンピックのペア競技でフアン・フェンが資格停止処分を受ける原因となった点差より大きいのです。従って、あるジャッジが特定の選手に平均より1.50点以上高い寛大な得点を与え、一方で彼のライバルに平均より1.50点以上低い厳格な得点を与えている場合、このジャッジに何か問題があるのは明らかです。この大会ではそのようなことは起こらなかったのでしょうか?

彼女の得点をTESから見ていきましょう。

堀内は羽生ではなく鍵山優真を1位にした唯一のジャッジでした。鍵山のGOEが羽生より上?鍵山は何時からミスをしなかった羽生よりクオリティの高いエレメンツを実施出来るようになったのでしょうか?確かに、鍵山のスコアには羽生のスコアからは消去されたシットスピンの得点が含まれています。スピン無効判定の正当性(笑)については、テクニカルパネルの問題になりますので、ここでは触れませんが、彼女が鍵山に与えたGOE合計+14.19からスピンのGOE0.90(このエレメントに対する彼女の評価は+3でした)を引いてみましょう。羽生の11.57に対して13.29でまだ羽生を上回っています。つまり、例えエレメントの数が同じだったとしても、堀内は鍵山に羽生より合計で1.72点高いGOEを与えていたのです。

他の2人のジャッジ、 佐々木盟子(J3)と梅谷英生(J4)も少なくとも技術点では鍵山を1位にしていました。彼らについても詳しく調べるか分かりませんが、私が執筆に専念出来る時間に対してジャッジの数が多過ぎます。現時点で分かっているのは、この2人のジャッジは、技術点では鍵山に最も高い得点を与えたものの、総合では羽生が1位に相応しいと判断したことです。佐々木は僅差でしたが、ショートの順位は(堀内以外の)ジャッジ全員が羽生1位、鍵山2位にしました。

ステップシークエンスでは堀内は羽生、鍵山、宇野の3選手に+5を与え、三浦佳生(+1)、唐川常人(0)、古家龍磨(-1)を除き、他のスケーター達には+2から+4までの得点を与えています。3アクセルでも羽生、鍵山、宇野の3選手に+4、田中刑事、友野一希、三宅星南、櫛田一樹、小林建斗(3Aではなく2A)の5選手に+3を与えています。

羽生の3アクセルに+4???理由は?
ジャンプは踏切と着氷が良く(ブレット2)、最初から最後までエフォートレス(ブレット3)で、ステップ(彼はバックカウンターから入っています!)から実施され(ブレット4)、踏切から着氷までの姿勢が良く(ブレット5)、エレメントは音楽に合っています(ブレット6)。

ブレット1(高さと幅が非常に良い)については、リプレイ中のアイススコープの数値を参考にしましょう。こちらは羽生と鍵山のアクセルです。

3つの可能性があります。両方のジャンプがブレット1に値するか、どちらのジャンプも値しないか、あるいは羽生のジャンプだけ値するかです。羽生に対する得点は+4か+5ですから、ジャッジ全員がブレット1はあると判断したことになります。2人のジャッジが鍵山に+3を与えていますので、彼らにとってはこのジャンプがブレット1を満たしていなかったと推測されます。羽生と鍵山の3Aの高さの違いは3センチですが、幅には24センチも差がありますから、一方のジャンプはブレット1に相応しく、もう一方は相応しくなかった可能性が考えられます。

こちらは宇野の3アクセルです。

幅は3.48メートルですから、非常に幅のあるジャンプですが、高さは56センチと低いです。従って、ブレット1の幅は十分過ぎるほど満たしていますが、高さは満たしていません。選手全員のデータを知ることが出来た唯一の大会、2019年世界選手権のショートプログラムで私は比較表を作成していました。この表に全日本選手権における3アクセルの数値も加えました。2つの大会を区別するために、羽生、鍵山、宇野が全日本選手権で実施したジャンプは淡い黄色で色分けしました。

左の表は高さ順、右の表は幅の順に並べました。羽生の3アクセルは世界選手権の時より小さいですが、全選手の中で最も大きなジャンプであることに変わりはありません。一方、宇野の3アクセルは非常に幅がありますが、かなり低いジャンプです。さて、羽生の3アクセルにブレット1(+4以上を得るにはこの要件を満たしていなければなりません)があったことははっきり証明されました。では宇垣静子 (J1)、堀内律子(J8)、下出彩子(J9)は何故+4しか出さなかったのでしょうか?彼らの得点は明らかにルールに則っていません。

ソロジャンプは無視してコンビネーションを見ます。
+2?最初のスクリーンショットでお見せした高橋の3Fと同じ加点ですか?

唯一考えられるのは、フリーレッグが非常に低かったためブレット2がなく(ただし、動画の映像は足が氷に触れていないことをはっきり示しています)、スピードがあまりなかったと言うことです(ただし、他のスケーター達の同じような着氷では彼女はブレッド2を認めています)。もしブレット2がなかったと仮定しても、上限は+2ではなく+3です。そして他のブレットは全て揃っていました。

コンビネーションスピンでは宇野と鍵山の+4に対して羽生には+3です。田中、山本、三宅、岸田、日野、本田ルーカス剛史、長谷川、木科、國方、山隈、山田、石塚も+3を受け取っています。羽生のキャメルスピンに対する+2は鍵山と宇野(+4)だけでなく、田中、山本、友野、木科、杉山(+3)より低く、佐藤、島田、小林諒真、小林建斗、國方、山隈、山田と同等の評価です。実質、堀内にとっては、両方のスピンについて羽生より加点が低かったのはスケーター29人中14人だけで、残りの15人は彼と同等または高い加点に値したことになります。羽生のスピンはそんなに平凡なのか?疑問を抱いた私は表を作成しました。

私は羽生のスコアに反映された2本のスピンのみに注目しました。レベルはジャッジが採点する際、知らないことなので考慮しませんでした。またスピンにおけるフライングの有無も、GOEではなく基礎点にカウントされる項目なので無視しました。3本のCoSp、友野、中村、大島のスピンにはV(テクニカルが幾つかの問題を見つけた場合に付くマーク)が付きました。一方、島田のスピンは無価値と判定されました。他のスピンでは29人の選手がCSp(キャメルスピン)、小林建斗だけがUSp(アップライトスピンを実施しました(ただし全員CSpの表に含めました)。

私は基礎点と最終的なGOEを記載したしたが、私にとってより興味深いのは次の列です。GOEは得点とリンクしていますが、エレメントの基礎点ともリンクしています。例えば基礎点3.50のスピンに対する+2は実質加点0.70、基礎点2.80のスピンの+2は実質加点0.56になります。得点は変わりますが、実施のクオリティは同じです。この点を踏まえ、私は各スピンが獲得した+5、+4、+3等の数を表記しました。堀内が与えた得点のセルは黄色で強調しました。「Mean」は平均です。最も高い得点と最も低い得点はカットされますから、最終的なGOEはジャッジ7人の得点の平均です。しかし、私はそのスピンに対するジャッジ全員の印象に興味を持ちました。+5が2個、+4が3個、+3が4個だった羽生のコンビネーションスピンの平均は3.78でした。鍵山は+4が5個、+3が4個で平均は羽生より少し低い3.56でした。このような方法で全てのスピンについて計算しました。

一見しただけでも、堀内は羽生に厳しく、他のほぼ全員のスケーターに対して寛大であったことは明らかです。このことを更に明らかにするために、私は別の表を作成しました。下の表ではほとんどのデータを削除し、前の表の平均値(CD列)と堀内の出した得点(CE列)だけをまとめました。左のブロックはショートプログラムの順位順です。中央のブロックはスピンの平均GOEが髙かった順(CH列)。分かりやすいように羽生の得点は赤文字にしました。左のブロックは堀内が与えた得点の高い順に並べました(CM列)。

コンビネーションスピンでは堀内は宇野には平均と全く同じ評価、羽生(平均-0.89)と大島(平均-0.44)に厳しく、他の全選手に寛大でした。

キャメルスピンでは堀内は30選手中7人、鍵山(平均‐0.56)、羽生(平均‐1.11)、中村(‐0.33)、中野(‐0.11)、大島(‐0.11)、三浦(‐1.78)、櫛田(-1.11)に厳しく、羽生より扱いが悪かったのは三浦だけでした。堀内の迷走にも拘わらず、ほとんどジャッジが羽生のスピンは卓越したクオリティだと感じたようです。

テクニカルエレメントの後、私はPCSもチェックしました。7人のジャッジがPCSで羽生を1位にし、2人のジャッジが宇野を1位にしたした。他のジャッジと評価が違っていたのはジャッジ1の宇垣静子とジャッジ8の堀内律子でした。そう、またしても彼女です。そして宇野はどんな演技だったのでしょうか?こちらは最初のコンビネーションジャンプです:

私には重大なミスに見えます。そして重大なミスがあった場合、PCSの上限が下がります。ISUのルールによれば、次のように定められています:

重大なエラーとはプログラムを中断し、構成の完全性/連続性/流動性、および/または音楽との関係に影響を与える技術的ミスのことである。
同様の制限は拙劣なスケーターから傑出したスケーターまで全てのレベルのスケーターに適用されなければならない。

コンポーネンツの表には転倒は重大なミスだとはっきり書かれています。従って、SSとTR、COの上限は9.75、PEとINの上限は9.50になります。

これはエレメントが無効になった羽生ではなく、転倒のあった宇野に当てはまります。テクニカルパネルによれば羽生はシットポジションで2周していなかったため、彼のスピンは無価値と判断されました。視聴者は勿論、解説者すら誰も気付かなかったことです(そして事実でもありませんでしたが、ここでは掘り下げません)。スピンでは重大なミスがない訳ではありません。2019年グランプリファイナルのフリーにおけるドミトリー・アリエフの無効になったスピンは本当に酷い出来で、誰もがすぐにミスに気付きました。私は通常、彼がやっている事に注意を払いませんが、この時はアリエフが気の毒だと思いました。つまり、アリエフは明らかに目に見えるミスを犯しましたが、羽生はそうではありませんでした。演技構成点の上限はあらゆるレベルの選手に適応されますので、シリアスエラーが無かったと仮定した場合の堀内の評価は以下のようになります:

49.00?私にはこれが史上最高のショートプログラムには見えませんでしたので、きっと何かを見落としていたのでしょう。私はきっとかなり不注意だったに違いありません。

実際、この試合で羽生を厳しく審査し、宇野に寛大な得点を与えることで、昌磨を優勝争いの土俵に残しました。
私達は皆、この前のシーズンの全日本選手権を覚えています。遅かれ早かれこの時のジャッジも調べることになると思いますが、この全日本でも同じことが起こりました。ノーミスだった羽生に低い得点、ミスのあった宇野に高得点を与え、点差を僅かに留めました。2019年のフリーは両者共に酷い演技でしたが、ジャッジは羽生について実際の演技よりも更に悪かったと評価し、タイトルは宇野が獲得しました。

2020年、羽生は10カ月間コーチ無しで一人で練習していました。彼がこれほど完璧な演技をすると誰が想像出来たでしょうか?羽生に非常に低い得点を与えることで、宇野と、そして鍵山にも逆転の可能性を残しました。

フリースケーティングでは、堀内は羽生に対して寛大でした。彼に厳しいジャッジの役割は下出に託されたようでした。おそらく、このようなコラボレーションは他にもありますが、ここでは先週行われた、堀内がこれまで審査した最も重要な大会の一つに進みたいと思います。

現時点では彼女にオリンピックで審査することは出来ません。この資格を得るには、ISUチャンピオンシップで2度審査しなければなりませんので、彼女を北京で見ることはないでしょう。

いずれ「q」についても考察しなければなりませんが、今日ではありません。難しいことですが、スケートアメリカ2021のテクニカルパネルのコールが全て正しかったことにしましょう。私はジャンプの回転ではなく、トランジションを見たかったのですが、何のコールもされなかったこの4ルッツに気付かずにはいられませんでした。上の4枚の写真は踏切です。完璧なアウトエッジで、プレローテーションがないことが分かります。ここまでは見事なジャンプです。下の4枚は着氷です。1枚目ではまだ空中にいます。2枚目では彼は既に氷上にいて、ブレードは水平で、氷飛沫が既にブレードが氷に接触していることを証明しています。この瞬間から、氷上で回転しています。

この大会に羽生は出場しておらず、宇野昌磨と佐藤駿の2人の日本人とアメリカで最も有力な2人のスケーターが出場していました。ネイサン・チェンがオリンピック金メダルを狙っているのは不思議なことではありません。ヴィンセント・ジョウは低迷期の後で、間違いなく重要なメダルを目指して戦っているように見えます。少なくとも、私達が彼のジャンプの回転に目をつぶり、スケーターが着氷した4回転ジャンプの数に応じて上昇する演技構成点を受け入れればですが。

スコアの詳細は、再びSkatingScoresを参考にしました。今回は数字を使って計算しました。10月に私はある国のジャッジが別の国のジャッジを助けているかどうか解明しようと2つの記事を投稿しました。最初に記事「友好と敵対」では2016-2017年シーズン、次の記事 「友好と敵対2」では2018-2019年シーズンから2020-2021年シーズンについて考察しています。意図的に2つの期間を分割したのは、ルールが大幅に変更されたのと、以前、上位争いをしていたスケーターの数人が引退し、勢力図が変化したためです。上述の記事はイタリア語です。私にとって英語で執筆するのは難しく、時間がかかりますし、多くのミスをします。しかし、最初の記事に興味があれば、統計で採用した方法を説明します。

各スケーターについて、その選手の競技セグメント(ショートまたはフリー)の最終スコアと、各ジャッジがその選手に与えた得点をチェックしました。そして各ジャッジの得点と最終スコアを比較し、そのジャッジが最終スコアからどのぐらい逸脱(+/-)していたかを調べました。私はどのジャッジに対しても、審査におけるある程度の主観性は許容しますので、逸脱点の平均も計算しました。あるジャッジが厳し目で別のジャッジが甘目でも、それがルールの許容範囲内であり、厳格さが誰に対しても等しく適用されているなら問題ないはずです。遅かれ早かれ、これが必ずしも正しくない理由を説明しますが、現時点では私の使える時間に対して説明しなければならないことが多過ぎます。平均は一番下の段に太字で表記されています。

それでは、ジャッジの主観性に基づき、私は各ジャッジが各スケーターに対して厳格か、または寛大かを調べました。私は得点を削除し、各国ジャッジの各スケーターに対する得点の逸脱点だけを残しました。それからそのジャッジのこの試合における逸脱点平均と特定選手に対する逸脱点の差を計算しました。私の説明が理解してもらえることを願います。しかし、数字を比較すれば、私が実施したことがお分かり頂けるはずです。

それから、各スケーターの一番下の数字だけを残しました。この数字はそのジャッジが特定のスケーターに対してどのぐらい寛大または厳格だっかを示しています。SkatingScoresの数字を使わなかったのは、これらが全体の状況から推定された数値だからです、例えばチェコのジャッジ、ミロスラフ・ミスレックを見てみましょう。彼がヴィンセント・ジョウに与えた得点は、実際の得点97.43に対して97.78でした。従って彼はジョウに対して寛大だったでしょうか?それほどではありません。こちらはSkatingScoresのです。

SkatingScoresは9人全員のジャッジの平均値を使っていますが、私は最終スコア、すなわち9人のジャッジの得点から一番高い点と一番低い点を引いた得点の平均値を使っていますので、同じ平均値でも少し異なるのです。これは別にしても、ミスレックは11選手中7選手に対してジョウより寛大、6選手に対してより厳格でしたから、実質、ジョウに対して厳し目だったと言えます。

ショートプログラムで各国ジャッジが各選手に対してどのぐらい寛大または厳格だったかまとめた表がこちらです。

フリースケーティングでも同じ計算を行いましたが、全ての表のスクリーンショットを撮る時間がなかったので、最後の表だけと掲載します。

更にショートとフリーにおける各国ジャッジの各選手に対する寛大度/厳格度(その選手に対するジャッジの平均からの逸脱点から試合全体におけるそのジャッジの平均逸脱点を引いた数値)とその合計を計算しました。そして、各ジャッジについて、そのジャッジが最も寛大だった選手から最も厳格だった選手まで順番に並べました。次のスクリーンショットでは各国ジャッジが誰に対してより寛大で、誰に対して最も厳格だったのかショート、フリー、トータル別にランキングにしました。

アダム・シャオ・イム・ファには申し訳ないのですが、彼の名前は長過ぎるので上の2つの表では途中でカットし、下の表では小さめのフォントを使用しました。どちらのソリューションも気に入りませんが、列の幅を広げると、表が大きくなり過ぎて1枚のスクリーンショットに収まり切らなくなります。

それはさておき、ここでは何を見るのでしょうか?もっと多くのデータをチェックすることも出来ますが、時間があまりありませんので、幾つかの点に焦点を絞ります。アメリカジャッジのウェンディ・エンツマンは、ヴィンセント・ジョウを助けました、現在、アメリカは明らかに北京で2つのメダルを狙っていますが、彼女はネイサン・チェンは助けませんでした。

 一方、チェンを助けたのは誰でしょうか?ジャッジが自分の得点が正しいと心から信じていたという意味において、正当な助けだったと言うことも出来ますが、いずれにしても助けたことに違いはありません。ひと際目立つジャッジが2人います。一人は日本ジャッジ、堀内律子、もう一人はロシアジャッジ、ロリータ・ラブンスカイアです。ラブンスカイアについては興味深いことに気が付きましたので、いずれ書くつもりでいますが、通常、私は書き始めると思っていたより長くなります。ここでは堀内だけに注目します。

堀内は高橋以外の日本人スケーターは嫌いなのでしょう。佐藤には自身の平均と同じ、宇野には厳しく、チェンには自身の平均より+8.15点も寛大でした。これは非常に大きな逸脱です。あたかも高橋が一時代前に羽生に先だってシングルを引退した唯一の現役選手であるかのような国内の対立関係を考えると、高橋を大好きな人が羽生を憎むのはさして驚くことではありませんが、堀内の得点を見ると、彼女は北京でチェンを応援しているように見えます。

これがチェンのプロトコルです。

紫色の丸は堀内の出した得点より高かったと得点です。赤丸は彼女の得点が最も高かった項目です。オレンジは彼女の得点が他のジャッジと共に最も髙かった、またはかなり髙かった項目です。このプロトコルを見る限り、彼女の得点が際立って目立っていた訳ではありません。

しかし・・・ちょっと待って下さい。
この大会で彼女が出した演技構成点を私は以前どこかで見たことがあります。内訳は違いますが、合計は同じです。

これは初めての実験です。同じジャッジによる異なる試合のプロトコルをこのように比較するのは私にとって初めてです。この方法はあまり好きではないので、別の比較方法を見つけなければなりません。それはともかく、2020年全日本の羽生のPCSと同じ?別の大会ですが、ルールは同じです。プログラムの内容、スケーティングの質は勿論、各エレメントの出来栄えも全く違いました。

4ルッツは回転不足と判定されるべきでした。つまり基礎点は11.50ではなく、9.20に下がるべきでした。これはテクニカルパネルだったロシアのジュリア・アンドリーバ(またしてもロシア人です)、ドイツのクローディア・ウンガー、韓国のソンジン・ビョンのミスです。 解説者はこのジャンプはレビュー中と言っていましたから、テクニカルパネルは明確な映像を見ても尚、このジャンプは完全に回り切っていると判断したことになります。おそらく彼らには新しい眼鏡だけでは不十分で、白内障を取り除く手術の必要があります。その他の要素を検証してみましょう。

コンビネーションですが・・・下のスクリーンショットは4Fで跳び上がったところから始まっています。更にスクリーンショットは彼が大きくステップアウトした後、それでも1Tを踏み切る瞬間を捉えていますが、ルールではコンビネーションとは認められないジャンプです。

これはシリアスエラーと呼ばれるミスではないですか?このステップアウトの間、音楽との関係はどこかに失われていました。しかし、ここではステップアウトは大目に見て、シリアスエラーは転倒の1つしか無かったということにしましょう。演技構成点の上限は9.75 (SS、TR、CO)と9.50 (PE、IN)でした。そして堀内が与えた得点を見てみましょう。

 この得点がどれのくらい高得点が明らかにするために、SkatingScoresのツールオプションを使って興味深い統計を出してみました。全ての国際大会の男子の試合におけるショートプログラムの演技構成点をチェックしてみました。赤線はシリアスエラーが無かったと仮定した場合、堀内がチェンに与えた得点よりPCSが低かったショートプログラムです。

私は羽生結弦のファンですから、彼については触れませんが、どうやら、ネイサン・チェンはパトリック・チャンが最高の演技をした時より、スケートが上手いようです。最初のスクリーンショットでランキングの下の方まで見て私は気分が悪くなりました。シリアスエラーによる上限を考慮しなくても、46.50はどれほど高得点なのか?赤線より下は、シリアスエラー有りのチェンがスケートアメリカで獲得したPCSより低い得点だったショートプログラムです。2013年エリックボンパール杯におけるパトリック・チェンのショートプログラムを覚えていますか?

考えられますか?

しかし、何人かのジャッジは自分の出した得点を本当は恥じているのではないですか?

その他の点について話すなら、チェンのこのシットポジションは堀内にとっては+4に値する出来栄えだったようです。

あるいはこのプログラムとフリープログラムにおける膨大な数のクロスオーバーと振付の空白についても話すことが出来ます。いいえ、エネルギーを使い果たしてしまいましたので、フリーまで書くことは出来ません。

ISUのジャッジ達は緊急に然るべきトレーニングを受けて勉強すべきです。何故なら彼らの多くが自分達の見ているものを理解していないからです。彼らは正しい審査を行うために適切なテクノロジーを必要としています。選手達は自分達が実施していることについて、それ以上でもそれ以下でもない、正しい評価を受けられるべきです。

そして堀内律子については、彼女がルールを完全に学習するまで、資格を停止すべきです。何故なら、最も穏やかな仮説でも、彼女には試合を正しく審査する能力が欠けているからです。

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現行のルールではPCSもGOEも考慮すべき項目がガイドラインで細かく決められており、ジャッジの主観や心象で判断していいことなどほとんどないはずです。

敢えて言うならPCSのPerformance、Interpretation、Choreographyは主観によるところが多い項目と言えますが、シリアスエラーというルールがありますから、転倒などのミスがあった場合の上限は定められています(全選手に平等に適用出来ないのなら、このような無意味なルールは廃止にすべきです)。

そしてChoreography(振付)ではジャッジの主観の余地が大きいといっても、各エレメントの間でもしっかり振付要素をこなしている選手と、ジャンプ前の長い助走によって、振付の随所に空白がある選手とでは差が付くべきです。

5要件どころか6要件全てを満たしている羽生君の3Aに+4は明らかにルールを無視した自由裁量の評価であり、このような採点を平気で行うジャッジを放置すべきではありません。

各項目の評価基準がこれほど細かく規定された競技の採点で「ジャッジの個性」などという言い訳が通用するはずがありません。

Published by Nymphea

管理人/翻訳者(イタリア在住)。2011年四大陸チゴイネ落ち